井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

<< November 2022 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

慶應義塾大学SFC「創造社会論」2022シラバス

創造社会論2022
慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
担当教員:井庭崇
開講:2022年度秋学期(前半)
曜日時限:金曜4・5限※
※ 学期後半には、同じ曜日時限に「ワークショップデザイン」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。
実施形態:完全オンライン開講(Zoom)

CreSoc2022.png


【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

これからの社会は、どのような社会になるでしょうか? 本講義では、これからの社会を、一人ひとりが本来もっている創造性を十全に発揮する「創造社会」(Creative Society)になるという想定から出発します。創造社会では、誰もがさまざまな分野・領域で「つくる」ことをごく当たり前に行うようになります。そして何よりも、「つくる」ということが、生活・人生の豊かさや幸せを象徴するようになっていきます。

かつてインターネットの登場によって始まった「情報社会」では、生活が変わり、組織が変わり、社会が変わりました。同様に、「創造社会」の到来においても、生活・組織・社会のあり方が大きく変わることになるでしょう。そこで、その変化とはどのようなものなのか、そして、それらの変化は何をもたらすのかを考えることは、これからの未来に向かうための重要な準備となります。

そのような未来に向け、本講義では、自然や創造にまつわる実践・研究に取り組んでいる方々をゲストにお招きし、対話を重ね、「創造社会」の未来像を描き深めていきます。それぞれの対談で知り学んだ考え方や取り組み方を、履修者一人ひとりがパターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちのこれからの実践につなげていくことができるようにすることが、最終的にこの授業で取り組むことです。

2022年度秋学期の各回のテーマは、「つくり手たちのコミュニティ」、「旅にまつわるスタートアップ」、「創造のプロセスと人生」、「自然エネルギー」、「感性」、「プラネタリーヘルス」、「手放す」です。

この授業では、単に受け身で話を聞くというのではなく、想像力をフルに発揮して未来像を思い描くとともに、重要な考え方や実践のコツを自らつかみ取りにいく姿勢で参加することが期待されています。授業は、Zoom上で行いますが、オンライン上でも相互の存在感とコミュニケーションのために、カメラオンで参加してください。また、各自、書籍『プロジェクト・デザイン・パターン』を入手してもらい、授業と並行して読む宿題を毎週出します。

担当教員・井庭崇から学生のみんなへ:時間が経てば「未来」はやってきます。でも、それは自分たちの望んでいる未来ではないかもしれません。いや、むしろ、何もしなければ、望む未来がやって来るなんてことはないでしょう。だから、僕たちは未来に向かって、理想・ヴィジョンと、それを実現する物事をつくり続けていかなければなりません。この授業は、よりよい未来に向けて自分にできることを精一杯(しかも創造的に、面白そうに)やっている大人たちがいることを、みんなにも知ってほしくて・感じてほしくて企画しました。「自分たちの未来を自分たちでつくる」という道へ、ようこそ!たくさん刺激を受けて、自分のエネルギーにしてもらえればと思います。


【授業計画】

第1・2回(10/7):「つくり手たちのコミュニティ」(小竹 貴子さん × 井庭 崇)
小竹 貴子さん(クックパッド株式会社 Evangelist コーポレートブランディング部本部長) をゲストにお招きし、料理の「つくり手たちのコミュニティ」の立ち上げと運営についてお話を伺い、語り合います。

小竹 貴子(Takako Kotake)
クックパッド株式会社 Evangelist コーポレートブランディング部 本部長。1972年石川県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオでWEBディレクターを経験後、2004年有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。2006年編集部門長就任、2008年執行役就任。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010」を受賞。個人活動として料理教室なども開催している。シンプルでおいしく、しかも手順がとても簡単なレシピが大人気で、『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』がロングヒットに。
クックパッド: https://cookpad.com
Forbes Japan コラム: https://forbesjapan.com/author/detail/1833
Diamond online コラム: https://diamond.jp/ud/authors/5f06adc477656174ec010000


第3・4回(10/14):「旅にまつわるスタートアップ」(篠塚 孝哉さん × 井庭 崇)
篠塚 孝哉さん(株式会社令和トラベル代表取締役社長)をゲストにお招きし、事業を興すということについてお話を伺い、語り合います。

篠塚 孝哉(Takaya Shinozuka)
2011年株式会社Loco Partnersを創業、2013年に宿泊予約サービス「Relux」を開始。17年春にはKDDIグループにM&Aにて経営参画、最年少子会社社長(当時)として経営執行を担う。2020年3月にLoco Partnersの社長を退任。2021年4月、株式会社令和トラベルを創業。同年6月には、シードラウンドで22.5億円の大型資金調達を実施。「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに海外旅行代理業を展開。2022年4月、海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」をリリース。
株式会社令和トラベル:https://www.reiwatravel.co.jp/


第5・6回(10/21):「創造のプロセスと人生」(森本 千絵さん × 井庭 崇)
森本 千絵さん(アートディレクター、魅力製造家)をゲストにお招きし、創造プロセスの実際と、つくる人生についてお話を伺い、語り合います。

森本 千絵(Chie Morimoto)
1976年青森県三沢市で産まれ、東京で育つ。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科を経て博報堂入社。2007年、もっとイノチに近いデザインもしていきたいと考え「出会いを発明する。夢をカタチにし、人をつなげる」をモットーに株式会社goen°を設立。現在、一児の母としてますます精力的に活動の幅を広げている。niko and...の菅田将暉・小松菜奈のビジュアル、演出、SONY「make.believe」、組曲のCM企画演出、サントリー東日本大震災復興支援CM「歌のリレー」の活動、Canon「ミラーレスEOS M2」、KIRIN「一番搾り 若葉香るホップ」のパッケージデザイン、NHK大河ドラマ「江」、朝の連続TVドラマ小説「てっぱん」のタイトルワーク、山田洋次監督『男はつらいよ50 お帰り寅さん』に続き『キネマの神様』の広告や劇中画を手掛けている。他にも松任谷由実、Official髭男dism、Mr.Children30周年のアートワーク広告の企画、演出、商品開発、本の装丁、映画・舞台の美術や、動物園や保育園の空間ディレクション、青森新空港のステンドグラス壁画を手掛けるなど、活動は多岐にわたる。また自社ブランド「mono°goen°」ECサイトの立ち上げ、22年2月にオープンしたATELIER&SHOP goen°ではこれまで紡いできた“ご縁”をより豊かに進化させるため、新たな「goen°」を分かち合うための場所として広げていく。受賞歴に、N.Y.ADC賞、ONE SHOW、朝日広告賞、アジア太平洋広告祭、東京ADC賞、JAGDA新人賞、SPACE SHOWER MVA、ADCグランプリ、日経ウーマンオブザイヤー2012、50th ACC CM FESTIVALベストアートディレクション賞、伊丹十三賞、日本建築学会賞、など。著書に、『GIONGO GITAIGO J゛ISHO』、『MORIMOTO CHIE Works 1999-2010 うたう作品集』、『アイデアが生まれる、一歩手前の大事な話』、絵本『おはなしのは』『母と暮せば』。
goen°: http://www.goen-goen.co.jp


第7・8回(10/28):「自然エネルギー」(山川 勇一郎さん × 井庭 崇)
山川 勇一郎さん(たまエンパワー株式会社代表取締役、株式会社さがみこファーム代表取締役)をゲストにお招きし、自然エネルギーのこれからについてお話を伺い、語り合います。

山川 勇一郎(Yuichiro Yamakawa)
1975年東京都多摩市生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 社会イノベーターコース修了。たまエンパワー株式会社代表取締役、株式会社さがみこファーム代表取締役。幼少期から登山など自然に親しみ、20-30代は富士山麓でプロ自然ガイドとして年間3,000人を自然の中にいざなう。東日本大震災を機に地元多摩市にUターンし、地域主導による屋根上太陽光発電事業を手掛けたのち、2015年たまエンパワー株式会社を創業( https://tamaempower.co.jp/ )。太陽光発電事業に加え、地方自治体の脱炭素コンサルティング等を手掛ける。2019年農業に参入。太陽光発電と農業を組み合わせた「ソーラーシェアリング」を相模原市で初めて実現する。自然豊かな津久井地域の山間部で、33種類1100本のブルーベリーの摘み取りができる会員制の体験農園「さがみこベリーガーデン」を2021年6月開園( https://sagamico-bg.org/ )。食とエネルギーを通じて自然と調和した地域の未来づくりを目指す。
たまエンパワー株式会社: https://tamaempower.co.jp
さがみこファーム: https://sagamicofarm.co.jp


第9・10回(11/4):「感性にもとづく実践」(小阪 裕司さん × 井庭 崇)
小阪 裕司さん(オラクルひと・しくみ研究所代表)をゲストにお招きし、人間活動における感性と行動についてお話を伺い、語り合います。

小阪裕司(Yuji Kosaka)
オラクルひと・しくみ研究所代表。博士(情報学)。山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業・広告代理店を経て、1992年オラクルひと・しくみ研究所設立。人の「感性」と「行動」を軸にした独自のビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系(感性科学)マーケティング実践会」主宰。全都道府県および海外から約1500社が参加。22年に渡る活動で、1万5千件を超える現場での成果実例を生み出しており、その数は日々増え続けている。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得、産官学にまたがり、年間数多くの講演・講義も行う。2017年からは、この理論と実践手法を全国の企業に広める事業が経済産業省の認定を受けている。日本感性工学会理事、九州大学招聘講師。「日経MJ」(日本経済新聞社発行)での550回を超える人気コラム「招客招福の法則」をはじめ、連載、執筆多数。著書は、『「顧客消滅」時代のマーケティング』(PHP研究所)、『価値創造の思考法』(東洋経済新報社)はじめ、新書・文庫化・海外出版含め41冊。今夏新刊『「価格上昇」時代のマーケティング』(PHP研究所)出版予定。YouTubeチャンネル(小阪裕司の「商売道場」)
オラクルひと・しくみ研究所: https://kosakayuji.com/
ワクワク系(感性科学)マーケティング実践会: https://kosakayuji.com/wakuwaku/
YouTubeチャンネル - 小阪裕司の「商売道場」: https://www.youtube.com/channel/UCtH73krTrRqmEKabaq4UPug


第11・12回(11/11):「プラネタリーヘルス」(桐村 里紗さん × 井庭 崇)
桐村 里紗さん(医師、tenrai株式会社 代表取締役) をゲストにお招きし、「土」と微生物の観点から、人と地球の健康についてお話を伺い、語り合います。

桐村 里紗(Lisa Kirimura)
医師・認定産業医/tenrai株式会社 代表取締役医師。東京大学大学院工学系研究科道徳感情数理工学講座特任研究員(2022.9.1〜)。臨床医として予防医療から生活習慣病、在宅終末期医療まで幅広く臨床経験を積み、現在は人口最少県の人口最小の町・鳥取県江府町(人口2,600人)へ移住し、人を含む惑星全体のシステムを最適化する「プラネタリーヘルス」の社会実装を産官学民連携で行う。SONYコンピューターサイエンス研究所の研究・実装する「拡張生態系」の実験圃場を地元Jリーグチームと共に運営したり、江府町において、自然資本や人的資本に基づいたプラネタリーヘルス地域モデル(鳥取江府モデル)構築を行う。東京大学では量子ゲート数理「四則和算」を応用したポストデジタルシステムの研究・実装を行い、新文明の萌芽を描く。土と微生物を結節点に健康課題と地球課題を同時に解決するプラネタリーヘルスの理論と実践の新著『腸と森の「土」を育てる:微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
tenrai株式会社: https://tenrai.co


第13・14回(11/25):「手放す」(藤田 一照さん × 井庭 崇)
藤田 一照さん(曹洞宗僧侶)をゲストにお招きし、生きることや創造における「手放す」ことの大切さとその実践についてお話を伺い、語り合います。

藤田 一照(Issho Fujita)
曹洞宗僧侶。1954年愛媛県生まれ。東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻博士課程を中途退学し、曹洞宗僧侶となる。1987年よりアメリカ合衆国マサチューセッツ州西部にある禅堂に住持として渡米、近隣の大学や仏教瞑想センターでも禅の講義や坐禅指導を行う。2005年に帰国。2010年から2018年まで、サンフランシスコにある曹洞宗国際センター所長。神奈川県葉山町にて慣例に捉われない独自の坐禅会を主宰している。Facebook上で松籟学舎一照塾を主宰。著書に『現代坐禅講義』、『現代「只管打坐」講義』、『禅トレで生きるのがラクになる』、『禅僧が教える考えすぎない生き方』、『ブッダが教える愉快な生き方』。共著に『あたらしいわたし』、『仏教は世界を救うか?』、『脳科学は宗教を解明するか?』、『禅の教室』、『アップデートする仏教』、『退歩のススメ』、『感じて、ゆるす仏教』、『〈仏教3.0〉を哲学する』、『仏教サイコロジー』、『〈仏教3.0〉を哲学する バージョン2』、『不要不急』、訳書にティク・ナット・ハン『禅への鍵』、『法華経の省察』、ドン・キューピット『未来の宗教』、ラリー・ローゼンバーグ『〈目覚め〉への3つのステップ』、キャロライン・ブレイジャー『自己牢獄を超えて』、『禅マインド ビギナーズ・マインド2』がある。
松籟学舎一照塾: https://www.facebook.com/isshojuku
藤田一照HP: http://fujitaissho.info


第15回:対談から得たことをパターン・ランゲージのかたちでまとめる

文献宿題で読んだ『プロジェクト・デザイン・パターン』の形式を参考にしながら、対談から得た・学んだ「大切なこと」ことを、パターン・ランゲージの形式でまとめていきます。(授業時間外)


【履修選抜課題】
受入学生数(予定):150人程度を想定
※希望者が多ければ、より多くの人を受け入れる可能性があります。

選抜方法:課題提出による選抜

「自己紹介 × 未来ヴィジョン」シート

担当教員とゲスト登壇者に向けて、自己紹介+自分の未来ヴィジョンを、1ページで魅力的に表現してまとめて提出してください。

自分のこれまでと今の興味・やっていること等を紹介するとともに、これからの自分の方向性ややりたいこと・夢・挑戦などのヴィジョンを魅力的に表現してください。必ずジャスト1ページに収め(多すぎず少なすぎず)、そのなかに「名前」と「ふりがな」を入れ、自分の人となりを表す「写真」も含めるようにしてください(写真はアップでも遠景でも構いませんし、紙面が許すならば複数入れても構いません)。

この「自己紹介 × 未来ヴィジョン」シートでは、文字だらけのいわゆる志望理由書やレポートのようなものを求めていません。紙面を文章で埋めるのではなく、パッと見て・読んで理解できるように、短めの文を配置したりして、わかりやすさを心がけてください。ビジュアル要素も入れて魅力的に表現してほしいと思います。また、アップできるファイル容量には制限があるということと、〆切直前はシステムが重くなるので、それらの点にも注意して早めの準備・提出をしてください。

担当教員とゲスト登壇者が見て「履修者にはこういう人がいるんだ!」と魅力的に感じられるような1枚にしてほしいと思います(実際にゲスト登壇者に事前にファイルを共有します)。

提出の際には、必ずPDFファイルで提出してください(形式が異なる場合には履修選抜の対象になりません)。

今年は教室の制約もないことから、基本的にはより多くの人を受け入れたいと思っていますが、上記の内容や形式の要件を満たしていない人(内容が薄すぎる、文章ばかりのものになっている、分量的に少なすぎるか多すぎる、PDFではないファイル形式での提出など)は、授業中・課題等でも同様の可能性があるため、定員人数にかかわらず履修不許可とするので、注意してください。


【提出課題・試験・成績評価の方法など】

成績評価は、出席と授業中の議論への参加とふりかえり宿題(40%)、文献宿題(25%)、期末レポート(35%)にもとづき総合的に評価します。


【履修上の注意】

  • 授業時は、履修者同士ともに学んでいることを感じられ、話し手も聴き手の反応を感じられるように、カメラをオンにして参加してください。また、これは、実際にそこにいて話を聴いていることの確認でもあります。カメラオンで参加したくないという人は、この授業は履修しないようにしてください。
  • 毎週、授業から自分が学んだことをまとめる「ふりかえり」の宿題とともに、文献(教科書)を読んでまとめを提出する「文献読解」の宿題も出ます。
  • 学期後半には、同じ曜日時限に「ワークショップデザイン」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。


    【教材・参考文献】

    教科書指定

    参考文献(井庭)

    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
    • 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019)
    • 『ジェネレーター:学びと活動の生成』(市川力, 井庭崇, 学事出版, 2022)
    • 『おもてなしデザイン・パターン:インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』(井庭 崇, 中川 敬文, 翔泳社, 2019年)
    • 『対話のことば:オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』(井庭 崇, 長井 雅史, 丸善出版, 2018)
    • 『ともに生きることば:高齢者向けホームのケアと場づくりのヒント』(金子 智紀, 井庭 崇, 丸善出版, 2022)
    • 『コロナの時代の暮らしのヒント』(井庭崇, 晶文社, 2020)


    参考文献(ゲスト)

    • 『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(小竹 貴子, 日経BP, 2020)
    • 『料理手順がスラスラわかる 図解レシピ』(小竹 貴子, 飛鳥新社, 2021)
    • 『驚くほどシンプルでおいしくなる サラダのアイデア帖』(小竹 貴子, PHP研究所, 2021)
    • 『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(小竹 貴子, 学研プラス, 2022)
    • 『月給たった5万円! でも、選びました 空回りの20代から、30代でクックパッドの役員になれたわけ』(小竹 貴子, 講談社 (2013
    • 『仕事が速い人が必ずやっている整理の習慣』(篠塚 孝哉, かんき出版, 2012)
    • 『アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話』(森本 千絵, サンマーク出版, 2015)
    • 『うたう作品集:MORIMOTO CHIE Works 1999‐2010』(森本 千絵, 誠文堂新光社, 2010)
    • 『おはなしのは』(森本 千絵, 講談社, 2015)
    • 『デザイナーが未来に残したい私の3ヵ条』(水野 学, 森本 千絵 ほか, 玄光社, 2018)
    • 『腸と森の「土」を育てる:微生物が健康にする人と環境』(桐村 里紗, 光文社, 2021)
    • 『現代坐禅講義:只管打坐への道』(藤田 一照, KADOKAWA, 2019)
    • 『現代「只管打坐」講義:そこに到る坐禅ではなく、そこから始める坐禅』(藤田 一照, 佼成出版社, 2020)
    • 『ブッダが教える愉快な生き方』(藤田 一照, NHK出版, 2019)
    • 『禅僧が教える考えすぎない生き方』(藤田 一照, 大和書房, 2018)
    • 『アップデートする仏教』(藤田 一照, 山下 良道, 幻冬舎, 2013)
    • 『〈仏教3.0〉を哲学する』(藤田 一照, 永井 均, 山下 良道, 春秋社, 2016)
    • 『〈仏教3.0〉を哲学する バージョンII』(藤田 一照, 永井 均, 山下 良道, 春秋社, 2020)
  • 授業関連 | - | -

    慶應義塾大学SFC「ワークショップデザイン」2022シラバス

    ワークショップデザイン2022
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭崇
    開講:2022年度秋学期(後半)
    曜日時限:金曜4・5限※
    ※ 学期前半には、同じ曜日時限に「創造社会論」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。
    実施形態:完全オンライン開講(Zoom)

    WorkshopDesign.jpeg


    【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

    「対話による学び」や「つくることによる学び」の場をどのようにつくればよいのでしょうか? 本講義では、その場のひとつのかたちとして「ワークショップ」(workshop)の可能性を考えます。

    現在、いろいろな種類のワークショップが開かれていますが、それらのワークショップの背後にはどのような設計意図や工夫があるのでしょうか? また、自分たちがワークショップをつくるときには、何をどのように考えればよいのでしょうか? そして、ワークショップのファシリテーションにおいては、何に気をつければよいのでしょうか?

