井庭研春プロ:パターン/スタイル・マイニングのための読書

2018.01.28 Sunday 20:58
井庭 崇



  •  もう一つ例をあげましょう。村上さんは、毎日、朝起きてから午前中の間に長編小説を書いているようです。1日10枚(原稿用紙)と決めて、毎日欠かさず、同じペースで書き続けているそうです。ここから僕らが学ぶことができるのは、「毎日決めた時間に書く」ということです。これは書くことについてのコツであり、パターンになりそうです。これをしないので、僕(井庭)なんかは、なかなか本の原稿が仕上がらないという問題がよく起きます。このパターンを実践すれば、きっと本をもっと出せているでしょう。とても重要なパターンです。
     それでは、「午前中に書く」ということは、パターンでしょうかスタイルでしょうか?これは難しいところです。夜に書く作家もいることを考えると、スタイルといえます。しかし、午前中は、日常の雑多なことに触れておらず、頭もクリアであることから、午前中であることは、理に適ったコツ・経験則であるとも言えます。そうなれば、これはパターンとも言えます。このように、判断が難しいものもあります。
     この例の場合には、おそらく、書くことのランゲージをつくるとなると、僕は、別様でもあり得る選択肢を否定しないために(仕事や生活スタイルにもよるので)、「午前中に書く」はスタイルであるとした上で、「毎日決めた時間に書く」というパターンの記述のなかで、その例を強調するというふうにすると思います。

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