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2009年03月 アーカイブ

2009年03月17日

大室政右氏の訃

 
 今日、旧知のテープ起こし者の方とメールを往復する中で、大室政右さんがお亡くなりになっていたことを知った。1月12日、老衰によるという。92才。大室さんは戦時中、国民精神総動員運動中央連盟、大政翼賛会、翼賛政治体制協議会といった機関で事務担当として活躍され、その後、南方マカッサルに赴任、戦闘に巻き込まれながらも命をつなぎ、抑留を経て復員、戦後は都議として5回連続当選、自民党都連幹事長も務められた。

 大室さんとお目にかかったのは2002年の初夏のことだった。当時、私は政策研究大学院大学のオーラル・ヒストリープロジェクトのRAであり、同プロジェクトで特別研究員をされていた武田友己さん、府中市博物館の馬場治子さんと、その後10回、1年半にわたってお宅を訪問し、お話を伺った。冒頭のテープ起こし者は、この時の記録を担当して下さった方であり、やりとりの中でふとしたことから同オーラルを思い出され、訃報を教えて下さった。ありがたい。ご葬儀に伺えなかったのが悔やまれる。

 お話を伺っていた当時、大室産はすでに80代後半でいらっしゃったが、堂々とした体躯、ゆったりした動き、時に躊躇されながら誠実にお話くださる人柄は、強く記憶に残った。事前調査の担当をしていたこともあり、私にとって、大室オーラルは今でも戦中期を考える際の大きなよりどころとなっている。同オーラルの記録は、武田さんのご尽力により『大室政右オーラル・ヒストリー 元国民精神総動員運動事務局員・元東京都議会自民党幹事長』として冊子化されているので、ご関心の向きには、ぜひ手にとって頂ければ、と願う。

 今年も年賀状を頂き、昨年も古鏡の取材で大室家を訪れたという記者からご健勝ぶりを伝え聞いていたので、突然の訃報にただ驚くばかりである。大室さんとのオーラル・ヒストリーは、私にとって、まだオーラル・ヒストリーを始めたばかりのころ、いつも温かくお迎え頂いたことで、とても元気づけられた、大切な思い出である。お亡くなりになられたことは残念であるが、お元気でいらした折に詳しく、暖かくお話を伺えたことを心から感謝して、ご冥福を祈りたい。
 
 

2009年03月20日

テイクオフラリー2009(3月20日)

 SFC独自の卒業イベント「テイクオフラリー2009」に出席してきました。

 1年間の中断はあったものの、約15年にわたり続けられてきたこのイベント。なにより、学生の自主企画で、「テイクオフ」という名前がついているのが素晴らしい(ちなみに、私が大好きな吹奏楽コンクール課題曲も「テイクオフ」というタイトルでした。どうでもいい?)。


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 SFC AWARD(優秀卒業制作)の表彰や、思い出の写真、卒業生からの決意表明、両学部長からの「贈る言葉」など、彼ら彼女らの4年間が詰まった3時間。今年の卒業生は、私がSFCに着任した時の3年生。右も左もわからない中で、ずいぶんと学生諸君に助けられて乗り切った1年目を思い出しながら、晴れやかな舞台を眺めていました。

 みなさん、2年間ありがとう。お元気で。いつか、また会いましょう。
 

2009年03月21日

『WEDGE』公務員制度改革特集

WEDGE.jpg 『WEDGE』2009年4月号

 今月号の『WEDGE』の特集「官僚叩きはやめよう 公務員制度改革が国を滅ぼす」に、私のコメントを軸にした「歴史検証 戦前の政党が政治任用で失敗した理由」という記事が掲載されました。二大政党時代の歴史に鑑みて、政権交代と官僚機構の関係についてコメントしたものです。

 特集そのものも、タイトルに現われているように論争的です。飯尾潤先生、稲継裕昭先生、加藤秀樹先生、清家篤先生、野中尚人先生、村松岐夫先生など、錚々たるメンバーがコメントを寄せられています。

