TPRC
先週末、TPRC(通信政策研究会議)に参加するため、ワシントンDCへ行ってきた。SFCに移ってからTPRCの時期は必ず授業初回と重なるため、参加するのは2003年以来ではないかと思う。ずいぶん久しぶりになってしまった。主催者の一人に日程を変えてくれないかと頼んだことがあるが、ユダヤ人の休みの関係で日程が決まるので仕方ないとのことだった。来年からまた当分出られないだろう(ちなみに日本ではICPCというのがある)。
会場では昔なじみがけっこういて懐かしい。2月に経団連のシンポジウムに呼んだChris MarsdenやThomas Hazlettも来ている。日本からの参加者も今年は多いような気がする。大阪学院大の鬼木先生がパネル発表された他、国立情報学研究所の上田さんたちがポスター発表。GLOCOMの渡辺さんと庄司さんが来ていた他、常連の中大の直江先生もいらっしゃる。
次期政権への通信政策の提言をするというセッションに期待していたのだが、地味でつまらない。これまで議論されてきた枠組みを乗り越えずに何となく継続を促すような議論が多い。その次のNGNのセッションも、相変わらずNGN(あるいはNGA)が何かということが定まらないまま議論が進んでいる。ものすごい時代遅れの話をしている人もいる。コムキャストがやる気満々なのが印象的だったが、それでも次世代と言えるほどではない。1ギガのアクセス網なんて夢の世界という感じだ。日本から誰か分かっている人が話すべきだっただろう。最後にChris Marsdenが日本のことをちょろっと触れただけで終わった。
金曜日は、大統領選挙討論会が夜の9時からあったので夜は早めにホテルに戻る。オバマは支持者に囲まれて演説するときとは顔つきが違った。何となく焦りというか、いらつきのようなものも感じた。しかし、私はひどい寝不足のせいで後半は集中できなかった。残念。翌朝、セットもしてない目覚まし時計に起こされた。くやしい。
土曜日の朝のセッションで九州大学の実積寿也先生が日本のネットワーク中立性議論も含めて非対称規制について発表された。ブロードバンド普及が遅れている米国から見ると日本はどうしても特殊事例に見えてしまうが、それでも日本の現状を説明してくださったことは重要だ。
TPRCは完成された議論というよりも、荒削りの議論が出てくるところがおもしろい。首をかしげたくなるようなものから、なるほどと思うものまで幅がある。少し変わったなと思うのは、政策の直接的なネタになるようなものよりも、アカデミックな論考が増えてきた点。毎年ぶれがあるのかもしれない。
土曜日の昼休み、気分転換にクラレンドンまで歩くと、お祭りをやっていた。屋台がたくさん出ている。ジップカーが置いてあったり、オバマとマケインのブースもあったり、なかなか楽しい。子供たちのためのアトラクションには長い行列ができている。クラレンドンは7年前には何もなかったのに、今は世界各国のレストランと商店とマンションが並ぶ賑やかなところになって、街おこしに成功したんだなあと思う。
オバマ陣営の様子
マケイン陣営の様子
1時間半のフライトでワシントンDCまで来られるのは良いなあ。東京にも1時間半で帰れたら良いのに……、と思っていたら、またもやナショナル空港で足止めを食らった。ゲートを離れてから機内で1時間半。疲れたけど、離陸までパソコン使って良いというので仕事が進んだ。
滑走路の向こうにかすかに見えるワシントン記念塔
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