ここでついに日本におけるガソリンスタンドのセルフサービス化にまつわる問 題点を考えてみたいと思う。なんといってもセルフサービス化に伴い一番懸念 される点は「安全性」である。当然素人のお客が自分自身でガソリンをいれる わけだから、いつ火災・爆発事故がおこってもおかしくはないのである。そこ で日本では「消防法」という法令でその活動が一部制限されている。例えばガ ソリンスタンドに不特定多数の人間が出入りすると危険時に適切な誘導ができ ないという理由で業務範囲が制限されている。またセルフサービスかの危険性 を懸念し、「広い敷地を必要とし、安全面への配慮も必要なため、導入サービ スステーションの規模や立地についての配慮を要求している。これに伴い政府 自治省は地域の安全性を含めた保安基準を設定するとともに、日本のガソリン スタンドのセルフサービス化に対し「日本のガソリンスタンドは、市街地や住 宅地にあることが多く、安全面で欧米と同じようには論じられない。」という 見解を示している。
第2にセルフサービス化に踏み切るということはガソリンスタンドそのものと しての収入が減るということだ。特に前にも紹介した「油外商品」に関係する 収入がまさにそれである。これを経営者である業者の側から言わせれば、「ス タンドの半分は洗車・タイヤ販売など石油製品以外であり、無人にしてもガソ リンの価格の引き下げにはつながらない」というのが本当のところである。行 政・業界が一番心配しているのは無人スタンド(セルフサービススタンド)を 導入すると、石油製品の価格については規制が少ないため、価格競争が激しく なり、市況が混乱するということであるのだ。
第3に雇用の問題を挙げることができる。セルフガソリンスタンドが増えれば 当然人員削減という行為がとられるわけで、全国で40万人いるガソリンスタ ンド従業員の雇用対策が必要とされる。この不況のさなかに次の仕事を見つけ ようとしてもそれは相当困難をきわめるはずである。