素顔なんてないの
 

母さんは専業主婦
母さんも仕事してます


やっと主婦の仕事にはいります。専業主婦の母さんが52.2%、そしてパートある いはフルタイムで働く母さんが47.6%です。ほぼ半々なのが驚きです。母は家の なかをしっかりと管理してくれればよい、という母=専業主婦のイメージは確実に後 退しているようです。

専業主婦とは、外の専業者である主人(=夫=父)とパートナーシップを組んで、 内のことはすべて私にまかせなさい、と胸をはっている主婦(=妻=母)のことで す。ここでは主人と主婦が対等な関係のなかで、効率的な家庭管理のための役割分化 (内と外)が成立しています。

産業社会はこのような家族を前提にしてはじめて成立する社会です。ですから専業 主婦だからといって馬鹿にしてはいけません。そんな時代の風潮にはもっと自信を もって″no″と言ってやりましょう。主婦が専業であるからこそ、主人たちは家のこ とは安心して主婦に任せて組織に専業で頑張ることができたのです。

主婦が専業でやる仕事は炊事・洗濯・掃除といった家事だけではありません。家政 上の問題解決が最重要課題です。その課題は二つあって、一つは夫との関係を安定的 に維持することです。疲れきった夫をいかにリラックスさせるかが問題です。性的関 係を中心にした安定した夫婦関係の維持が最大のテーマです。ドロッとした触れる生 の現場のなかに、妻のやさしさといたわりが必要なのです。

家庭生活におけるイベントは、結婚と子供の誕生です。これは生の儀式です。性的 関係における妻はこの生の儀式を媒介する陰の演出者です。妻は、性の暗さを通して 生の明るさを獲得します。妻はここで母になります。子供の誕生は母の誕生でもあり ます。そして母は、家庭におけるもう一つの課題を解決するために頑張ります。子供 をしつけることです。言葉を教え、立ち上がることを教え、社会のコードを教えま す。子供の成長は、主婦の母役割の妻役割にたいする優越性を要請します。だから、 家庭では性の臭いはあたかも消えたかのような振る舞いが必要になります。子供も生 の明るさを演技します。そして子供は、ある日家庭の外に愛の対象をみつけて、家を 出ていくのです。