喜撰法師

わが庵は都のたつみしかぞすむ
   世をうぢ山と人はいふなり


 詠み人の喜撰法師は、六歌仙の一人として知られる。六歌仙とは、古今和歌集の 仮名序に登場し、撰者である紀貫之から評される六人の歌人のことである。それ ではこの六人の評をみてみよう。
 僧正遍昭…うたのさまはえたれども、まことすくなし
 在原業平…そのこころあまりて、ことばたらず
 文屋康秀…ことばはたくみにて、そのさま身におはず
 喜撰法師…ことばかすかにして、はじめをはり、たしかならず
 小野小町…あはれなるようにてつよからず、いはばよきをうな
      のなやめる所あるににたり。つよからぬはをうなの
      うたなればなるべし。
 大伴黒主…そのさまいやし
 最後の「そのさまいやし」と評されている大伴黒主以外の5人は、百人一首に撰 ばれているが、歌人としての批評はどうであれ、六歌仙は六歌仙である。

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