井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

<< June 2022 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

2022年春学期 井庭研シラバス:「自然な深い創造」の探究・実践・支援

井庭研シラバス(2022年度春学期)

「自然な深い創造」の探究・実践・支援
- ナチュラルにクリエイティブに生きる未来へ


[ 創造の場づくり / 企業におけるWell-being / 市場創造マーケティング / 価値観・世界観が変わる大人の学び / 新しい開発援助 / 自然のなかの子育て / 高齢者ケア / クリエイティブ・ラーニング・コミュニティ実践 ]

井庭研究室では、日々「自然な深い創造」が生じる「ナチュラルにクリエイティブに生きる」社会へのシフトを目指して一緒に研究・実践に取り組む仲間を募集します。2022年度は、以下のプロジェクトが動く予定です(現時点のプランであり変更になる可能性があります)。本シラバスに書いてある井庭研で目指していることや大切にしていることをよく理解した上で、エントリーしてください。

(1) 創造を巻き起こすジェネレーターのパターン・ランゲージの作成研究
(2) 成果を生み出す企業におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
(3) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
(4) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究
(5) 価値観から変わる「創造的な学びの共同体」のナラティブ研究
(6) 自然のなかの子育てのパターン・ランゲージの作成研究(深化・仕上げフェーズ)
(7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケアの研修・ワークショップの実践研究
(8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティを実現する実践研究

IbaLab2021.jpg


■これからの創造社会

井庭研では、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことについて、実践的に探究しています。暮らしや人生、仕事、教育、社会などの様々な領域における「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの本質を捉え、パターン・ランゲージのかたちで表現し、それを用いて人々の実践支援をする研究に取り組んでいます。見据えている未来は、一人ひとりがもつ創造性を活かして暮らし生きていく「創造社会」(Creative Society)です。

僕は、ここ100年、消費社会から情報社会へと歩んできて、すでに始まっている次の時代は、創造社会だと考えています。消費社会においては、人々は家電や車など、物やサービスを購入し享受することが生活・人生の豊かさだとされていました。情報社会に入って、コミュニケーションに関心の重心がシフトし、よいコミュニケーションや関係性を持つことが生活・人生の豊かさを象徴するようになりました。創造社会では、人々が自分たちで自分たちの使う物や考え、方法、仕組み、社会、あり方・生き方をつくり、どのくらい自分たちで「つくる」ことに関わっているのかが生活・人生の豊かさになっていくと考えられます。

自分たちで自分たちの物事をつくっていくということは、可能性に満ちた素敵なことですが、単にそれは素敵なことだから重要になるのではなく、社会の切実な面もあります。多様性と自由がますます認められるようになった社会においては、人々のニーズや課題を画一的なアプローチでは満たせなくなってきます。あちこちで生じている多様な問題は、どこかからヒーローがやってきてすべて解決してくれる、というようなことは起こり得なくなってしまいました。それゆえ、それぞれの人がそれぞれの立ち位置において、問題を解決し、よりよい未来をつくっていくことが不可欠になっているのです。しかも、地球温暖化のような人類・地球規模の難題もあり、世界中の人たちがそれぞれに工夫し、知恵を出し合い、創造的に取り組んでいく必要があります。「創造社会」というとき、そのような時代背景とスコープで捉えています。

「創造社会」を生きるというとき、僕らは、テクノロジーにますますがんじがらめになり人工的な生を生きるのではなく、よりナチュラルで人間的に生きていくという方向性を目指しています。そして、そのための道具立てとして実践の言語パターン・ランゲージ」をつくり・活かし、人々が「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことを可能とし、社会を共通基盤として下支えする「ソフトな社会的インフラ」をつくっています。

CreativeSociety.jpg


■自然な深い創造

井庭研では、何かを「つくる」という「創造」(creation)について、深いレベルでその本質と、各実践領域における実現方法について研究しています。

現在国内外で創造性(クリエイティビティ)の重要性が言われ、こうすればより創造的に考えることができるというプロセスやテクニックが話題になっています。このような状況のなか、井庭研では、そのようなアプローチの重要性・必要性を認めながらも、もっと深いレベルでの創造 --- 「深い創造」(deep creation) --- にフォーカスしています。それは、人間が根源的に持っている力を活かした創造です。それは、ああする・こうするという「行為」というよりも、「創造」という「出来事」が自ずから生じるようなあり方で生起するということに、人間が関わるというような創造です(このことを専門的に言うと、「中動態」で表されるべき創造だということになります)。

それはまるで、植物を育てるときのように、人間は環境の重要な一部となり、それに関わる・参加するというようなものです。そのとき、創造に関わる人は、植物が育つための「土」のような役割をします。土があることで安定して成長することができるとともに、その土から得た栄養が成長を可能にします。このように、植物が育つように、つくっているものが「育つ」というのが、「自然な創造」(natural creation)です。そして、そういう創造が起きるとき、そこに関わる人たちの力んだ力は抜け、とても「自然(ナチュラル)」な状態になります。つくり手は、自分がつくっているものをコントロールしなければならないという意図や作為から解放され、いきいきとして、実感(フィーリング)を感じながら参加することになります。これは、とても人間的で生命的な状態とも言えます。この意味での「自然な創造」に注目しています。

DeepCreation.jpg


他方、自然環境の意味での「自然(ネイチャー)」の観点も大切にしています。上記のような「自然(ナチュラル)」な生成の状態は、人工的な環境よりも、自然環境に触れているようなときの方が発動されやすくなるためです。都市や人工物はすべて人の手による産物であり、その背後には、それをつくった人がいます。これに対し、自然環境は、まさに、人の手の範囲を超えて、「自然(ナチュラル)な」生成によって生まれ育ってきたものなのです。身近な「小さな自然」に触れたり、「大いなる自然」のなかに浸ったりすることで、人間はより「自然(ナチュラル)な」状態になりやすくなるのです。

このように、井庭研でいう「自然(ナチュラル、ネイチャー)」には、「内なる自然」(inner nature)と言える生成的な面と、「外なる自然」(outer nature)と言える自然環境という(本来は表裏一体の)両方の意味が含まれている。そのような意味での「自然な深い創造」(natural deep creation)であり、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(natural & creative living)なのです。

NaturalCreative.png




■「自然な深い創造」を実現する実践言語「パターン・ランゲージ」

意識的な意図や作為によるコントロールから解放され、「創造」という「出来事」が自ずから生じるようなあり方で実現される「自然な深い創造」は、そう簡単には起きません。なぜなら、人はすぐ「自分が考えないと、何も起きない」と思ってしまうからです。実践の言語である「パターン・ランゲージ」はその問題を解決します。

パターン・ランゲージは、その実践において押さえるべきポイントごとに「何をすることが大切か」とそれは「どうやるのか」が特定されているので、それに「身を委ねる」ことで、無心で自然とその実践をしていくことができるようになります。パターン・ランゲージを構成する「パターン」には、その実践で大切な「」が定められているとともに、それらの「型」の関係が体系として編まれているので、意識的に「こうしよう」「ああしよう」とコントロールしなくても、自然と勘所・ポイントを押さえた実践が可能になるのです。

しかも、パターンは、適度に抽象化されていて、具体的な行動指示とは異なるので、状況に合わせて実践の具体的なところをアレンジしたり、その人らしいやり方で行ったりすることができるという特徴があります。このように、実践領域ごとにパターン・ランゲージがあることで、それぞれの人の実践を支援することになります。

このような理由から、井庭研では、「自然な深い創造」に身を委ねて「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことを可能にするための有力な方法として、「パターン・ランゲージ」の作成・研究に徹底的に取り組んでいます。

パターン・ランゲージをつくるときには、すでによい質を生み出している人から、その実践において大切なことを聞き、その経験則(型)から、抽象化、体系化、言語化して、パターン・ランゲージをつくります。このパターン・ランゲージがあることで、うまく実践できていない人を助けたり、これから始める人の参考になったり、実践について語るための語彙・共通言語としてコミュニケーションの支援が可能となります。このように、パターン・ランゲージは、社会の多くの人々を支えるメディアになるのです。

PL.jpg

CreativeSelf.jpg


■パターン・ランゲージをつくるときの深い創造

実践に潜む「型」を捉えて、パターン・ランゲージとしてまとめるときには、その実践の本質を捉えて「抽象化」し、パターン間の関係性をつかんで「体系化」し、その本質と体系を踏まえて「言語化」します。具体事例をベースにパターンを捉え、その本質をつかむというときには、現象学における「本質観取」と同様のことを行っているということが、最近わかってきました。つまり、哲学と同様の深い思考・探究が必要だということです。また、パターン・ランゲージは、数十のパターンが相互に関係する体系(システム)をなしているのですが、その関係性を見定め、ひとつの体系として編み上げるときには、背後にある関係・構造を捉える構造主義的思考や、抽象的に捉えるシステム思考モデリングのセンスが求められます。そして、パターンを記述するときには、現象学の「本質記述」をするとともに、パターンの名前をつくるときには、本質を捉え、かつ魅力的な言葉になるようにつくり込んでいく必要があります。このように、パターン・ランゲージをつくるということは、高度な知性と豊かな感性を総動員してつくるということなのです。

PLCreationProcess.jpg


Feeling_Analysis.jpg


SeeingOfEssence.jpg


■パターン・ランゲージは歌の詞に似ている

パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論なのではなく、読み手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで推奨されていることを魅力的だと思い、実際にやってみようと思ってもらえるようなものになっている必要があります。物事の本質を捉えるとともに、心が動き、身体が動くような表現になっていることが求められるのです。僕は、これは、J-POPのようなポピュラー音楽の歌詞をつくることに似ていると思っています。

聴き手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで歌われていることを魅力的だと思い、自分の歌として口ずさんだり、カラオケで歌う、そういう歌の歌詞のようなものだと思うのです。実際、作詞を手掛けている人たちが、歌づくりで語っていることは、パターン・ランゲージの作成と共通すると感じることが多々あります。AメロやBメロでその状況における悩みや迷いが歌われ、それをどう捉えるかや乗り越えていくようなポジティブなメッセージがサビで提示されます。聴き手は、その歌を聴き、歌詞を受け取るなかで、元気をもらったり、勇気づけられたり、世界をポジティブに捉えることができるようになります。

パターン・ランゲージも、ある状況における問題から始まり、それを乗り越えていく方法が示されます。それは読み手の内側から「自分のことだ」「自分の近未来だ」と思うように書いていきます。読み手が実感をともなって、ありありとその内容をイメージできるようにつくるのです。歌とは異なり、音楽が持つ力を借りることはできません。しかしながら、うまくつくれば、読み手のペースで、自分のものとして内側からその人を温めるようなものになります。

実際、僕らがつくったパターン・ランゲージの読み手から、「元気をもらっています」「心の支えになっています」「お守りのような存在です」「これがあったから、なんとかやってこれました」という声をもらいます。そういう声を聴くたびに、それはまるで、心から共感する大好きな「歌」のようだな、と思うのです。僕は、歌のつくり手たちの言うことにとても共感するのですが、僕らは実践者の話からパターン・ランゲージをつくるので、特に、小説などの原作を歌にするYOASOBIのAyaseさんの言うことはとても近く、通じるものがあると感じています。

パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論なのではなく、それを受け取る人のなかで流れ、内側から温める「歌」のような存在なのです。

YOASOBI.jpeg


■「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの道を極める

井庭研では、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことについての研究をするなかで、自らがナチュラルにクリエイティブに生きる「」を極めていきます。単に研究テーマや対象とするのではなく、自分自身が実践しそれを生きるということを通じて深め、探究していくのです。そのような事情のため、おそらく多くの人がイメージしている「研究会(ゼミ)」とは大きく異なるスタイルで、井庭研に入るということを捉えてもらう必要があります。

まず、生活における「地」と「図」が逆転します。週の何時間かで井庭研の活動を行う、というようなものではないのです。365日24時間 ナチュラルにクリエイティブに生きる、ということになります。つまりは、「自分の様々な生活」(地)のなかに「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(図)があるのではなく、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(地)なかに「自分の様々な生活」(図)が重なる、というようなかたちになるのです。

したがって、井庭研に入るとは、「授業」を取るというようなものではなく、茶道や合気道などのような「〇〇道の師匠につく・道場に入る」というようなイメージに近いものになります。創造の道です。その世界(「ナチュラルにクリエイティブに生きる」)を常に実践し、深めながら、それを極めていくというようなことなのです。そのようなこともあり、井庭研では、大学院までを含む長期的なスパンでの成長を理想としています。

どの分野でもそうですが、「道を極める」ということは、2年や3年の短期間では為し得ず、何年もの徹底した修練の結果によって到るものなのです。そのため、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」についての見よう見まねの学部時代から、修士課程で実践の感覚をつかみ博士課程でそれを自在に行えるようになっていく、という成長の機会を設けています。その意味で、「〇〇道の師匠につく・道場に入る」というニュアンスがよく合うのです。

最終的には、独り立ちして、自らが「ナチュラルにクリエイティブに生きる」人生を送りながら、それぞれの分野で「ナチュラルにクリエイティブに生きる」人が増えるように先導していく存在になることを目指しています。

そのための場と機会は用意されていますが、ここは自己成長の場であることは忘れないでください。この場と機会を活かし、自分から挑戦し、工夫し、努力して、自分の経験を高めていくことが各自に求められます。そのような意味でも、道を極めるにあたり、精神的な成熟し、よりよい未来に向けて貢献していくことができる人になっていくことも、井庭研で学ぶことの意義になります。

NaturalCreativeLivingIbaLab.jpeg


■自分の「自然な深い創造」の力を磨くためには

「自然な深い創造」が自分を場にして起きるためには、自分という創造の「土壌」を豊かにしていく必要があります。その場の発想法のようなテクニックによってアイデアを出すのではなく、自分の深いところにある養分をどんどん吸って、つくるものは「育って」(つくられて)いくのです。そのため、土の状態が自然(ナチュラル)で、豊かであることが不可欠なのです。井庭研では、自分という創造の土壌を豊かにするために、次の3つのことを重視しています。

