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パーソナルファブリケーションと一品種一生産

3DプリンタやCNCカッターなどの価格の低下と共に、パーソナルファブリケーションやデジタルファブリケーションの可能性が広まりつつある。

そうした流れをまとめたニール・ガーシェンフェルドによる著書「Fab: The Coming Revolution on Your Desktop--from Personal Computers to Personal Fabrication」の邦訳「ものづくり革命」の前書きでは、月尾先生が文章を寄せている。

というのも、1992年に名古屋大学から東京大学に移ってきた月尾先生はずっと建築学科の人だったのに機械工学科に入ることになり、機械工学科でやる研究として「一品種一生産」と「感性情報処理」をテーマにしたのだが、この一品種一生産の概念はパーソナルファブリケーションとほぼ同じだからだ。

その内容は、
 月尾嘉男 贅沢の創造―21世紀・技術は芸術を目指す PHP研究所
に詳しい。
 内容(「BOOK」データベースより)
「最先端技術が支える「一品種一生産」時代の到来を大胆に予測し、
 停滞状況にある日本企業に新たな突破口を示す。」

その頃は、森精機のセーター編み機や、セーレンのデジタル染色システム(VISCOTEC'S ビスコテックスシステム)が、一品種一生産を可能にする技術として紹介されていた。しかしこの時代には、こうした機械があるのは工場の中だけであった。
プリンタがどこの家庭にも普及はしたけれど、すべての人がグラフィックデザインの知識やセンスがある訳ではないので、万人がデザイナーになる訳でもないが、そうした溝を埋めるための研究が感性情報処理でもあった。自分が服のデザインを対象にした対話型進化システムの研究をして、デザイナのセンスを対話型進化システムの中に埋め込もうとしたのも、そうした目的のためだった。

「一品種一生産」で検索するといくつかの対談などがヒットした。
「変革する21世紀社会への展望」
感性メディア技術の現状と今後の課題
フロンティア・オブ・コミュニケーション 新しい想像力のインターフェイスへ

いま自分がメディアアートにたずさわっているのもこの感性メディアの流れなのだと思うと、もっときちんと巨人or集合知的な巨人の方に乗らないとイケナイのだ、そして新しい概念を提示しなければ、、、と日々思うことが増えている。