    これらのことを考え・学ぶために、授業と並行して、ワークショップを考案・設計するグループワークを行います。授業の後半では、他の履修者を対象に、自分たちの考案・設計したワークショップを実施します。これにより、「ワークショップデザイン」の感覚・スキルを実践的に高めたいと思います。最終的には、履修者ひとりひとりがつかんだワークショップ・デザインの秘訣を、パターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちの実践につなげる準備を行うことにします。

    今年度も完全オンライン開講で、みんなでオンラインでのワークショップ(広義の参加型オンライン授業やオンライン・イベント等)の可能性を探究します。授業はZoom上で行いますが、オンライン上でも相互の存在を感じられ、よりよいコミュニケーションができるため、また、ワークショップへの参加があるため、必ずカメラオンで参加し、ミュートを外して話すことができる環境で受講してください。

    なお、考えを深めてもらうために、授業と並行して文献を読んで学んでいくという宿題を出しますので、各自、書籍『クリエイティブ・ラーニング』を入手しておいてください。


    【授業計画】

    第1回(12/2):イントロダクション
    授業の内容、進め方について理解します。

    第2回(12/2):ワークショップ体験
    オンラインでのワークショップを体験してみます。

    第3回(12/9):「全体性のたまご」アプローチによるデザイン
    全体性を考慮しながら、部分をつくり込んでいく「全体性のたまご」アプローチによるデザインについて学びます。(オンデマンド配信の予定)

    第4回(12/9):いくつかのワークショップの紹介
    パターン・カードを用いた対話ワークショップやフューチャー・ランゲージ・ワークショップなど、いくつかのワークショップを紹介し、その設計上の工夫や実施事例を紹介します。(オンデマンド配信の予定)

    第5回 (12/16):ワークショップ実践 #1
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第6回 (12/16):振り返り・ディスカッション #1
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第7回 (12/23):ワークショップ実践 #2
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第8回 (12/23):振り返り・ディスカッション #2
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第9回 (1/6):ワークショップ実践 #3
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第10回 (1/6):振り返り・ディスカッション #3
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第11回 (1/13):ワークショップ実践 #4
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第12回 (1/13):振り返り・ディスカッション #4
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第13回 (1/20):ワークショップ実践 #5
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第14回 (1/20):振り返り・ディスカッション #5
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第15回:ワークショップ・デザインのパターン・ランゲージ作成
    授業でつかんだワークショップ・デザインのコツを、パターン・ランゲージの形式で記述していき、最終レポートを作成します。(授業時間外)


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):約150人

    選抜方法:課題提出による選抜

    「自分が好きな作品の分析」

    以下の内容をA4で1ページに収め、PDFファイルにして提出してください。

    まず最初に、名前、学籍番号、SFCのメールアドレスを明記

    映画、漫画、小説、ゲーム、ドラマ、演劇、テレビ番組、Youtube、ミュージシャン、芸人など、「自分がとても好きな作品」を取り上げ、自分が感じる「すばらしさ」(魅力)を分析してください。

    (1)まず、その作品を知らない人に対して、それがどういうものかがわかるように簡単に説明してください。

    (2)その上で、そのどこがどのように自分の「好き」を生んでいるのか(つまり自分はその作品のどこにどのように惹かれているのか)を「分析」し、説明してください。

    この課題は、作品をただ受け取り消費するということを超えて、「その作品がどのような成り立ちをしているのか」と「自分が惹かれるのはどういう点なのか」を自覚するためのものです。好きな作品だからといって、ただただその説明に終始するのではなく、必ず分析的な目で分析して、それについて書くようにしてください。

    提出の際には、必ず1ページPDFファイルを提出してください。以上の要件をみたない課題が提出された場合には、選抜の対象外とします。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績評価は、出席と授業中のワークショップや議論への参加(30%)、ふりかえりと文献の宿題(30%)、グループワークへの貢献と期末レポート(40%)から総合的に評価します。


    【履修上の注意】

  • 授業時間外にしっかりとグループワークの活動をすることが求められます。
  • オンライン上でも相互の存在を感じられ、よりよいコミュニケーションができるため、また、ワークショップへの参加があるため、必ずカメラオンで参加し、ミュートを外して話すことができる環境で受講してください。そのように受講できない人は、この授業の履修はしないでください。
  • 毎週、授業から自分が学んだことをまとめる宿題とともに、文献(教科書)を読んでまとめを提出する文献読解宿題も出ます。
  • 本授業では、コミュニケーションツール「slack」を用いて、授業に関するアナウンスや、グループワークのやりとりなどを行います。こまめにアクセスするようにしてください。
  • 学期前半には、同じ曜日時限に「創造社会論」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。


    【教材・参考文献】

    教科書


    参考文献

    • 『ジェネレーター:学びと活動の生成』(市川力, 井庭崇, 学事出版, 2022)
    • 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』(井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)
    • 『おもてなしデザイン・パターン:インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』(井庭 崇, 中川 敬文, 翔泳社, 2019年)
    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
  • 授業関連 | - | -

    Syllabus: EXPLORING CREATIVE SOCIETY (GIGA) 2022 - Keio SFC

    EXPLORING CREATIVE SOCIETY (GIGA) 2022
    Faculty of Policy Management / Faculty of Environment and Information Studies, Keio University
    Faculty-in-charge: Takashi Iba
    Semester: Fall semester (2nd half of semester), 2022
    Day and Time: Friday 1st & 2nd Period
    Credits: 2
    Delivery: Fully Online

    CreSocGIGA.jpeg

    OBJECTIVES AND TEACHING METHOD

    What would society be like in the future? This class sets off by imagining that society of the future will be a “Creative Society” where each and every person makes full use of their own creativity that they originally hold within themselves. In a creative society, it will become a commonplace for everyone to “create” in many different fields and domains.

    In the past, “Information Society,” which began with the advent of the Internet, changed our lives, organizations, and society. In the same way, the arrival of Creative Society will bring enormous change in the way we live, organize and live in society.

    Imagining what those changes are and what they will bring is an important in preparation for the future. Methodologies and tools regarding the creation of a future where we can live well are important. In this course, I will share an idea that I have devoted myself to for a decade, my relevant works and my experience with you.

    The idea is to create and utilise ‘pattern languages’ for creative human actions in order to encourage people to improve their practices and dialogue in many domains. Pattern language is the media for identifying common patterns of good practices embedded in specific domains and sharing the wisdom with others. It was originally proposed in the architecture domain in the 1970s and has since been applied to various domains such as software development, education and organisations.

    For the past 15 years, my collaborators and I have created more than 80 pattern languages on diverse topics that provide tacit practical knowledge of creative human actions, comprising more than 2,000 patterns in total. Topics include the following: learning, collaboration, presentation, project design, open dialogue, education, reading, music composition, project design, startup, value-creation marketing, social intrapreneurs, change making, cooking, living well with working and parenting, living well with dementia, elderly care, management of child care, employment of people with disabilities, welfare innovation, hospitality, life transition, beauty in everyday life, natural living, digital transformation, disaster prevention and public policy design.

    These pattern languages have been practically utilised to improve practices and generate dialogues among people in various organisations and communities. I also have developed a methodology and philosphy for creating a pattern language that contains aspects of both of science and art. You will learn the case of a new type of academic study, which I call "Studies on Creative Practice".

    In this class, students are not expected to simply listen passively, but to participate with an attitude of fully exercising your imagination, envisioning the future, and grasping important ideas and practical tips on their own. In this class, there will also be time for students to practice and talk with each other in the Zoom breakout rooms, so please actively participate in them as well. Therefore, it is required to turn on your Zoom camera to show your reactions and to naturally interact with your classmates.

    Message from Professor Takashi Iba to the students:
    “The future will come as time goes by. But it may not be the future that we all hope for. Or rather, if we don’t take action, the future we hope for will never come. That is why we must continue to create ideals, visions, and things to realize them for the future. This class is designed to let everyone know and feel that there are adults out there who are doing all that they can (especially in creative and exciting ways) for a better future. Welcome to the way of Creating our future ourselves! I hope you will be inspired and use it as energy to light up your future.”


    CLASS SCHEDULE

    #1-2 - Dec. 2nd: Creative Society and Pattern Language as Media

    You will learn what is a vision of "creative society" and media that is called "pattern language". “Creative Society” is defined as a society where people create their own goods, tools, concepts, knowledge, mechanisms, and ultimately the future with their own hands. Creation in this society is no longer limited to just companies and organizations, but is entrusted to each and every individual. In such a creative society, pattern languages are key media for supporting creative acts. A Pattern Language is a collection of information called “patterns,” which together works in a language-like structure to scribe out the practical knowledge related to a certain field of knowledge. In addition, we will hold a dialogue workshop with using a pattern language for experiencing how to use a pattern language.


    #3-4 - Dec. 9th: Utilizing Pattern Languages

    You will learn what kind of pattern languages have been created and how they were utilized in the real world: learning, collaboration, presentation, project design, open dialogue, education, reading, music composition, project design, startup, value-creation marketing, social intrapreneurs, change making, cooking, living well with working and parenting, living well with dementia, elderly care, management of child care, employment of people with disabilities, welfare innovation, hospitality, life transition, beauty in everyday life, natural living, digital transformation, disaster prevention and public policy design. This class will be provided as a video on demand.


    #5-6 - Dec. 16th: Creation Process of Pattern Language

    You will learn how to create a pattern language, which the methodology has been developed in Iba Lab, Keio SFC. The process consists of three phases: Pattern Mining, Pattern Writing, and Pattern Symbolizing. You will experience pattern writing, following the Pattern Writing Sheet and give a short presentation in the class.


    #7-8 - Dec. 23rd: Community Development (Guest Speaker: Mitsu Yamazaki)
    We will invite Mitsu Yamazaki as a guest speaker who is involved in creative activities related to the Creative Society. The bio of Mitsu Yamazaki is as follows:

    Mitsuhiro Yamazaki
    CEO, MITSU YAMAZAKI LLC
    Visiting Professor, Yokohama National University

    Mitsu is an urban planner and an international business strategist based in Tokyo. Mitsu has built his career in the United States for the last 24 years, including time in Mexico and brings a unique perspective to his projects in urban development, smart city technologies and international business development.
    Prior to being an independent consultant, he worked as the International Business Development Officer for Prosper Portland, where he led the export development and foreign direct investment recruitment efforts for the City of Portland (Oregon). During his tenure he worked on a successful global trade development initiative called We Build Green Cities to guide the building of more sustainable cities around the world engaging Portland's urban design firms and best practices. One of the most notable projects he led is called Kashiwanoha Smart City Campus master plan in Japan. It is currently the largest LEED Platinum ND project in the world and was awarded the MIPIM award.
    Previously, Mitsu was a Director of Corporate Services for TIP Strategies, an Austin-based economic development consulting firm providing site selection, international business development and strategic planning services to clients in government, renewable energy and automotive sectors.
    Before TIP, he worked as the Vice President at San Antonio Economic Development Foundation as well as a Business Development Manager for Yates Construction Co., an international construction/engineering firm, focused on major industrial and commercial development projects. His prior clients include Toyota, Nissan, Honda, MUJI, Lowe’s Home Improvement and Ajinomoto.
    He currently serves as a strategic advisor to the City of Tsukuba, a consultant to the World Bank’s Tokyo Development Learning Center and advisor to several corporations and municipalities in the U.S. and Japan. He is a Senior Fellow at the Center for Public Services at Portland State University, Senior Fellow at Keio University (SFC).


    #9-10 - Jan. 6th: Pattern Language as a Work
    The feature of pattern language is not limited to functional aspect; It is also a kind of an artistic work such as novel, song and film. Pattern languages are sometimes considered as a new kind of literature. You will learn fascinating design with wholeness and fine detail like a story emmbedded in a pattern language and structure for pattern illustrations. You will also experience drawing pattern illustration and giva a short presentation in the class.


    #11-12 - Jan. 13th: Principles of Natural Deep Creation
    Writers, artists, and composers sometimes talk what happens in their creation. I have studied what they said for a long time, and discovered very interesting similarities, which is unfamiliar in general. The findings are organized into principles, which I call "Principles of Natural Deep Creation". You will learn the principles and discuss with reflecting on your experience.


    #13-14 - Jan. 20th: Collaborative Design with Future Language
    In the last class, you will learn a method for collaborative design with involving people, which I call "Future Language". Future Language is made by defining new “words” that represent visions or ideas for the future and collecting these words into a language. With these words, people are able to think of, imagine, and talk about a more richly imaginable future and collaborate towards it. You will learn cases of application in desiging restaurant, learning space, play field, workplace, and farmers market. You will experience creating a personal future language and giva a short presentation in the class.


    #15: Reflection
    Reflecting on the lectures.


    STUDENT SCREENING

    Only the selected students can take this course.
    Number of students in the class (scheduled) : About 150

    Pre-registration screening by submitted an assignment

    Self-Introduction Sheet

    Submit a one-page, engaging summary about yourself in a PDF format..

    This assignment is going to be shared among the instructor and guest speaker in advance to let them know the students’ characteristics and promote smoother engagements and communications over zoom calls.

    The introduction should entirely cover the following; where you have lived, what you have done, what your interests are and what you are doing/going to study at SFC. Please include what you would like to do and dreams/challenges you may have in the future if any.

    Be sure to keep it to ONE PAGE (neither too much nor too little, but just the right amount of information to get to know you). Please include your name, grade, and photos of yourself and what represents you. There is no specific requirement/number limitation on the amount of photos, but ones that most explains your personality are preferable.

    This screening is not asking for a typical resume or wordy application, but something that is designed according to your aesthetic. The most important things are to make it visually attractive, and easy to understand.

    The screening is not designed to see if your interests and experience match to the contents of class. However, if you don’t meet the above assignment and format requirements (e.g., not writing the assignment properly, only writing and not including visual elements, submitting too little or too much in terms of volume, submitting in a file other than PDF format, etc.), you may not be accepted.

    We are really looking forward to seeing your unique introductions!


    Assignments, Examination and Grade Evaluation

    Grading will be based on attendance, class participation including practice and reflection (60%) and final report (40%).


    Advice

    • In the class, it is required to turn on your Zoom camera to show your reactions and to naturally interact with your classmates.