(1) 創造のための読書

井庭研では、創造に活かせるようにたくさんの本を徹底的に読み込みます。良質の本からは、その著者が考えた結果としての内容だけでなく、「独特の視点」や、「発想の型」、そして体系的な「概念装置」を学ぶことができます。そこで得られたものは、別の分野の別の文脈のことを考えるときにも、役立てることができます。これが自分を創造的にさせるのです。

第一の「独特の視点」は、その著者なりの(つまり、これまでの自分とは異なる)視点で物事を見ることです。いくつかの視点を持っていると、物事を常識的な角度からだけでなく、異なる角度から見ることができるようになります。第二の「発想の型」は、新しい考え方を生み出すときのやり方のことです。発想のしかたの型をいくつも持っていると、アイデアや新しい考えを生み出すときに用いることができます。第三の体系的な「概念装置」は、いくつかの概念が体系的に紐づいた理論を用いて、物事の複雑さを生け捕って捉えることができるようになるということです。これは、高度な把握や推論が可能となり、創造を高いレベルに引き上げます。

このように、たくさんの本を徹底的に読み込んでいくことで、自分という創造の土壌を豊かにし、創造力が飛躍的に上がっていきます。井庭研での経験を通じて、「本の読み方が変わった」「本を読むことが、とても面白いということであることに気づけた」という声があり、研究のためだけでなく、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」人生を豊かにしてくれるということがわかります。

SummerBooks.jpg



(2) 井庭研内の創造実践から学ぶ機会

井庭研では、日々、たくさんのプロジェクトが研究・活動を展開しています。そのため、創造実践の取り組みを現在進行形で目の当たりにし、また、ものすごい勢いで創造実践の事例や知恵が貯まっていきます。また、担当教員の井庭や先輩たちが、口頭でもテキストベースでも映像でも、最先端の思考やアイデアを次々と披露し、じゃぶじゃぶに共有しています。これらのリソースを「生きた教材」として活かし、創造実践について学び取りにいくことができます。創造に関する面白い情報が圧倒的な量、毎日飛び交っている場はまずないでしょう(2021年の1年間に、僕は約3万投稿、メンバーも数千から1万超えの投稿をしています)。

OtherProjectObservation.png



(3) プロジェクトでの自分たちの実践経験

井庭研では、1年間に1つのプロジェクトにどっぷり浸かり、複数人で研究に取り組みます。そこでは、それぞれの得意を持ち寄り、個人の限界を超えることができます。しかも、その小さなチームのなかで、学び合いや高め合いが起きます。各自が成長するための挑戦(チャレンジ)もこのプロジェクトでします。こうして、今の自分からアップグレードし続け、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」力を高めていくのです。

井庭研は、以上のような機会を活かして創造実践の経験を積み、自己成長し、創造の道を極めていくための場なのです。

project2021_o1.jpg project2021_r1.jpg
project2021_r2.jpg project2021_o2.jpg
project2021_o3.jpg project2021_r3.jpg


■「新しい学問」をつくりながら実践する

学問的に見たときに、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」や「自然な深い創造」、「創造社会」ということを考えるときに直球で答えてくれる学問分野は、現在ありません。そのため、既存の学問的枠組みや方法論を超えた「新しい学問」を構築しながら取り組むことが必要となります。井庭研では、新しい学問の土台をつくりながら、その上で具体的な研究を進め、そのことによってさらに土台が固まっていくというような、大胆で実験的なやり方で研究に取り組んでいます。その「新しい学問」を、僕は「創造実践学」「創造の哲学」「未来社会学」と名付けています。

創造実践学」(Studies on Creative Practice)は、私たちの暮らしや仕事、社会におけるさまざまな領域の実践を、より創造的なものにするためにはどうしたらよいかを研究する学問として構想されています。各領域の創造実践の本質を明らかにし、パターン・ランゲージとして表現して活用することが、その主力の研究方法となります。「創造の哲学」(Philosophy of Creation)は、創造とは何か、についての哲学的探究を行うものです。現象学の方法によって創造の本質を観取するとともに、プラグマティズムの哲学や東洋哲学などとの関係についても深めていきます。「未来社会学」(Future Sociology)は、ナチュラルでクリエイティブに生きる未来の社会のヴィジョンを描き、その内実を研究する未来志向の学問です。創造社会では社会の一つの機能システムとして「共創システム」というものが作動し、そこではパターン・ランゲージのメディアや、ジェネレーターという役割が重要になるというような、未来ヴィジョンの社会像を明らかにしていきます。

これらの三つの学問を構築するにあたり、僕たちはゼロからスタートするのではありません。これまでの人類のさまざまな知見・学問成果を踏まえながら、大胆に組み替え、読み替えながら、取り組んでいきます。哲学、社会学、人類学、認知科学、心理学、教育学、建築学、デザイン論、芸術論、美学、数学、文学、経営学、思想史などを必要に応じて縦横無尽に学び、取り入れていきます。その意味で、いろいろな学問領域を横断し、それらを超越して研究するという「超領域的」(トランス・ディシプリナリー:trans-disciplinary)な営みとなります。しかも、西洋の学問だけでなく、東洋哲学・思想とも積極的に関わり、西洋と東洋の知を融合させたこれからの学問をつくっていこうとしています。とてもSFCらしい、ユニークな学問のアプローチだと思います。

NewAcademicAreas.jpg


■Project - 2022年度春学期のプロジェクト

2022年度春学期は、以下の8のプロジェクトを予定しています。井庭研のメンバーは、どれかひとつのプロジェクトに参加し、研究に取り組みます。 各プロジェクトは、複数人で構成され、成果を生み出すためのチームとして、ともに助け合い、高め合い、学び合いながら、研究に取り組みます。

(1) 創造を巻き起こすジェネレーターのパターン・ランゲージの作成研究
(2) 成果を生み出す企業におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
(3) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
(4) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究
(5) 価値観から変わる「創造的な学びの共同体」のナラティブ研究
(6) 自然のなかの子育てのパターン・ランゲージの作成研究(深化・仕上げフェーズ)
(7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケアの研修・ワークショップの実践研究
(8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティを実現する実践研究



各プロジェクトの概要は、以下のとおりです。

(1) 創造を巻き起こすジェネレーターのパターン・ランゲージの作成研究
ジェネレーターは、ともにつくり、発見とコミュニケーションの生成・連鎖を誘発する存在です。これからの創造的な教育の場では、ティーチャーやファシリテーターという役割だけでなく、ジェネレーターが重要になります。しかし、ジェネレーターは、単なるスキルではなく、あり方であり生き方でもあります。そのため、他のジェネレーターがやっている振る舞いを単に真似るだけでは、ジェネレーターにはなれません。それでは、ジェネレーターにおいては何が大切なのでしょうか。本プロジェクトは、そのようなジェネレーターの秘密に迫ります。本プロジェクトは、一般社団法人みつかる+わかる の「We are Generators!」との共同研究です。

(2) 成果を生み出す企業におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
本プロジェクトでは、しっかりと成果を追求する企業組織において、Well-doingとともに、「幸福」な状態を指す「ウェルビーイング」(Well-being)をどうしたら高めることができるのかについて研究します。本プロジェクトは、企業との共同研究として行い、その企業を中心に、複数の企業の事例とインタビューから、パターン・ランゲージを作成し、広く、企業におけるWell-beingの向上を目指します。

(3) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
すでにある競争のなかで、いかにパイを取るかということではなく、新しい商品・サービスで新しい市場を生み出すときのマーケティングはいかに行えばよいのか。本研究では、広告業界での経験が豊かな共同研究者とともに、市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成を行います。

(4) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究
本プロジェクトでは、これまで井庭研でつくってきた、仕事、教育、暮らし、生き方などのさまざまな分野のパターン・ランゲージを、国内外の諸地域の人々のエンパワーに活かしていくことを試みます。例えば、フィリピンの若者の支援として、現地の関係者や支援者と協力し合いながら、これまで井庭研でつくってきたパターンのなかから重要なパターンのセットをつくり、現地語で提供し、活用するための伴走を行います(パターン・ランゲージ・リミックスと伴走型支援)。その実践のなかで、人々のケイパビリティ(潜在能力)を高める、新しい開発援助(発達・発展の支援)のかたちを構築していきます(本プロジェクトでは、海外だけでなく、日本の地方の高校生のエンパワーメントにも取り組んでいます)。

(5) 価値観から変わる「創造的な学びの共同体」のナラティブ研究
このプロジェクトでは、「価値観・世界観から変化してしまう学び」のプロセスと、それを可能にする「創造的な学びの共同体」の仕組みを研究します。具体的には、小阪裕司さんが主宰する商人たちの実践共同体ーーワクワク系マーケティング実践会ーーの会員たちへのインタビューを行い、そこで生まれる語り(ナラティブ)の分析に取り組みます。その際に注目するのは、個別のスキルを身に着けたり成果が出せるようになったりすること以上に、生活や仕事の思想・哲学までが変化してしまうような、新たな価値観を学ぶプロセスとそのための実践共同体のメカニズムです。プロジェクトの活動は、約50人の会員たち(その誰もが魅力的な実践をされている商人たち)との対話に取り組むことと、その語りの書き起こしと分析を載せたメディア(冊子を予定)を制作することを、同時平行で進めていきます。具体的な語りと抽象的な分析を縦横無尽に行き来することで、単に現存する共同体の研究にとどまらず、新たに立ち上がる「創造的な学びの共同体」にとって意義のある知見を得ることを目指します。本研究は、小阪裕司さんのオラクルひと・しくみ研究所との共同研究です。

(6) 自然のなかの子育てのパターン・ランゲージの作成研究(深化・仕上げフェーズ)
現代社会では、人間は自然との関わりの多くを失い、人工的な環境・制度のなかで育ち・暮らしています。その「人間関係」「人工的な環境・制度」のなかで息苦しさや窮屈さ、閉塞感を感じている人は多く、心身への悪影響も少なからずあるようです。そこで、本プロジェクトでは、自然に子どもが育つとともに親も育ちながら、身の回りの自然環境を支え、地球・宇宙を感じる暮らし方・生き方の実現のためのパターン・ランゲージの作成に取り組みます。2022年度は、2021年度に取り組んだ作成・研究で明らかになってきたことをさらに深め、いろいろな事例と結びつけながら、自然のなかの子育てのパターン・ランゲージを仕上げます。

(7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケアの研修・ワークショップの実践研究
高齢者ケアの分野では、現場での実践のなかで多くのことが学ばれていますが、そのような現場での学びにおいて、どのようによりよいケア・介護について意識・経験を豊かにしていくことができるでしょうか? 本研究プロジェクトでは、パターン・ランゲージを用いた対話や実践支援による新しいアプローチを開発し、実践導入していきます。具体的には、井庭研で作成し、2022年1月末に出版された『ともに生きることば:高齢者向けホームのケアと場づくりのヒント』等を活用し、実際に介護施設等で研修を実施していきます。支援する側/支援される側という区分を超えて、自分たちの「ともに生きる」スタイルを育てていくことを促すことを目指します。本研究は、社会福祉法人いきいき福祉会との共同研究です。

(8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティを実現する実践研究
このプロジェクトでは、クリエイティブ・ラーニング・コミュニティ(創造的な学びのコミュニティ)を、いろいろな仕組み・方法、パターン・ランゲージを用いて(必要に応じてつくって)実現する研究・活動に取り組みます。具体的には、井庭研をフィールドとし、「メンバーが自分たちで自分たちの創造的な場をつくる」ことや、「先端的な研究で創造的な活動を行い、そのなかで学んでいく」ということが実際に効果的に実現することを目指します。井庭研では、学部生でも、自分たちの生み出した研究成果を国際学術会議に論文を書いているのですが、その学術論文執筆に焦点を当て、アカデミック・ライティング・パターンを作成し、井庭研内での支援に活かしています。また、井庭研がクリエイティブ・ラーニング・コミュニティとしてまわっていくための組織バリューの編み上げ構築にも取り組んでいきます。


【履修条件】

  • 知的な好奇心と、創造への情熱を持っていること。
  • じっくり取り組む時間の調整・確保を自らでき、研究・活動・勉強に徹底的に取り組むことができること。
  • 「知的・創造的なコミュニティ」としての井庭研を、与えられたものとしてではなく、一緒につくっていく意志があること。


    【その他・留意事項】

  • 現1年生のエントリーを歓迎します。長く一緒に研究・活動して経験を積み重ねることで、理解が深まり力がつくので、その後、より活躍できるようになります。そのため、井庭研では早い時期からの履修・参加を推奨しています。(そのことから、3年生後半や4年生からは、大学院進学を前提としている場合を除き、原則として受け入れていません。)

  • GIGA生や海外経験のある人、留学生を歓迎しています。井庭研では、日本語での成果をつくるとともに、英語で論文を書いて国際学会で発表したり、海外の大学やカンファレンスでワークショップを実施したりしています。日本語以外の言語を扱えることは、活躍・貢献のチャンスが大きく高まります。ぜひ、力を貸してください。

  • エントリーを考えている人は、「井庭研に興味があるSFC生の連絡先登録(2021年12月〜2022年2月用)」に登録してください。最新情報があれば送ります。


    【授業スケジュール】

    井庭研では、どっぷりと浸かって日々一緒に活動に取り組むことが大切だと考えています。

    全員で集まる時間は、 水曜の3限から夜までのプロジェクト活動の時間と、木曜の4限から夜までの全体ミーティング(ゼミ)の時間です。その時間は、全員での《まとまった時間》としているので、この時間は、授業や他の予定を入れないようにしてください。

    それ以外の日も、365日いつでも、各自で本を読んで知識をつけたり、考えたり、プロジェクトの研究の個人作業を進めたり、必要に応じて集まって話し合ったりします。また、担当教員(井庭)や井庭研が登壇する講演・ワークショップや学会等には、原則としてすべて参加して学びます。さらに、コミュニケーション・プラットフォームとして用いているslack上で、毎日情報共有ややりとりが行われています。「井庭研の活動が増える」という感覚ではなく、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」生活にシフトするのだと捉えてください。


