このようなことをふまえた上で、実際に導入することについてだが、より救済を確実にするには、ある一つの制度において、情報紛争処理に必要なすべての性質を同時に兼ね備えることは、ほぼ不可能に近いだろう。そこで、上に上げた、救済機関の条件を満たすようにするためには、二つ以上の制度を設けざるを得なくなるだろう。実際に、フランスでは、情報紛争処理制度として、第一段階に行政文書アクセス委員会を、第二段階に行政裁判所という二つの制度を設けている。日本で導入するにあたっても、このような方式をとるということを考えた。 まず、一番救済制度の条件に合ったものである、オンブズマン制度をその一段階目におく。このオンブズマンは、働きをより強くするために、内閣から任名され、独立した機関とする。いわば、情報公開専門のオンブズマンといった位置づけである。そして、要求が第一段階によって、拒否された場合、さらにインカメラ制度を導入して、裁判所に訴えることができるようにする。このことによって、より救済の機械を増やすと共に、その判断基準を明確にすることもできるようになる。このような制度をとることによって、確実な救済が可能となるのである。