ディベートのフォーマット-Debate Format-



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ディベートのフォーマット-Debate Format-

アカデミックなディベートで人気のあるのは、次の3つのフォーマットである。まず第一に、伝統的かつ標準的ディベートのフォーマット。これは、ディベートの初心者に最も多く使われるフォーマットである。第二に、クロス・エキザミネーション・ディベート(反対尋問ディベート)のフォーマット。これは、高校や大学のディベート・トーナメントで最もよく使われる。第三に、リンカーン・ダグラスディベート(大統領ディベート)のフォーマット。これは、このフォーマットを使った2人の有名なディベーターであるエイブラハム・リンカーンとスティーブン・ダグラスに敬意を表して名付けられた、2人で行うディベートのフォーマットである。

標準ディベートのフォーマット(Standard Debate Format)
このディベートのフォーマットは、だいたい1970年代の中頃まで高校や大学でよく使われた。このフォーマットは、

という2つの型のスピーチで構成されている。立論は、時間にして8分から10分かけて、主要な論点を示す。反駁は、時間は4分から5分で、立論に続いてなされ、主要な論点を反駁し展開するために行われる。
70年代に反対尋問ディベートが人気を獲得し始め、ディベート・トーナメントでは徐々に標準ディベートに取って代わっていった。標準ディベートのフォーマットは、今日でも、初心者のためのディベート・トーナメントに多く使われている。このフォーマットを使うことによって、ディベートの基本を学んでゆく。ひとたびディベートの基本的な技術をマスターしてしまえば、反対尋問ディベートの技術も学べるし、試合にも参加できるようになる。

反対尋問ディベートのフォーマット(Cross-Examination Debate Format)

は1930年代に初めて登場した。よく考えられ、検討され、発明的であり、創造的である反対尋問ディベートは、1970年代までに、好まれるディベートのフォーマットとなった。このディベートは、それぞれの立論のあとに尋問の時間(反対尋問)を加えれば、標準ディベートに似ている。反対尋問は、対戦する2チーム間に、直に衝突する機会を与える。

大統領ディベート(Lincoln-Douglas Debate Format)

では、標準ディベートと反対尋問ディベートでは参加者が4人である代わりに、たった2人(それぞれの側に1人)で行われ、また、政策命題の代わりに、価値命題が使われる。このディベートの目的は、エヴィデンスではなく分析を強調することによって聴衆を説得することである。全国弁論術連盟(National Forensics League)は、国民的行事として、大統領ディベートを確立した。
スピーチや反対尋問のためにそれぞれの側に割り当てられる総スピーチ時間は同じだが、個々のスピーチ時間は同じではない(下記のフォーマットの例を参照)。肯定側は否定側に比べ立論時間が少ないが、それは、否定側に、肯定側が示した特定の議論に応え、最初のスピーチですぐに発言する義務を与えずに、否定側のエヴィデンス資料と問題点を付加させるためだ。肯定側が持つ時間は同じだがその割り当てられ方が違う。付言すれば、肯定側は3回スピーチするが、否定側はたったの2回である。トータルに見たディベートの時間に対して論題への反対尋問の時間が多いという事実は、反対尋問の技術がディベートの勝敗により重要であることを意味している。大統領ディベートで使われるフォーマットに必要な総時間は、標準ディベートや反対尋問ディベートで要求される時間の半分であることに気づくだろう。

-Questions for discussion-

  1. 標準ディベート、反対尋問ディベート、大統領ディベートの違いを述べよ。
  2. 反対尋問ディベートを用いるメリットは何だと、あなたは思いますか?


Mineichiro Yamakoshi
Sat Dec 16 12:20:50 JST 1995