今後の研究を見定めるには
12月7日、UCバークレーのジョン・ザイスマン教授がRIETIで行われた講演を聴きに行った。ザイスマン教授はKさんを通じて連絡をとっていた先生であり、薬師寺先生の旧友でもある。講演会後の質疑応答では生意気にも最初に適当な質問をぶつけた。印象に残すための一種の戦術だ。講演終了後、名刺を交換して簡単に挨拶する。バークレー訪問のことはKさんにすべて任せるとのこと。一安心だ。
ところが翌日、Kさんから電子メールが来て、夕方、ザイスマン教授とお茶をしないかという話が来た。よく分からないが、もっと自己紹介をしろということだろう。自分の英語のホームページを印刷し、丸の内ホテルまで向かう。
1時間弱、自分がアメリカで何をやりたいのか説明する。インテリジェンスの研究をしたいと言ったのだが、なぜバークレーでやるのかと聞かれる。どうやら、インテリジェンスは筋の悪い研究で、あまり踏み込まない方が良いとのアドバイスだ。もしやるなら(政府で仕事をしている)薬師寺先生から推薦状をもらうとともに、何を研究したいのか明確にしてから来た方が良いという。インテリジェンスに関係しないことなら大歓迎だともいわれた。
そして、もう一つ。1年間アメリカで行う研究は、日本国内で食いつぶすためのもの(domestic consumption)なのか、あるいはグローバルに自分をイスタブリッシュするためなのか考えたほうが良いとのアドバイスをもらった。まさにその通りだ。この1年間で私の研究スタイルが決まると言っても良いし、この1年間で私の国際的な知名度も決まるだろう。アメリカで通用する研究成果を出さなくてはならない。そのためにインテリジェンスが良いのか検討しなくてはならない。
Kさんからも同様のアドバイスがあった。インテリジェンスというど真ん中に切り込んで行くと警戒されるので、むしろサイバーテロなどの研究の一環としてやったほうが良いのではないかという。それもそうかもしれない。私としては、このブログのタイトルにもなっている「帝国の磁力」をキーワードに、アメリカ文明論をやり、公文俊平の理論を展開させるようにしたいとも考えている。悩みどころである。
ザイスマン教授との会話は、自分の枠を考え直す良いきっかけになった。アメリカに行くまで、この点を考え続けなくてはいけないだろう。つまり、私は自分をアメリカでどう売り出すのかということだ。あるテーマについては土屋大洋が確実に浮かぶコンセプトが必要になる。これはMITメディアラボの石井裕教授が指摘していたことでもある。
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