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2009年09月 アーカイブ

2009年09月02日

吉野作造記念館「人材育成研修会」(8月31日~9月2日)

 
 恒例となった夏の行事。今年も宮城県は古川に行ってきました。

 「民本主義」で知られる吉野作造。東京と地元の学生の学習、交流を目的としたこの研修会も3年目を迎えました。今年の講師は、猪木武徳先生、阿川尚之先生、奈良岡聰智先生、小川原正道先生、大川真先生と私の6名。参加学生も京大から3名、慶應から5名、地元東北大から5名の13名。いずれも過去最多となりました。
 
 

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 テーマは「日本近代史と吉野作造」。猪木先生による福澤論、奈良岡先生による吉野論をベースに、福澤班、吉野班、全体と3段階に分けたディスカッションが組まれ、充実のうちに3日間を過ごすことができました。
 
 
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 最終成果報告の際に、学生諸君がいずれも、自分のアタマで考えることの重要性を強調したことと、人と人のつながりを極めて大切にする姿勢を示していたことは、とても印象に残りました。独立自尊、人間交際という言葉を挙げるまでもなく、古典に触れて、今を考え、自分を見つめ直すという機会は、共通した洞察を与えてくれるのだな、と再認識しました。
 
 
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 エクステンションは、岩出山伊達家の藩校・有備館へ。

 今年も記念館をはじめ、みなさんに感謝です。

 

2009年09月14日

JPDゼミ合宿(9月8日~10日)

 日本政治外交研究(JPD)ゼミ、3年目の夏合宿は伊豆長岡で開催となりました。

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 今期は4年生6名、3年生3名、2年生10名の合計19名。在外、試験準備、体調不良で3名が休み、16名での合宿となりました。それでも、以下のスケジュール。

 8日 13:00~18:30 研究報告(6名)
    19:30~22:00 研究報告(3名)
 9日 9:00~12:30 研究報告(3名)
    13:30~17:00 研究報告(4名)
    19:00~ 懇親会
 10日 9:00~10:00 インゼミ準備報告

 予定していた散策の時間も削っての研究づくめ。4年生の卒論報告は2・3年生に、2・3年生の報告の充実ぶりは4年生に、とてもよい刺激を与え合ったようです。個人研究報告は、いずれもJPDらしく、ある程度の時間軸をもった、射程の長い研究が上がってきました。秋学期も楽しみです。

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 特筆されるのは、宿が格別だったこと。武者小路実篤が執筆にしばしば訪れたという歴史ある宿は、お湯よし、食よし、心地よしでした。学生諸君は4つのお風呂にずいぶんと癒されたようです。お世話になりました。合宿係もごくろうさまでした。

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 終了後は、オーラルゼミの合宿のため、富士山の東麓をまわり、河口湖へ。そのため、エクステンションができなかったので、今回は合宿前に韮山に立ち寄りました。頼朝ゆかりの蛭ヶ小島、後北条家の足場となった韮山城、幕末の偉人・江川英龍の江川塾、お台場の砲門を造った反射炉と、鎌倉から明治までを堪能しました。江川邸(写真)は、「篤姫」のロケに使われたとのこと(今和泉島津家)。同行してくれたゼミ生2名、ありがとう。

 秋学期も楽しみです。インゼミもがんばりましょう。
 

2009年09月16日

オーラルゼミ合宿(9月10~12日)

 引き続き、オーラルゼミの合宿に行ってきました(笑)。

 10日、政治外交史ゼミのインゼミ準備報告を聞いたのち、伊豆長岡→三島→沼津→御殿場と電車を乗り継ぎ、御殿場でゼミ生と合流。東富士演習場の脇を高速でぬけて、河口湖へ。富士山を眼前に臨む宿に到着(夜は八合目の小屋まで続く明かりが見えました)。

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 スケジュールは以下のとおり。

 10日 14:00~18:30 研究報告(3名)
     20:30~23:30 プロジェクト報告(2組)
 11日 9:00~12:30 研究報告(3名)
     14:00~18:00 研究報告(4名)
     20:00~ 懇親会。某部員は翌日に行なわれる神宮での試合のため帰京。
 12日 担当教員:OBバンド本番に参加のため、帰京。
     ゼミ生:名所旧跡を散策して帰京。

