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都市を編むための道具

City Compilerはハードな都市にソフトなアーキテクチャを編み込むための開発環境:道具である。

(現在の日本の)都市は計画するものではなくなり編集するものへと変わりつつある、という認識を持っておられる方々の書籍としては、
 大野 秀敏, JA 63, TOKYO2050 fiber city 縮小する東京のための都市戦略, 新建築社(2007)
 小林 重敬, 都市計画はどう変わるか, 学芸出版社(2008)
などがある。

計画する都市から、編集する都市へ。最適から冗長性へ。都市を設計すること自体を再定義するにあたり、設計の対象+設計のモデルとするもの+設計のプロセスも同時に変わっていく必要がある。それぞれの書籍で、これまでの都市計画の考え方との対比がなされている。

さらに設計する対象が、ソフト/ハードやリアル/デジタルと分け隔てられることなく、複数のスケールにまたがりながらひとつのシステムとして編集しようとすれば、設計のプロセスだけでなくその前段階であるリサーチの方法も変わることになるだろう。

房総の馬場さんの家でおこなったアイデアキャンプでは、房総のまちに対するアイデアを色々と出してみる、がお題だった。
http://www.ideacamp.jp/archives/559

ひとつの試みとして、ひねり出されたお題に対する答えは
・10cmのアイデア
・10mのアイデア
・10kmのアイデア
と、3つのスケールでアイデアを出して下さい、というようにしてみた。

なので、事前にお願いしていたリサーチでも、
・市役所が公表しているような客観的なデータ
・ビデオを使ったインタビューと定点観測の映像というヒューマンスケールな主観的なデータ
を、メンバーで共有した。

国や都市を意識して建築を設計した丹下研究室では、日本地図を土台にしてさまざまな専門家の情報共有を行っていた。メガスケールの建築と日本という国家への志向が強かった当時では、そこで意識されていた共有されていた情報のスケールも大きかった。

ソフト/ハード*リアル/デジタルでマルチスケールなメディアを都市の中に編み込んでいくには、その調査方法もさまざまなスケールにまたがっていくに違いないだろうし、小さなスケールの情報から大きなスケールの情報までを一緒に取り扱えるような方法が求められると思っている。