『渋沢雅英オーラルヒストリー』刊行
『渋沢雅英オーラルヒストリー』(渋沢栄一記念財団・渋沢史料館、2012年)
2009年に5回にわたって行ったオーラルヒストリーが刊行されました。話し手の渋沢雅英さんは渋沢栄一の嫡孫で、渋沢栄一記念財団の理事長を務められています。雅英さんご自身の経歴についてはすでに政策研究大学院によるオーラルヒストリーがライフストーリーのスタイルで行われていますが、今回はそれとは全く異なる視角からお話を伺いました。
それは焦点を「家」に当てたこと。対象はもちろん渋沢家です。渋沢史料館の全面的なバックアップのもと、渋沢同族会の会議録を材料に、「渋沢家」の像を紡いでいきました。家法、家訓、家政などがキーワードになるでしょうか。
会場がかつての渋沢家にほど近い慶應義塾旧図書館であったのも、語りに深みを与えたように思います。聴き手も、経営史・渋沢研究(島田昌和先生)、法制史(出口雄一先生)、女性史(西澤直子先生)、史料学(都倉武之先生)、政治史(清水)と、『穂積重行オーラルヒストリー』を発展させた多様なメンバーで臨むことができました。会場をご提供いただいた西澤先生、都倉先生をはじめ、関係されたみなさんに御礼申し上げます。
2007年に実施、冊子された『穂積重行オーラルヒストリー』を軸に、「穂積歌子日記」の未公刊部分の解読も進んでいるようです。こちらも進捗が楽しみです。