テレマティックアート
「映像や音、テキストなどのデータを送信するために電話回線や衛星通信といったテレコミュニケーション・テクノロジーをメディアとして用いる試みは、1970年代に始まり,テレコミュニケーションアートとも呼ばれ、いわゆるメディアアートとはやや出発点の異なるものであった。複数の地点をリアルタイムに結んで行われるライブ性、双方向性を基本とするものだが、こうしたプロジェクトは、その性質上、限られた期間の中で行われたものが多い。当初のデータの伝送、とくに映像の伝達には非常に時間がかかり、動画は数秒に1枚というスロースキャン(低速度走査)によるヴィデオ映像が限界であった。これにコンピュータを組み合わせることによって作られるようになったものが「テレマティックアート」名付けられるようになる。こうしたプロジェクトの中では時間=空間の関係、コミュニケーションにおけるインタラクティビティの問題、そしてネットワークによる協同性など非常に重要なテーマが検討されている。」
白井雅人, 森公一, 砥綿正之, 泊博雅, メディアアートの教科書, pp.35-36, フィルムアート社(2008)