    【評価方法】

    研究・実践活動への貢献度、および研究室に関する諸活動から総合的に評価します。


    【エントリー課題】

    このシラバスをよく読んだ上で、2月28日(月)までに、[1] エントリーシート[2] 文献課題[3] パターン課題 の3つを提出してください。

    エントリー課題の提出先:https://forms.gle/XU4vcAwXn7tBC4dXA


    [1] エントリーシート

    タイトル:井庭研(2022春)履修エントリー

    1. 名前(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
    2. 自己紹介と日頃の興味・関心(イメージしやすいように、適宜、写真などを入れてください)
    3. 井庭研への志望理由
    4. この研究会シラバスを読んで、強く惹かれたところや共感・共鳴したところと、その理由・考えたこと
    5. 参加したいプロジェクト(複数ある場合は、第一希望など、明示してください)
    6. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
    7. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    8. これまでに履修した授業のなかでお気に入りのもの、所属した研究会など(複数可)
    9. 日々の生活のなかで取り組んでいるサークル、学内外での活動・仕事・アルバイトなど


    [2] 文献課題

    井庭研での創造・研究に関係がある以下の本のうち1冊(できるなら2冊)を読み、自分にとって面白いと感じたところについて、それがどこかということと、どのように面白いと感じたのかを書いてください(A4で1〜3ページ程度)。



    [3] パターン課題

    以下のパターン・ランゲージ本を読み、感じたことを書いてください。その上で、どれか一つのパターンの文章とラストをノートなどに手書きで書き写し、その内容・表現の質感を、つくり手の内側の立ち位置で感じてください。その写真を掲載し、さらに、パターンを書き写したときの気づきや感想も書いてください(この[3]の全部でA4で2〜3ページ程度:パターンの書き写し部分のみ手書きのものを写真に撮り、それ以外の部分はパソコンでテキスト入力で作成してください)。



    handcopy1.jpg handcopy2.jpg


    エントリーや井庭研でのことについて、何か質問があれば、ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp([at]を@に変えてください)まで、メールをください。

    3⽉7日(月)に面接@オンラインを行う予定です。詳細の日時については、エントリー〆切後に個別に連絡します。


    【教材・参考文献】

    井庭研でやっていること・目指していることを知るための本として、わかりやすいのは次の6冊です。最初の2冊は考え方について語っていて、次の3冊はパターン・ランゲージの実例です。そして、最後の1冊は、創造社会とはどういうことかが、自分たちの暮らし方を自分たちでつくるという事例で感じられるものです。



    Juku2012Summer_IbaLab.png
    慶應義塾の広報誌「塾」第311号(2021年夏号)「半学半教」
  • 井庭研だより | - | -

    2021年を振り返る:成果発表・活動等一覧

    2021年は、オンラインでの登壇や論文発表など、いろいろ取り組みました。来年は、今年書いた本がいくつか出版されたり、これから仕上げる本もあり、楽しみです。

    【招待発表論文】

    • 井庭 崇, 「村上春樹の深い創造:日常から逸脱した世界はいかにして生まれるのか」, 2021年第10回村上春樹国際シンポジウム「村上春樹文学における「逸脱」(deviation)」, 2021年6月
    • 井庭 崇, 「クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育」, AIとクリエイティブ・ラーニング研究会, 韓国日本語学会 第43・44回 国際学術発表大会, 2021年9月


    【Conference Papers】

    • Takashi Iba, Yuka Banno, Hinako Ando, "Principles of Pattern Illustration Design", in 26th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP’21), 2021.
    • Misaki Yamakage, Sora Hatori, Miku Minami, Mitsuki Saito, Takashi Iba, "Natural & Creative Living Patterns, Part 1: Patterns for Creative Living", in 26th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP’21), 2021.
    • Kiyoka Hayashi, Sawami Shibata, Erika Inoue, Sae Adachi, Takashi Iba, "Online Education Patterns, Part 1: Patterns for Linking Separate Worlds", in 26th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP’21), 2021.
    • Yuki Kawabe, Takashi Iba, Yuya Oka, Kotaro Chiba, "Start-up Patterns A Pattern Language for Developing Enterprise to Create the Future" in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Sae Adachi, Sawami Shibata, Erika Inoue, Kiyoka Hayashi, Takashi Iba, "Online Education Patterns, Part 2: Patterns for Creating a New Form of Learning" in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Yuki Kawabe, Takashi Iba, "Pattern Language Online, Qualitative-Data-Based Pattern Language Creation System", in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Sora Hatori, Takashi Iba, "Natural & Creative Living Patterns, Part 2 Patterns for Natural Living", in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba with Konomi Munakata, "What does it Mean by Grasping the Essence of Patterns?: A Philosophical Study on Pattern Language Creation with Phenomenology", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba with Sae Adachi, "The Principles of Deep Creation", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Yuya Oka, Haruka Kimura, Erika Inoue, "Extracting and Writing Key Elements in Pattern Mining", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Takako Kanai, "Systematization of Patterns: for Weaving a Pattern Language as a Whole", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Hinako Ando, "How to Make Patterns Powerful: Realizing Contrast in a Pattern of a Pattern Language", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, "How to Write Patterns: A Practical Guide for Creating a Pattern Language on Human Actions", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Hinako Ando, Yuya Oka, Yuki Kawabe, Akira Tsukakoshi, "Designing Online Course for Collaboration to Create a Pattern Language: The Case of a Pattern Language for Generators Nurturing Playful Community and Places", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
      ※いずれもPost Proceedingsとして来年パブリッシュされます。



    【講演】

    • 井庭 崇, 「深い創造の原理と実践:芸術とパターン・ランゲージ」, 創造のテーブル2021, 2021年1月
    • 井庭 崇, 「深い創造の原理、パターン・ランゲージ、感じること」, 日本女子大学 建築設計III 特別講義(篠原聡子先生), 2021年1月
    • 井庭 崇, 「未来をつくる言葉:パターン・ランゲージ / フューチャー・ランゲージ」, 全国青年印刷人協議会 第34回全国協議会, 2021年2月
    • 井庭 崇, 阿部 有里, 「深い創造の原理とパターン・ランゲージ」, ビジネスモデルオリンピア2021「イノベーションに宿ることば」, 2021年2月
    • 井庭 崇, 「人と自然が共繁栄していく創造社会:中空,混沌,無から立ち現れるもの」, Ecological Memes Forum 2021「あわいから生まれてくるもの 〜人と人ならざるものの交わり〜」
    • 井庭崇研究室, 「ナチュラルにクリエイティブに生きる社会へのシフト」, SFC Open Research Forum, 2021年3月
    • OPEN EXPERIMENTS #6「妄想から生まれるリアリティ」(井庭 崇・市原 えつこ・熊坂 賢次・斉藤 賢爾), SFC Open Research Forum, 2021年3月【映像アーカイブ
    • 井庭 崇, 「オンライン授業ならではのつくり方:新しい学びの場づくりのヒント」, 高知大学医学部「エキスパートに学ぶ会2021」特別講演, 2021年3月
    • 井庭 崇, 井庭崇研究室, 「最高のオンライン授業のつくり方」オンライン・セミナー」, 2021年3月
    • 井庭 崇, 「パターン・ランゲージとは何か(井庭崇レクチャー)」 2021年3月
    • 井庭 崇, 「創造のシャーマン:作家、詩人、作曲家の発言と、クリストファー・アレグザンダーの思想、および老荘思想についての井筒俊彦の読み解きを手がかりとして」, Ecological Memes 2021 AWAI gathering, 2021年4月
    • 井庭 崇, 「未来をつくる」, 神奈川県立多摩高校フレッシャーズキャンプ2021(生徒向け), 2021年4月
      実施レポート
    • 井庭 崇,「研究指導のデザイン(井庭研の場合):創造社会の学びと教育」, 神奈川県立多摩高校(教員向け), 2021年4月
    • 新井 宏征, 井庭 崇, 『実践 シナリオ・プランニング』出版記念対談【×創造】, 2021年6月
    • 井庭 崇, 「創造社会の実現にむけて 実践の叡智を創造し共有するパターン・ランゲージ:ナチュラルにクリエイティブに生きる創造社会の実現」, 価値創造イネーブルメント実践研究カンファレンス Vol.1, 2021年7月
    • 井庭 崇,「最高のオンライン授業のつくり方」, 第69回九州地区大学教育研究協議会, 2021年9月
    • 塚越 暁, 井庭 崇, 「原っぱ大学におけるパターンランゲージの生成とジェネレーターのあり方研究」, We are Generators わかるプログラム ジェネレーター研究講座, 一般社団法人みつかる+わかる, 2021年10月
    • 井庭 崇, 「「Life with Reading」「本の楽しみかたカード」活用ワークショップ:もっと子どもたちに読書の楽しさを伝えたい」, 図書館総合展, 2021年11月 【映像アーカイブ
    • 井庭 崇, 「未来の兆し:創造社会ヴィジョン」, 建築T社, 2021年11月
    • 井庭 崇, 「自然な深い創造:パターン・ランゲージの思想と方法」, 第3期 風越コラボ, 軽井沢風越学園, 2021年12月


    【インターネット・ラジオ等】

    • 土井 英司, 井庭 崇, 「創造性を高める秘訣を学者と考える。」, Clubhouse企画, 2021年4月
    • 井庭 崇, 「創造と自然のリズムの関係性」, Blue Moment Vol.13, 2021年6月 【音声アーカイブ


    【記事】

    • 井庭 崇, 新田 莉生, 「[大学インタビュー]どんな分野でも必要不可欠:思考力は研究のエンジンだ!」, 『GPS-Academic 思考力トレーニングBOOK2 活用編』, Benesse, 2021年4月
    • 「「最高のオンライン授業のつくり方」とは? 離れた世界をつなぐコツ【慶應義塾大学 井庭崇教授によるパターン・ランゲージ】」(「最高のオンライン授業のつくり方」オンライン・セミナー レポート【前編】), EdTechZine(エドテックジン), 2021年9月 【記事
    • 「新しい学びのかたちと学生の居場所をつくり、最高のオンライン授業を!【慶應義塾大学 井庭崇教授によるパターン・ランゲージ】」(「最高のオンライン授業のつくり方」オンライン・セミナー レポート【後編】), 2021年9月 【記事
    • 「注目の書 著者は語る『コロナの時代の暮らしのヒント』井庭 崇」, Real Partner, 2021年度9月号 【記事
    • 「創造と独創は別もの 親の「三大NGワード」とは?」, 日経xwoman, 2021年12月 【記事


    【授業対談】

    • 宇野 常寛, 井庭 崇, 「情報社会の次をつくる」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 竹田 青嗣, 井庭 崇, 「本質を捉える方法」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 市原 えつこ, 市川 力, 井庭 崇, 「妄想と創造」, 創造社会論2021, 2021年10
    • 松坂 愛友美, たいら 由以子, 井庭 崇, 「土をつくる」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 小林 泰紘, 山本 郁也, 井庭 崇, 「生態系的世界観」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 西 研, 井庭 崇, 「共通了解を目指す対話」, 創造社会論2021, 2021年11月
    イベント・出版の告知と報告 | - | -

    慶應義塾大学SFC「創造社会論」2021シラバス

    創造社会論2021
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭崇
    開講:2021年度秋学期(前半)
    曜日時限:金曜4・5限※
    ※ 学期後半には、同じ曜日時限に「ワークショップデザイン」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。
    実施形態:完全オンライン開講(Zoom)

    CreSoc2021.png


    【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

    これからの社会は、どのような社会になるでしょうか? 本講義では、これからの社会を、一人ひとりが本来もっている創造性を十全に発揮する「創造社会」(Creative Society)になるという想定から出発します。創造社会では、誰もがさまざまな分野・領域で「つくる」ことをごく当たり前に行うようになります。そして何よりも、「つくる」ということが、生活・人生の豊かさや幸せを象徴するようになっていきます。

    かつてインターネットの登場によって始まった「情報社会」では、生活が変わり、組織が変わり、社会が変わりました。同様に、「創造社会」の到来においても、生活・組織・社会のあり方が大きく変わることになるでしょう。そこで、その変化とはどのようなものなのか、そして、それらの変化は何をもたらすのかを考えることは、これからの未来に向かうための重要な準備となります。

    この授業では、自然との関わりを深めた「ナチュラルな創造社会」について考えたいと思います。「自然(ナチュラル)」というとき、一方では、自然(森林や海山など)などの「外なる自然」(outer nature)の意味があり、他方では、素の自分らしさと自由度をもっていきいきと生きるという「内なる自然」(inner nature)の意味があります。これらは本来は別ものではなく、相互に関係する表裏一体のものです。しかし、この二つの「自然(ナチュラル)」が分離し、しかもそれぞれが「人工的」(自然に成り立ったものではない人為的・外的)なものに浸食されてしまっていることが、現代の諸問題の根源にあるように思われます。これら二つの意味の「自然(ナチュラル)」---「外なる自然」と「内なる自然」---がうまく重なり合うようことが可能な未来はいかにして実現できるのでしょうか?