    MATERIALS AND READING LIST

    • Takashi Iba & Fumio Kajiwara, translated by Ayaka Yoshikawa, Project Design Patterns: 32 Patterns of Practical Knowledge for Producers, Project Managers, and Those Involved in Launching New Businesses, CreativeShift, 2019
    • Takashi Iba with Iba Lab, Learning Patterns: A Pattern Language for Creative Learning, CreativeShift, 2014
    • Takashi Iba with Iba Lab, translated to German by Reinhard Bauer, Petra Szucsich & Martin Sankofi, Learning Patterns: Eine Mustersprache für kreatives Lernen, CreativeShift, 2018
    • Takashi Iba with Iba Lab, Presentation Patterns: A Pattern Language for Creative Presentations, CreativeShift, 2014
    • Takashi Iba with Iba Lab, Collaboration Patterns: A Pattern Language for Creative Collaborations, CreativeShift, 2014
    • Takashi Iba & Makoto Okada (eds), Iba Lab., and DFJI (Dementia Friendly Japan Initiative), Words for a Journey: The Art of Being with Dementia, CreativeShift, 2015
    • Tomoki Furukawazono & Takashi Iba, Survival Language Project, Survival Language: A Pattern Language for Surviving Earthquakes, CreativeShift, 2015
    • Mary Lynn Manns and Linda Rising, Fearless Change: Patterns for Introducing New Ideas, Addison-Wesley, 2004
    • Mary Lynn Manns and Linda Rising, More Fearless Change: Strategies for Making Your Ideas Happen, Addison-Wesley, 2015
    授業関連 | - | -

    井庭研 新規メンバー募集「創造実践学研究:ナチュラルにクリエイティブに生きる未来へ」

    iIbaLab2022fall.jpg

    井庭研シラバス(2022年度秋学期)
    「創造実践学研究:ナチュラルにクリエイティブに生きる未来へ」


    井庭研究室では、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」創造社会へのシフトを目指して、いろいろな領域でのよい実践の本質を捉えて言語化し、これから実践をしようとしている人々の支援をする研究に取り組んでいます。その研究活動に一緒に取り組む仲間を募集します。

    現在、井庭研では、学部生15人、修士4人、博士7人で研究活動に取り組んでいます。日頃の井庭研の様子は、現役メンバーがつくってくれたこの映像(5分)"「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことを研究している井庭研の日々はこんな感じ!" (https://youtu.be/jQKgVGrUvS8)を見てみてください。

    ilab_movie.jpg

    2022年度秋学期には、以下のプロジェクトが動く予定です。本シラバスに書いてある井庭研で目指していることや大切にしていることをよく理解した上で、エントリーしてください。

    (1) 中学校でのクリエイティブ・ラーニングとパターン・ランゲージ実践研究
    (2) 魅力的な組織の「よさ」「らしさ」の言語化と継承の実践研究
    (3) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究(フィリピン)
    (4) 創造を巻き起こす「ジェネレーター」のパターン・ランゲージの作成研究
    (5) 成果を上げる組織におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
    (6) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
    (7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケア研修の実践研究


    ■ 重要な日程
    • 井庭研説明会:7月20日(水)3・4限 @ τ12
      エントリーを考えている人は、できる限り参加してください。井庭研の概要説明のほか、現役メンバーと話す時間を設けます。
    • エントリー〆切:7月23日(土)23:59
    • 面接:7月25日(月)(キャンパスで対面で実施)
    • 春学期末発表会:7月28日(木) (キャンパスで対面で実施)
      秋にも続くプロジェクトの発表があるのと、井庭研でやっていることについて学ぶことができるので、都合をつけて、ぜひ参加してください。

    8〜9月には、夏の特別研究プロジェクトを実施します。面接後、合格した新規メンバーも、夏の特別研究プロジェクトに履修参加することができます。特別研究プロジェクトのシラバス「実践の本質学:パターン・ランゲージのための現象学探究」http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid604.html )を見てみてください。


    ■ 未来ヴィジョン - ナチュラルにクリエイティブに生きる「創造社会」

    井庭研では、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことについて、実践的に探究しています。暮らしや人生、仕事、教育、社会などの様々な領域における「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの本質を捉え、パターン・ランゲージのかたちで表現し、それを用いて人々の実践支援をする研究に取り組んでいます。見据えている未来は、一人ひとりがもつ自然な創造性(ナチュラル・クリエイティビティ)を活かして暮らし生きていく「創造社会」(Creative Society)です。

    僕(井庭)は、ここ100年の変化を、「消費社会」から「情報社会」、そして「創造社会」という流れで見ています。消費社会においては、人々は家電や車など、物やサービスを購入し享受することが生活・人生の豊かさだとされていました。情報社会に入って、コミュニケーションに関心の重心がシフトし、よいコミュニケーションや関係性を持つことが生活・人生の豊かさを象徴するようになりました。そして、現在すでに一部で始まりつつある創造社会では、人々が自分たちで自分たちの使う物や考え、方法、仕組み、社会、あり方・生き方をつくり、どのくらい自分たちで「つくる」ことに関わっているのかが生活・人生の豊かさになっていくと考えられます。

    自分たちで自分たちの物事をつくっていくということは、可能性に満ちた素敵なことですが、単にそれは素敵なことだから重要になるのではなく、社会の切実な面もあります。多様性と自由がますます認められるようになった社会においては、人々のニーズや課題を画一的なアプローチでは満たせなくなってきます。あちこちで生じている多様な問題は、どこかからヒーローがやってきてすべて解決してくれる、というようなことは起こり得なくなってしまいました。それゆえ、それぞれの人がそれぞれの立ち位置において、問題を解決し、よりよい未来をつくっていくことが不可欠になっているのです。しかも、地球温暖化のような人類・地球規模の難題もあり、世界中の人たちがそれぞれに工夫し、知恵を出し合い、創造的に取り組んでいく必要があります。「創造社会」というとき、そのような時代背景とスコープで捉えています。

    「創造社会」を生きるというとき、テクノロジーにますますがんじがらめになり人工的な生を生きるという方向ではなく、よりナチュラルに人間的に生きていくという方向を、僕らは目指しています。そして、そのための道具立てとして実践の言語パターン・ランゲージ」をつくり、活かすことで、人々が「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことを下支えする「ソフトな社会インフラ」をつくりたいと思っています。

    情報社会において、コミュニケーションによる Social(人間関係的)な面が色濃く強化されてきました。そこでは、さまざまなメディア(SNSなど)を介して、いろいろな人とつながり、やりとりがされています。人は一人で生きているわけではなく、社会のなかで他者と協力・連携しながらともに生きていくことが不可欠なので、Socialな側面は必要ではあります。しかし現状では、社会的な役割や関係のなかで息苦しさを感じたり、コミュニケーションが過剰で疲弊したり傷つきやすくなったりしているように思います。これからの未来では、Socialな面ばかりでなく、NaturalやCreativeな面の重要性も上がり、Natural、Social、Creativeがバランスよく重なるような暮らし方・生き方が大切だと、僕らは考えています。

    CreativeSociety.jpg

    Natuarl-Social-Creative-diagram_blackboard.jpg


    ■ 自然な深い創造(natural deep creation)

    井庭研では、何かを「つくる」という「創造」(creation)について、その本質を探究するとともに、各実践領域における実現方法について研究しています。

    昨今、国内外で創造性(クリエイティビティ)の重要性が叫ばれ、「こうすればより創造的に考えることができる」というプロセスやテクニックが話題になっています。このような状況のなか、井庭研は、もっと深いレベルでの創造 --- 「自然な深い創造」(natural deep creation) --- にフォーカスしています。それは、人間が根源的に持っている力を活かした創造です。それは、ああする・こうするという「行為」というよりも、「創造」という「出来事」が自ずから生じるようなあり方で生起することに人間が関わる、というような創造です(このことを専門的に言うと、「中動態」で表されるべき創造だということになります。市川・井庭著の『ジェネレーター 』という本の第5章で論じているので、興味がある人は読んでみてください)。

    それはまるで植物を育てるときのように、創造という出来事の成長に関わる・参加するというようなものです。そのとき、創造に関わる人(の潜在意識)は、植物が育つための「」のような役割をします。土があることで安定して成長することができるとともに、その土から得た栄養が成長を可能にします。このように、植物が育つように、つくっているものが「育つ」というのが、「自然な深い創造」(natural deep creation)の感覚です。そして、そういう創造が起きるとき、そこに関わる人たちの力んだ力は抜け、とても「自然(ナチュラル)」な状態になります。つくり手は、自分がつくっているものをコントロールしなければならないという意図や作為から解放され、いきいきとして、実感(フィーリング)を持ちながら参加することになります。これは、とても人間的な状態とも言えます。この意味での「自然な深い創造」に注目しています。

    IbaLabKeyImage.002.jpeg
    IbaLabKeyImage.007.jpeg

    他方、自然環境の意味での「自然(ネイチャー)」の観点も大切にしています。上記のような「自然(ナチュラル)」な生成の状態は、人工的な環境よりも、自然環境に触れているようなときの方が発動されやすくなるためです。都市や人工物はすべて人の手による産物であり、その背後には、それをつくった人がいます。これに対し、自然環境は、まさに、人の手の範囲を超えて、「自然(ナチュラル)な」生成によって生まれ育ってきたものなのです。身近な「小さな自然」に触れたり、「大いなる自然」のなかに浸ったりすることで、人間はより「自然(ナチュラル)な」状態になりやすくなるのです。

    以上見てきたように、井庭研でいう「自然(ナチュラル、ネイチャー)」には、「内なる自然」(inner nature)と言える生成的な面と、「外なる自然」(outer nature)と言える自然環境という(本来は表裏一体の)両方の意味が含まれている。そのような意味での「自然な深い創造」(natural deep creation)であり、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(natural & creative living)なのです。


    ■ 「自然な深い創造」の力を高めるための3つの領域

    「自然な深い創造」の力を高めるためには、(1) 思考の概念装置(2) 想像の微生物(3) 生成の型という3つの領域のことが大切になります。

    IbaLabKeyImage.002.jpeg

    まず、(1) 思考の概念装置は、思考レベルでの認識や推論に関わるもので、いくつもの概念で構成される学説や理論というような「思考の道具」を揃え、使いこなせるようになることです。そのための典型的な方法は本を読むことで、そこで紹介されている概念装置を自分に取り込み、自分のなかで組み立て、うまく作動するように調整して体得することです。

    かつて社会科学者の内田義彦は、思考の概念装置について、「組み立てながら、たえず自分の眼をはたらかせてその効果のほどを験してみながら、組み立て方・使い方を体得する」ことの重要性を強調しました。そうすることで、単に受け売りで振りかざすようなことではなく、さまざまな物事について深く認識し、自分でしっかりと考えることができるようになるのです。これは、意識(consciousness)上での出来事で、土のメタファーでは地表の上での装置の作用だと言えます。

    次に、自分という土の中では、(2) 想像の微生物が、想像力(imagination)を豊かにするものとして働きます。私たちは日々暮らすなかで、いろいろな経験をし、感じます。それらのごく一部は記憶として取り出せるように保存されますが、ほとんどのものは、記憶の奥底に、つまり、「潜在意識」や「無意識」と言われる領域(subconsciousness)に溜まっていきます。そして、それらは小さな断片に解体され、熟成されます。土の中で微生物があらゆるものを分解・発酵させ土に変えていくように、あらゆる経験は分解・発酵され潜在意識の土に取り込まれていきます。そして、そうやって分解・発酵されたものは、将来何かを想像するときの素材・養分になります。

    ファンタジー作家のミヒャエル・エンデは、「たいていのものは無意識の深みで、すっかり変形し、変容」すると言い、「そのように変容されたものは、とつぜんファンタジーや、アイディアや、イメージになって、私の前に現れます。言いかえれば、忘れて変容した記憶が多ければ多いだけ人格が豊かになる、ということです」と語っています。心理学者レフ・ヴィゴツキーも、「想像はいつも現実から与えられた素材によって成り立っています」と言い、「人間の過去経験が豊かであればあるほど、その人の想像に資する素材も多くなります」と述べています。そして、芸術的な創造でも、科学的な創造でも、技術的な創造でも、「想像力による創造活動は、人間の過去経験がどれだけ豊富で多様であるかに直接依存している」のだと述べました。このように、いろいろな経験が分解・発酵され、潜在意識の領域を豊かにするほど、想像力が豊かになり、創造への力となるのです。これが土の中で起きる微生物の働きによる作用です。

    こうして、地上と地下のそれぞれの作用について見てきました。それぞれ異なる働きをしていて、どちらも創造的な実践(思考・行為)をするためには不可欠です。しかし、これらがバラバラにあるだけでは、その力はフルには発揮されません。地下で生み出される内なる力が、地上での動作にうまく連結されなければなりません。その要(かなめ)になるのが、(3) 生成の型です。

    生成の型は、その種の実践における「押さえどころ」のことです。生成の型を身につけることで、地下の内発的な力を地上のパフォーマンスにうまく接続することができるようになります。ここで言う「型」というのは、武道や芸道で身につける「型」の意味での「型」です。それは、多様な生み出し方に共通する(いつも踏まえるべき)不変の押さえどころの意味です。実践者は自由に振る舞っているにもかかわらず、その生成の「型」を押さえているので、質の高いパフォーマンスが可能になります。これが、武道や芸道の「型」の意味です。

    “型”という言葉には、もう一つ、別の意味があり、日常的にはそちらの方が想起されやすいでしょう。型のもう一つの意味とは、複製のための「鋳型」(いがた)のことです。たい焼きのプレートのようなものです。それは、同じ形のものをいくつも複製するために用いられます。「型抜きをする」「型にはめる」「型にはまる」という言い方で言われるときの“型”は、こちらの意味です。それは、テンプレートであり、鋳型のことです。これは、武道や芸道で言われる「型」とは、別物です。武道や芸道で言われる「型」には、同じものを複製するという意味やニュアンスはありません。生み出し方も結果も多様になるようになるからです。そこで、ここでは、「複製の鋳型」に対して、「生成の型」という言葉で表現しました。自然な深い創造を可能とする3つ目のポイントは、「生成の型」を踏まえるということです。

    IbaLabKeyImage.003.jpeg
    IbaLabKeyImage.006.jpeg

    ■ 生成の型を言語化して共有を促す「パターン・ランゲージ」

    いま、「自然な深い創造」の力を高める3つの領域について見てきましたが、最初の(1)思考の概念装置は、深い読書によって手に入れ、自分で実際に試してみることで、身につけていくことができます。そして、(2)想像の微生物については、日々いろいろな経験を大切にし、感受性を研ぎ澄まし、感じることで豊かにしていくことができます。

    これら2つに対し、(3) 生成の型は、少し工夫が必要です。その工夫として井庭研が取り組んでいるのは、生成の「型」を言語化して共有するというアプローチです。生成の「型」(パターン)を言語(ランゲージ)化するので、「パターン・ランゲージ」(pattern language)と呼ばれます。

    パターン・ランゲージは、各領域における実践の「型」を言語化し、共有することで、他の人たちが身につけやすくします。すでに述べたとおり、生成の「型」は、多様な生み出し方に共通する(いつも踏まえるべき)不変の押さえどころです。それを文章で記述・説明するとともに、それを表す新しい言葉をつくります

    この実践の「」を別の言い方で表すならば、実践の「コツ」と言えます。「コツ」の語源は「骨」(こつ)です。つまり、それは実践の軸のようなものであり、その実践がぐにゃぐにゃにならずに、実践がしっかりと「成り立つ」ための「骨」なのです。パターン・ランゲージでは、「コツ」(その実践を成り立たせる骨)を明文化し、それに名前をつけることで、「コツ」の共有・継承を支援するのです。

    IbaLabKeyImage.008.jpeg

    「型」や「コツ」の場合と同様に、パターン・ランゲージの記述では、ほどよい抽象化がなされている(「中空の言葉」になっている)ので、それぞれの実践者の状況に合わせて具体的なところをアレンジしたり、その人らしいやり方で行ったりすることができるようになっています(そのようにつくります)。

    このように、井庭研では、生成の型を言語化して共有するパターン・ランゲージをいろいろな分野で作成し、その領域での実践者の支援をするということに取り組んでいます。ある分野のパターン・ランゲージがあることで、その分野での自然な深い創造を実現する実践を支えるのです。

    参考までに、一昨年から昨年にかけて作成した、オンライン授業づくりについてのパターン・ランゲージ「最高のオンライン授業のつくり方:新しい学びの場づくりのパターン・ランゲージ」を紹介しておきます。

    note「最高のオンライン授業のつくり方:新しい学びの場づくりのパターン・ランゲージの紹介」
    https://note.com/iba/n/nf20418530d60

    このパターン・ランゲージは、EdTechZineというWebマガジンで記事になっているので、そちらもよければ、見てみてください。

    「最高のオンライン授業のつくり方」とは? 離れた世界をつなぐコツ【慶應義塾大学 井庭崇教授によるパターン・ランゲージ】前編
    https://edtechzine.jp/article/detail/5392

    新しい学びのかたちと学生の居場所をつくり、最高のオンライン授業を!【慶應義塾大学 井庭崇教授によるパターン・ランゲージ】後編
    https://edtechzine.jp/article/detail/5423

    Ojipat.png

    パターン・ランゲージをつくるときには、すでによい質を生み出している人から、その実践において大切なことを聞き出し、その経験則(型)から、抽象化、体系化、言語化してつくっていきます。このようにつくられたパターン・ランゲージを用いると、うまく実践できていない人を助けたり、これから始める人の参考になったり、実践について語るための語彙・共通言語としてコミュニケーションの支援になったりします。このように、パターン・ランゲージは、社会の多くの人々を支えるメディアになるのです。

    PL.jpg

    ■ パターン・ランゲージをつくるプロセスと方法論

    井庭研では、これまで十数年間、パターン・ランゲージのつくり方をつくり、そのプロセスと方法論を洗練させてきました。実践に潜む「型」を捉えて、パターン・ランゲージとしてまとめるときには、その実践の本質を捉えて「抽象化」し、パターン間の関係性をつかんで「体系化」し、その本質と体系を踏まえて「言語化」します。具体事例をベースにパターンを捉え、その本質をつかむというときには、現象学における「本質観取」と同様のことを行っているということが、最近わかってきました。つまり、哲学と同様の深い思考・探究が必要だということです(そのため、2022年の夏に、現象学の本質観取についてしっかり学ぼうということになりました)。

    また、パターン・ランゲージは、数十のパターンが相互に関係する体系(システム)をなしているのですが、その関係性を見定め、ひとつの体系として編み上げるときには、背後にある関係・構造を捉える構造主義的思考や、抽象的に捉えるシステム思考モデリングのセンスが求められます。そして、パターンを記述するときには、現象学の「本質記述」をするとともに、パターンの名前をつくるときには、本質を捉え、かつ魅力的な言葉になるようにつくり込んでいく必要があります。このように、パターン・ランゲージをつくるということは、高度な知性と豊かな感性を総動員してつくるということなのです。

    PLCreationProcess.jpg


    ■ パターン・ランゲージは、歌の歌詞に似ている

    パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論的記述なのではなく、読み手が「自分の状況に当てはまる」と思うこと、そして、そこで推奨されていることを魅力的だと思い、実際にやってみようと思うものになっている必要があります。物事の本質を捉えるとともに、心が動き、身体が動くような表現になっていることが求められるのです。僕は、これは、J-POPのようなポピュラー音楽の歌詞をつくることに似ていると思っています。

    聴き手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで歌われていることを魅力的だと思い、自分の歌として口ずさんだり、カラオケで歌う、そういう歌の歌詞のようなものだと思うのです。実際、作詞を手掛けている人たちが、歌づくりで語っていることは、パターン・ランゲージの作成と共通すると感じることが多々あります。AメロやBメロでその状況における悩みや迷いが歌われ、それをどう捉えるかや乗り越えていくようなポジティブなメッセージがサビで提示されます。聴き手は、その歌を聴き、歌詞を受け取るなかで、元気をもらったり、勇気づけられたり、世界をポジティブに捉えることができるようになります。

    パターン・ランゲージも、ある状況における問題から始まり、それを乗り越えていく方法が示されます。それは読み手の内側から「自分のことだ」「自分の近未来だ」と思うように書いていきます。読み手が実感をともなって、ありありとその内容をイメージできるようにつくるのです。歌とは異なり、音楽が持つ力を借りることはできません。しかしながら、うまくつくれば、読み手のペースで、自分のものとして内側からその人を温めるようなものになります。

    実際、僕らがつくったパターン・ランゲージの読み手から、「背中を押してくれました」「元気をもらっています」「心の支えになっています」「お守りのような存在です」「これがあったから、なんとかやってこれました」という声をもらいます。そういう声を聴くたびに、まるで心から共感する大好きな「歌」のような存在だな、と思うのです。僕は、歌のつくり手たちの言うことにとても共感するのですが、僕らは実践者の話からパターン・ランゲージをつくるので、特に、小説などの原作を歌にするYOASOBIのAyaseさんの言うことはとても近く、通じるものがあると感じています。

