簡易・迅速性と費用については、行政上の救済のほうが裁判所による救済よりもより適しているといえる。しかしながら、公平性については、行政は自己審査制であるが、裁判所は第三者であることを考えると、司法による救済のほうが、適しているといえる。また、行政上の救済のメリットを挙げると次のようなものが挙げられる。
このようなものである。前述の三つの条件を満たしているものに、オンブズマン制度が挙げられる。オンブズマン制度とは、国民の権利や利益を保証するため、その苦情を国民に代わって、行政に訴える人である。そして、この制度はスウェーデン、オーストラリア、カナダなどの外国でも取り入れられている制度である。また、地方自治体においては埼玉県で取り入れられている。しかし、現在埼玉で行われてるオンブズマン制度は、あくまでオンブズマンが請求者の申し立てに基づき実施機関に対して行う是正の勧告であり、法的拘束力のない、弱いものであるというのも事実である。そして、それが日本におけるオンブズマン制度なのである。それに対して、外国ではどのように行われているのだろうか。カナダなどでは、政府に対する命令権はもたないものの、強制調査を含む調査を行うことができると言った形を取っており、かなり、権限を持ったものとして役立っている。そのほかの行政上の救済制度で行われているものには、情報公開審査会がある。これは、フランスや神奈川県で行われている。フランスでは、行政文書アクセス委員会というもので、働きとしては、オンブズマンによくにているもである。勧告や、助言、提案を行う機関である。違いは独立した行政委員会であるということである。神奈川で行われているものも、同じような働きをもっているものである。今まで挙げた、
オンブズマン制度についての問題は、その働きが「勧告」でしかなく、権力の弱い機関であるため、参考程度にしかならないと言うことである。そして、情報公開審査会もやはり強制力のないものであるということが問題である。このようなことをふまえた上で、費用と時間のかかる司法的救済に常に依存するわけにはいかないので、行政上の救済を改善して導入する必要があるといえるだろう。
つまりオンブズマンにはある程度権力を持ったものにして、勧告以上のものができるようにすることが必要である。これを解決するために、内閣から任命された、独立した機関とすることが考えられる。このような条件を付けることで、情報公開審議会とオンブズマン制度をあわせたような機関とするのである。内閣直属の独立機関にするのである。そして、第三者性を失わせないために、その人的構成は、多様化すべきである。現在存在する、審議会では、かなり偏った、構成となっているので、このような点をオンブズマン制度のよいところと組み合わせていくべきであると考える。