    そのような未来に向け、本講義では、自然や創造にまつわる実践・研究に取り組んでいる方々をゲストにお招きし、対話を重ね、「ナチュラルな創造社会」の未来像を描き深めていきます。それぞれの対談で知り学んだ考え方や取り組み方を、履修者一人ひとりがパターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちのこれからの実践につなげていくことができるようにすることが、最終的にこの授業で取り組むことです。

    2021年度秋学期の各回のテーマは、次の通りです。

    • 情報社会の次をつくる(Toward Post-Information Society)
    • 本質を捉える方法(Philosophical Method for Seeing Essences)
    • 妄想と創造(Fantasy and Creation)
    • 土をつくる(Nurturing Soil)
    • 生態系的世界観(Eco-systemic View of the World)
    • 共通了解を目指す対話(Dialogue for Creating Common Understanding)


    この授業では、単に受け身で話を聞くというのではなく、想像力をフルに発揮して未来像を思い描くとともに、重要な考え方や実践のコツを自らつかみ取りにいく姿勢で参加することが期待されています。

    授業と並行して文献を読む宿題を毎週出すので、授業初回までに早めに、書籍 『コロナの時代の暮らしのヒント』『対話のことば:オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』を入手しておいてください。

    なお、昨年の授業(対談映像)がYouTube上で公開されています。興味がある回があれば、見てみてください。

    担当教員・井庭崇から学生のみんなへ:時間が経てば「未来」はやってきます。でも、それは自分たちの望んでいる未来ではないかもしれません。いや、むしろ、何もしなければ、望む未来がやって来るなんてことはないでしょう。だから、僕たちは未来に向かって、理想・ヴィジョンと、それを実現する物事をつくり続けていかなければなりません。この授業は、よりよい未来に向けて自分にできることを精一杯(しかも創造的に、面白そうに)やっている大人たちがいることを、みんなにも知ってほしくて・感じてほしくて企画しました。「自分たちの未来を自分たちでつくる」という道へ、ようこそ!たくさん刺激を受けて、自分のエネルギーにしてもらえればと思います。


    【授業計画】

    第1・2回(10/1):「情報社会の次をつくる」(宇野 常寛 × 井庭 崇)
    評論家の宇野 常寛さんをゲストにお招きし、「情報社会の次をつくる」ことについて語り合います。

    宇野 常寛(Tsunehiro Uno)
    評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)、『若い読者のためのサブカルチャー論講義録』(朝日新聞出版)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。立教大学社会学部兼任講師も務める。▶︎HP


    第3・4回(10/8):「本質を捉える方法」(竹田 青嗣 × 井庭 崇)
    竹田 青嗣さん(哲学者 / 早稲田大学国際教養学部名誉教授)をゲストにお招きし、「本質を捉える方法」について語り合います。

    哲学者の竹田 青嗣さんをゲストにお招きし、「本質を捉える方法」について語り合います。

    竹田 青嗣(Seiji Takeda)
    1947年大阪生まれ。哲学者。早稲田大学政治経済学部卒業。明治学院大学国際学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て現在、早稲田大学名誉教授、大学院大学至善館教授。在日韓国人二世。在日作家論から出発。文芸評論、思想評論活動をへて、実存論的な人間論を中心として哲学活動を続ける。フッサール現象学を方法的基礎とする哲学原理論としての欲望論哲学を構築(現在『欲望論』第一巻・第二巻出版、第三巻執筆中)。著書に 『現象学入門』『哲学とは何か』(NHKブックス)、『欲望論』第1巻・第2巻(講談社)、『超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』』 『超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』』(講談社現代新書)、『人間的自由の条件』(講談社学術文庫)、『ニーチェ入門』(ちくま新書)、『言語的思考へ』(径書房)、『哲学は資本主義を変えられるか』(角川ソフィア文庫)など。▶︎HP


    第5・6回(10/15):「妄想と創造」(市原 えつこ × 市川 力 × 井庭 崇)
    メディアアーティストで妄想インベンターの市原 えつこさんと、歩き旅する探究人の市川 力さんをゲストにお招きし、「妄想と創造」について語り合います。

    市原 えつこ(Etsuko Ichihara)
    メディアアーティスト、1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と日本文化に対する独特のデザインから、国内外の新聞・テレビ・ラジオ・雑誌等、世界中の多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation採択。2018年にアルスエレクトロニカInteractive Art+部門でHonorary Mention(栄誉賞)を受賞、EU(ヨーロッパ連合)より科学、社会、芸術の優れた融合に贈られる「STARTS PRIZE」にも同時ノミネート。主な展覧会として、「デジタル・シャーマニズム – 日本の弔いと祝祭」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC])、「Cyber Arts Exhibition 2018 – Ars Electronica Festival」(OK Center for Centemporary Art)、「文化庁メディア芸術祭」(オペラシティアートギャラリー)、「第11回恵比寿映像祭」(東京都写真美術館)等。2016年にYahoo! JAPANを退社し独立、現在フリーランス。執筆活動も活発に行い日本経済新聞COMEMOキーオピニオンリーダーなどの媒体で連載中、講演多数。2025大阪・関西万博 「日本館基本構想」クリエイター。▶︎HP

    市川 力(Chikara Ichikawa)
    一般社団法人みつかる+わかる代表理事。慶応義塾大学SFC研究所上席所員。元東京コミュニティスクール校長。長年、小学生を対象に見えないなりゆきをしなやかに生きる探究力を育む学びを研究・実践。現在は、大人と子どもがともにたくらみ学ぶ場づくりを行う。歩き旅するまちのジェネレーター。NHK for Schoolメタモル探偵団、Eテレ高校講座『総合的な探究の時間』監修・出演。主な著書は『探究する力』『科学が教える、子育て成功への道(今井むつみとの共翻訳)』『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』(井庭崇編著)、分担執筆に『ポスト・コロナの学校を描く』(教育開発研究所)、『もし「未来」という教科があったなら』(学事出版)▶︎HP


    第7・8回(10/22):「土をつくる」(松坂 愛友美 × たいら 由以子 × 井庭 崇)
    ドイツで循環型でリジェネラティブなビジネスに取り組むコンセプチュアルアーティストの松坂 愛友美さんと、循環生活研究所でローカルフードサイクリング株式会社でコンポストの普及に取り組んでいる たいら 由以子さんをゲストにお招きし、「土をつくる」ことについて語り合います。

    松坂 愛友美(Ayumi Matsuzaka)
    DYCLE(ダイクル)代表、共同創業者。在ベルリン、ドイツ
    ドイツ、バウハウス大学ワイマール、造形芸術学部修士課程修了。コンセプチュアルアーティストとして、人と自然の関わり方に着目しヨーロッパやアジアをはじめ世界各国で精力的に制作活動を行う。より大きなインパクトを起こすために2015年に有限会社DYCLEをベルリンで設立。DYCLEは、Diaper(=オムツ)とCycle(=循環)を合わせた造語。堆肥化可能なオムツを通した循環型かつリジェネラティブビジネスの普及に取り組む。▶︎HP

    たいら 由以子(Yuiko Taira)
    ローカルフードサイクリング株式会社 代表取締役。福岡市生まれ。大学を卒業後、証券会社に勤務。大好きな父とのお別れをきっかけに、土の改善と暮らしをつなげるための、半径2kmでの資源循環を目指し活動開始。青年団の仲間と平成16年、NPO法人循環生活研究所を立ち上げ、子どもから高齢者、外国人までコンポストでつながる美味しい食の輪をつくるのが生きがい。生ごみ資源100研究会を主宰、循環生活研究所理事、コンポストトレーナー、NPO法人日本環境ボランティアネットワーク理事、アジア3R推進市民ネットワーク副代表、北九州大学マネジメント学科特任教授、JCVN理事など務め、国内外にコンポストを普及。行動を最良の学習手段とし、活動をスパイラルアップさせるが信条。▶︎HP


    第9・10回(10/29):「生態系的世界観」(小林 泰紘 × 山本 郁也 × 井庭 崇)
    エコシステミック・カタリストの小林 泰紘さんと、花人の山本 郁也さんをゲストにお招きし、「生態系的世界観」について語り合います。

    小林 泰紘(Yasuhiro Kobayashi)
    エコシステミックカタリスト。一般社団法人 EcologicalMemes 共同代表。株式会社BIOTOPE 共創パートナー。世界28ヶ国を旅した後、社会的事業を仕掛ける起業家支援を行う。その後は、個人の生きる感覚を起点とした事業創造支援に従事。幅広い業界での戦略づくりや事業開発を手がけたのち、独立。現在は、循環・再生型社会に向けた企業の未来ビジョンや事業づくりを伴奏するカタリスト・共創ファシリテーターとして活動。娘の誕生と育休を機に、一人ひとりが自己内多様性や自然環境とのつながりを取り戻し、生きる喜びを表現し続けていくための探究・実践の活動体 Ecological Memesを立ち上げる。座右の銘は行雲流水。趣味が高じて通訳案内士や漢方・薬膳の資格を持つ。イントラプレナー会議主宰。株式会社BIOTOPE 共創パートナー。一般社団法人 EcologicalMemes 代表理事。▶︎HP

    山本 郁也(Fumiya Yamamoto)
    池坊から花の道へ。その後、なげいれ、たてはなを学ぶ。 現在流派なし、無所属。 作品集に『風動いて開く花』『Post-Mortem Portraits』。 論考に「生殖器崇拝としてのいけ花」(『いけ花文化研究』第8号、2021年)など。▶︎HP


    第11・12回(11/5):「共通了解を目指す対話」(西 研 × 井庭 崇)
    哲学者の西研さんをゲストにお招きし、「共通了解を目指す対話」について語り合います。

    西 研(Ken Nishi) 
    1957年鹿児島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。京都精華大学助教授、和光大学教授を経て、東京医科大学教授(哲学教室)。教育出版小学校国語教科書『広がる言葉』編集委員。主な研究領域として、1.フッサール現象学を哲学対話と人間科学の方法として洗練すること、2.ルソー・ヘーゲルらの社会哲学を「自由な社会の理念」として現代的に再生すること(日独仏の地方自治の現場での調査も行っている)3.「支援のための哲学的人間論」を構築すること(ホームレス支援のNPOでの勉強会を行い、教育現場との交流も多い)。単著として、『哲学は対話する--プラトン、フッサールの〈共通了解〉をつくる方法』(筑摩選書)、『まなびのきほん しあわせの哲学』『読書の学校 プラトン「ソクラテスの弁明」』『100分de名著ブックス ニーチェ「ツァラトゥストラ」』『同ブックス ルソー「エミール」』(以上NHK出版)、『哲学の練習問題』『集中講義 これが哲学!』(以上河出文庫)ほか多数。共著として、竹田青嗣・西研『超解読! はじめてのヘーゲル「法の哲学」』(講談社現代新書)、竹田青嗣・西研編著『現象学とは何か--哲学と学問を刷新する』(河出書房新社)、小林隆児・西研編著『人間科学におけるエヴィデンスとは何か』(新曜社)、中村良夫・鳥越皓之編『風景とローカルガバナンス』(早稲田大学出版部)ほか。▶︎HP


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):200人程度を想定
    ※200人としていますが、希望者が多ければ、最大900人まで受け入れる可能性があります。

    選抜方法:課題提出による選抜

    「自己紹介 × 未来ヴィジョン」シート

    担当教員とゲスト登壇者に向けて、自己紹介+自分の未来ヴィジョンを、1ページで魅力的に表現してまとめて提出してください。

    自分のこれまでと今の興味・やっていること等を紹介するとともに、これからの自分の方向性ややりたいこと・夢・挑戦などのヴィジョンを魅力的に表現してください。必ずジャスト1ページに収め(多すぎず少なすぎず)、そのなかに「名前」と「ふりがな」を入れ、自分の人となりを表す「写真」も含めるようにしてください(写真はアップでも遠景でも構いませんし、紙面が許すならば複数入れても構いません)。

    この「自己紹介 × 未来ヴィジョン」シートでは、文字だらけのいわゆる志望理由書やレポートのようなものを求めていません。紙面を文章で埋めるのではなく、パッと見て・読んで理解できるように、短めの文を配置したりして、わかりやすさを心がけてください。ビジュアル要素も入れて魅力的に表現してほしいと思います。また、アップできるファイル容量には制限があるということと、〆切直前はシステムが重くなるので、それらの点にも注意して早めの準備・提出をしてください。

    担当教員とゲスト登壇者が見て「履修者にはこういう人がいるんだ!」と魅力的に感じられるような1枚にしてほしいと思います(実際にゲスト登壇者に事前にファイルを共有します)。

    提出の際には、必ずPDFファイルで提出してください。

    今年は教室の制約もないことから、基本的にはより多くの人を受け入れたいと思っていますが、上記の内容や形式の要件を満たしていない人(内容が薄すぎる、文章ばかりのものになっている、分量的に少なすぎるか多すぎる、PDFではないファイル形式での提出など)は、授業中・課題等でも同様の可能性があるため、定員人数にかかわらず履修不許可とするので、注意してください。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績評価は、出席と授業中の議論への参加とふりかえり宿題(40%)、文献宿題(25%)、期末レポート(35%)にもとづき総合的に評価します。


    【履修上の注意】

  • 毎週、授業の直後3時間の間に、出席確認の提出物を出してもらいます。
  • 毎週、授業から自分が学んだことをまとめる宿題とともに、文献(教科書)を読んでまとめを提出する文献読解宿題も出ます。
  • 本授業では、コミュニケーションツール「slack」を用いて、授業に関するアナウンスややりとり、「ふりかえり」などの提出を行います。こまめにアクセスして、参加するようにしてください。
  • 学期後半には、同じ曜日時限に「ワークショップデザイン」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。


    【教材・参考文献】

    教科書
    CreSocbooks.png

    参考文献

    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
      - 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019)
    • 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)
    • 『おもてなしデザイン・パターン:インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』(井庭 崇, 中川 敬文, 翔泳社, 2019年)
    • 『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』 (井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ, 丸善出版, 2015)
    • 『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』(井庭 崇, 秋田 喜代美 編著, 野澤 祥子, 天野 美和子, 宮田 まり子, 丸善出版, 2019)

    • 『遅いインターネット』(宇野 常寛, 幻冬舎, 2020)
    • 『哲学とは何か』(竹田 青嗣, NHK出版, 2020)
    • 『現象学入門』(竹田 青嗣, NHK出版, 1989)
    • 『現象学とは何か: 哲学と学問を刷新する』(竹田 青嗣, 西研 編著, 河出書房新社, 2020)
    • 『欲望論 第1巻:「意味」の原理論』(竹田 青嗣, 講談社, 2017)
    • 『欲望論 第2巻:「価値」の原理論』(竹田 青嗣, 講談社, 2017)
    • 『中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ』(竹田 青嗣, 筑摩書房, 2009)
    • 『はじめての哲学的思考』(苫野一徳, 筑摩書房, 2017)
    • 『哲学は対話する:プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉』(西研, 筑摩書房, 2019)
    • 『人間科学におけるエヴィデンスとは何か:現象学と実践をつなぐ』(小林隆児, 西研 編著, 新曜社, 2015)
    • 『しあわせの哲学』(西研, NHK出版, 2021)

    • 『時を超えた建設の道』 (クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
    • 『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
    • 『創造性とは何か』 (川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
    • 『「都市主義」の限界』(養老孟司, 中央公論新社, 2002)
    • 『虫眼とアニ眼』(養老 孟司, 宮崎 駿, 新潮文庫, 新潮社, 2008)
    • 『惑星の風景:中沢新一対談集』(中沢新一ほか, 青土社, 2014)
    • 『意味の深みへ:東洋哲学の水位』(井筒俊彦, 岩波文庫, 岩波書店, 2019)
    • 『東洋哲学の構造:エラノス会議講演集』(井筒俊彦, 慶應義塾大学出版会, 2019)
  • 授業関連 | - | -

    慶應義塾大学SFC「ワークショップデザイン」2021シラバス

    ワークショップデザイン2021
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭崇
    開講:2021年度秋学期(後半)
    曜日時限:金曜4・5限※
    ※ 学期前半には、同じ曜日時限に「創造社会論」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。
    実施形態:完全オンライン開講(Zoom)

    WorkshopDesignOnline.png

    【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

    「対話による学び」や「つくることによる学び」の場をどのようにつくればよいのでしょうか? 本講義では、その場のひとつのかたちとして「ワークショップ」(workshop)の可能性を考えます。

    現在、いろいろな種類のワークショップが開かれていますが、それらのワークショップの背後にはどのような設計意図や工夫があるのでしょうか? また、自分たちがワークショップをつくるときには、何をどのように考えればよいのでしょうか? そして、ワークショップのファシリテーションにおいては、何に気をつければよいのでしょうか?