    YOASOBI.jpeg


    パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論なのではなく、それを受け取る人のなかで流れ、内側から温める「歌」のような存在なのです。


    ■ 井庭研で「自然な深い創造」の力を身につける

    井庭研では、(1)思考の概念装置(2)想像の微生物(3)生成の型について研究・発信するだけでなく、自分たちでも、それらを大切にし、実践しています。

    (1) 思考の概念装置を獲得して使いこなせるようにする読書
    井庭研では、たくさんの本を徹底的に読み込みます。創造やパターン・ランゲージに関する本はもちろん、哲学、文章術、研究方法論、教育や学習に関する本なども読みます。他には、プロジェクトごとに研究テーマにまつわる文献も読んでいきます。読んできてみんなで話し合う機会もつくりますが、多くは各自が自分で読み進めていきます。2022年度の夏休み期間も、特別研究プロジェクトで、エトムント・フッサールの現象学の本をみんなで読んでいきます(特別研究プロジェクトのシラバス「実践の本質学:パターン・ランゲージのための現象学探究」:http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid604.html )。

    SummerBooks.jpg booktalk.jpg

    (2) ナチュラルにクリエイティブな経験を積み、想像の微生物を豊かにする
    井庭研では、研究室でのプロジェクト活動や話し合いのほかに、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの実践を積むことを大切にしています。例えば、研究テーマに関連する場に出かけて行き体験したり、美術館や展示会に足を運び、感性を豊かにしたりしています。また、井庭研の畑スペースを借りていて、「小さな農」として、畑で野菜を育てるという体験もしています。

    Eishin1.jpg Eishin2.jpg
    Hatake2.jpg Hatake4.jpg

    また、Creativeの面では、プロジェクトで本格的な創造実践の経験を積み、自己成長し、創造の道を極めていきます。1年に1つのプロジェクトに参加し、それぞれの得意を持ち寄るコラボレーションによって個人の限界を超えることができるほか、学び合いや高め合いが起きます。このようにして、今の自分からアップグレードし続け、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」力を高めていくのです。

    井庭研では、大学時代の数年間だけでなく、大学院へと進み、さらに井庭研での創造実践の経験を積んでいくことを推奨しています。実際、修士課程と博士課程まで続けて、自分を豊かにして力を養いながら、魅力的な研究・活動をしている人たちがいます。本当に力をつけ、その力を活かして生きていくためには、2、3年という修行時間では短すぎるのです。自分の人生をワクワクするものに育てていくためにも、井庭研で腰を据えて取り組み、力を蓄え、発揮できるようになっていくことをおすすめします。入る前からそこまで決める必要はありませんが(実際にやってみないとその面白さもわからないですし)、そのようなワクワクする未来もあり得るのだ、ということは知っておいてください。

    project2021_r3.jpg Marketing-1.jpg
    project2021_r2.jpg clustering.jpg


    井庭研では、大学院生だけでなく学部生も、世界で初めての付加価値を生む、学術的な知のフロンティアを開拓する「研究」を行っているため、プロジェクトの研究成果は、英語で論文を書き、国際カンファレンスで発表します。北米やヨーロッパ、アジアで開催されるカンファレンスに参加し、海外の研究者や実務家たちと交流したり、井庭研の方法論や成果を用いたワークショップを実施したりします。このような点も、井庭研の特徴と言えるでしょう。

    academicresearch.png

    onlineedu_paper.jpg
    PLoP_Canada.jpg EuroPLoP2021_gather.jpg
    EuroPLoP2022_1.jpg EuroPLoP2022_2.jpg


    (3) これまでつくってきたパターン・ランゲージを活かして生成の型を身につける
    井庭研では、自分たちの実践をよりよいものにするように、これまでにつくったパターン・ランゲージを自分たちも徹底的に活用しています。創造的な学びのラーニング・パターン、探究・研究のための探究パターン、創造的読書の「Life with Reading」、チームワークのコラボレーション・パターン、創造的プレゼンテーションのプレゼンテーション・パターンなど、自分たちの活動や学びに直結するものをすでにつくっているので、それらを用いた対話によって、成長への道をひらきます。

    patterncards1.jpg patterncards2.jpg
    patterncards3.jpg patterncards4.jpg


    ■ 井庭研で取り組んでいる「新しい学問」

    学問的に見たときに、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」や「自然な深い創造」、「創造社会」ということを考えるときに直球で答えてくれる学問分野は、現在ありません。そのため、既存の学問的枠組みや方法論を超えた「新しい学問」を構築しながら取り組むことが必要となります。井庭研では、新しい学問の土台をつくりながら、その上で具体的な研究を進め、そのことによってさらに土台が固まっていくというような、大胆で実験的なやり方で研究に取り組んでいます。その「新しい学問」を、僕は「創造実践学」「創造の哲学」「未来社会学」と名付けています。
    IbaLabKeyImage.007.jpeg

    創造実践学」(Studies on Creative Practice)は、私たちの暮らしや仕事・活動におけるさまざまな創造的な実践の本質を明らかにし、共有可能なかたちにしていく学問として構想されています。各領域の創造実践の本質を明らかにし、パターン・ランゲージとして表現して活用することが、その主力の研究方法となります。

    創造の哲学」(Philosophy of Creation)は、創造とは何か、についての哲学的探究を行うものです。現象学の方法によって創造の本質を観取するとともに、プラグマティズムの哲学や東洋哲学などとの関係についても深めていきます。

    未来社会学」(Future Sociology)は、ナチュラルでクリエイティブに生きる未来の社会のヴィジョンを描き、その内実を研究する未来志向の学問です。創造社会では社会の一つの機能システムとして「共創システム」というものが作動し、そこではパターン・ランゲージのメディアや、「ジェネレーター」という役割が重要になるというような、未来ヴィジョンの社会像を明らかにしていきます。

    これらの三つの学問を構築するにあたり、僕たちはゼロからスタートするのではありません。これまでの人類のさまざまな知見・学問成果を踏まえながら、大胆に組み替え、読み替えながら、取り組んでいきます。哲学、社会学、人類学、認知科学、心理学、教育学、建築学、デザイン論、芸術論、美学、数学、文学、経営学、思想史などを必要に応じて縦横無尽に学び、取り入れていきます。その意味で、いろいろな学問領域を横断し、それらを超越して研究するという「超領域的」(トランス・ディシプリナリー:trans-disciplinary)な営みとなります。しかも、西洋の学問だけでなく、東洋哲学・思想とも積極的に関わり、西洋と東洋の知を融合させたこれからの学問をつくっていこうとしています。とてもSFCらしい、ユニークな学問のアプローチだと思います。

    academicfieldmap.jpg


    ■ 現役メンバーからのひとことメッセージ

    いま井庭研にいる学部生と大学院生(の一部)から、その人から見た井庭研や関わりについて、また、興味をもってくれているみなさんにひとことメッセージをもらいました。

    「井庭研はかなり忙しい研究会ですが、その代わりに社会の役に立つことを本気で研究できます何かを「つくる」ことは本当に苦しく、ずーっと悩んでしまうような時間もありますが、必ず発見は起こるし、自分自身の成長もあります!一緒に井庭研で研究しませんか?」(4年生)

    「私は、創造性を研究したいと考え、先生の考え方に共感して井庭研に入りました。先輩後輩で活発に意見交換が交わされるような場は、なかなか出会えない経験です。自分のしたいことがここにある人は、必ず実りある楽しい時間を過ごせることと思います!」(2年生)

    SFCに入ってよかった! 井庭研に入ってそう思いました。」(4年生)

    「私は1年秋学期にとった井庭先生の授業がきっかけで、2年春学期に井庭研に入りました。井庭研は、何に対しても目を輝かせながら楽しそうに取り組む人が多いとても暖かい場所です。「つくる」ことにとことん向き合える井庭研で、一緒に充実した時間を過ごしませんか?」(2年生)

    「私は、授業を通して井庭研を知り、入りました学びの領域に広がりがあるところが大好きです。」(3年生)

    「別の研究会、SFC外での活動を経て、3年生の夏の特別研究プロジェクトから井庭研究室に入りました。入った当初は、議論されている内容のレベルの高さと量に圧倒されましたが、先生や先輩たち、同期、後輩に支えられながら、学んでいくことの楽しさにどんどんとはまっていきました井庭研が楽しすぎて、現在は修士に進学し、研究活動に没頭しております。入って2年が経ちますが、たくさんの本に触れ、みんなで議論をして、研究活動に取り組み、知的に楽しい時間を過ごすなかで身につけた様々な概念は、かけがえのないものとなっております。」(修士1年)

    「私は他の研究会の雰囲気などもある程度知った上で、井庭研を選びました。そんな自分から見ても、研究やどんなことであっても面白がる人が多い、そんな気がします。研究熱心であり、学びも共有する。驚くくらいに自分自身もこの数ヶ月ですが、変わってきました。目の前に自分にできる事があったら積極的に取りに行くと、沢山ものにできると思います!!」(3年生)

    「私は体育会のテニス部に所属しながら井庭研での活動に取り組んでいます。高校時代までは勉強よりもスポーツを好んでいましたが、井庭研に入り、学ぶことの楽しさを知ることができました。これは一生の財産であると感じています。課外活動との両立は大変なこともありますが、モチベーションの高い仲間に支えられ、楽しく続けられています。」(4年生)

    「2年生のころ、サークルとの両立が不安だな...と思いながら入った井庭研でした。正直大変だと感じることもありましたが、先生や他の井庭研メンバーに支えられながら、今も研究活動を続けて来られています。プロジェクトでは膝を突き合わせて、どんな未来をこの研究からつくっていけるのかをみんなで話したり、一つひとつのイベントを全力で設計したり、時には研究会後にみんなでご飯に行ってお互いにお疲れ様って言い合ったり、卒業単位が取れればいいや、ではなく、本気でここで創造していきたいと思わせてくれるような研究会だと感じています。まだやりたいことが明確じゃないとか両立が不安...という人も、「いいな」と心動く瞬間があったなら、ぜひ一緒に研究してみませんか?」(4年生)

    「井庭研に入って、約3年。井庭研に出会えたおかげで、私は大きく変わりました。例えば、本に対する姿勢。読書感想文の時に読む本以外で、自分から本に手を伸ばしたことがなかった私が、今では、時間があれば本を読むレベルに読みたい本がありすぎて追いついていないくらいのレベルになっています。また、高校の時に行った「課題研究」によって「研究」に対して毛嫌いがありましたが、井庭研のメンバーがつら楽しそうに「研究」に向き合っている姿を近くで感じていたら、気付いたら自分も「研究」に面白さを感じ、修士という道を決めたほどに魅了されていました。さらに、大学に入りたての頃は、「自然」からかけ離れた暮らしをしており、「自然が好き!」とあまり思ったこともなかったが、井庭先生や井庭研にジェネレートされてしまったおかげで、今では、周りの友達から、「私=自然が好きな人」ということになっています。ここに書いたのはほんの一部ですが、私にとって井庭研は、新しい世界を見せてくれる場所であり、今まで逃げてきたものから向き合い直してくれる場所であり、そういえば昔から好きだったなあと潜在的な部分に気づくきっかけを与えてくれる場所です!」(4年生)

    「私は、3年生の春学期に井庭研に入り、もともとそんなつもりはなかったけれど、気づいたら修士に進学して、井庭研で研究しています。それでも全然飽きないどころか知的好奇心は高まるばかりです。それくらい、いろんなテーマの研究をしています。プロジェクト活動(研究)も学期末発表会もそのほかのイベントも、全力で一からつくります一人ではできないような、たどり着けないようなところまでいける面白さがあります!」(修士1年)

    「私は3年生の春に井庭研に入り1年半。なんでこの場にもっと早く出会えなかったのかと後悔する日々です。井庭研は、日々知的好奇心にワクワクしながら本気で研究に向き合える場であり、私という一人の人間を一切否定することなく真正面から向き合ってくれるメンバーと研究することでまだ見ぬ私に出会えたり、成長できるきっかけを与えてくれる場です。このシラバスを読んで少しでも私たちの考えへの関心・この場所が素敵だと思っていただけると嬉しいです、そしてそんな方は私のように「この場にもっと早く出会いたかった」と後悔ないようぜひ一緒に研究をしましょう!」(4年生)

    「僕は、この研究会に入らなくても、それはそれで毎日を楽しく過ごせていたと思います。ですが、井庭研に入ったことで「こんな楽しさもあるんだ!」といろんなことに気づき、世界がこれまでの何百倍も面白くなりました。井庭研には、井庭研にしかない面白い取り組み本気で「つくる」機会自分が成長できるチャンスがいくらでもあります。あなたも、今より世界を楽しむために井庭研に入りませんか?」(3年生)

    「井庭研は比較的忙しい研究会と言われています。でも、あたたかくて面白くて、高めあえる仲間がいます。先輩、後輩、同期、そして先生。一緒にたくさんの時間をともに過ごし、笑ったり泣いたりしながら、一人ではたどりつくこともできなかったであろう世界を知り、広げていく経験は、すごく貴重で、ワクワクするものです。井庭研で扱うこと(内容)の知識はゼロから始まる人がほとんどですが、最高のコラボレーションをしてみたい人、そのために貢献しようと動いてくれる人、ウェルカムです!ぜひ一度遊びに来てみてください!」(修士1年)


    ■ 2022年秋学期のプロジェクト

    井庭研では、日々どっぷりと浸かって一緒に活動に取り組むことを大切にしています。

    全員で集まる時間は、 水曜の3限から夜までのプロジェクト活動の時間と、木曜の4限から夜までの全体ミーティング(ゼミ)の時間です。その時間は、全員での《まとまった時間》としているので、この時間は、授業や他の予定を入れないようにしてください。

    2022年度秋学期には、以下のプロジェクトが動く予定です。井庭研のメンバーは、どれかひとつのプロジェクトに参加し、研究に取り組みます。 各プロジェクトは、複数人で構成され、成果を生み出すためのチームとして、ともに助け合い、高め合い、学び合いながら、研究に取り組みます。どのプロジェクトも若干名の募集となりますが、新規メンバーを募集します。

    (1) 中学校でのクリエイティブ・ラーニングとパターン・ランゲージ実践研究
    (2) 魅力的な組織の「よさ」「らしさ」の言語化と継承の実践研究
    (3) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究(フィリピン)
    (4) 創造を巻き起こす「ジェネレーター」のパターン・ランゲージの作成研究
    (5) 成果を上げる組織におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
    (6) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
    (7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケア研修の実践研究

    以下、各プロジェクトの概要です。

    (1) 中学校でのクリエイティブ・ラーニングとパターン・ランゲージ実践研究【新規プロジェクト】
    本プロジェクトでは、実際に中学生と関わるような活動もしながら、中学校での学びにおけるクリエイティブ・ラーニングとはどのようなものなのかについて考えていきます。具体的には、中学生のクラスをフィールドとし、「彼らの将来の可能性を拡げる」ことや、「楽しみながらいきいきと探究する学習」を、パターン・ランゲージを使ってどのように本質的に、実現できるかを、文献などもあたりながら探究し、模索していくプロジェクトです。例えば、「自分が知りたいことを探究する支援」のひとつとして、中学生とのパターン・ランゲージ作成なども視野に入れています。

    (2)魅力的な組織の「よさ」「らしさ」の言語化と継承の実践研究【新規プロジェクト】
    研究会やサークルなど数十人規模の組織において、メンバーが卒業したり新しく入ってきたりしていっても、その組織らしさが続いていくためには、どうしたらよいでしょうか? 本プロジェクトでは、井庭研とアカペラシンガーズK.O.E.(SFCにあるアカペラサークル)を対象に、よい仕組みや実践について、パターン・ランゲージの形式で言語化していきます。具体的には、OB・OGや現役メンバーと対話しながら、その組織で大切にされていることとその意義を、事例を踏まえながら言語化していきます。また、そうした「らしさ」がこれまでどのように継承されてきたのかを、メンバーの語りから分析していきます。

    (3) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究【春学期からの継続】
    本プロジェクトでは、これまで井庭研でつくってきた、仕事、教育、暮らし、生き方などのさまざまな分野のパターン・ランゲージを、国内外の諸地域の人々のエンパワーに活かしていくことを試みます。例えば、フィリピンの若者の支援として、現地の関係者や支援者と協力し合いながら、これまで井庭研でつくってきたパターンのなかから重要なパターンのセットをつくり、現地語で提供し、活用するための伴走を行います(パターン・ランゲージ・リミックスと伴走型支援)。また、現地でのロールモデルとなるような人たちの実践からパターン・ランゲージを作成し、現地の人たちの暮らしや生き方の参考になるものを作成します。このような研究・実践のなかで、人々のケイパビリティ(潜在能力)を高める、新しい開発援助(発達・発展の支援)のかたちを構築していきます。

    (4) 創造を巻き起こす「ジェネレーター」のパターン・ランゲージの作成研究【春学期からの継続】
    ジェネレーターは、ともにつくり、発見とコミュニケーションの生成・連鎖を誘発する存在です。これからの創造社会では、知識・スキルを教えたり、話し合いを促すという役割だけでなく、一緒につくることに参加して創造を巻きおこすジェネレーターが重要になります。しかし、ジェネレーターは、単なるスキルではなく、あり方であり生き方でもあります。そのため、他のジェネレーターがやっている振る舞いを単に真似るだけでは、ジェネレーターにはなれません。それでは、ジェネレーターにおいては何が大切なのでしょうか。本プロジェクトは、そのようなジェネレーターの秘密に迫る研究に取り組んでいます。本プロジェクトは、一般社団法人みつかる+わかる の「We are Generators!」との共同研究です。

    (5) 成果を上げる組織におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究【春学期からの継続】
    本プロジェクトでは、しっかりと成果を追求する企業組織において、Well-doing(よい成果を上げる)とともに、Well-being(幸福、健康)な状態をどうしたら維持できるのかについて研究しています。企業の社員へのインタビューからパターン・ランゲージを作成し、組織におけるWell-beingの向上を目指します。本プロジェクトは、楽天グループ株式会社との共同研究です。

    (6) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究【春学期からの継続】
    すでにある競争のなかで、いかにパイを取るかということではなく、新しい商品・サービスで新しい市場を生み出すときのマーケティングはいかに行えばよいのか。本研究では、広告業界での経験が豊かな共同研究者とともに、市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成に取り組んでいます。

