滋賀の旅:国友
今回の旅でもう一カ所行きたかったのが国友だ。戦国時代に鉄砲を作ったところである。技術と国際政治を研究している者としては避けられない。
国友は長浜のすぐそばだが、やたらと静かなところだ。なぜか司馬遼太郎の碑がいくつもある。『街道をゆく24 近江散歩・奈良散歩』で紹介されたらしく、そこからの引用がいくつも碑になっているのだ。そのうちの一つにあるように、とても静かだ。しかし、決して貧しいわけではない。人影が無く、物音がしないのだが、家々はとても大きく立派で、よく手入れがされている。昔ながらの豊かさをうまく受け継いでいるのだろうか。もちろん、今は鉄砲は作っておらず、火薬を応用した花火や、鉄砲の装飾を応用した金細工などが行われているらしい。しかし、工場や作業場らしきものは見あたらなかった。
ここには国友鉄砲の里資料館というのがある。それほど大きなものではなく、受付のおじさんがいるだけで、他に見物人もいなかったが、なかなか楽しい。最初に真っ暗な部屋でスライドショーを見せてくれる。後ろでスライドががしゃがしゃと入れ替わるおもしろいシステムなのだが、映画のように鉄砲と国友の歴史を見せてくれる。
二階の展示室にはずらりと鉄砲が並んでいる。火縄銃を見るのも初めてだ。けっこう長い。
実物を持ってみることもできる。ずしりと思い。これを持ち歩くのは大変だろう。弾込めにもそれなりに時間がかかりそうなので、信長がやったように、何列かに分けて順番に使わないとあっという間に相手の馬が迫ってきてしまうに違いない。弾が撃てる状態になっていないと、この重さでは足手まといになったのではないだろうか。
このお店も司馬遼太郎の本に出てくるらしい。天文十三年というのは、種子島に鉄砲が伝わった翌年だという。このお店の中に国友鉄砲鍛冶資料館というのがあって、司馬はそこにも入ったようだ。しかし、今は見られないそうなので、外からだけ。
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