    これらのことを考え・学ぶために、授業と並行して、ワークショップを考案・設計するグループワークを行います。授業の後半では、他の履修者を対象に、自分たちの考案・設計したワークショップを実施します。これにより、「ワークショップデザイン」の感覚・スキルを実践的に高めたいと思います。最終的には、履修者ひとりひとりがつかんだワークショップ・デザインの秘訣を、パターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちの実践につなげる準備を行うことにします。

    今年度は、完全オンライン開講のため、みんなでいろいろなツールを試しながら、オンラインでのワークショップ(広義の参加型オンライン授業やオンライン・イベント等)の可能性を探究します。

    考えを深めてもらうために、授業と並行して文献を読む宿題を出すので、授業初回までに早めに、書籍『プロジェクト・デザイン・パターン』『おもてなしデザイン・パターン』を入手しておいてください。


    【授業計画】

    第1回(12/3):イントロダクション
    授業の内容、進め方について理解します。

    第2回(12/3):ワークショップ体験#1
    オンラインでのワークショップを体験してみます。

    第3回(12/10):ワークショップ体験#2
    オンラインでのワークショップを体験してみます。

    第4回(12/10):「全体性のたまご」アプローチによるデザイン
    全体性を考慮しながら、部分をつくり込んでいく「全体性のたまご」アプローチによるデザインについて学びます。

    第5回 (12/17):ワークショップ実践 #1
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第6回 (12/17):振り返り・ディスカッション #1
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第7回 (12/24):ワークショップ実践 #2
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第8回 (12/24):振り返り・ディスカッション #2
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第9回 (1/14):ワークショップ実践 #3
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第10回 (1/14):振り返り・ディスカッション #3
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第11回 (1/21):ワークショップ実践 #4
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第12回 (1/21):振り返り・ディスカッション #4
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第13-15回:ワークショップ・デザインのパターン・ランゲージ作成 #1-3 (授業時間外)
    授業でつかんだワークショップ・デザインのコツを、パターン・ランゲージの形式で記述していき、最終レポートを作成します。


    【履修条件】
  • 授業外のグループワークと授業中の活動・議論にしっかり参加するつもりがあること。


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):約60人

    選抜方法:課題提出による選抜

    以下の(1)(2)を合わせてA4で1ページに収め、PDFファイルにして提出してください。

    最初に、名前、学籍番号、SFCのメールアドレスを明記

    (1)これまでに自分が「経験」した(受けた・参加した・行った)オンラインの授業やセミナー、ワークショップ、習い事、イベントなどで、よいと思ったやり方、仕組み、ツール、工夫があれば教えてください(誰がいつ行った何の場だったのか、授業名やセミナー/ワークショップ/イベントの情報や、使用したツール名なども、わかる範囲で書いてください)。

    (2)自分がオンラインで実施するとしたときの、ワークショップのやり方、仕組み、ツール、工夫についての「アイデア」を考えて書いてください。複数思いついたら、すべて書いてください。

    提出の際には、必ず1ページPDFファイルを提出してください。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績評価は、出席と授業中のワークショップや議論への参加(30%)、ふりかえりと文献の宿題(30%)、グループワークへの貢献と期末レポート(40%)から総合的に評価します。


    【履修上の注意】

  • 授業時間外にグループワークの活動をすることが求められます。
  • 毎週、授業の直後3時間の間に、出席確認の提出物を出してもらいます。
  • 毎週、授業から自分が学んだことをまとめる宿題とともに、文献(教科書)を読んでまとめを提出する文献読解宿題も出ます。
  • 本授業では、コミュニケーションツール「slack」を用いて、授業に関するアナウンスややりとり、「ふりかえり」などの提出を行います。こまめにアクセスして、参加するようにしてください。
  • 学期前半には、同じ曜日時限に「創造社会論」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。


    【教材・参考文献】

    教科書

    WDbooks.png

    参考文献

    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
    • 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019)
  • 授業関連 | - | -

    2021年秋学期 井庭研 各プロジェクトにまつわる文献リスト

    2021年度秋学期の井庭研「ナチュラルにクリエイティブに生きる未来をつくる:創造実践学、創造の哲学、未来社会学の構築と実践」各プロジェクトにまつわる文献リストは、以下の通りです(井庭研共通の重要文献については、シラバスの【教材・参考文献】と、「井庭研 重要文献リスト120冊(2021年7月バージョン)」をご覧ください)。


    (1) 「アドホックなプロジェクト型組織のつくりかた」のパターン・ランゲージの作成



    (2) 「コロナ禍におけるゲストハウスのレジリエントな適応のしかた」のパターン・ランゲージの作成



    (3) パターン・ランゲージによる新しい開発援助 & 地方の高校生のエンパワーメント



    (4) パターン・ランゲージを活用した「ともに生きる」高齢者ケアの実践支援の研修デザインと実施



    (5) 「自然のなかの子育て・暮らし」のパターン・ランゲージの作成



    (6) 「ワクワクする人生の育て方」のパターン・ランゲージの作成



    (7) 「道を極める」ことのパターン・ランゲージの作成とボードゲームの開発

  • 風姿花伝・三道 現代語訳付き』(世阿弥, 竹本 幹夫 注訳, 角川学芸出版, 2009)
  • 風姿花伝:創造とイノベーション』(世阿弥, 道添 進 編訳, 日本能率協会マネジメントセンター, 2019)
  • NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝』(土屋 惠一郎, NHK出版, 2015)
  • 能:650年続いた仕掛けとは』(安田 登, 新潮社, 2017)
  • 異界を旅する能:ワキという存在』(安田 登, 筑摩書房, 2011)
  • 道を極める:日本人の心の歴史』(魚住 孝至, 放送大学教育振興会, 2016)
  • 新訳 弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル, 角川学芸出版, 2015)
  • 世阿弥の稽古哲学』(西平 直, 増補新装版, 東京大学出版会, 2020)


    (8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティの実現を支えるパターン・ランゲージの作成と導入



    (9) 商いの実践コミュニティの研究



    (10) 組織の理念を具体的実践につなげるためのパターン・ランゲージの作成

  • 井庭研だより | - | -

    井庭研 重要文献リスト120冊(2021年7月バージョン)

    井庭研では、たくさん本を読みます。難しいものも読みます。重要なものは、何度も読み直し、読み込みます。

    本を読むのは、単にそこに書いてあることを知るということではありません。本を読むのは、考え方の型を知り、考える力をつけるためであり、それを自分の創造の道具・基盤とするためです。概念・知識は単体ではあまり役に立ってはくれませんが、他の概念・知識とつながって豊かなネットワークに育っていくと、ものを考える力、創造的に発想する力の源泉となります。

    reading1.png

    そのためには、ある程度の量を一気に読むことが重要となります。《量は質を生む》のです。ある程度の分量の本を短期間にどんどん読むことで、概念・知識のつながりがよく見え、また、化学反応のようなものが起きて、思考力と創造力が豊かになり強化され、自分の概念装置として使いこなせるようになっていきます。

    reading2.png

    reading3.png

    本を読むことに慣れないうちは、「坂道を登る」ような少しきつい感覚があるかもしれませんが、大丈夫。だんだん力がついて、読みこなせるようになっていきます(実際、そうなった人たちがたくさんいます)。しかも、坂を登って行き、高いレベルに上がると、視座が上がり視野が広がるので、麓(ふもと)にいるときには見ることも想像することもできなかったような素晴らしい景色を見ることができるようになります。それは、とても爽快で、喜びにあふれる感覚です。そうなれば、どんどん自分で読んでいけるようになり、本を読むごとに、これまでに読んだいろいろな話へのつながりをたくさん発見し、ますますワクワクを味えるようになります。こうして、自分の力を高め、人生が豊かになっていく。ぜひその感覚を味わってもらいたいと思います。

    さらに、自分たちの研究・思想に重要な文献を各自読んでいると、それが井庭研の他のメンバーとの共通認識を持つことになり、それを共通言語として話すことができるようになります。これは、創造的なコラボレーションに参加するための、とても重要な前提条件となります。

    とはいえ、何を読めばいいのか、自分で考えるのは難しいものです。そこで、最初の学期に何を読めばよいのか、重要文献をまとめました。このあたりを押さえておくと、先輩たちの話を理解したり、「井庭研らしい」思考・発想の勘所をつかむことができ、話し合いや創造に貢献することができる入口に立つことができます。各自、本を入手し、どんどん読み進めていってください。

    QuantityBringsQuality.png



    【最初の半年で読んでおくべき本】15冊

    ■井庭研でやっていることの考えの基本を理解する


    ■クリストファー・アレグザンダーの思想と取り組みについて直に学ぶ


    ■人間行為のパターン・ランゲージを実際に読んでみる


    ■思考と創造の本質について捉え直す


    ■ナチュラルな生き方・社会へのシフトの重要性を感じる


    その他、研究会で紹介する重要論文(初級編)

    *   *    *


    【最初の半年から手元に置いて、必要に応じて適宜読む本】10冊

    
■人間行為のパターン・ランゲージをいろいろ読んで、分野・表現の多様性と共通点を感じる



    ■パターン・ランゲージの原点を知り、その質感に触れる


    ■研究と論文執筆のための考え方の手引き


    *   *    *


    【入ってから1年以内に読んでおくべき本】25冊

    ■人間行為のパターン・ランゲージを具体的に知り、日常に活かす


    ■アレグザンダーの思想とパターン・ランゲージの展開をさらに深く理解する


    ■創造的な思考と学びについて深く考え直す


    ■個から普遍へと至る道を理解する


    ■ナチュラル・クリエイティビティの豊かなイメージを持つ


    ■創造社会のヴィジョンを実感する


    その他、研究会で紹介する重要論文(中級編)


    *   *    *


    【入ってから1年半までに読んでおくべき本】30冊

    ■現象学について理解を深める


    ■相手を内側から理解するとはどういうことか


    ■ナチュラルでクリエイティブな豊かさについて味わう


    ■これからの生き方について考える


    ■つくる人生についてイメージを持つ


    ■ナチュラルでクリエイティブなコミュニティについて考える


    ■中動態について理解する


    ■東洋の思想・哲学を知る


    ■学問の営みと潮流を知り、新しい学問をつくることの意識を高める


    その他、研究会で紹介する重要論文(上級編)


    【より深い理解・思考・創造のためのおすすめ文献】40冊

    ■まだ邦訳されていないアレグザンダーの最新の考えを知る


    ■社会システム理論と社会を分析するということ


    ■複雑系とオートポイエーシスのシステム理論を知る


    ■つくる人生についてイメージをさらに深める


    ■言葉の可能性を感じる


    ■創造の考えについて深める


    ●学びと成長についての原典にあたる


    ■思考と実践の哲学、プラグマティズムについて理解する


    ■井庭研に関係するいろいろな思想・哲学を知る


    ■論文執筆の力の向上
    井庭研だより | - | -

    2021夏プロ「新しい世界観の概念装置を組み立てる:ホワイトヘッド哲学を学び、アレグザンダー思想の理解を深める」

    井庭研2021夏の特別研究プロジェクト
    「新しい世界観の概念装置を組み立てる:ホワイトヘッド哲学を学び、アレグザンダー思想の理解を深める」

    担当:井庭 崇(総合政策学部教授)
    タイプ:特別研究プロジェクトA(4単位:2021秋学期に履修申告)
    実施形態:オンラインですべて実施
    2021年8月5日〜9月30日の間の15回

    【概要】
    本プロジェクトでは、クリストファー・アレグザンダーがしばしば参照する哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの哲学について、文献読解を通じて理解を深めます。単にホワイトヘッドの哲学を理解するだけでなく、全体性、有機的秩序など、アレグザンダーに通じる概念を改めて深く理解する機会としたい。

    アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861-1947)の哲学がどういうものかは、『ホワイトヘッドの哲学』(中村昇, 講談社, 2007)の次の紹介がわかりやすい。

    「われわれの世界は、つねに流動している。動いていないものは、なにひとつない。・・・生物、無生物のべつなく、つねに活発に変化していく。これが、わが宇宙の実相だ。ここを起点にしてホワイトヘッドは、すべてを説明していく。したがって、かれの宇宙には、生きていないものは存在しない。すべてが、一様に「生きて」活動している。だが、われわれも巻きこんでいる、このはてしない流動状態は、つかみどころがまったくないから、とりあえず、どこかに切れ目をいれなければならないだろう。
     まず、これらは、闇雲に動いているわけではない。あるパターンが見てとれる。それぞれのスケールで、おなじようなパターンが繰りかえされているとホワイトヘッドは考えた。そして、つぎに、そうしたパターンをなす流動状態のそのつどの瞬間は、唯一無二のあり方で出現する。この世界では、ただの一度も、まったくおなじ状態など生じたことはない。つまり、一回だけの比類のない出来事が、おなじパターンで何度も反復されているというのが、わたしたちの住む、この宇宙のあり方なのだ。繰りかえされる間断なきパターンと、そのときどきのかけがえのない断面とによって、世界は成りたっているといえるだろう。この切り口からホワイトヘッドは出発する。
     また、ホワイトヘッドの哲学には、堅固な個体は登場しない。部分的な個別の状態を最初に想定することは決してない。一番基底にあるのは、あくまでも創造活動なのだ。この世界は、たえず、あらたに創りつづけられている。だからといって、その背後に、創造する主体がいるわけではない。豊饒な創造の坩堝のなかに、あらゆる存在は、つねにすでに投げこまれている。「過程」(process)こそ、「実在」(reality)なのだ。
     独立した個は存在しないのだから、この創造されつづけている世界は、べつべつの部分にはわかれない。すべての側面が密接に関係しあう。その関係の複雑で膨大な網は、もちろん、固定されたものではなく、たえまない流動状態のなかで、それ自体をダイナミックに変容させていく。」(中村昇『ホワイトヘッドの哲学』)

