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2004年09月18日
第5回 情報と国家
第5回 情報と国家:情報国家論の視点
情報はそもそも誰のものか?
情報をめぐるルールを決めるのは誰なのか?
情報技術の発達と普及によって情報のフローが拡大し、意思決定・合意形成システムが変わり始めている?
■情報に対する二つの考え方
(1)情報は隠しておいた方がいい
例)森本敏「北のミサイルが教えた日本の情報意識と組織の欠点」『世界週報』(1998年9月29日号)18-19ページ。
国家の情報機能は、その内容を公にすることによって、情報収集能力を暴露することになる。同盟国も警戒して教えてくれなくなる。その結果、国家の情報収集能力は著しく阻害される。従って、情報は本当は、知っていても知らせないのが最も望ましいのである。
(2)情報は明かした方がいい
例)司馬遼太郎『「昭和」という国家』(NHKブックス、1999年)。
もしそのときに勇気のあるジャーナリズムがあって、日露戦争の実態を語っていればと思います。満州における戦場では、砲弾もなくなりつつあった。これ以上続けば自滅するだろう。そういうきわどい戦争だったのだと言うことが正直に書かれ、日本という国はその程度の国なんだという自己認識が明快に文章で提示されていたらと思いますね。国民は自分についての認識、相手についての認識がよく分かったろうと思うのです。(50-51ページ)
政府には政府自身の秘密があるものですが、イギリスの場合は三十年で文書を公開します。アメリカもそうします。そのように政府はある機関は手の内は見せないにしても、何年か経つと手の内を明かす。そういう国というものは、やはり国を誤らないですね。(62ページ)
日本のジャーナリズムも明治期や大正期には元気のいい時代もありましたが、自国を解剖することに関してはどうでしたでしょうか。自国の政府を解剖したり、ジャーナリズムがジャーナリズム自身までを解剖する勇気があったかどうか。(223ページ)
インターネットは国家と情報の関係をどう変えていくのか。
■情報から見る三つの国家のタイプ
■独占型情報国家
独裁者や政府高官など一部の人々にしか情報が共有されないタイプ。独裁体制、権威主義体制をとる国々に見られる。独占型情報国家では政府による情報収集は行われるものの、それが国民に対しフィードバックされることはなく、時に情報操作という形で誤ったフィードバックが行われる。また情報収集機能自体に問題がある場合もあり、政府すら正確な情報を把握できないこともある。意思決定・合意形成には一部のエリートだけが参画し、国民の大多数は関わることができない。対外的にも内部の情報を発信することは少なく、逆に外部のメディアによる情報収集に制限を設ける。
■ガバメント型情報国家
多くの民主主義国家が含まれ、最も一般的なタイプ。ガバメント型情報国家の多くは民主主義体制をとるために、選挙や情報メディアの報道を通じて国民と政府の間で情報のフィードバックが行われており、また一定の条件を満たさない情報については国民に公開されることが制度的・慣習的に求められる。政府が情報メディアを有することもあるが、民間の情報・報道メディアが発達しており、言論の多様性が保障されている。対外的にも情報操作は行われず、国際的な情報のフローは制限されない。
■ガバナンス型情報国家
特殊な民主主義体制。意思決定・合意形成のための情報が広く流通しているため、多様なアクターが意思決定・合意形成に参加する。そこでの合意形成は必ずしも制度や手続きとして保障された形式にだけ従うものではない。つまり、政府内部での決定・合意が全てではなく、なるべく政府が関与しない形での自律的な決定・合意が奨励される。対外的にも対内的にも情報の自由な流通が行われ、情報の共有が積極的な価値として認められる。
■プラットフォーム化する国家
世界経済と国民経済をつなぐ防波堤?
国内外の諸勢力が形成する諸関係の重要な結節点
プラットフォームとしての新宿駅
OSI :Open System Interconnection(開放型システム間相互接続)
第7層 アプリケーション層 具体的なアプリケーションに対応したプログラム。
第6層 プレゼンテーション層 データの圧縮や暗号化などネットワークに適した形にする。
第5層 セッション層 下位層との間に信頼できるリンクを提供する。
第4層 トランスポート層 データの転送を保証し、信頼性を提供する。
第3層 ネットワーク層 データを送る相手を決め、最適なルートで送る。
第2層 データリンク層 パケットを電気信号に分解、再構成して2点間で伝送する。
第1層 物理層 1点間を物理的に結ぶ方法を規定する。
あくまでも概念的なもの。
第8層 ビジネス・モデル層
第9層 政治闘争層
を足す場合もある(?)
■ローレンス・レッシグのコード論
コンテンツ層
コード層
物理層
投稿者 taiyo : 2004年09月18日 18:19
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