 JR・私鉄各線の駅売店に今月いっぱい並んでいます。新幹線グリーン席のポケットには必ずあるそうです。みなさまのお目に止まれば幸いです。

 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/290

2009年03月27日

09年度担当講義(清水)

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 新学期まで、一週間を切り、時間割・シラバスが公開されましたね。
 私の本年度担当講義は以下のとおりです。

<春学期>
  ・総合政策学の創造
    1年生の必修講義。今年も、講義内で選挙コーカスを実施します。
    「SFCにおける『政策』」、「SFCにおける『言語』」など、注目講義で一杯です。
    阿川尚之先生、国領二郎先生と共同で担当します。

  ・近代史(日本政治外交史)
    現代日本は、どのように形成されてきたのか。現在存在する日本の政治構造の
    長所短所は、いつから、なぜ、このような形を取ることとなったのか。
    そうした、統治構造、リーダーシップ、政治判断、人材育成、社会構造といった問題を
    幕末維新から、明治、大正、昭和、戦後復興までを射程に、考えることを重視した
    講義を行います。

  ・政治史(東洋英和大)    SFC近代史に準じます。

  ・ライティング技法ワークショップ
    オーラル・ヒストリーの実践を軸とした、仮説発見、技法獲得のためのワークショップ。
    去年の勢いで、今年も楽しくやりたいと思っています。

  ・研究会1(日本政治外交研究)
    現代日本の政治構造、政策課題を、近代・現代の歴史的視野にたち、事実経過・
    経緯を重視しながら理解し、解法を探っていきます。
    春学期は、基礎的な構造・形成過程の理解を深めるため、輪読とディスカッションを
    中心に進めていきます。4年生の卒業論文報告も交えます。
    秋学期は、個別事例のケーススタディを行い、翌年度の個人研究に繋げていきます。

  ・研究会2(オーラル・ヒストリー)
    オーラル・ヒストリーを用いた個人研究、共同プロジェクトを実施します。
    加えて、「聞くこと」の意味、「聞くこと」の方法を吟味していきたいと思います。
    こちらは09年度からの新規開講ゼミです。

  ・卒業制作
    卒業制作指導を希望される方は、原則として、いずれかの研究会を履修して下さい。

<秋学期>
  ・方法論探求
    リサーチモデルを構築し、研究を推進するために必要な、オーソドックスな方法論を
    伝授します。

  ・現代日本の政治(東洋英和大)
    太平洋戦争で敗れた日本が戦後復興を果たし、高度成長を経て、今日に至るまでの
    歩みを論じ、現代日本の諸問題を体系的、有機的に理解する材料を提供します。
    近代史と同様に、「考える」ことを重視する形態で進めます。

  ・福澤諭吉と現代1
    第一線で活躍する研究者、政治家、官僚、経済人をお招きし、福澤が掲げた
    「民の自立」の観点から議論します。阿川先生との共同担当です。 

  ・福澤諭吉と現代2
    同上講義の延長戦として、宿泊形式で熱く語り続けます。
    こちらも阿川先生との共同担当です。

  ・研究会1、2、卒業制作
    春学期を参照してください。

<大学院>
  ・インターヒストリー―地域・理論・政策
    歴史、地域、理論を重層的に積み上げ、ぶつけ合っていこうという、知の闘技場を
    模索するプロジェクト。土屋大洋先生、加茂具樹先生、神保謙先生、阿川先生と
    共同担当で行います。
    09年度からの、新規開講プロジェクトです。

  ・グローバル・ガバナンスとリージョナル・ガバナンス
    研究計画書、中間研究報告、最終研究報告を行います。
    GRプログラムの全体会合です。

  開講日・詳細は、時間割・シラバスを参照して下さい。
  ヴィヴィットで面白い学生諸君とお目にかかれることを楽しみに。

  清水 拝

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