自然言語処理
人間が日常使う言葉(自然言語)をコンピュータで扱うためには、言語知識や常識的知識が必要となる。特に常識的知識は意味を理解するために重要であるが、その知識を収集し、拡張することが難しい。石崎研究室では、認知実験に基づいて言葉の連想情報を大規模に収集した連想概念辞書を構築し、その情報を用いた意味理解に関する研究を中心に行っている。
- 連想概念辞書を用いた多義性解消、文書要約
- 複合語の意味解析
- 単語間の意味関係の自動獲得
- 特許文の検索、オントロジの構築支援
ニューロインフォマティクス
ニューロインフォマティクスは,人の機能に基づいた柔軟な情報処理を実現するため,脳の機能を,その機能を脳と同じ方法で実現できる程度に深く本質的に理解することを目指す研究分野である.
脳は現在のコンピュータのように与えられた構造を基に出来上がったシステムではなく,神経細胞という制約条件の下,環境との相互作用を通して発達したシステムであると考えられる.このような機能を持つシステムを理解するためには,生理実験でのボトムアップ的に導かれる構造表現の解析に加え,トップダウン的観測から内部の情報表現をモデル化し,それらを結び付けることが重要となる.そこで本研究チームでは,脳・神経細胞の情報表現のモデル化,また脳の情報処理機構を有するシステムの開発を行う.
- 神経細胞のアップ・ダウン状態の発火メカニズムのモデル化
- 神経細胞の電気緊張距離に基づく学習メカニズムのモデル化
- 視覚情報処理の結び付け問題の研究
- 視覚モダリティの再構成の研究
- 文脈に応じた概念体系の抽出・調整の研究
脳の知識獲得メカニズム
人間が日常使う言葉(自然言語)をコンピュータで扱うためには、
その背景に様々な知識が要求される。そのため、必要となる知識を全て
コンピュータに与えなくてはならないのだが、人手で様々な状況に
必要とされる全ての情報を教えることは不可能である。
そこで、コンピュータ自身が人間同様に知識を獲得することが必要とされる。
私たちの知識獲得を考えると日常的な経験から知識を獲得しており、日常的な
記憶(エピソード記憶)が重要である。そこで、このエピソード記憶に
重要とされる脳の海馬を対象とし、ニューラルネットワークを利用して
海馬のメカニズムの解明を目指している。
脳機能イメージング
近年、脳科学の技術が飛躍的に進歩し、特に光を利用した脳機能イメージングが注目を集めている。脳機能イメージングは、今や脳を扱う医学や生理学などの専門分野だけでなく、心理学・言語学・教育学・工学、さらには製品の脳への効能を検証したい産業分野でも扱うようになった新しい領域であると言える。通称NIRS-imagingと呼ばれる光脳機能イメージング装置は拘束性が少なく移動が可能で、人体に負荷をかけることなく実際のヒトの脳機能を非侵襲に計測できる点で、他のイメージング手法とは大きく異なる。 当研究室では、知覚・認知・言語・記憶・運動等の大脳皮質における酸素代謝機能に関する計測を行っているほか、脳科学をベースとした教育やリハビリなど臨床分野への応用や、モデル構築にも力を入れている。
- 語彙の意味理解に関わる脳内酸素代謝メカニズム
- 語彙の学習に伴う酸素代謝メカニズム
- キーボード入力と書字の脳機能
- バイリンガルの脳機能
- 第ニ言語習得としての英語習得など
ロボット
近年日本の少子高齢化は深刻化しており、介護者が不足するといった問題が浮上している。これらの問題を解決する一つの手段として、ロボットの導入が期待されており、掃除ロボットやコミュニケーションロボット等の開発が進んでいる。しかし産業用ロボットと違ってこれら家庭用ロボットは安全性を確保することが難しく、普及の大きな妨げとなっている。ロボットのデザインが人間に与える心理的影響を分析することで、安全性を確保する際に有用な新しい基準が構築できると考える。例えば、大きさ以外のデザインは全く同じで大きさのみが異なる複数のロボットを比較することで、ロボットの大きさの違いが人間にどのような心理的影響を与えるかを評価し、人間に恐怖感や圧迫感といったストレスを与えない大きさの基準を構築することができる。
|