新薬開発には、メーカーとテストを請け負う医師・病院との癒着が起きやすい。
データを加減するということはあってはならないことだが、現実にはないとい
えないのである。これは日本社会の特有のものかもしれないが、薬と言うのは
人間に投与するものである。そこに、もっと緊張感があるべきなのではないだ
ろうか。
たとえば、厚生省へのメーカーからの申請を見てみると常連といわれる教授は、
いくつもの会社の新薬にタッチしている。こんなにテストをしていたら、教授
としての研究はやれるのかなと思われる常連の先生もいるのである。しっかり
と自分の研究をしておられるものだと信じたいが、世間的に見れば、テスト費
用稼ぎと思われるのも仕方がないように思われる。
このメーカーからの研究費に最近は国務庁が課税する姿勢を示している。こ
れはいい傾向だと思う。このメーカーからの謝礼の額の大小が教授の格を保つ
研究費だと思われている間は、日本も後進国である。けじめはしっかりとつけ
るべきである。
考えるに、教授のような社会的に格式の高い人は、自分が心底から、この薬
こそ人類に貢献できるものだと確信を持ったもの以外はテストを辞退するとい
うのもひとつである。なんでもかんでも引き受ける教授からだされたデータは
薬事審議会で審査を拒否するあるいは検討してもよいのではないだろうか。
第1相までの臨床テストをして、しかるべきデータを得ることが出来れば、
承認申請をだす。この第2相から第3相までの臨床テストは3〜5年かかる。
ここまでの期間を合計すると、8〜13年という長さである。承認申請がでて
から認可になるまで、さらに2〜3年の審査期間がかかるので、最初からいえ
ば10〜16年もかかる。薬によって差異は有るが、一般に、この間の投下資
本は約百億円と言われている。