    このほか、井庭研では、(7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケア研修の実践研究にも取り組んでいます。今年出版した『ともに生きることば:高齢者向けホームのケアと場づくりのヒント』等を活用し、実際に介護施設等で、対話や実践支援による新しいアプローチの研修を実施していきます。この領域に特に強い関心をもっている人向けのプロジェクトです。


    【履修条件】

  • 井庭研をファースト・プライオリティにおいて活動できること。
  • じっくり取り組む時間の調整・確保を自らでき、研究・活動・勉強に徹底的に取り組むことができること。
  • 「知的・創造的なコミュニティ」としての研究会を、与えられたものとしてではなく、一緒につくっていく意志があること。


    【その他・留意事項】

  • 現1年生のエントリーを歓迎します。長く一緒に研究・活動して経験を積み重ねることで、理解が深まり力がつくので、その後、より活躍できるようになります。そのため、井庭研では早い時期からの履修・参加を推奨しています(逆に、3年生後半や4年生からは、大学院進学を前提としている場合などを除き、原則として受け入れていません)。

  • GIGA生や海外経験のある人、留学生を歓迎しています。井庭研では、日本語での成果をつくるとともに、英語で論文を書いて国際学会で発表したり、海外の大学やカンファレンスでワークショップを実施したりしています。日本語以外の言語を扱えることは、活躍・貢献のチャンスが大きく高まります。ぜひ、力を貸してください。


    【評価方法】

    研究会の成績評価は、日頃の研究・実践活動への貢献度や成長の観点から総合的に評価します。


    【エントリー課題】

    このシラバスをよく読んだ上で、期日までに、[1] エントリーシート[2] 文献課題[3] パターン課題 の3つを、それぞれ別々のPDFファイルで提出してください(ファイル名に自分の名前を入れるようにしてください)。

  • エントリー〆切:7月23日(土)23:59

    エントリー課題の提出先:https://forms.gle/BxERHgZDfaXXrzLW7

    なお、7月20日(水)3・4限 τ12(大学院棟タウ12)教室で、井庭研説明会を行うので、できる限り参加してください。井庭研の概要説明のほか、現役メンバーと話す時間を設けます。

    [1] エントリーシート
    タイトル:井庭研(2022秋)履修エントリー

    1. 名前(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
    2. 自己紹介と日頃の興味・関心(イメージしやすいように、適宜、写真などを入れてください)
    3. 井庭研への志望理由
    4. この研究会シラバスを読んで、強く惹かれたところや共感・共鳴したところと、その理由・考えたこと
    5. 参加したいプロジェクト(複数ある場合は、第一希望など、明示してください)
    6. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
    7. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    8. これまでに履修した授業のなかでお気に入りのもの、所属した研究会など(複数可)
    9. 日々の生活のなかで取り組んでいるサークル、学内外での活動・仕事・アルバイトなど

    [2] 文献課題
    井庭研での創造・研究に直球で関係がある以下の本のうち、1冊以上読んでみて、自分にとって面白いと感じたところについて、それがどこかということと、どのように面白いと感じたのかを書いてください(A4で1〜3ページ程度)。僕の授業で読んだ人も、改めてざっと読み直してみてください。


    [3] パターン課題
    井庭研に入ったら自分もつくることになる「パターン・ランゲージ」が実際どのようなもので、どのような質感を持つものなのかを実感してもらうために、パターンの記述に触れてもらいたいと思います。次の2冊のうちのどちらかのパターン・ランゲージ本を読み、感じたことを書いてください。その上で、どれか一つ、気に入ったパターンの文章とイラストをノート等に手書きで書き写しながら、その内容・表現の質感を、つくり手の内側の立ち位置で感じてください。その手書きを写真に撮ったものを掲載し、さらに、パターンを書き写したときの気づきや感想も書いてください(この[3]の全部でA4で2〜3ページ程度:パターンの書き写し部分のみ写真に撮り、それ以外の部分はパソコンでテキスト入力で作成してください)。


    handcopy1.jpg handcopy2.jpg

    エントリーや井庭研でのことについて、何か質問があれば、ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp([at]を@に変えてください)まで、メールをください。

    7月25日(月)に面接(キャンパスで対面で実施)を行う予定です。詳細の日時については、エントリー〆切後にメールで連絡します。面接には、現役メンバーも同席します(そのため、エントリー課題は担当教員以外も閲覧します)。


    【教材・参考文献】

    井庭研でやっていること・目指していることを知るための本として、わかりやすいのは次の7冊です。最初の3冊は考え方について語っていて、次の3冊はパターン・ランゲージの実例です。そして、最後の1冊は、創造社会とはどういうことかが、自分たちの暮らし方を自分たちでつくるという事例で感じられるものです。



    Juku2012Summer_IbaLab.png
    慶應義塾の広報誌「塾」第311号(2021年夏号)「半学半教」
  • 井庭研だより | - | -

    2022夏プロ「実践の本質学:パターン・ランゲージのための現象学探究」

    井庭研2022夏の特別研究プロジェクト
    「実践の本質学:パターン・ランゲージのための現象学探究」

    担当:井庭 崇(総合政策学部教授)
    タイプ:特別研究プロジェクトA(4単位:2022年秋学期に履修申告)
    実施形態:対面(オンラインも活用)

    【概要】
    かつて哲学者エトムント・フッサールは、自然科学のような「事実学」に対して、「本質学」としての現象学を提唱しました。その言葉を借りるのであれば、よい実践とは何かの本質を追究するパターン・ランゲージの研究は、「実践の本質学」と呼び得るでしょう。本特別研究プロジェクトでは、現象学の重要概念の理解を深めることで、よりよいパターン・ランゲージ作成の実践感覚についてつかんでいきます。また、そのあり方や方法論について自分の言葉でしっかりと説明できることを目指します。

    全体の進め方としては、三部構成になっています。まず最初に、私たちの目的に適した入門的な文献を読むことで、現象学の基本的な考え方を理解します。そこから、フッサールの著作を、現象学的還元間主観的還元本質観取(形相的還元)の三点の理解を軸として、該当箇所を読み込んでいきます。最後に、それらで得られた理解をもとに、パターン・ランゲージ作成における実践のポイントを明らかにするとともに、その方法論について考察し、レポートにまとめます。

    各回では、初回に決める担当者(複数の履修者)に、重要な箇所を引用してまとめた資料を作成し発表してもらいます。他の参加者は、その日の文献に目を通してくることは求められますが、文献メモ(自分にとって重要な箇所について書き出したもの)の提出は任意とします。当日は、発表担当者とプロジェクト担当教員を中心に、その文献の重要箇所を一つひとつ確認し、理解を深めていきます。

    SummerProject2022.jpg


    【本プロジェクトで取り上げる文献】

    ■現象学の入門的な文献


    ■今回読むフッサールの著作


    ■今回全員での読解対象ではないが、とても参考になる文献

    ■パターン・ランゲージについて理解するための文献


    【参加条件】
    2022年度春学期に井庭研究会を履修していた人もしくは、2022年度秋学期に井庭研究会を履修予定の人

    担当教員と相談の上、履修志望理由を7月31日までに担当教員に提出。

    【必要経費】
    各自、文献購入に約4万円ほどの費用がかかる予定です。


    【評価方法】
    文献読解、出席、発表、話し合いでの貢献、最終レポートから総合的に判断します。


    【授業スケジュール】

    8/3(水)10:00〜18:00 イントロダクション(オンラインのみ)
    特別研究プロジェクトの目的と進め方を確認し、今後の各回の文献について発表する担当者を決めます。『人間科学におけるエヴィデンスとは何か』と『現象学とは何か』の内容について重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。


    8/16(火)10:00〜18:00 『現象学の理念』(対面)
    『現象学の理念』の内容について、担当者のレジュメ発表のあと、重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。終了後、夜、懇親会を行います。

    8/17(水)10:00〜18:00 『ブリタニカ草稿』(対面+オンライン)
    『ブリタニカ草稿』の内容について、担当者のレジュメ発表のあと、重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。


    8/31(水)10:00〜18:00 『デカルト的省察』(対面+オンライン)
    『デカルト的省察』の内容について、担当者のレジュメ発表のあと、重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。

    9/1(木)10:00〜18:00 『経験と判断』(対面+オンライン)
    『経験と判断』の内容について、担当者のレジュメ発表のあと、重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。


    9/26(月)10:00〜18:00 『イデーン I-I』+『イデーン I-II』(対面+オンライン)
    『イデーン I-I』と『イデーン I-II』の内容について、担当者のレジュメ発表のあと、重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。

    9/27(火)10:00〜18:00 イデーン II-I』+『イデーン II-II』(対面+オンライン)
    『イデーン II-I』と『イデーン II-II』の内容について、担当者のレジュメ発表のあと、重要箇所の理解を深めるための話し合いをします。

    9/29(木)13:00〜17:00 ふりかえり(対面)
    これまで読んできた文献をふりかえって、まとめの話し合いをします。終了後、夜、懇親会を行います。

    最終レポート(現象学からみたパターン・ランゲージについて)
    井庭研だより | - | -

    2022年春学期 井庭研シラバス:「自然な深い創造」の探究・実践・支援

    井庭研シラバス(2022年度春学期)

    「自然な深い創造」の探究・実践・支援
    - ナチュラルにクリエイティブに生きる未来へ


    [ 創造の場づくり / 企業におけるWell-being / 市場創造マーケティング / 価値観・世界観が変わる大人の学び / 新しい開発援助 / 自然のなかの子育て / 高齢者ケア / クリエイティブ・ラーニング・コミュニティ実践 ]

    井庭研究室では、日々「自然な深い創造」が生じる「ナチュラルにクリエイティブに生きる」社会へのシフトを目指して一緒に研究・実践に取り組む仲間を募集します。2022年度は、以下のプロジェクトが動く予定です(現時点のプランであり変更になる可能性があります)。本シラバスに書いてある井庭研で目指していることや大切にしていることをよく理解した上で、エントリーしてください。

    (1) 創造を巻き起こすジェネレーターのパターン・ランゲージの作成研究
    (2) 成果を生み出す企業におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
    (3) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
    (4) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究
    (5) 価値観から変わる「創造的な学びの共同体」のナラティブ研究
    (6) 自然のなかの子育てのパターン・ランゲージの作成研究(深化・仕上げフェーズ)
    (7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケアの研修・ワークショップの実践研究
    (8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティを実現する実践研究

    IbaLab2021.jpg


    ■これからの創造社会

    井庭研では、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことについて、実践的に探究しています。暮らしや人生、仕事、教育、社会などの様々な領域における「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの本質を捉え、パターン・ランゲージのかたちで表現し、それを用いて人々の実践支援をする研究に取り組んでいます。見据えている未来は、一人ひとりがもつ創造性を活かして暮らし生きていく「創造社会」(Creative Society)です。

    僕は、ここ100年、消費社会から情報社会へと歩んできて、すでに始まっている次の時代は、創造社会だと考えています。消費社会においては、人々は家電や車など、物やサービスを購入し享受することが生活・人生の豊かさだとされていました。情報社会に入って、コミュニケーションに関心の重心がシフトし、よいコミュニケーションや関係性を持つことが生活・人生の豊かさを象徴するようになりました。創造社会では、人々が自分たちで自分たちの使う物や考え、方法、仕組み、社会、あり方・生き方をつくり、どのくらい自分たちで「つくる」ことに関わっているのかが生活・人生の豊かさになっていくと考えられます。

    自分たちで自分たちの物事をつくっていくということは、可能性に満ちた素敵なことですが、単にそれは素敵なことだから重要になるのではなく、社会の切実な面もあります。多様性と自由がますます認められるようになった社会においては、人々のニーズや課題を画一的なアプローチでは満たせなくなってきます。あちこちで生じている多様な問題は、どこかからヒーローがやってきてすべて解決してくれる、というようなことは起こり得なくなってしまいました。それゆえ、それぞれの人がそれぞれの立ち位置において、問題を解決し、よりよい未来をつくっていくことが不可欠になっているのです。しかも、地球温暖化のような人類・地球規模の難題もあり、世界中の人たちがそれぞれに工夫し、知恵を出し合い、創造的に取り組んでいく必要があります。「創造社会」というとき、そのような時代背景とスコープで捉えています。

    「創造社会」を生きるというとき、僕らは、テクノロジーにますますがんじがらめになり人工的な生を生きるのではなく、よりナチュラルで人間的に生きていくという方向性を目指しています。そして、そのための道具立てとして実践の言語パターン・ランゲージ」をつくり・活かし、人々が「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことを可能とし、社会を共通基盤として下支えする「ソフトな社会的インフラ」をつくっています。

    CreativeSociety.jpg


    ■自然な深い創造

    井庭研では、何かを「つくる」という「創造」(creation)について、深いレベルでその本質と、各実践領域における実現方法について研究しています。

    現在国内外で創造性(クリエイティビティ)の重要性が言われ、こうすればより創造的に考えることができるというプロセスやテクニックが話題になっています。このような状況のなか、井庭研では、そのようなアプローチの重要性・必要性を認めながらも、もっと深いレベルでの創造 --- 「深い創造」(deep creation) --- にフォーカスしています。それは、人間が根源的に持っている力を活かした創造です。それは、ああする・こうするという「行為」というよりも、「創造」という「出来事」が自ずから生じるようなあり方で生起するということに、人間が関わるというような創造です(このことを専門的に言うと、「中動態」で表されるべき創造だということになります)。

    それはまるで、植物を育てるときのように、人間は環境の重要な一部となり、それに関わる・参加するというようなものです。そのとき、創造に関わる人は、植物が育つための「土」のような役割をします。土があることで安定して成長することができるとともに、その土から得た栄養が成長を可能にします。このように、植物が育つように、つくっているものが「育つ」というのが、「自然な創造」(natural creation)です。そして、そういう創造が起きるとき、そこに関わる人たちの力んだ力は抜け、とても「自然(ナチュラル)」な状態になります。つくり手は、自分がつくっているものをコントロールしなければならないという意図や作為から解放され、いきいきとして、実感(フィーリング)を感じながら参加することになります。これは、とても人間的で生命的な状態とも言えます。この意味での「自然な創造」に注目しています。

    DeepCreation.jpg


    他方、自然環境の意味での「自然(ネイチャー)」の観点も大切にしています。上記のような「自然(ナチュラル)」な生成の状態は、人工的な環境よりも、自然環境に触れているようなときの方が発動されやすくなるためです。都市や人工物はすべて人の手による産物であり、その背後には、それをつくった人がいます。これに対し、自然環境は、まさに、人の手の範囲を超えて、「自然(ナチュラル)な」生成によって生まれ育ってきたものなのです。身近な「小さな自然」に触れたり、「大いなる自然」のなかに浸ったりすることで、人間はより「自然(ナチュラル)な」状態になりやすくなるのです。

    このように、井庭研でいう「自然(ナチュラル、ネイチャー)」には、「内なる自然」(inner nature)と言える生成的な面と、「外なる自然」(outer nature)と言える自然環境という(本来は表裏一体の)両方の意味が含まれている。そのような意味での「自然な深い創造」(natural deep creation)であり、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(natural & creative living)なのです。

    NaturalCreative.png




    ■「自然な深い創造」を実現する実践言語「パターン・ランゲージ」

    意識的な意図や作為によるコントロールから解放され、「創造」という「出来事」が自ずから生じるようなあり方で実現される「自然な深い創造」は、そう簡単には起きません。なぜなら、人はすぐ「自分が考えないと、何も起きない」と思ってしまうからです。実践の言語である「パターン・ランゲージ」はその問題を解決します。

    パターン・ランゲージは、その実践において押さえるべきポイントごとに「何をすることが大切か」とそれは「どうやるのか」が特定されているので、それに「身を委ねる」ことで、無心で自然とその実践をしていくことができるようになります。パターン・ランゲージを構成する「パターン」には、その実践で大切な「」が定められているとともに、それらの「型」の関係が体系として編まれているので、意識的に「こうしよう」「ああしよう」とコントロールしなくても、自然と勘所・ポイントを押さえた実践が可能になるのです。

    しかも、パターンは、適度に抽象化されていて、具体的な行動指示とは異なるので、状況に合わせて実践の具体的なところをアレンジしたり、その人らしいやり方で行ったりすることができるという特徴があります。このように、実践領域ごとにパターン・ランゲージがあることで、それぞれの人の実践を支援することになります。

    このような理由から、井庭研では、「自然な深い創造」に身を委ねて「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことを可能にするための有力な方法として、「パターン・ランゲージ」の作成・研究に徹底的に取り組んでいます。

    パターン・ランゲージをつくるときには、すでによい質を生み出している人から、その実践において大切なことを聞き、その経験則(型)から、抽象化、体系化、言語化して、パターン・ランゲージをつくります。このパターン・ランゲージがあることで、うまく実践できていない人を助けたり、これから始める人の参考になったり、実践について語るための語彙・共通言語としてコミュニケーションの支援が可能となります。このように、パターン・ランゲージは、社会の多くの人々を支えるメディアになるのです。

    PL.jpg

    CreativeSelf.jpg


    ■パターン・ランゲージをつくるときの深い創造

    実践に潜む「型」を捉えて、パターン・ランゲージとしてまとめるときには、その実践の本質を捉えて「抽象化」し、パターン間の関係性をつかんで「体系化」し、その本質と体系を踏まえて「言語化」します。具体事例をベースにパターンを捉え、その本質をつかむというときには、現象学における「本質観取」と同様のことを行っているということが、最近わかってきました。つまり、哲学と同様の深い思考・探究が必要だということです。また、パターン・ランゲージは、数十のパターンが相互に関係する体系(システム)をなしているのですが、その関係性を見定め、ひとつの体系として編み上げるときには、背後にある関係・構造を捉える構造主義的思考や、抽象的に捉えるシステム思考モデリングのセンスが求められます。そして、パターンを記述するときには、現象学の「本質記述」をするとともに、パターンの名前をつくるときには、本質を捉え、かつ魅力的な言葉になるようにつくり込んでいく必要があります。このように、パターン・ランゲージをつくるということは、高度な知性と豊かな感性を総動員してつくるということなのです。

    PLCreationProcess.jpg


    Feeling_Analysis.jpg


    SeeingOfEssence.jpg


    ■パターン・ランゲージは歌の詞に似ている

    パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論なのではなく、読み手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで推奨されていることを魅力的だと思い、実際にやってみようと思ってもらえるようなものになっている必要があります。物事の本質を捉えるとともに、心が動き、身体が動くような表現になっていることが求められるのです。僕は、これは、J-POPのようなポピュラー音楽の歌詞をつくることに似ていると思っています。