    以上の説明を読むだけでも、クリストファー・アレグザンダーとの接点が感じられるだろう。実際、アレグザンダーは、彼の著書『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)で、何度もホワイトヘッドに言及し、自説との関係について語っている。

    例えば、“全体性」と「センター」の理論”の章で、「全体性」の考え方の多くの文献のなかで「おそらく最も際立った議論」であるとして、ホワイトヘッドの『過程と実在』を紹介している。さらに、『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』の重要な概念である「センター」も、ホワイトヘッドの哲学に通じるという。

    「すべての空間が「センター」を張り巡らしたようなシステムであるという考え方を最初に提唱したのは、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドであり、・・・ホワイトヘッドは、彼が「有機体」と呼んでいる連結した存在で構成されるシステムを提案しました。彼の考えでは、実在するすべてのものは空間的に存在する入れ子状で重なり合った「有機体」のシステムとして理解されるものだということです。-----私が思うに、このホワイトヘッドの有機体は、私がこの本で「センター」として説明している実態とまさしく同様のものではないかと思うのです。」(アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』)

    また、『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』では、「生命」が重要な概念として論じられているが、この「生命」というのはいわゆる「生物」のことではなく、無生物にも見られる「いきいき」とした質のことである。この「生命」の考え方もホワイトヘッドに通じているという。

    「この概念の中では、「生命」とは何がしかの形ですべての事象、建築物に存在する、日々の実用的な生活の中にでもあるものなのです。・・・この考え方の本質は、古典的です。新しいことは、既存の科学的な思考を用いた構造的な形式という概念で説明できるということと、理解できるという点だけです。・・・同じような視点は、歴史を紐解くと、仏教の考え方やアメリカンインディアンの世界観の中にも表れています。仏教の世界観では、すべてのものの中には「生命」があると示されており、無数の経典によってそのことが記されています。・・・同じような考え方はアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの哲学や書物の中でも述べられています。・・・ホワイトヘッド氏の考え方では、「生命」の無いものは無いのです。「生命」の可能性は事物に本来備わっているのです。」(アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』)

    ここで、東洋の思想との関わりに触れているのも興味深い。昨年の夏の特別研究プロジェクトでは、「新しい学問をつくる:西洋と東洋の知を融合させた、創造実践の学問を構想する」として、東洋哲学についての理解を深めたが、今年は、西洋(ホワイトヘッド)の側からの接続を試みることになりそうだ。

    さらに、アレグザンダーは、近代の機械的な世界観からの脱却を唱えるが、これも、ホワイトヘッドの考えと重なる。

    「ここ300年のあいだ、機械主義的な世界観によって私たち自身が「自己」から切り離されてしまいました。私たちは、強力で極めて正確な世界観を手にしています。しかし、その概念には「自分自身」の存在意義を明らかにするはっきりとした説明がないのです。これこそホワイトヘッドによって主張された有名な「自然からの乖離」現象なのです。」(アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』)

    以上のように、クリストファー・アレグザンダーの思想をさらに深く理解するために、ホワイトヘッドについて理解することは重要であることがわかる。

    しかしながら、そこには大きな壁が立ちはだかっている。それは、ホワイトヘッドの哲学は「このうえなく難解」(中村昇『ホワイトヘッドの哲学』)だという点である。中村昇は『ホワイトヘッドの哲学』で、その難解さを、次のように表現している。

    「ホワイトヘッドは難解だといわれる。わたしもたしかにそう思う。なんの因果か、哲学を生業としているから、多少の難しさには慣れっこのはずだが、ホワイトヘッドの難解さは、どうにも手のつけようがない。群を抜いている。特に『過程と実在』は、最初読んだときは、まったく取りつく島がなかった。なにをいっているのかさっぱりわからない。しかも具体的な話をほとんどしないから、手がかりもない。本当にこまった。」(中村昇『ホワイトヘッドの哲学』)

    こう言われてしまうと怯んでしまうかもしれないが、まったく望みがないわけではなさそうだ。中村は、さらに続ける。

    「しかしよくよく読みすすめると、ホワイトヘッドの難しさは、この哲学者のせいではないことに気づく。ようするに、ホワイトヘッドが難解なのではなく、〈この世界そのもの〉が難解なのだ。・・・この状態をホワイトヘッドは、愚直にも真正面から描き切ろうとしている。これが、かれの本を難しくしている一番の理由だと思う。
     そんなホワイトヘッドの本でも、よくしたもので、何度もなんども読んでいくうちに、少しずつ霧がはれてくる。なんとなくわかってくるのだ。この世界も、長く住みつき、おおくの経験をつむと、いろいろわかってくる。あれとおなじだ。」(中村昇『ホワイトヘッドの哲学』)

    このようなわけで、ホワイトヘッドを一人で学ぶのはきわめて難しいだろう。そこで、本プロジェクトでは、みんなで挑戦してみよう、ということなのだ。しかも、アレグザンダーの思想に慣れ親しんでいる僕らならば、もしかしたら、それを糸口として理解への道がひらけるかもしれない。

    なお、あらかじめ、断っておくが本プロジェクトの担当者である僕(井庭)は、ホワイトヘッドの研究者ではないし、特段理解が深いわけでもない。そのため、僕が解説したり、質問に答えるということは期待しないでほしい。僕を含む参加者全員で、難解なホワイトヘッドの哲学に挑戦する、そういうつもりで本プロジェクトに参加してほしい。

    そのような難しい闘いではあるが、多少なりの勝算はある(あくまでも多少であり、また保証はないが)。それは、僕が普段、難解な本を読むときのプロセスや技を参加者に共有し、それを踏まえてみんなで取り組むということだ。ふだん僕は、難解な哲学書を読むときに、手に入るあらゆる入門書・解説書を片っ端から読みまくって、そこから本丸の哲学書にアプローチする。そうすることで、読み解き方を自分なりにつかみながら、自分で読みこなすことができるようになる。そのとき、僕は一人で20〜30冊くらい読むことになるわけであるが、それはなかなかにハードなことなので、それをそのままみんなにやってもらうというのは、非現実的だろう。そこで、本プロジェクトは、それを参加メンバーで分担しあうというやり方で行う。つまり、一人ですべてやる代わりに、「分担して読んでくる」+「紹介しあい話しあう」ことで、全員で理解を深めていくコラボレーションで取り組むのである。

    最後に強調しておきたいのは、本プロジェクトで目指すことは、ホワイトヘッドの哲学を単に理解することではなく、その概念装置を通して、世界を見る(認識する)ことができるようになることであるということだ。また、ホワイトヘッドの哲学を理解することで、アレグザンダーの概念装置をより精密に理解し使いこなせるようになることである。

    このような読書による概念装置の獲得ということについて、内田義彦が『読書と社会科学』で明解に語っているので、いくつか引用しておきたい。まず、概念装置とはどいうものかについて。

    「概念装置を脳中に組み立て、それを使ってものを見る。・・・概念装置を使うことによって、肉眼では見えないいろいろの事柄がこの眼に見えてくる。それも、ある程度ながら-----用いられた概念装置にかかわりのある限りにおいては-----否応なく、好みを越えて、否定しようにも否定しがたく見せつけられるかたちで見えてくるんで、その限りだれでもが同じ地盤に立つ。同時に先人の発見の伝達と蓄積が可能になってきます。」(内田義彦『読書と社会科学』)

    本を読むときに、単にそこに書いてあることを理解する・知る、というのではなく、認識の手段としての概念装置を獲得するために読むという読み方について、次のように述べている。

    「本を読むことで、認識の手段としての概念装置を獲得する。これがかなめです。それも、-----概念装置が自分の眼に代わってものを見る手段に化けちゃわないで、自分の眼そのもののはたらきを補佐する手段として役立ちうるようなかたちで獲得することがかなめですから------認識手段としての概念装置を習うについても、単にこれをを覚える、配線図のリプリントみたいに筋がきを頭にたたきこんじゃ駄目です。組み立てながら、たえず自分の眼をはたらかせてその効果のほどを験してみながら、組み立て方・使い方を体得する。そういう操作をすることで、はじめて既成の概念装置も、自前の概念装置として役立ちましょう。」(内田義彦『読書と社会科学』)

    そして、このように認識の手段としての概念装置を獲得するためには、単に受け入れるだけでなく、読んで、自分のなかでその概念装置を組み立て直す必要があると言う。これは僕もとても重要なことだと実感することだ。

    「概念装置は、同じ自分の眼を補佐する装置であっても、物的装置とちがって、身体の外部ではなく内部にあるもの、自分の脳中に組み立てるものです。・・・一人一人、苦労して組立て作業をやらなければなりません。製品を調達するのではなく、自己製作をする。新しい概念装置を自分で開発する場合はもとよりのことですが、先人が作り上げて学界の共有財産になっている既製の概念装置をそのまま使う場合でも、それを自分の認識手段として使いこなすためには、組立て作業それ自体を、一、一この眼を働かせながらキチンと、ていねいにやって、自家薬籠中のものとしておかなければなりません。でないと、その概念装置は、知ってはいても、自分のこの眼でものを見る認識手段としては、役に立たない。その意味では、既製の概念装置の修得も、真にそれを自分の概念装置として獲得するためには、新しい概念装置の開発とまったく同じ種類の自主性と労苦がいる、ということを強調しておきたいと思います。概念装置はすべて、新旧を問わず自前でやらなければならない。で、心血をそそいで組立て作業をやる。やらざるを得ない。」(内田義彦『読書と社会科学』)

    このように、独特の世界観をもつ哲学の本を読むということは、とても創造的な営みなのである。本プロジェクトでは、このような概念装置の組み立てという体験を、みんなで実践していければと思っている。とても大変ではあるが、やりがいのある、そんな「夏学期」をお楽しみに!


    【本プロジェクトで取り上げる文献】

    ■入門編の文献(全員共通)
    ・『ホワイトヘッドの哲学』(中村 昇, 講談社, 2007)
    ・『読書と社会科学』(内田 義彦, 岩波書店, 1985)
    ・『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)

    ■助走編の文献(下記のなかの1冊をグループで担当し、みんなに紹介)
    ・『ホワイトヘッド『過程と実在』:生命の躍動的前進を描く「有機体の哲学」 (哲学書概説シリーズ) 』(山本 誠作, 晃洋書房, 2011)
    ・『コスモロジーの哲学:ホワイトヘッドの視座』(チャールズ ハーツホーン, クレイトン ピーデン, 文化書房博文社, 1998)
    ・『ホワイトヘッド:有機体の哲学』(田中 裕, 講談社, 1998)
    ・『ホワイトヘッド:秩序への冒険』(ポール・グリムリー・クンツ, 紀伊國屋書店, 1991)
    ・『ホワイトヘッドへの招待:理解のために』(ヴィクター・ロー, 松籟社, 1982)
    ・『具体性の哲学:ホワイトヘッドの知恵・生命・社会への思考』(森 元斎, 以文社, 2015)
    ・『連続と断絶:ホワイトヘッドの哲学』(飯盛 元章, 人文書院, 2020)
    ・『日常の冒険:ホワイトヘッド、経験の宇宙へ』(佐藤陽祐, 春風社, 2021)
    ・『ホワイトヘッドと現代:有機体的世界観の構想』(山本 誠作, 法蔵館, 1991)
    ・『ホワイトヘッドと西田哲学の〈あいだ〉:仏教的キリスト教哲学の構想』(延原 時行, 法蔵館, 2001)

    ■本丸編の文献(全員共通:訳が2種類と英語原著があるので、それらを複合的に使用して理解する)
    ・『過程と実在〈1〉コスモロジーへの試論』(A.N.ホワイトヘッド, 平林 康之 訳, みすず書房, 1981)
    ・『過程と実在〈2〉コスモロジーへの試論』(A.N.ホワイトヘッド, 平林 康之 訳, みすず書房, 1983)
    ・『ホワイトヘッド著作集 第10巻 過程と実在 (上)』(A.N.ホワイトヘッド, 山本 誠作 訳, 松籟社, 1984)
    ・『ホワイトヘッド著作集 第11巻 過程と実在 (下)』(A.N.ホワイトヘッド, 山本 誠作 訳, 松籟社, 1985)
    ・"Process and Reality"(Alfred North Whitehead, Free Press, 1979)



    【参加条件】
    2021年春学期に井庭研究室に在籍していて一緒に特別研究プロジェクトをつくろうという思いを持ち、実際に行動が伴っている人、および、2021年秋学期に在籍予定の人。


    【必要経費】
    文献(書籍)購入代:約3万円(各自購入)


    【評価方法】
    出席、個人最終レポート、文献発表、話し合いへの貢献、プロジェクト全体への貢献から総合的に評価する。


    【授業スケジュール】

    ■入門編:『ホワイトヘッドの哲学』+『読書と社会科学』(春学期にも読むが、新規メンバー向け)+『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』の一部


    8/5(木)13:00〜18:00
    内田義彦『読書と社会科学』、および中村昇『ホワイトヘッドの哲学』についての話し合い

    8/6(金)13:00〜18:00
    アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』、および中村昇『ホワイトヘッドの哲学』についての話し合い


    ■助走編:解説書輪読(グループで分担書についてプレゼン)

    8/23(月)13:00〜18:00
    解説書のグループ発表1+内容についての話し合い

    8/24(火)13:00〜18:00
    解説書のグループ発表2+内容についての話し合い

    8/26(木)13:00〜18:00
    解説書のグループ発表3+内容についての話し合い


    ■本丸編:『過程と実在』読解

    9/13(月)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第1部についての話し合い

    9/14(火)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第2部前半についての話し合い

    9/15(水)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第2部中盤についての話し合い

    9/16(木)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第2部後半についての話し合い

    9/21(火)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第3部についての話し合い

    9/22(水)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第4部についての話し合い

    9/24(金)13:00〜18:00
    ホワイトヘッド『過程と実在』第5部についての話し合い


    ■総括編:まとめとふりかえり

    9/27(月)13:00〜18:00
    全体総括&ふりかえり

    9/28(火)13:00〜18:00
    全体総括&ふりかえり

    9/30(木)13:00〜18:00
    最終レポートを踏まえての語り合い
    井庭研だより | - | -

    慶應義塾大学SFC「創造システム理論」2021シラバス

    「創造システム理論」
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭 崇, 若新 雄純
    開講:2021年度春学期(後半:6・7月)
    曜日時限:金曜4・5限(完全オンライン開講)

    CreSys2021title.png


    【主題と目標/授業の手法など】

    これからの時代は、さまざまな問題・課題を解決したり、新しい仕組みやあり方を新たにつくっていくことが不可欠な時代です。まさに一人一人が創造性(クリエイティビティ)を発揮することが求められるのです。それでは、創造的(クリエイティブ)に考えたり、創造的な場やチームをつくるためには、どうしたらよいのでしょうか?

