IBALOG - Concept Walk 日本語版

新しい社会の捉え方を探して。井庭 崇のblogです。

パターン・ランゲージの授業(1)

PatternLecture僕はいま、「パターンランゲージ」という授業を担当している。慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部(SFC)において、今年度から隔年開講されることになった科目である。今回のカリキュラムで新しくできた授業だ。

 この授業は、クリストファー・アレグザンダーが提唱した「パターン・ランゲージ」の考え方を学び、自らパターン・ランゲージを記述できるようになることを目的としている。パターン・ランゲージといっても、この授業では建築の構造を対象にしているわけではなく、この手法を他分野に応用することに主眼が置かれている。

 授業は、僕のレクチャーと演習、そしてグループワークで構成されており、履修者は約60人いる。この授業は、パターン・ランゲージについて教えるという点で非常に珍しい授業であるが、それだけでなくユニークな試みをいくつも行なっている。その試みについて、何回かに分けて紹介したいと思う。

 まずは、授業の全体像をつかんでもらうために、授業シラバスから、重要なところを抜粋しておく。



創造技法科目-デザインと情報スキル
「パターンランゲージ」

担当:井庭崇
単位:2単位
開講:火曜日3時限(週1コマ)

主題と目標/授業の手法
 この授業では、「創造性」(クリエイティビティ)の秘密に迫ります。ここでの基本的なスタンスは、創造性にはひらめきと感性が必要だが、同時に論理的な思考もまた不可欠だ、というものです。特に、継続的に創造性を発揮していくためには、感覚的側面と論理的側面の連携が重要となります。この授業では、創造性の感覚的側面については作家の方法論から学び、創造性の論理的側面については「パターンランゲージ」の思想・手法から学びます。
 この授業で注目する「パターンランゲージ」は、創造・実践のための言語というべきものです。かつて、建築家のクリストファー・アレグザンダーは、建物や街の形態に繰り返し現れる関係性をパターンとしてまとめました。そして、そのパターンランゲージを用いれば、住人たちが自分たちの住む建物の建設や街づくりに参加できるようになる、と考えました。その後、この考え方はソフトウェア開発の分野に応用され、成功を収めています。
 パターンランゲージを記述し、共有することの意義は、大きく分けて二つあります。一つは、熟練者の経験則を明文化しているので、初心者であってもよりよい方法で創造や実践ができるようになるということです。もう一つは、共通の語彙を提供することが出来るので、これまで直接指し示すことが出来なかった物事について言及できるようになるということです。組織においてもオープンなコミュニティにおいても、創造や実践のノウハウをどのように共有・継承していくのかということは、いまだ解決されていない重要な問題であり、そのための手法として「パターンランゲージ」は大きな可能性をもっているのです。
 この授業では、パターンランゲージの考え方を、創造的コラボレーションや社会デザイン、ものづくりなど、これまで適用されてこなかった分野に応用することを考えます。学期の後半には、実際に、グループワークによって新しいパターンランゲージの作成を試みます。そして、各グループが作成したパターンを持ち寄り、クラス全体でひとつの体系をつくりあげたいと思います。今年度のテーマは、「創造性を発揮する」ためのノウハウです。ひらめきという偶然的な出来事を誘発するための必然的なプロセスについて、一緒に考えていきましょう。

授業スケジュール
第1回:イントロダクション
第2回:パターンランゲージとその思想的背景
第3回:建築のパターンを探す
第4回:創造性について考える(1)
第5回:創造性について考える(2)
第6回:パターンランゲージの形式
第7回:パターンのブラッシュアップ
第8回:創造パターンのブラッシュアップ(1)
第9回:創造パターンのブラッシュアップ(2)
第10回:創造パターンのブラッシュアップ(3)
第11回:創造パターンカタログのレビュー
第12回:総括


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