    聴き手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで歌われていることを魅力的だと思い、自分の歌として口ずさんだり、カラオケで歌う、そういう歌の歌詞のようなものだと思うのです。実際、作詞を手掛けている人たちが、歌づくりで語っていることは、パターン・ランゲージの作成と共通すると感じることが多々あります。AメロやBメロでその状況における悩みや迷いが歌われ、それをどう捉えるかや乗り越えていくようなポジティブなメッセージがサビで提示されます。聴き手は、その歌を聴き、歌詞を受け取るなかで、元気をもらったり、勇気づけられたり、世界をポジティブに捉えることができるようになります。

    パターン・ランゲージも、ある状況における問題から始まり、それを乗り越えていく方法が示されます。それは読み手の内側から「自分のことだ」「自分の近未来だ」と思うように書いていきます。読み手が実感をともなって、ありありとその内容をイメージできるようにつくるのです。歌とは異なり、音楽が持つ力を借りることはできません。しかしながら、うまくつくれば、読み手のペースで、自分のものとして内側からその人を温めるようなものになります。

    実際、僕らがつくったパターン・ランゲージの読み手から、「元気をもらっています」「心の支えになっています」「お守りのような存在です」「これがあったから、なんとかやってこれました」という声をもらいます。そういう声を聴くたびに、それはまるで、心から共感する大好きな「歌」のようだな、と思うのです。僕は、歌のつくり手たちの言うことにとても共感するのですが、僕らは実践者の話からパターン・ランゲージをつくるので、特に、小説などの原作を歌にするYOASOBIのAyaseさんの言うことはとても近く、通じるものがあると感じています。

    パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論なのではなく、それを受け取る人のなかで流れ、内側から温める「歌」のような存在なのです。

    YOASOBI.jpeg


    ■「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの道を極める

    井庭研では、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことについての研究をするなかで、自らがナチュラルにクリエイティブに生きる「」を極めていきます。単に研究テーマや対象とするのではなく、自分自身が実践しそれを生きるということを通じて深め、探究していくのです。そのような事情のため、おそらく多くの人がイメージしている「研究会(ゼミ)」とは大きく異なるスタイルで、井庭研に入るということを捉えてもらう必要があります。

    まず、生活における「地」と「図」が逆転します。週の何時間かで井庭研の活動を行う、というようなものではないのです。365日24時間 ナチュラルにクリエイティブに生きる、ということになります。つまりは、「自分の様々な生活」(地)のなかに「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(図)があるのではなく、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」(地)なかに「自分の様々な生活」(図)が重なる、というようなかたちになるのです。

    したがって、井庭研に入るとは、「授業」を取るというようなものではなく、茶道や合気道などのような「〇〇道の師匠につく・道場に入る」というようなイメージに近いものになります。創造の道です。その世界(「ナチュラルにクリエイティブに生きる」)を常に実践し、深めながら、それを極めていくというようなことなのです。そのようなこともあり、井庭研では、大学院までを含む長期的なスパンでの成長を理想としています。

    どの分野でもそうですが、「道を極める」ということは、2年や3年の短期間では為し得ず、何年もの徹底した修練の結果によって到るものなのです。そのため、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」についての見よう見まねの学部時代から、修士課程で実践の感覚をつかみ博士課程でそれを自在に行えるようになっていく、という成長の機会を設けています。その意味で、「〇〇道の師匠につく・道場に入る」というニュアンスがよく合うのです。

    最終的には、独り立ちして、自らが「ナチュラルにクリエイティブに生きる」人生を送りながら、それぞれの分野で「ナチュラルにクリエイティブに生きる」人が増えるように先導していく存在になることを目指しています。

    そのための場と機会は用意されていますが、ここは自己成長の場であることは忘れないでください。この場と機会を活かし、自分から挑戦し、工夫し、努力して、自分の経験を高めていくことが各自に求められます。そのような意味でも、道を極めるにあたり、精神的な成熟し、よりよい未来に向けて貢献していくことができる人になっていくことも、井庭研で学ぶことの意義になります。

    NaturalCreativeLivingIbaLab.jpeg


    ■自分の「自然な深い創造」の力を磨くためには

    「自然な深い創造」が自分を場にして起きるためには、自分という創造の「土壌」を豊かにしていく必要があります。その場の発想法のようなテクニックによってアイデアを出すのではなく、自分の深いところにある養分をどんどん吸って、つくるものは「育って」(つくられて)いくのです。そのため、土の状態が自然(ナチュラル)で、豊かであることが不可欠なのです。井庭研では、自分という創造の土壌を豊かにするために、次の3つのことを重視しています。

    (1) 創造のための読書

    井庭研では、創造に活かせるようにたくさんの本を徹底的に読み込みます。良質の本からは、その著者が考えた結果としての内容だけでなく、「独特の視点」や、「発想の型」、そして体系的な「概念装置」を学ぶことができます。そこで得られたものは、別の分野の別の文脈のことを考えるときにも、役立てることができます。これが自分を創造的にさせるのです。

    第一の「独特の視点」は、その著者なりの(つまり、これまでの自分とは異なる)視点で物事を見ることです。いくつかの視点を持っていると、物事を常識的な角度からだけでなく、異なる角度から見ることができるようになります。第二の「発想の型」は、新しい考え方を生み出すときのやり方のことです。発想のしかたの型をいくつも持っていると、アイデアや新しい考えを生み出すときに用いることができます。第三の体系的な「概念装置」は、いくつかの概念が体系的に紐づいた理論を用いて、物事の複雑さを生け捕って捉えることができるようになるということです。これは、高度な把握や推論が可能となり、創造を高いレベルに引き上げます。

    このように、たくさんの本を徹底的に読み込んでいくことで、自分という創造の土壌を豊かにし、創造力が飛躍的に上がっていきます。井庭研での経験を通じて、「本の読み方が変わった」「本を読むことが、とても面白いということであることに気づけた」という声があり、研究のためだけでなく、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」人生を豊かにしてくれるということがわかります。

    SummerBooks.jpg



    (2) 井庭研内の創造実践から学ぶ機会

    井庭研では、日々、たくさんのプロジェクトが研究・活動を展開しています。そのため、創造実践の取り組みを現在進行形で目の当たりにし、また、ものすごい勢いで創造実践の事例や知恵が貯まっていきます。また、担当教員の井庭や先輩たちが、口頭でもテキストベースでも映像でも、最先端の思考やアイデアを次々と披露し、じゃぶじゃぶに共有しています。これらのリソースを「生きた教材」として活かし、創造実践について学び取りにいくことができます。創造に関する面白い情報が圧倒的な量、毎日飛び交っている場はまずないでしょう(2021年の1年間に、僕は約3万投稿、メンバーも数千から1万超えの投稿をしています)。

    OtherProjectObservation.png



    (3) プロジェクトでの自分たちの実践経験

    井庭研では、1年間に1つのプロジェクトにどっぷり浸かり、複数人で研究に取り組みます。そこでは、それぞれの得意を持ち寄り、個人の限界を超えることができます。しかも、その小さなチームのなかで、学び合いや高め合いが起きます。各自が成長するための挑戦(チャレンジ)もこのプロジェクトでします。こうして、今の自分からアップグレードし続け、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」力を高めていくのです。

    井庭研は、以上のような機会を活かして創造実践の経験を積み、自己成長し、創造の道を極めていくための場なのです。

    project2021_o1.jpg project2021_r1.jpg
    project2021_r2.jpg project2021_o2.jpg
    project2021_o3.jpg project2021_r3.jpg


    ■「新しい学問」をつくりながら実践する

    学問的に見たときに、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」や「自然な深い創造」、「創造社会」ということを考えるときに直球で答えてくれる学問分野は、現在ありません。そのため、既存の学問的枠組みや方法論を超えた「新しい学問」を構築しながら取り組むことが必要となります。井庭研では、新しい学問の土台をつくりながら、その上で具体的な研究を進め、そのことによってさらに土台が固まっていくというような、大胆で実験的なやり方で研究に取り組んでいます。その「新しい学問」を、僕は「創造実践学」「創造の哲学」「未来社会学」と名付けています。

    創造実践学」(Studies on Creative Practice)は、私たちの暮らしや仕事、社会におけるさまざまな領域の実践を、より創造的なものにするためにはどうしたらよいかを研究する学問として構想されています。各領域の創造実践の本質を明らかにし、パターン・ランゲージとして表現して活用することが、その主力の研究方法となります。「創造の哲学」(Philosophy of Creation)は、創造とは何か、についての哲学的探究を行うものです。現象学の方法によって創造の本質を観取するとともに、プラグマティズムの哲学や東洋哲学などとの関係についても深めていきます。「未来社会学」(Future Sociology)は、ナチュラルでクリエイティブに生きる未来の社会のヴィジョンを描き、その内実を研究する未来志向の学問です。創造社会では社会の一つの機能システムとして「共創システム」というものが作動し、そこではパターン・ランゲージのメディアや、ジェネレーターという役割が重要になるというような、未来ヴィジョンの社会像を明らかにしていきます。

    これらの三つの学問を構築するにあたり、僕たちはゼロからスタートするのではありません。これまでの人類のさまざまな知見・学問成果を踏まえながら、大胆に組み替え、読み替えながら、取り組んでいきます。哲学、社会学、人類学、認知科学、心理学、教育学、建築学、デザイン論、芸術論、美学、数学、文学、経営学、思想史などを必要に応じて縦横無尽に学び、取り入れていきます。その意味で、いろいろな学問領域を横断し、それらを超越して研究するという「超領域的」(トランス・ディシプリナリー:trans-disciplinary)な営みとなります。しかも、西洋の学問だけでなく、東洋哲学・思想とも積極的に関わり、西洋と東洋の知を融合させたこれからの学問をつくっていこうとしています。とてもSFCらしい、ユニークな学問のアプローチだと思います。

    NewAcademicAreas.jpg


    ■Project - 2022年度春学期のプロジェクト

    2022年度春学期は、以下の8のプロジェクトを予定しています。井庭研のメンバーは、どれかひとつのプロジェクトに参加し、研究に取り組みます。 各プロジェクトは、複数人で構成され、成果を生み出すためのチームとして、ともに助け合い、高め合い、学び合いながら、研究に取り組みます。

    (1) 創造を巻き起こすジェネレーターのパターン・ランゲージの作成研究
    (2) 成果を生み出す企業におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
    (3) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
    (4) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究
    (5) 価値観から変わる「創造的な学びの共同体」のナラティブ研究
    (6) 自然のなかの子育てのパターン・ランゲージの作成研究(深化・仕上げフェーズ)
    (7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケアの研修・ワークショップの実践研究
    (8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティを実現する実践研究



    各プロジェクトの概要は、以下のとおりです。

    (1) 創造を巻き起こすジェネレーターのパターン・ランゲージの作成研究
    ジェネレーターは、ともにつくり、発見とコミュニケーションの生成・連鎖を誘発する存在です。これからの創造的な教育の場では、ティーチャーやファシリテーターという役割だけでなく、ジェネレーターが重要になります。しかし、ジェネレーターは、単なるスキルではなく、あり方であり生き方でもあります。そのため、他のジェネレーターがやっている振る舞いを単に真似るだけでは、ジェネレーターにはなれません。それでは、ジェネレーターにおいては何が大切なのでしょうか。本プロジェクトは、そのようなジェネレーターの秘密に迫ります。本プロジェクトは、一般社団法人みつかる+わかる の「We are Generators!」との共同研究です。

    (2) 成果を生み出す企業におけるWell-beingのパターン・ランゲージの作成研究
    本プロジェクトでは、しっかりと成果を追求する企業組織において、Well-doingとともに、「幸福」な状態を指す「ウェルビーイング」(Well-being)をどうしたら高めることができるのかについて研究します。本プロジェクトは、企業との共同研究として行い、その企業を中心に、複数の企業の事例とインタビューから、パターン・ランゲージを作成し、広く、企業におけるWell-beingの向上を目指します。

    (3) 市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成研究
    すでにある競争のなかで、いかにパイを取るかということではなく、新しい商品・サービスで新しい市場を生み出すときのマーケティングはいかに行えばよいのか。本研究では、広告業界での経験が豊かな共同研究者とともに、市場創造マーケティングのパターン・ランゲージの作成を行います。

    (4) パターン・ランゲージによる新しい開発援助の実践研究
    本プロジェクトでは、これまで井庭研でつくってきた、仕事、教育、暮らし、生き方などのさまざまな分野のパターン・ランゲージを、国内外の諸地域の人々のエンパワーに活かしていくことを試みます。例えば、フィリピンの若者の支援として、現地の関係者や支援者と協力し合いながら、これまで井庭研でつくってきたパターンのなかから重要なパターンのセットをつくり、現地語で提供し、活用するための伴走を行います(パターン・ランゲージ・リミックスと伴走型支援)。その実践のなかで、人々のケイパビリティ(潜在能力)を高める、新しい開発援助(発達・発展の支援)のかたちを構築していきます(本プロジェクトでは、海外だけでなく、日本の地方の高校生のエンパワーメントにも取り組んでいます)。

    (5) 価値観から変わる「創造的な学びの共同体」のナラティブ研究
    このプロジェクトでは、「価値観・世界観から変化してしまう学び」のプロセスと、それを可能にする「創造的な学びの共同体」の仕組みを研究します。具体的には、小阪裕司さんが主宰する商人たちの実践共同体ーーワクワク系マーケティング実践会ーーの会員たちへのインタビューを行い、そこで生まれる語り(ナラティブ)の分析に取り組みます。その際に注目するのは、個別のスキルを身に着けたり成果が出せるようになったりすること以上に、生活や仕事の思想・哲学までが変化してしまうような、新たな価値観を学ぶプロセスとそのための実践共同体のメカニズムです。プロジェクトの活動は、約50人の会員たち(その誰もが魅力的な実践をされている商人たち)との対話に取り組むことと、その語りの書き起こしと分析を載せたメディア(冊子を予定)を制作することを、同時平行で進めていきます。具体的な語りと抽象的な分析を縦横無尽に行き来することで、単に現存する共同体の研究にとどまらず、新たに立ち上がる「創造的な学びの共同体」にとって意義のある知見を得ることを目指します。本研究は、小阪裕司さんのオラクルひと・しくみ研究所との共同研究です。

    (6) 自然のなかの子育てのパターン・ランゲージの作成研究(深化・仕上げフェーズ)
    現代社会では、人間は自然との関わりの多くを失い、人工的な環境・制度のなかで育ち・暮らしています。その「人間関係」「人工的な環境・制度」のなかで息苦しさや窮屈さ、閉塞感を感じている人は多く、心身への悪影響も少なからずあるようです。そこで、本プロジェクトでは、自然に子どもが育つとともに親も育ちながら、身の回りの自然環境を支え、地球・宇宙を感じる暮らし方・生き方の実現のためのパターン・ランゲージの作成に取り組みます。2022年度は、2021年度に取り組んだ作成・研究で明らかになってきたことをさらに深め、いろいろな事例と結びつけながら、自然のなかの子育てのパターン・ランゲージを仕上げます。

    (7) 『ともに生きることば』を用いた高齢者ケアの研修・ワークショップの実践研究
    高齢者ケアの分野では、現場での実践のなかで多くのことが学ばれていますが、そのような現場での学びにおいて、どのようによりよいケア・介護について意識・経験を豊かにしていくことができるでしょうか? 本研究プロジェクトでは、パターン・ランゲージを用いた対話や実践支援による新しいアプローチを開発し、実践導入していきます。具体的には、井庭研で作成し、2022年1月末に出版された『ともに生きることば:高齢者向けホームのケアと場づくりのヒント』等を活用し、実際に介護施設等で研修を実施していきます。支援する側/支援される側という区分を超えて、自分たちの「ともに生きる」スタイルを育てていくことを促すことを目指します。本研究は、社会福祉法人いきいき福祉会との共同研究です。

    (8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティを実現する実践研究
    このプロジェクトでは、クリエイティブ・ラーニング・コミュニティ(創造的な学びのコミュニティ)を、いろいろな仕組み・方法、パターン・ランゲージを用いて(必要に応じてつくって)実現する研究・活動に取り組みます。具体的には、井庭研をフィールドとし、「メンバーが自分たちで自分たちの創造的な場をつくる」ことや、「先端的な研究で創造的な活動を行い、そのなかで学んでいく」ということが実際に効果的に実現することを目指します。井庭研では、学部生でも、自分たちの生み出した研究成果を国際学術会議に論文を書いているのですが、その学術論文執筆に焦点を当て、アカデミック・ライティング・パターンを作成し、井庭研内での支援に活かしています。また、井庭研がクリエイティブ・ラーニング・コミュニティとしてまわっていくための組織バリューの編み上げ構築にも取り組んでいきます。


    【履修条件】

  • 知的な好奇心と、創造への情熱を持っていること。
  • じっくり取り組む時間の調整・確保を自らでき、研究・活動・勉強に徹底的に取り組むことができること。
  • 「知的・創造的なコミュニティ」としての井庭研を、与えられたものとしてではなく、一緒につくっていく意志があること。


    【その他・留意事項】

  • 現1年生のエントリーを歓迎します。長く一緒に研究・活動して経験を積み重ねることで、理解が深まり力がつくので、その後、より活躍できるようになります。そのため、井庭研では早い時期からの履修・参加を推奨しています。(そのことから、3年生後半や4年生からは、大学院進学を前提としている場合を除き、原則として受け入れていません。)

  • GIGA生や海外経験のある人、留学生を歓迎しています。井庭研では、日本語での成果をつくるとともに、英語で論文を書いて国際学会で発表したり、海外の大学やカンファレンスでワークショップを実施したりしています。日本語以外の言語を扱えることは、活躍・貢献のチャンスが大きく高まります。ぜひ、力を貸してください。

  • エントリーを考えている人は、「井庭研に興味があるSFC生の連絡先登録(2021年12月〜2022年2月用)」に登録してください。最新情報があれば送ります。


    【授業スケジュール】

    井庭研では、どっぷりと浸かって日々一緒に活動に取り組むことが大切だと考えています。

    全員で集まる時間は、 水曜の3限から夜までのプロジェクト活動の時間と、木曜の4限から夜までの全体ミーティング(ゼミ)の時間です。その時間は、全員での《まとまった時間》としているので、この時間は、授業や他の予定を入れないようにしてください。

