素顔なんてないの
 

サラリーマンの家
自分のところで仕事をやる家


仕事はどこでするのか。自宅か、それとも電車(もちろんバスでもかまいません が)にのって会社にいくのか。自営業なのか、サラリーマンなのか。
仕事をする人(あえて男とはいいません、女性の顔をたてます。なおここでの仕事 に家事は含みません。男の本音がでます、仕事の定義の問題だと逃げますが)が子供 に仕事する姿を見せることができる場合、子供は親の仕事に共感するのか、つまらな い仕事と冷たく判定するのか。親の仕事をみせることの評価はともかく、そのことが 親子の関係を強固にすることだけは確かでしょう。親は子供の成長のモデルになりま す。

親の汗は、本物です。子供は本物をみせられて、逃げられません。だから、親の汗 は魔物です。連綿と続いてきた、親の仕事の継承は、魔物にとりつかれた結果です。 汗は嘘つかない。これが若者の意思を挫けさせます。 

サラリーマンの家庭が68.7%もいます。ここでは、仕事する人の背中さえみえ ません。父さん(定義:仕事する人)は、外で何かをして給料だけを家に運んでくる 他人のようなものです。もちろん給料は銀行振込なので、家の者はだれも感謝してく れません。しかも仕事を家に持ち込むことはタブーです。男のすることではありませ んので、我慢、我慢です。かれは朝早く起き、食事もそこそこに飛び出し、満員の通 勤電車に揺られて都心のオフィスに走っていきます。タイムレコーダーをガチャンと 押して一安心します。これで一日の仕事が終わった。そんな気分になります。わかる なー。

夜は夜で、つらい仕事が待っています。アル中の恐怖に脅かされながら、飲み続け なければなりません。上司ならば、部下の悩みを解消する即席コンサルタントとして 活躍し、部下ならば、上司とのあうんの呼吸をマスターして彼の御機嫌を窺うチャン ス・メーカーにならなければなりません。同僚としてならば、唯一の友として笑いそ して泣きます。そして深夜のご帰還です。すでに妻は床のなか。

そんなわけで、仕事する人は、外と内で違った顔をみせます。アルコールの臭い は、″臭い″という嘘です。その嘘をみて、若者は安心するのでしょうか、それとも 不安になるのでしょうか。