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Desember 23, 2004

S


夜を留める
虚空の月が伝わる

その傍らを進む
懐かしい汽車の影

壊れた願いを
燃やす炎が
祈りを運ぶ

窓際に一人
大きすぎる袋も
とうに役立たず

君を信じられるほど
優しい人はもうあまりない


それでも旅を続けた君はまだ
覚えているかな

真夜中にひとり
泣いていたあの子を救った日を

姿をかえて一人
歴史に耐えた日を

どこにでも行くよと
赤い服で笑っていたよね


今はもう
寂しさは武器にならない

時代は全てを振り落とし
科学は全てを見透かして

こころやそらまで
摩擦と同じ数式で描いてゆく


だからせめて
微笑みを頼りに歩いてみたい

「たとえそれが盾にならず
 撃ち落されも
 笑ってあげよう」

祈りは舞い上がるだけ


ねえ、誰もがその姿を
忘れてしまい

消えてしまうその日まで
笑っていて欲しい

列車がやがて
空を飛べなくなるその日まで
笑っていて欲しい

投稿者 POE : Desember 23, 2004 11:07 EM

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