    それ以外の日も、365日いつでも、各自で本を読んで知識をつけたり、考えたり、プロジェクトの研究の個人作業を進めたり、必要に応じて集まって話し合ったりします。また、担当教員(井庭)や井庭研が登壇する講演・ワークショップや学会等には、原則としてすべて参加して学びます。さらに、コミュニケーション・プラットフォームとして用いているslack上で、毎日情報共有ややりとりが行われています。「井庭研の活動が増える」という感覚ではなく、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」生活にシフトするのだと捉えてください。


    【評価方法】

    研究・実践活動への貢献度、および研究室に関する諸活動から総合的に評価します。


    【エントリー課題】

    このシラバスをよく読んだ上で、2月28日(月)までに、[1] エントリーシート[2] 文献課題[3] パターン課題 の3つを提出してください。

    エントリー課題の提出先:https://forms.gle/XU4vcAwXn7tBC4dXA


    [1] エントリーシート

    タイトル:井庭研(2022春)履修エントリー

    1. 名前(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
    2. 自己紹介と日頃の興味・関心(イメージしやすいように、適宜、写真などを入れてください)
    3. 井庭研への志望理由
    4. この研究会シラバスを読んで、強く惹かれたところや共感・共鳴したところと、その理由・考えたこと
    5. 参加したいプロジェクト(複数ある場合は、第一希望など、明示してください)
    6. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
    7. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    8. これまでに履修した授業のなかでお気に入りのもの、所属した研究会など(複数可)
    9. 日々の生活のなかで取り組んでいるサークル、学内外での活動・仕事・アルバイトなど


    [2] 文献課題

    井庭研での創造・研究に関係がある以下の本のうち1冊(できるなら2冊)を読み、自分にとって面白いと感じたところについて、それがどこかということと、どのように面白いと感じたのかを書いてください(A4で1〜3ページ程度)。



    [3] パターン課題

    以下のパターン・ランゲージ本を読み、感じたことを書いてください。その上で、どれか一つのパターンの文章とラストをノートなどに手書きで書き写し、その内容・表現の質感を、つくり手の内側の立ち位置で感じてください。その写真を掲載し、さらに、パターンを書き写したときの気づきや感想も書いてください(この[3]の全部でA4で2〜3ページ程度:パターンの書き写し部分のみ手書きのものを写真に撮り、それ以外の部分はパソコンでテキスト入力で作成してください)。



    handcopy1.jpg handcopy2.jpg


    エントリーや井庭研でのことについて、何か質問があれば、ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp([at]を@に変えてください)まで、メールをください。

    3⽉7日(月)に面接@オンラインを行う予定です。詳細の日時については、エントリー〆切後に個別に連絡します。


    【教材・参考文献】

    井庭研でやっていること・目指していることを知るための本として、わかりやすいのは次の6冊です。最初の2冊は考え方について語っていて、次の3冊はパターン・ランゲージの実例です。そして、最後の1冊は、創造社会とはどういうことかが、自分たちの暮らし方を自分たちでつくるという事例で感じられるものです。



    Juku2012Summer_IbaLab.png
    慶應義塾の広報誌「塾」第311号(2021年夏号)「半学半教」
  • 井庭研だより | - | -

    2021年を振り返る:成果発表・活動等一覧

    2021年は、オンラインでの登壇や論文発表など、いろいろ取り組みました。来年は、今年書いた本がいくつか出版されたり、これから仕上げる本もあり、楽しみです。

    【招待発表論文】

    • 井庭 崇, 「村上春樹の深い創造:日常から逸脱した世界はいかにして生まれるのか」, 2021年第10回村上春樹国際シンポジウム「村上春樹文学における「逸脱」(deviation)」, 2021年6月
    • 井庭 崇, 「クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育」, AIとクリエイティブ・ラーニング研究会, 韓国日本語学会 第43・44回 国際学術発表大会, 2021年9月


    【Conference Papers】

    • Takashi Iba, Yuka Banno, Hinako Ando, "Principles of Pattern Illustration Design", in 26th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP’21), 2021.
    • Misaki Yamakage, Sora Hatori, Miku Minami, Mitsuki Saito, Takashi Iba, "Natural & Creative Living Patterns, Part 1: Patterns for Creative Living", in 26th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP’21), 2021.
    • Kiyoka Hayashi, Sawami Shibata, Erika Inoue, Sae Adachi, Takashi Iba, "Online Education Patterns, Part 1: Patterns for Linking Separate Worlds", in 26th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP’21), 2021.
    • Yuki Kawabe, Takashi Iba, Yuya Oka, Kotaro Chiba, "Start-up Patterns A Pattern Language for Developing Enterprise to Create the Future" in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Sae Adachi, Sawami Shibata, Erika Inoue, Kiyoka Hayashi, Takashi Iba, "Online Education Patterns, Part 2: Patterns for Creating a New Form of Learning" in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Yuki Kawabe, Takashi Iba, "Pattern Language Online, Qualitative-Data-Based Pattern Language Creation System", in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Sora Hatori, Takashi Iba, "Natural & Creative Living Patterns, Part 2 Patterns for Natural Living", in 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba with Konomi Munakata, "What does it Mean by Grasping the Essence of Patterns?: A Philosophical Study on Pattern Language Creation with Phenomenology", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba with Sae Adachi, "The Principles of Deep Creation", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Yuya Oka, Haruka Kimura, Erika Inoue, "Extracting and Writing Key Elements in Pattern Mining", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Takako Kanai, "Systematization of Patterns: for Weaving a Pattern Language as a Whole", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Hinako Ando, "How to Make Patterns Powerful: Realizing Contrast in a Pattern of a Pattern Language", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, "How to Write Patterns: A Practical Guide for Creating a Pattern Language on Human Actions", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
    • Takashi Iba, Hinako Ando, Yuya Oka, Yuki Kawabe, Akira Tsukakoshi, "Designing Online Course for Collaboration to Create a Pattern Language: The Case of a Pattern Language for Generators Nurturing Playful Community and Places", PLoPourri, 28th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP’21), 2021.
      ※いずれもPost Proceedingsとして来年パブリッシュされます。



    【講演】

    • 井庭 崇, 「深い創造の原理と実践:芸術とパターン・ランゲージ」, 創造のテーブル2021, 2021年1月
    • 井庭 崇, 「深い創造の原理、パターン・ランゲージ、感じること」, 日本女子大学 建築設計III 特別講義(篠原聡子先生), 2021年1月
    • 井庭 崇, 「未来をつくる言葉:パターン・ランゲージ / フューチャー・ランゲージ」, 全国青年印刷人協議会 第34回全国協議会, 2021年2月
    • 井庭 崇, 阿部 有里, 「深い創造の原理とパターン・ランゲージ」, ビジネスモデルオリンピア2021「イノベーションに宿ることば」, 2021年2月
    • 井庭 崇, 「人と自然が共繁栄していく創造社会:中空,混沌,無から立ち現れるもの」, Ecological Memes Forum 2021「あわいから生まれてくるもの 〜人と人ならざるものの交わり〜」
    • 井庭崇研究室, 「ナチュラルにクリエイティブに生きる社会へのシフト」, SFC Open Research Forum, 2021年3月
    • OPEN EXPERIMENTS #6「妄想から生まれるリアリティ」(井庭 崇・市原 えつこ・熊坂 賢次・斉藤 賢爾), SFC Open Research Forum, 2021年3月【映像アーカイブ
    • 井庭 崇, 「オンライン授業ならではのつくり方:新しい学びの場づくりのヒント」, 高知大学医学部「エキスパートに学ぶ会2021」特別講演, 2021年3月
    • 井庭 崇, 井庭崇研究室, 「最高のオンライン授業のつくり方」オンライン・セミナー」, 2021年3月
    • 井庭 崇, 「パターン・ランゲージとは何か(井庭崇レクチャー)」 2021年3月
    • 井庭 崇, 「創造のシャーマン:作家、詩人、作曲家の発言と、クリストファー・アレグザンダーの思想、および老荘思想についての井筒俊彦の読み解きを手がかりとして」, Ecological Memes 2021 AWAI gathering, 2021年4月
    • 井庭 崇, 「未来をつくる」, 神奈川県立多摩高校フレッシャーズキャンプ2021(生徒向け), 2021年4月
      実施レポート
    • 井庭 崇,「研究指導のデザイン(井庭研の場合):創造社会の学びと教育」, 神奈川県立多摩高校(教員向け), 2021年4月
    • 新井 宏征, 井庭 崇, 『実践 シナリオ・プランニング』出版記念対談【×創造】, 2021年6月
    • 井庭 崇, 「創造社会の実現にむけて 実践の叡智を創造し共有するパターン・ランゲージ:ナチュラルにクリエイティブに生きる創造社会の実現」, 価値創造イネーブルメント実践研究カンファレンス Vol.1, 2021年7月
    • 井庭 崇,「最高のオンライン授業のつくり方」, 第69回九州地区大学教育研究協議会, 2021年9月
    • 塚越 暁, 井庭 崇, 「原っぱ大学におけるパターンランゲージの生成とジェネレーターのあり方研究」, We are Generators わかるプログラム ジェネレーター研究講座, 一般社団法人みつかる+わかる, 2021年10月
    • 井庭 崇, 「「Life with Reading」「本の楽しみかたカード」活用ワークショップ:もっと子どもたちに読書の楽しさを伝えたい」, 図書館総合展, 2021年11月 【映像アーカイブ
    • 井庭 崇, 「未来の兆し:創造社会ヴィジョン」, 建築T社, 2021年11月
    • 井庭 崇, 「自然な深い創造:パターン・ランゲージの思想と方法」, 第3期 風越コラボ, 軽井沢風越学園, 2021年12月


    【インターネット・ラジオ等】

    • 土井 英司, 井庭 崇, 「創造性を高める秘訣を学者と考える。」, Clubhouse企画, 2021年4月
    • 井庭 崇, 「創造と自然のリズムの関係性」, Blue Moment Vol.13, 2021年6月 【音声アーカイブ


    【記事】

    • 井庭 崇, 新田 莉生, 「[大学インタビュー]どんな分野でも必要不可欠:思考力は研究のエンジンだ!」, 『GPS-Academic 思考力トレーニングBOOK2 活用編』, Benesse, 2021年4月
    • 「「最高のオンライン授業のつくり方」とは? 離れた世界をつなぐコツ【慶應義塾大学 井庭崇教授によるパターン・ランゲージ】」(「最高のオンライン授業のつくり方」オンライン・セミナー レポート【前編】), EdTechZine(エドテックジン), 2021年9月 【記事
    • 「新しい学びのかたちと学生の居場所をつくり、最高のオンライン授業を!【慶應義塾大学 井庭崇教授によるパターン・ランゲージ】」(「最高のオンライン授業のつくり方」オンライン・セミナー レポート【後編】), 2021年9月 【記事
    • 「注目の書 著者は語る『コロナの時代の暮らしのヒント』井庭 崇」, Real Partner, 2021年度9月号 【記事
    • 「創造と独創は別もの 親の「三大NGワード」とは?」, 日経xwoman, 2021年12月 【記事


    【授業対談】

    • 宇野 常寛, 井庭 崇, 「情報社会の次をつくる」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 竹田 青嗣, 井庭 崇, 「本質を捉える方法」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 市原 えつこ, 市川 力, 井庭 崇, 「妄想と創造」, 創造社会論2021, 2021年10
    • 松坂 愛友美, たいら 由以子, 井庭 崇, 「土をつくる」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 小林 泰紘, 山本 郁也, 井庭 崇, 「生態系的世界観」, 創造社会論2021, 2021年10月
    • 西 研, 井庭 崇, 「共通了解を目指す対話」, 創造社会論2021, 2021年11月
    イベント・出版の告知と報告 | - | -

    慶應義塾大学SFC「創造社会論」2021シラバス

    創造社会論2021
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭崇
    開講:2021年度秋学期(前半)
    曜日時限:金曜4・5限※
    ※ 学期後半には、同じ曜日時限に「ワークショップデザイン」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。
    実施形態:完全オンライン開講(Zoom)

    CreSoc2021.png


    【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

    これからの社会は、どのような社会になるでしょうか? 本講義では、これからの社会を、一人ひとりが本来もっている創造性を十全に発揮する「創造社会」(Creative Society)になるという想定から出発します。創造社会では、誰もがさまざまな分野・領域で「つくる」ことをごく当たり前に行うようになります。そして何よりも、「つくる」ということが、生活・人生の豊かさや幸せを象徴するようになっていきます。

    かつてインターネットの登場によって始まった「情報社会」では、生活が変わり、組織が変わり、社会が変わりました。同様に、「創造社会」の到来においても、生活・組織・社会のあり方が大きく変わることになるでしょう。そこで、その変化とはどのようなものなのか、そして、それらの変化は何をもたらすのかを考えることは、これからの未来に向かうための重要な準備となります。

    この授業では、自然との関わりを深めた「ナチュラルな創造社会」について考えたいと思います。「自然(ナチュラル)」というとき、一方では、自然(森林や海山など)などの「外なる自然」(outer nature)の意味があり、他方では、素の自分らしさと自由度をもっていきいきと生きるという「内なる自然」(inner nature)の意味があります。これらは本来は別ものではなく、相互に関係する表裏一体のものです。しかし、この二つの「自然(ナチュラル)」が分離し、しかもそれぞれが「人工的」(自然に成り立ったものではない人為的・外的)なものに浸食されてしまっていることが、現代の諸問題の根源にあるように思われます。これら二つの意味の「自然(ナチュラル)」---「外なる自然」と「内なる自然」---がうまく重なり合うようことが可能な未来はいかにして実現できるのでしょうか?

    そのような未来に向け、本講義では、自然や創造にまつわる実践・研究に取り組んでいる方々をゲストにお招きし、対話を重ね、「ナチュラルな創造社会」の未来像を描き深めていきます。それぞれの対談で知り学んだ考え方や取り組み方を、履修者一人ひとりがパターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちのこれからの実践につなげていくことができるようにすることが、最終的にこの授業で取り組むことです。

    2021年度秋学期の各回のテーマは、次の通りです。

    • 情報社会の次をつくる(Toward Post-Information Society)
    • 本質を捉える方法(Philosophical Method for Seeing Essences)
    • 妄想と創造(Fantasy and Creation)
    • 土をつくる(Nurturing Soil)
    • 生態系的世界観(Eco-systemic View of the World)
    • 共通了解を目指す対話(Dialogue for Creating Common Understanding)


    この授業では、単に受け身で話を聞くというのではなく、想像力をフルに発揮して未来像を思い描くとともに、重要な考え方や実践のコツを自らつかみ取りにいく姿勢で参加することが期待されています。

    授業と並行して文献を読む宿題を毎週出すので、授業初回までに早めに、書籍 『コロナの時代の暮らしのヒント』『対話のことば:オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』を入手しておいてください。

    なお、昨年の授業(対談映像)がYouTube上で公開されています。興味がある回があれば、見てみてください。

    担当教員・井庭崇から学生のみんなへ:時間が経てば「未来」はやってきます。でも、それは自分たちの望んでいる未来ではないかもしれません。いや、むしろ、何もしなければ、望む未来がやって来るなんてことはないでしょう。だから、僕たちは未来に向かって、理想・ヴィジョンと、それを実現する物事をつくり続けていかなければなりません。この授業は、よりよい未来に向けて自分にできることを精一杯(しかも創造的に、面白そうに)やっている大人たちがいることを、みんなにも知ってほしくて・感じてほしくて企画しました。「自分たちの未来を自分たちでつくる」という道へ、ようこそ!たくさん刺激を受けて、自分のエネルギーにしてもらえればと思います。


    【授業計画】

    第1・2回(10/1):「情報社会の次をつくる」(宇野 常寛 × 井庭 崇)
    評論家の宇野 常寛さんをゲストにお招きし、「情報社会の次をつくる」ことについて語り合います。

    宇野 常寛(Tsunehiro Uno)
    評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)、『若い読者のためのサブカルチャー論講義録』(朝日新聞出版)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。立教大学社会学部兼任講師も務める。▶︎HP


    第3・4回(10/8):「本質を捉える方法」(竹田 青嗣 × 井庭 崇)
    竹田 青嗣さん(哲学者 / 早稲田大学国際教養学部名誉教授)をゲストにお招きし、「本質を捉える方法」について語り合います。

    哲学者の竹田 青嗣さんをゲストにお招きし、「本質を捉える方法」について語り合います。

    竹田 青嗣(Seiji Takeda)
    1947年大阪生まれ。哲学者。早稲田大学政治経済学部卒業。明治学院大学国際学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て現在、早稲田大学名誉教授、大学院大学至善館教授。在日韓国人二世。在日作家論から出発。文芸評論、思想評論活動をへて、実存論的な人間論を中心として哲学活動を続ける。フッサール現象学を方法的基礎とする哲学原理論としての欲望論哲学を構築(現在『欲望論』第一巻・第二巻出版、第三巻執筆中)。著書に 『現象学入門』『哲学とは何か』(NHKブックス)、『欲望論』第1巻・第2巻(講談社)、『超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』』 『超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』』(講談社現代新書)、『人間的自由の条件』(講談社学術文庫)、『ニーチェ入門』(ちくま新書)、『言語的思考へ』(径書房)、『哲学は資本主義を変えられるか』(角川ソフィア文庫)など。▶︎HP


    第5・6回(10/15):「妄想と創造」(市原 えつこ × 市川 力 × 井庭 崇)
    メディアアーティストで妄想インベンターの市原 えつこさんと、歩き旅する探究人の市川 力さんをゲストにお招きし、「妄想と創造」について語り合います。

    市原 えつこ(Etsuko Ichihara)
    メディアアーティスト、1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と日本文化に対する独特のデザインから、国内外の新聞・テレビ・ラジオ・雑誌等、世界中の多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation採択。2018年にアルスエレクトロニカInteractive Art+部門でHonorary Mention(栄誉賞)を受賞、EU(ヨーロッパ連合)より科学、社会、芸術の優れた融合に贈られる「STARTS PRIZE」にも同時ノミネート。主な展覧会として、「デジタル・シャーマニズム – 日本の弔いと祝祭」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC])、「Cyber Arts Exhibition 2018 – Ars Electronica Festival」(OK Center for Centemporary Art)、「文化庁メディア芸術祭」(オペラシティアートギャラリー)、「第11回恵比寿映像祭」(東京都写真美術館)等。2016年にYahoo! JAPANを退社し独立、現在フリーランス。執筆活動も活発に行い日本経済新聞COMEMOキーオピニオンリーダーなどの媒体で連載中、講演多数。2025大阪・関西万博 「日本館基本構想」クリエイター。▶︎HP

