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2004年09月18日

第1回 情報ガバナンス研究Rのねらい

第1回 情報ガバナンス論Rのねらい:イントロダクションと講義方法の説明

■講義内容・テーマ
冷戦時代までは、国際関係における主たるアクターは政府でしたが、グローバリゼーションが進行する中で、多国籍企業ないしグローバル企業が力をつけ、特定の分野においては非営利組織が重要な役割を果たすようになってきています。国際的な問題、グローバルな問題についての意思決定に際しても、政府間機構による調整だけでなく、多様なアクターが参加するグローバル・ガバナンスが注目されるようになってきました。そうした新しいアクターの台頭を可能にしたのがインターネットをはじめとする情報技術の発展です。同時に、インターネットそのものをどうやって管理・運営していくかというインターネット・ガバナンスの問題は、これまでの国際関係における意思決定とは大きく異なるアプローチを採用していることから、ひとつのモデルとして注目されています。この講義では、「情報ガバナンス」という新しい分野を考えるための視点の獲得を目標とします。

■受講生に関わる情報
インターネットの一般的な利用方法(電子メール、WWWなど)を理解しておいてください。技術の専門的知識は必要ありません。ベースとなる議論は国際政治学ですが、他分野を横断する学際的な議論を予定しています。

■評価方法・基準
講義内容を踏まえた上でのケース・スタディになる予定です。

■テキスト
特に使用しません。

■授業の方法
通常の講義に加えて、適宜、受講者の発言を求めます。

■参考になるWWWページ
http://taiyo.way-nifty.com/infogovernance/必要な情報はどんどんこのブログに書き込んでいきます。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~taiyo/
担当者のホームページ。

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■ブログとは

従来のウェブは一方向リンク。ブログは双方向リンクを可能にしたところが重要。

blogってどうよ?」HotWired Japan

ブログの特徴
(1)ジャーナリズム性
(2)双方向リンク(トラックバック)

■バラバシの『新ネットワーク思考
※西口敏宏「やさしい経済学 『小世界』の新組織論」『日本経済新聞』(2004年7月26日〜8月4日)も参照。

インターネットは平等ではない。正規分布ではなくベキ法則(Power Law)に従っている。実は世界の多くはベキ法則で説明できるのではないか。

20040717frontier_mt

ハブが重要になる

なぜYahooはハブなのか

ネット時代のリーダーとは

コネクターとネットワーク・ガバナンス

■ミルグラムの六次の隔たり

周辺的なネットワークこそがしばしば決定的な役割←情報の共有の程度のわずかな差が重要「緩いネットワーク」

■公文俊平の『情報社会学序説

世界政治のサイクルは創発によって説明できる。

国際政治学がこれまで覇権安定論などで取り組んできた国際政治のサイクル論に一石を投じる。ウォーラスティンの世界システム論にどちらかというと近いか。

■創発

ローカルなエージェントの振る舞いがマクロな秩序を作り出す。

渋滞モデル

シュガー・モデル:人間はアリよりも賢いか?

■群れを作るインターネット

見えない世論ではなく、見える世論を形成するネットワーク技術

ネットワーク化された人々の「群れ」

マルチチュード(ネグリ/ハート)
スマート・モブズ(ラインゴールド)

非国家主体としての個人とその「群れ」の登場と創発(emergence)

スティーブン・ジョンソン『創発』:ローカルなエージェント同士の複雑な並列相互作用で、高次のパターンが生じる

James F. Moore, "The Second Superpower Rears its Beautiful Head"

「帝国」に対抗できる勢力はいないのか?

「人々の意思」の結集が、もうひとつのスーパーパワーだ(James F. Moore)
イラク戦争における独仏露首脳に妥協させなかった?
国際会議に結集するデモ隊←シアトルの反乱

Howard Rheingold, Smart Mobs:スマートな群集が登場してきている

伊藤穣一「創発民主制」(pdf)

土屋大洋「もうひとつのスーパーパワー

投稿者 taiyo : 2004年09月18日 18:12

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