    この授業では、創造やコラボレーションに関する理論と、最先端の魅力的な事例について学び、自らの実践へとつなげていくことに取り組みます。この授業は、オンデマンド映像とリアルタイムの時間をうまく組み合わせる《オンデマンド・ライブ・ミックス》の形式で行います。解説のレクチャーはオンデマンド映像で各自見てもらい、金曜4・5限の授業時間中は、担当教員や履修者たちでのインタラクティブなやりとりや、創造的なおしゃべりの時間にします

    なお、2021年度の授業は、全回オンラインで行います(Zoom)。履修者には、授業外で「自分自身の創造実践」(テーマ・方法は何でも構いません)2回取り組んでもらいます。1回目は、後半科目の開始前の5月下旬までに取り組んで提出してもらいます。2回目は、授業の後半から学期末にかけてです。授業についての情報を適宜更新していくので、慶応SFC「創造システム理論」2021年度授業サイト(https://note.com/iba/m/mfe7888cec66d)を必ず見るようにしてください。

    また、考えを深めてもらうために、授業と並行して文献を読む宿題を出すので、授業初回までに早めに、書籍『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』を入手しておいてください。


    【授業計画】

    第1週(6/4 金):オープニング・トーク + みんなの創造実践成果をみんなで楽しむ1 +「創造システム理論」「深い創造の原理」
    井庭・若新の「顔が見えるラジオ」のオープニング・トークからスタートです。その後、履修者が事前に提出してくれた創造実践成果をみんなで見て、面白がり、それについてのおしゃべりをします。さらに、「創造」を発見の連鎖のシステムとして捉える「創造システム理論」と、「深い創造の原理」の7つの原理について理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

    第2週(6/11 金):みんなの創造実践成果をみんなで楽しむ2 + 「ゆるい創造」
    履修者が事前に提出した創造実践成果をみんなで見て、面白がり、それについてのおしゃべりをします。また、「答え」がわからない複雑な時代において、無理に白黒や勝ち負けをつけようとせず、また短期的な成果を求めすぎずに、試行錯誤を楽しみながら新しい発見を重ねていく「ゆるい創造」について理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

    第3週(6/18 金):みんなの創造実践成果をみんなで楽しむ3 +「ジェネレーター」
    履修者が事前に提出した創造実践成果をみんなで見て、面白がり、それについてのおしゃべりをします。また、創造的であるために「混沌を抱え、それを飼いならす」ということがどういうことなのかを、複雑系の話を踏まえて理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

    第4週(6/25 金):発想妄想ブレイクアウト +「カオス」
    これまで見てきた創造実践成果をもとに、どんなことをすると面白いか(どれとどれが組み合わさると面白そうかなど)について創造的なおしゃべりをします。また、物事を面白がりながら少し揺らぎを与えて、さらに創造的に発展するように関わり促していく「ジェネレーター」というスタイル・生き方について理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

    第5週(7/2 金):ライトニング・トーク1 +「トリックスター」
    この授業でつかんだことを踏まえてどんな創造実践をやろうと思っているのかをライトニング・トーク形式で発表していきます。また、新しさをもたらす異端の道化「トリックスター」の特徴と重要性について理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

    第6週(7/9 金):ライトニング・トーク2 + クロージング・トーク
    この授業でつかんだことを踏まえてどんな創造実践をやろうと思っているのかをライトニング・トーク形式で発表していきます。また、井庭・若新の「顔が見えるラジオ」の最終回ということで、クロージング・トークで締めくくります。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】
    授業と並行して、2回の「自分自身の創造実践」(テーマ・方法は何でも構いません)に取り組んでもらいます。成績評価は、創造実践と、授業への参加、宿題、発表から総合的に評価します。


    【履修上の注意】

  • この科目は、春学期の後半(6・7月)に週2コマ開講する科目です。

  • 授業は全回オンラインで行います(Zoom)。受講に適した通信環境で参加してください。この授業では、一緒に参加していることが感じられるように、《カメラオンの推奨》をしています。

  • 授業についての情報を適宜更新していくので、慶応SFC「創造システム理論」2021年度授業サイト(https://note.com/iba/m/mfe7888cec66d)を必ず見るようにしてください。

  • 授業と並行して、文献を読んでまとめを提出する個人宿題が毎週出ます。授業初回までに早めに、『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 慶應義塾大学出版会)を入手しておいてください。


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):約 100 人
    選抜方法:課題提出による選抜

    「創造」を自分なりに表現する「自撮り動画」を撮影してください。動画は30秒以内とし、YouTubeに限定公開設定でアップし(各自アカウント取得が必要です)、そのURLを提出してください。

    「創造」をどう表現するかは自由です。ただし、単に動画の派手さや奇抜さを評価するものではありません。また、動画そのものの画質や編集・加工技術を評価するものではないので、 特別なカメラ機材などを仕様する必要もありません。スマホ撮影で十分です。※構図は必ず「自撮り動画」にしてください。

    30秒という時間と「自撮り」という構図の中でいかにして「創造」を表現することができるのか、ぜひ工夫を凝らして楽しんでみてください。この課題を楽しむことができるかどうかが、一種の選抜(Natural Selection)になっていると言えるかもしれません。

    PrinciplesOfDeepCreation20210120.png

    【教材・参考文献】

    教科書
  • 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019年)

    RP_CreativeLearning.jpg


    参考文献
  • 『創造的脱力:かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論」(若新 雄純, 光文社, 2015年)
  • 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011年)
  • 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭 崇, 福原 義久, NTT出版, 1998年)
  • 『創発する社会―慶應SFC〜DNP創発プロジェクトからのメッセージ』(國領 二郎 編著, 日経BPコンサルティング, 2006) ※とくに第1章「創発という、怪しくて魅力的な何か」(熊坂 賢次)


    【担当教員】
    この授業は、毛色・ノリの異なるこの二人のフュージョンでお届けします!

    井庭 崇(いば たかし)
    慶應義塾大学総合政策学部 教授。
    株式会社クリエイティブシフト代表取締役社長、一般社団法人みつかる+わかる 理事、および、パターン・ランゲージの学術的な発展を促す国際組織 The HillsideGroup 理事も兼務。
    2003年、慶應義塾大学後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。
    様々な創造実践領域の研究を通じて、創造とはどういうことかを明らかにするために、創造システム理論を構築・提唱している。また、創造社会(Creative Society)の実現に向けての社会論、および、創造実践の支援の方法としての「パターン・ランゲージ」の作成・研究に取り組んでいる。
    編著書・共著書に『複雑系入門』(NTT出版、1998年)、『社会システム理論』(慶應義塾大学出版会、2011 年)、『パターン・ランゲージ』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『プレゼンテーション・ パターン』(慶應義塾大学出版会、2013年:2013年度グッドデザイン賞受賞)、『旅のことば』(丸善出版、2015年)、『プロジェクト・デザイン・パターン』(翔泳社、2016年)、『対話のことば』(丸善出版, 2018年)、『おもてなしデザイン・パターン』(翔泳社, 2019年)、『園づくりのことば』(丸善出版, 2019年)、『クリエイティブ・ラーニング』(慶應義塾大学出版会, 2019年)など。2012年にNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で「アイデアの伝え方」の解説を担当。

    若新 雄純(わかしん ゆうじゅん)
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授。
    株式会社NewYouth代表取締役、NEET株式会社代表取締役などを兼任。
    慶應義塾大学大学院修了、修士(政策・メディア)。
    専門はコミュニケーション論。人・組織・社会における創造的な活動を促すコミュニケーションのあり方を研究・模索。
    大学在学中に、障害者の就労支援を行う株式会社LITALICO(東証一部上場)を設立し、取締役COOに就任。その後大学院で研究活動に取り組み、独立。
    日本全国の企業・自治体・学校などで実験的政策やプロジェクトを多数提案・実施中。全国の若年無業者(ニート)を100人以上集めた株式会社の発足や、週休4日の「ゆるい就職」プロジェクト、女子高生がまちづくりを模索する「鯖江市役所JK課」プロジェクト(総務大臣賞を受賞)などを企画。
    社会のさまざまな現場で調査・フィールドワークを行い、ビジネス誌等での執筆や、テレビ番組のコメンテーターとしての出演、講演実績多数。著書に『創造的脱力~かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論』(光文社新書)がある。


    ※ 学期前半には、同じ曜日時限に「パターンランゲージ」(井庭・鎌田)が開講されます。併せてどうぞ。
  • 授業関連 | - | -

    慶應義塾大学SFC「パターンランゲージ」2021シラバス

    「パターンランゲージ」
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭 崇
    開講:2021年度春学期(前半)
    曜日時限:金曜4・5限(オンライン開講)

    パタラン2021タイトル画像.png


    【主題と目標/授業の手法など】

    この授業では、一人ひとりがもつ創造性を支援するためのメディア「パターンランゲージ」について、その考え方と作成方法を体験的に学びます。パターンランゲージでは、創造・実践の経験則(コツ)を「パターン」という小さな単位にまとめ、言語化します。

    2021年度の授業では、感じるままに思い切り遊ぶ場をつくり活動している「原っぱ大学」(HARAPPA株式会社)との共同研究として、「自然に遊び心が発動される場づくりのパターンランゲージ」を、履修者全員で本気でつくります。原っぱ大学の代表の塚越 暁さんからのメッセージは以下の通りです。

    皆さん、こんにちは。原っぱ大学 “ガクチョー” の塚越です。

    大人と子どもが野で遊ぶ「原っぱ大学」を逗子に立ち上げて5年。大人も子どもも “自然に” 遊び心が発動される場をつくってくることができました。その場は僕らスタッフの在り方や行動、そして積み重ねられてきた環境により出来上がっているはずなのですが…。

    場をつくってきた僕らは当事者すぎてこの場を構成している重要なエッセンスが何なのか感覚でしかとらえきれていません。新しく加わったスタッフはそこで何が起きているのか、どうふるまえばいいのか理解できないで困る、ということが頻繁におきるようになりました。僕らの場のエッセンス、行動原理を共通言語化しなければ・・・。

    そんな悩みが次第に大きくなり井庭先生に相談したところ、今回の授業のご提案をいただきました。自分たちだけでは抽出できない場に潜むパターンを皆さんと一緒に発見したいです。そこから浮かび上がるパターンは僕ら原っぱ大学スタッフの共通言語になるとともに、大人と子どもが自由に「遊ぶ」場を構成する普遍的なものになるのではないかと思っています。ぜひ、皆さんの力を貸してください!

    Harappa1.png

    Harappa2.png

    Harappa3.png

    これまで井庭研究会ではいろいろな企業・団体と共同研究でパターンランゲージをつくってきましたが、今回のように授業で外部の方の願いに応える共同研究は初めてです(初めてのチャレンジ、ワクワクしますね!)。この授業に参加するみんなで、使命感をもって、よりよいパターンランゲージに仕上げていきたいと思います。つくったパターンランゲージはホームページ等で広く公開する予定です。

    この授業は、オンデマンド映像とリアルタイムの時間をうまく組み合わせる《オンデマンド・ライブ・ミックス》の形式で行います。解説のレクチャーはオンデマンド映像で各自見てもらい、金曜4・5限の授業時間中にグループワークを行います。従来であれば授業外で行っていたグループワークを授業時間内に行い、従来であれば授業時間内に行っていたレクチャーを授業外に行うという「反転」をします。これにより、必ず全員が集まって《まとまった時間》のなかで取り組むグループワークが実現するとともに、グループワークの場に教員・TA/SAが顔を出し、相談に乗ったりアドバイスをしたりすることができ、グループワーク成果のクオリティを上げることができると見込んでいます。

    パターンランゲージの作成は、本来、非常に多くの作業と長い時間を要するものなので、授業期間内にゼロから完成まで持っていくために、いろいろと工夫をします。まず、初回授業の前に映像を見てもらい取り組んでもらう課題(履修選抜課題)があります。詳細は、本シラバスの【履修選抜課題】と、慶応SFC「パターンランゲージ」2021年度授業サイト(https://note.com/iba/m/m00e53370e26a)を見てください。これにより、スムーズなスタートを切ることができます。

    また、授業期間中は、すべての作成作業を履修者だけで行うのではなく、担当教員とTA/SAが「ジェネレーター」として作成の一部を担い、次のステップへと進めることもします。その意味で、担当教員やTA/SAも一緒に取り組むクラス全体のプロジェクトだということになります。このような工夫をすることで、なんとか5週間で完成まで持っていければと思います。なお、原っぱ大学の塚越さんも授業時間に参加していただける予定です。また、この授業・共同研究は、一般社団法人みつかる+わかるのメンバーにも関わってもらえる予定です。

    この授業では、パターンランゲージについて多面的に理解を深めてもらうために、授業と並行して文献を読む宿題を毎週出すので、授業初回までに早めに、書籍 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』を入手しておいてください。

    PL1.png

    PL2.png

    PL3.png

    PL5.png

    PLcreationprocess.png

    PL4.png


    【授業計画】

    第1・2回(4/9 金):グループワーク(サマリー・ライティング)
    マイニング・インタビューから得られた大切なポイントのサマリーを記述していくグループワークに取り組みます。