    市川 力(Chikara Ichikawa)
    一般社団法人みつかる+わかる代表理事。慶応義塾大学SFC研究所上席所員。元東京コミュニティスクール校長。長年、小学生を対象に見えないなりゆきをしなやかに生きる探究力を育む学びを研究・実践。現在は、大人と子どもがともにたくらみ学ぶ場づくりを行う。歩き旅するまちのジェネレーター。NHK for Schoolメタモル探偵団、Eテレ高校講座『総合的な探究の時間』監修・出演。主な著書は『探究する力』『科学が教える、子育て成功への道(今井むつみとの共翻訳)』『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』(井庭崇編著)、分担執筆に『ポスト・コロナの学校を描く』(教育開発研究所)、『もし「未来」という教科があったなら』(学事出版)▶︎HP


    第7・8回(10/22):「土をつくる」(松坂 愛友美 × たいら 由以子 × 井庭 崇)
    ドイツで循環型でリジェネラティブなビジネスに取り組むコンセプチュアルアーティストの松坂 愛友美さんと、循環生活研究所でローカルフードサイクリング株式会社でコンポストの普及に取り組んでいる たいら 由以子さんをゲストにお招きし、「土をつくる」ことについて語り合います。

    松坂 愛友美(Ayumi Matsuzaka)
    DYCLE(ダイクル)代表、共同創業者。在ベルリン、ドイツ
    ドイツ、バウハウス大学ワイマール、造形芸術学部修士課程修了。コンセプチュアルアーティストとして、人と自然の関わり方に着目しヨーロッパやアジアをはじめ世界各国で精力的に制作活動を行う。より大きなインパクトを起こすために2015年に有限会社DYCLEをベルリンで設立。DYCLEは、Diaper(=オムツ)とCycle(=循環)を合わせた造語。堆肥化可能なオムツを通した循環型かつリジェネラティブビジネスの普及に取り組む。▶︎HP

    たいら 由以子(Yuiko Taira)
    ローカルフードサイクリング株式会社 代表取締役。福岡市生まれ。大学を卒業後、証券会社に勤務。大好きな父とのお別れをきっかけに、土の改善と暮らしをつなげるための、半径2kmでの資源循環を目指し活動開始。青年団の仲間と平成16年、NPO法人循環生活研究所を立ち上げ、子どもから高齢者、外国人までコンポストでつながる美味しい食の輪をつくるのが生きがい。生ごみ資源100研究会を主宰、循環生活研究所理事、コンポストトレーナー、NPO法人日本環境ボランティアネットワーク理事、アジア3R推進市民ネットワーク副代表、北九州大学マネジメント学科特任教授、JCVN理事など務め、国内外にコンポストを普及。行動を最良の学習手段とし、活動をスパイラルアップさせるが信条。▶︎HP


    第9・10回(10/29):「生態系的世界観」(小林 泰紘 × 山本 郁也 × 井庭 崇)
    エコシステミック・カタリストの小林 泰紘さんと、花人の山本 郁也さんをゲストにお招きし、「生態系的世界観」について語り合います。

    小林 泰紘(Yasuhiro Kobayashi)
    エコシステミックカタリスト。一般社団法人 EcologicalMemes 共同代表。株式会社BIOTOPE 共創パートナー。世界28ヶ国を旅した後、社会的事業を仕掛ける起業家支援を行う。その後は、個人の生きる感覚を起点とした事業創造支援に従事。幅広い業界での戦略づくりや事業開発を手がけたのち、独立。現在は、循環・再生型社会に向けた企業の未来ビジョンや事業づくりを伴奏するカタリスト・共創ファシリテーターとして活動。娘の誕生と育休を機に、一人ひとりが自己内多様性や自然環境とのつながりを取り戻し、生きる喜びを表現し続けていくための探究・実践の活動体 Ecological Memesを立ち上げる。座右の銘は行雲流水。趣味が高じて通訳案内士や漢方・薬膳の資格を持つ。イントラプレナー会議主宰。株式会社BIOTOPE 共創パートナー。一般社団法人 EcologicalMemes 代表理事。▶︎HP

    山本 郁也(Fumiya Yamamoto)
    池坊から花の道へ。その後、なげいれ、たてはなを学ぶ。 現在流派なし、無所属。 作品集に『風動いて開く花』『Post-Mortem Portraits』。 論考に「生殖器崇拝としてのいけ花」(『いけ花文化研究』第8号、2021年)など。▶︎HP


    第11・12回(11/5):「共通了解を目指す対話」(西 研 × 井庭 崇)
    哲学者の西研さんをゲストにお招きし、「共通了解を目指す対話」について語り合います。

    西 研(Ken Nishi) 
    1957年鹿児島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。京都精華大学助教授、和光大学教授を経て、東京医科大学教授(哲学教室)。教育出版小学校国語教科書『広がる言葉』編集委員。主な研究領域として、1.フッサール現象学を哲学対話と人間科学の方法として洗練すること、2.ルソー・ヘーゲルらの社会哲学を「自由な社会の理念」として現代的に再生すること(日独仏の地方自治の現場での調査も行っている)3.「支援のための哲学的人間論」を構築すること(ホームレス支援のNPOでの勉強会を行い、教育現場との交流も多い)。単著として、『哲学は対話する--プラトン、フッサールの〈共通了解〉をつくる方法』(筑摩選書)、『まなびのきほん しあわせの哲学』『読書の学校 プラトン「ソクラテスの弁明」』『100分de名著ブックス ニーチェ「ツァラトゥストラ」』『同ブックス ルソー「エミール」』(以上NHK出版)、『哲学の練習問題』『集中講義 これが哲学!』(以上河出文庫)ほか多数。共著として、竹田青嗣・西研『超解読! はじめてのヘーゲル「法の哲学」』(講談社現代新書)、竹田青嗣・西研編著『現象学とは何か--哲学と学問を刷新する』(河出書房新社)、小林隆児・西研編著『人間科学におけるエヴィデンスとは何か』(新曜社)、中村良夫・鳥越皓之編『風景とローカルガバナンス』(早稲田大学出版部)ほか。▶︎HP


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):200人程度を想定
    ※200人としていますが、希望者が多ければ、最大900人まで受け入れる可能性があります。

    選抜方法:課題提出による選抜

    「自己紹介 × 未来ヴィジョン」シート

    担当教員とゲスト登壇者に向けて、自己紹介+自分の未来ヴィジョンを、1ページで魅力的に表現してまとめて提出してください。

    自分のこれまでと今の興味・やっていること等を紹介するとともに、これからの自分の方向性ややりたいこと・夢・挑戦などのヴィジョンを魅力的に表現してください。必ずジャスト1ページに収め(多すぎず少なすぎず)、そのなかに「名前」と「ふりがな」を入れ、自分の人となりを表す「写真」も含めるようにしてください(写真はアップでも遠景でも構いませんし、紙面が許すならば複数入れても構いません)。

    この「自己紹介 × 未来ヴィジョン」シートでは、文字だらけのいわゆる志望理由書やレポートのようなものを求めていません。紙面を文章で埋めるのではなく、パッと見て・読んで理解できるように、短めの文を配置したりして、わかりやすさを心がけてください。ビジュアル要素も入れて魅力的に表現してほしいと思います。また、アップできるファイル容量には制限があるということと、〆切直前はシステムが重くなるので、それらの点にも注意して早めの準備・提出をしてください。

    担当教員とゲスト登壇者が見て「履修者にはこういう人がいるんだ!」と魅力的に感じられるような1枚にしてほしいと思います(実際にゲスト登壇者に事前にファイルを共有します)。

    提出の際には、必ずPDFファイルで提出してください。

    今年は教室の制約もないことから、基本的にはより多くの人を受け入れたいと思っていますが、上記の内容や形式の要件を満たしていない人(内容が薄すぎる、文章ばかりのものになっている、分量的に少なすぎるか多すぎる、PDFではないファイル形式での提出など)は、授業中・課題等でも同様の可能性があるため、定員人数にかかわらず履修不許可とするので、注意してください。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績評価は、出席と授業中の議論への参加とふりかえり宿題(40%)、文献宿題(25%)、期末レポート(35%)にもとづき総合的に評価します。


    【履修上の注意】

  • 毎週、授業の直後3時間の間に、出席確認の提出物を出してもらいます。
  • 毎週、授業から自分が学んだことをまとめる宿題とともに、文献(教科書)を読んでまとめを提出する文献読解宿題も出ます。
  • 本授業では、コミュニケーションツール「slack」を用いて、授業に関するアナウンスややりとり、「ふりかえり」などの提出を行います。こまめにアクセスして、参加するようにしてください。
  • 学期後半には、同じ曜日時限に「ワークショップデザイン」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。


    【教材・参考文献】

    教科書
    CreSocbooks.png

    参考文献

    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
      - 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019)
    • 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)
    • 『おもてなしデザイン・パターン:インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』(井庭 崇, 中川 敬文, 翔泳社, 2019年)
    • 『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』 (井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ, 丸善出版, 2015)
    • 『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』(井庭 崇, 秋田 喜代美 編著, 野澤 祥子, 天野 美和子, 宮田 まり子, 丸善出版, 2019)

    • 『遅いインターネット』(宇野 常寛, 幻冬舎, 2020)
    • 『哲学とは何か』(竹田 青嗣, NHK出版, 2020)
    • 『現象学入門』(竹田 青嗣, NHK出版, 1989)
    • 『現象学とは何か: 哲学と学問を刷新する』(竹田 青嗣, 西研 編著, 河出書房新社, 2020)
    • 『欲望論 第1巻:「意味」の原理論』(竹田 青嗣, 講談社, 2017)
    • 『欲望論 第2巻:「価値」の原理論』(竹田 青嗣, 講談社, 2017)
    • 『中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ』(竹田 青嗣, 筑摩書房, 2009)
    • 『はじめての哲学的思考』(苫野一徳, 筑摩書房, 2017)
    • 『哲学は対話する:プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉』(西研, 筑摩書房, 2019)
    • 『人間科学におけるエヴィデンスとは何か:現象学と実践をつなぐ』(小林隆児, 西研 編著, 新曜社, 2015)
    • 『しあわせの哲学』(西研, NHK出版, 2021)

    • 『時を超えた建設の道』 (クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
    • 『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
    • 『創造性とは何か』 (川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
    • 『「都市主義」の限界』(養老孟司, 中央公論新社, 2002)
    • 『虫眼とアニ眼』(養老 孟司, 宮崎 駿, 新潮文庫, 新潮社, 2008)
    • 『惑星の風景:中沢新一対談集』(中沢新一ほか, 青土社, 2014)
    • 『意味の深みへ:東洋哲学の水位』(井筒俊彦, 岩波文庫, 岩波書店, 2019)
    • 『東洋哲学の構造:エラノス会議講演集』(井筒俊彦, 慶應義塾大学出版会, 2019)
  • 授業関連 | - | -

    慶應義塾大学SFC「ワークショップデザイン」2021シラバス

    ワークショップデザイン2021
    慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
    担当教員:井庭崇
    開講:2021年度秋学期(後半)
    曜日時限:金曜4・5限※
    ※ 学期前半には、同じ曜日時限に「創造社会論」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。
    実施形態:完全オンライン開講(Zoom)

    WorkshopDesignOnline.png

    【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

    「対話による学び」や「つくることによる学び」の場をどのようにつくればよいのでしょうか? 本講義では、その場のひとつのかたちとして「ワークショップ」(workshop)の可能性を考えます。

    現在、いろいろな種類のワークショップが開かれていますが、それらのワークショップの背後にはどのような設計意図や工夫があるのでしょうか? また、自分たちがワークショップをつくるときには、何をどのように考えればよいのでしょうか? そして、ワークショップのファシリテーションにおいては、何に気をつければよいのでしょうか?

    これらのことを考え・学ぶために、授業と並行して、ワークショップを考案・設計するグループワークを行います。授業の後半では、他の履修者を対象に、自分たちの考案・設計したワークショップを実施します。これにより、「ワークショップデザイン」の感覚・スキルを実践的に高めたいと思います。最終的には、履修者ひとりひとりがつかんだワークショップ・デザインの秘訣を、パターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちの実践につなげる準備を行うことにします。

    今年度は、完全オンライン開講のため、みんなでいろいろなツールを試しながら、オンラインでのワークショップ(広義の参加型オンライン授業やオンライン・イベント等)の可能性を探究します。

    考えを深めてもらうために、授業と並行して文献を読む宿題を出すので、授業初回までに早めに、書籍『プロジェクト・デザイン・パターン』『おもてなしデザイン・パターン』を入手しておいてください。


    【授業計画】

    第1回(12/3):イントロダクション
    授業の内容、進め方について理解します。

    第2回(12/3):ワークショップ体験#1
    オンラインでのワークショップを体験してみます。

    第3回(12/10):ワークショップ体験#2
    オンラインでのワークショップを体験してみます。

    第4回(12/10):「全体性のたまご」アプローチによるデザイン
    全体性を考慮しながら、部分をつくり込んでいく「全体性のたまご」アプローチによるデザインについて学びます。

    第5回 (12/17):ワークショップ実践 #1
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第6回 (12/17):振り返り・ディスカッション #1
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第7回 (12/24):ワークショップ実践 #2
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第8回 (12/24):振り返り・ディスカッション #2
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第9回 (1/14):ワークショップ実践 #3
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第10回 (1/14):振り返り・ディスカッション #3
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第11回 (1/21):ワークショップ実践 #4
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第12回 (1/21):振り返り・ディスカッション #4
    実施したワークショップについて振り返り、議論します。

    第13-15回:ワークショップ・デザインのパターン・ランゲージ作成 #1-3 (授業時間外)
    授業でつかんだワークショップ・デザインのコツを、パターン・ランゲージの形式で記述していき、最終レポートを作成します。


    【履修条件】
  • 授業外のグループワークと授業中の活動・議論にしっかり参加するつもりがあること。


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):約60人

    選抜方法:課題提出による選抜

    以下の(1)(2)を合わせてA4で1ページに収め、PDFファイルにして提出してください。

    最初に、名前、学籍番号、SFCのメールアドレスを明記

    (1)これまでに自分が「経験」した(受けた・参加した・行った)オンラインの授業やセミナー、ワークショップ、習い事、イベントなどで、よいと思ったやり方、仕組み、ツール、工夫があれば教えてください(誰がいつ行った何の場だったのか、授業名やセミナー/ワークショップ/イベントの情報や、使用したツール名なども、わかる範囲で書いてください)。

    (2)自分がオンラインで実施するとしたときの、ワークショップのやり方、仕組み、ツール、工夫についての「アイデア」を考えて書いてください。複数思いついたら、すべて書いてください。

    提出の際には、必ず1ページPDFファイルを提出してください。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績評価は、出席と授業中のワークショップや議論への参加(30%)、ふりかえりと文献の宿題(30%)、グループワークへの貢献と期末レポート(40%)から総合的に評価します。


    【履修上の注意】

  • 授業時間外にグループワークの活動をすることが求められます。
  • 毎週、授業の直後3時間の間に、出席確認の提出物を出してもらいます。
  • 毎週、授業から自分が学んだことをまとめる宿題とともに、文献(教科書)を読んでまとめを提出する文献読解宿題も出ます。
  • 本授業では、コミュニケーションツール「slack」を用いて、授業に関するアナウンスややりとり、「ふりかえり」などの提出を行います。こまめにアクセスして、参加するようにしてください。
  • 学期前半には、同じ曜日時限に「創造社会論」(井庭)が開講されます。併せてどうぞ。


    【教材・参考文献】

    教科書

    WDbooks.png

    参考文献

    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
    • 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019)
  • 授業関連 | - | -

    2021年秋学期 井庭研 各プロジェクトにまつわる文献リスト

    2021年度秋学期の井庭研「ナチュラルにクリエイティブに生きる未来をつくる:創造実践学、創造の哲学、未来社会学の構築と実践」各プロジェクトにまつわる文献リストは、以下の通りです(井庭研共通の重要文献については、シラバスの【教材・参考文献】と、「井庭研 重要文献リスト120冊(2021年7月バージョン)」をご覧ください)。


    (1) 「アドホックなプロジェクト型組織のつくりかた」のパターン・ランゲージの作成



    (2) 「コロナ禍におけるゲストハウスのレジリエントな適応のしかた」のパターン・ランゲージの作成



    (3) パターン・ランゲージによる新しい開発援助 & 地方の高校生のエンパワーメント



    (4) パターン・ランゲージを活用した「ともに生きる」高齢者ケアの実践支援の研修デザインと実施



    (5) 「自然のなかの子育て・暮らし」のパターン・ランゲージの作成



    (6) 「ワクワクする人生の育て方」のパターン・ランゲージの作成



    (7) 「道を極める」ことのパターン・ランゲージの作成とボードゲームの開発

  • 風姿花伝・三道 現代語訳付き』(世阿弥, 竹本 幹夫 注訳, 角川学芸出版, 2009)
  • 風姿花伝:創造とイノベーション』(世阿弥, 道添 進 編訳, 日本能率協会マネジメントセンター, 2019)
  • NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝』(土屋 惠一郎, NHK出版, 2015)
  • 能:650年続いた仕掛けとは』(安田 登, 新潮社, 2017)
  • 異界を旅する能:ワキという存在』(安田 登, 筑摩書房, 2011)
  • 道を極める:日本人の心の歴史』(魚住 孝至, 放送大学教育振興会, 2016)
  • 新訳 弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル, 角川学芸出版, 2015)
  • 世阿弥の稽古哲学』(西平 直, 増補新装版, 東京大学出版会, 2020)


    (8) クリエイティブ・ラーニング・コミュニティの実現を支えるパターン・ランゲージの作成と導入



    (9) 商いの実践コミュニティの研究



    (10) 組織の理念を具体的実践につなげるためのパターン・ランゲージの作成

  • 井庭研だより | - | -
    CATEGORIES
    NEW ENTRIES
    RECOMMEND
    ARCHIVES
    PROFILE
    OTHER