    第3・4回(4/16 金):グループワーク(CPSライティング)
    体系化して得られた「パターンの種(たね)」のCPS(Context, Problem, Solution)を書くグループワークに取り組みます。

    第5・6回(4/23 金):グループワーク(CPSリバイズ)
    フィードバックを踏まえて、CPSを修正をするグループワークに取り組みます。

    第7・8回(4/30 金):グループワーク(パターン・ライティング)
    CPSをもとに、フル記述形式のパターンを書くグループワークに取り組みます。

    第9・10回(5/7 金):ライターズ・ワークショップ & グループワーク(パターン・イラスト作成)
    書いたパターンをよりよくするためのライターズ・ワークショップを行います。また、パターン・イラストを描くグループワークに取り組みます。

    第11・12回(5/14 金):グループワーク最終成果発表 & ふりかえり
    この授業で取り組んできたグループワークの成果のパターン・ランゲージを発表するとともに、これまでを振り返ります。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績は、授業への参加、グループワークでの貢献と成果、文献読解の宿題、最終レポートから総合的に評価します。

    【履修上の注意】

  • 授業は全回オンラインで行います(Zoom)。受講に適した通信環境で参加してください(原則としてカメラオン推奨)。

  • 授業と並行して、文献を読んでまとめを提出する個人宿題が毎週出ます。授業初回までに早めに、書籍 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 慶應義塾大学出版会)を入手しておいてください。


    【学生が準備するソフト・機材】

  • 本授業のグループワークではパソコンを用いて作業をするので、授業へはスマートフォンやタブレットではなく、パソコンで参加するようにしてください。

  • 本授業は、Zoomを用いて行います。https://zoom.us/ からインストールし、適宜、最新版にアップデートするようにしてください。


    【履修選抜課題】

    受入学生数(予定):約 90 人
    選抜方法:課題提出による選抜

    慶応SFC「パターンランゲージ」2021年度授業サイト(https://note.com/iba/m/m00e53370e26a)にアクセスし、そこに書かれている説明をよく読んだ上で、指定の映像を見て、以下の課題に取り組んで提出してください。

    「自然に遊び心が発動される場づくり」における大切なことを10〜20程度、マイニング・インタビュー映像で語られたことから抽出し、記述してください。大切なことは、それぞれ、どういうときに何をすることが大切か(語られていればその理由も)それぞれ1行程度にまとめてください。それを10〜20程度、箇条書きで書いてほしいと思います。授業では、この課題で提出されたものを素材として、パターンランゲージを作成していきます。

    提出形式:PDF
    課題レポートの最初に、必ず、名前、学年、学籍番号、メールアドレスを記載してください。


    【教材・参考文献】

    教科書
  • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)

    RP_PatternLanguage.jpg


    参考文献
  • 『対話のことば:オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』(井庭 崇, 長井 雅史, 丸善出版, 2018年)
  • 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016年)
  • 『おもてなしデザイン・パターン:インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』(井庭 崇, 中川 敬文, 翔泳社, 2019年)
  • 『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』(井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ, 丸善出版, 2015年)
  • 『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』(井庭 崇, 秋田 喜代美 編著, 野澤 祥子, 天野 美和子, 宮田 まり子, 丸善出版, 2019年)
  • 『ミラパタ(未来の自分をつくる場所:進路を考えるためのパターン・ランゲージ)ブックレット&カード セット』(クリエイティブシフト, 2017)
  • 『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇+井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
  • コロナの時代の暮らしのヒント』(井庭 崇, 晶文社, 2020年)
  • 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019年)
  • 『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993年)
  • 『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1984年)
  • 『Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』(Mary Lynn Manns, Linda Rising, 丸善出版, 2014年)
  • 『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009年)
  • 『A Tale of Pattern Illustrating:パターンイラストの世界』(原澤 香織, 宮崎 夏実, 櫻庭 里嘉, 井庭 崇, CreativeShift, 2015)


    【担当教員】

    井庭 崇(いば たかし)
    慶應義塾大学総合政策学部 教授。株式会社クリエイティブシフト代表取締役社長、一般社団法人みつかる+わかる 理事、および、パターン・ランゲージの学術的な発展を促す国際組織 The HillsideGroup 理事も兼務。2003年、慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。
    様々な創造実践領域の研究を通じて、「創造」(creation)そのもの本質に迫り、「創造システム理論」や「深い創造の原理」等を提唱している。また、創造社会(Creative Society)の実現に向けての社会論、および、実践支援の方法としての「パターン・ランゲージ」の作成・研究に取り組んでいる。井庭研メンバーと作成したパターン・ランゲージは、多様な分野の70種類以上にのぼり、その数は、1600パターン以上となる。
    編著書・著書に、『パターン・ランゲージ』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『クリエイティブ・ラーニング』(慶應義塾大学出版会, 2019年)、『社会システム理論』(慶應義塾大学出版会、2011 年)、『コロナの時代の暮らしのヒント』(2020年)、『対話のことば』(丸善出版, 2018年)、『プロジェクト・デザイン・パターン』(翔泳社、2016年)、『おもてなしデザイン・パターン』(翔泳社, 2019年)、『プレゼンテーション・ パターン』(慶應義塾大学出版会、2013年:2013年度グッドデザイン賞受賞)、『旅のことば』(丸善出版、2015年)、『園づくりのことば』(丸善出版, 2019年)、『複雑系入門』(NTT出版、1998年)など。2012年にNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で「アイデアの伝え方」の解説を担当。


    ※ 学期後半には、同じ金曜4・5限に「創造システム理論」(井庭・若新)が開講されます。併せてどうぞ。

    harappa5.jpg

    harappa6.jpg

    harappa7.jpg

    harappa8.jpg

    Harappa4.jpg
  • 授業関連 | - | -

    中動態で表されるべき「創造」(深い創造)

    最近の僕の「創造の研究」において、創造と中動態の関係について考えていて、とても重要な気づきがあったので、そのことを書き留めておきたい。

    中動態で表されるべき「創造」(深い創造)の話である。

    今回は「深い創造の原理」の話は省略するが、中動態に関わる面だけを取り上げて、わかりやすくシンプルに述べていきたいと思う。

    DeepCreation_MiddleVoice.png

    スティーブン・キングは、小説を書くときのことについて、次のように語っている。

    「結末を想定している場合もあるが、作中人物を自分の思いどおりに操ったことは一度もない。逆に、すべてを彼らにまかせている。予想どおりの結果になることもあるが、そうではない場合も少なくない。」(スティーブン・キング『書くことについて』)


    日常的な感覚では、にわかには信じられないことであるが、実は多くの作家・芸術家が同様のことを言っている。つくり手は、頭の中にあるものを外化しているというわけではなく、自分が「ああしよう、こうしよう」と考えていることを文字や絵で表現しているといわけでもないと言う。

    そうではなく、つくっている何か・作品そのものが展開し成長するのに寄り添い、伴走し、それを見守り、支援する、そういうことをしていると言うのだ。

    つまり、それは、「創造」というものが、単に能動態で表されるような事態ではない、ということを表している。

    他方、こういうことを言う作家もいる。

    「物語が何を求めているのかを聴き取るのが僕の仕事です」(村上春樹『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』)

    「一旦決めて映画作りだすと、映画作ってるんじゃないですね。映画に作らされるようになるんです。」(宮崎駿『出発点 1979〜1996』)。


    これを読むと、「創造」というものが受動態で表される事態のようにも見える。しかしながら、創造の思考・行為をしているなかで起きることについて言っているので、作家・芸術家は単なる受け身(受動)ではない。それは、能動的な面(つくろうという姿勢+思考+手を動かいて書いたり描いたり構築する)と受動的な面(物語の声を聴く、導かれる)という面を併せ持っている

    つまり、「創造」というものを、能動/受動のフレーム(構造)で捉えることことに無理があるのではないか、と感じる。能動/受動ではうまく捉えられないような事態が「創造」ということなのだ。

    そうだとすると、どう捉えればいいのか?

    このような「創造」(深い創造)がどういうことなのかを捉える鍵は、能動/受動のフレームではなく、かつての能動/中動というフレームである、と僕は考えている。言語で言うと、中動態(middle voice)と呼ばれる態で表現されるものである。

    「創造」(creation)とは、中動態で表される事態であって、それを無理に能動/受動のフレームで理解しようとするから、無理が生じていると考えることができるのではないか。

    我々は現在、能動/受動 を対に考える言語・思考 に慣れ親しんでいる。「する/される」の対立である。

    Active_Passive.png

    しかし、人類は長い間、インド=ヨーロッパ語や、古代ギリシア語、サンスクリット語などが示すように、能動/中動 が対になっていて、受動の感覚・捉え方は無かったようだ。しかも、能動/中動の時代には、同じ「能動」でも、能動/受動のときとは異なる意味で、能動が定義されていたという。

    言語学者のエミール・バンヴェニストは『一般言語学の諸問題』で、能動/中動のフレームにおける能動では、「動詞は主語から出発して、主語の外で完遂する過程を指し示している」といい、これに対立する態である中動では、「動詞は主語がその座となるような過程を表している。つまり、主語は過程の内部にある」と指摘した。

    この言葉を借りて言うならば、「創造」とは、「動詞は主語がその座となるような過程を表している。つまり、主語は過程の内部にある」出来事なのではないだろうか。

    Active_Middle.png

    このことを実践的な感覚で述べているのが、スティーブン・キングだ。

    「作家がしなければならないのは、ストーリーに成長の場を与え、それを文字にすることなのである」(スティーヴン・キング『書くことについて』)


    この発言は、その作品をつくっている主語(作家)が「場」(座)となるということを言い表していると捉えることができる。

    建築家のクリストファー・アレグザンダーも同様のことを述べている。

    「あなたの頭は一つの媒体である。そこでパタンと現実世界との間の創造の火花をちらすことができる。あなた自身は、この創造の火花の単なる媒体にすぎず、その発生源ではない。」(アレグザンダー『時を超えた建設の道』)

    「人は単なる媒体にすぎず、そこでパタンに生命が吹き込まれ、ひとりでに新しい何かが生み出されるのである。」(アレグザンダー『時を超えた建設の道』)

    「だが、いったん肩の力を抜き、自分が媒体になったつもりで、自分を通してその場のさまざまな力を作用させてみれば、何の助けも借りず、ランゲージがほとんどすべての作業を行い、建物が自力で形成されることが分かるのである。」(アレグザンダー『時を超えた建設の道』)


    このように、「創造」が自分を場(座・媒体)として起きるのである。

    createという動詞がインド=ヨーロッパ語や、古代ギリシア語、サンスクリット語などでどのような態で使われどのような意味を持っていたのかは、いまの僕にはわからない(なので、サンスクリット語を勉強しようと思って、最近いろいろ入門書や文法書を買い集めている。インド=ヨーロッパ語や古代ギリシア語なども、わかる人がいたら教えてください)。

    しかし、僕が思うに、おそらくcreateというのは、中動態に合う動詞であっただろうと推察する。

    もともと動詞は、人間の行為ではなく、出来事を表す言葉であったことが知られている。のちに能動/受動のフレームのなかでは、それが主語に紐づけられ、主語の行為を表す品詞として定着することになった。「創造」とは、行為ではなく、出来事を表す言葉だったのではないだろうか。

    creationに関して、ひとつ興味深い話がある。

    西洋では、creationと言えば、その最大のものは、大文字のCで始まるCreation、すなわち、神による世界の創造(創生)である。

    神は、自分を座として、世界の創造を行った。神を人のような主体と捉えると、世界は主体の外でつくられる。

    しかしながら、スピノザの神の理解によれば、神は無限であり、限りがない(外部をもたない)ので、世界全体が神だということになる(國分功一郎『はじめてのスピノザ』など参照)。

    そうやって中動態+スピノザで理解すれば、神は座となり世界を中動態として表されるべき出来事としての「創造」によって世界が立ち現れたと言えるのではなかろうか。これが中動態+スピノザでCreationを考えるときの、僕の捉え方である。

    神の世界のCreationについては、森田亜紀が『芸術の中動態:受容/制作の基層』で興味深いことを指摘している。

    「旧約聖書「創世記」の冒頭には、神が「光あれ」と言って光が出来たその後、「神は光を見てよしとされた」と書かれている。天地創造において、神は自らの創造したいちいちのものについて、それを見て「よし」とする。すべてをつくり終わった後にも神は「その造られたすべてのものを御覧になると、見よ、非常によかった」と述べたという。全知全能であるという神の定義からすれば、これは不思議な記述である。全能である以上、神は、意図したこと着想したことをそのまま実現することができる。こうつくろうと思った世界を、思った通り確実につくることができる。」(森田亜紀『芸術の中動態』)

    「どのような世界が出来上がるか、神はあらかじめ知っていたはずなのだ。それなのに神は、出来た世界をわざわざ目で見て確認し、「よし」と評価する。このことは、たとえ神においてであれ、実現に先立って頭に思い浮かべられていたものとそれが実現してできた実味の事物とのあいだに、区別があることを示唆する。創造によって現実に存在するようになったものには、創造主にとってすらあらためて目で見て「よし」と確認する必要や余地があるような、見ることによってはじめて捉えられる何事かがあるらしい。」(森田亜紀『芸術の中動態』)

    「おそらくつくり手は、出来上がった作品を「見る」ことで、頭の中にあったことを超える何かが、今まで知らなかった何事かに出会うのだろう。」(森田亜紀『芸術の中動態』)


    "万能"の神でさえ、「創造」(creation)とはそのような事態なのだ。創造とは、頭のなかで考えたことを外化するということではないのである。

    それは、自分を座(場)として何かが生成するという出来事のことを言うのである。

    これが、僕の、中動態で表されるべき「創造」の考えである。

    創造は、能動/受動フレームでは正しく捉えることができず、どうしても中動態という物の見方を取らないと理解できない。「中動態」の捉え方でなければ、正しく捉えることができない事態である必然性と必要性が、そこにはある。

    以上が、創造と中動態の関係として、僕が考えていることである。

    DeepCreation_MiddleVoice.png
    「創造性」の探究 | - | -
    CATEGORIES
    NEW ENTRIES
    RECOMMEND
    ARCHIVES
    PROFILE
    OTHER