 ここでも予定していた散策を削っての研究づくめ。もっとも、夕食、昼食が外食だったので、それはそれで気分転換に。2日目午後前半は、湖畔での研究発表としました。これもよいシフトチェンジでした。

 肝心の研究の方も、夏の成果がよく現われており充実。先輩がいない中、手探りで進めてきたオーラルゼミは、勢いのある1期生に支えられて順調に進んでいます。うれしいことです。

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 合宿にあわせて作られたゼミTシャツは、なぜかピンク色でした。幸せと優しさを表わす色を選んだゼミメンバー。楽しく、充実した研究を続けていきましょう。
 

2009年09月18日

インゼミ(9月18日)

 東京大学先端研・菅原琢ゼミとのインターゼミを実施しました。

 今年のお題は「小選挙区比例代表並立制が日本の政党制に与えた影響を論ぜよ」。計量政治を主たる専門とする菅原ゼミと、政治史を主たる専門とする清水ゼミが、各々のディシプリンから取り組みました。
 まずは清水ゼミ。政党制の理論を中心に据え、「擬似二大政党制」として94年以降の構造を説明。ついで菅原ゼミ。こちらは小選挙区比例代表制の導入経緯から説き起こして、政党の変質を論じました。
 双方の報告、質疑応答に続いて、菅原先生から示された「第二のお題」をもとに議論。現実を踏まえつつ、想定の世界を論じていく、思考の訓練が行なわれました。

 終了後はいつもの通り懇親会。今回は九州の血が熱くたぎったようです。

 インターディシプリンを実践するこの試みも今年で3回目。双方のゼミに、よい相互作用が生まれてきたことを実感した会でした。菅原先生、菅原ゼミのみなさん、どうもありがとう。清水ゼミの諸君、合宿から引き続き、おつかれさまでした。

 清水

2009年09月19日

「政治主導の政治史」(『WEDGE』10月号)

 WEDGE21-10.jpg 『WEDGE』2009年10月号

 『WEDGE』誌上にて、今月号から「政のかたち 官のすがた」と題して連載を開始することになりました。同誌にはこれまで2回、政治史の視点から政権交代、二大政党制、政官関係についてコメントしてきました。歴史の経験を重視した連載を、というお話で今回の企画に至りました。

 第1回は「政治主導の政治史」と題して、明治以降、綿々と続けられてきた政治主導の模索を、見取り図をイメージして描きました。拙著『政党と官僚の近代』で示した理解を前提にしつつ、「政治指導の形成と展開」(『慶應の政治学 日本政治』所収)を執筆する中で考えたことを反映させるかたちを取りました。SFCの環境のなかで見出した形です。お目に止まれば幸いです。
 
<以下、10月30日加筆>
 お読み頂いた方から、このテーマでもっと深掘りするには何を読めばいいかという問い合わせを何件か頂きました。ありがとうございます。
 比較的入手しやすく、参考になるであろう文献を挙げておきます。ご活用ください。

・隈板内閣、政官関係、政官協働
 拙著『政党と官僚の近代―日本における立憲統治構造の相克』(藤原書店、2007年)
・政党内閣と政権交代
 村井良太『政党内閣制の成立―1918~27年』(有斐閣、2005年)
・加藤高明、憲政会内閣
 奈良岡聰智『加藤高明と政党政治―二大政党制への道』(山川出版社、2006年)
・明治憲法
 大石眞『日本憲法史』(有斐閣、2005年)
・官僚制度
 大森彌『官のシステム』(東京大学出版会、2006年)
 

2009年09月27日

政治大学現代日本研究中心開所シンポジウム(9月24、25日)

 12年ぶり2度目の台湾訪問に行ってきました。

 目的は、国立政治大学に新設された現代日本研究センターの開所式と開設記念シンポジウム。開所式には蕭万長副総統をはじめ、台湾の要人が列席、壮観でした。

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 シンポジウム初日は、世界各国の日本研究についてのレビュー報告。方法論の観点から、日本、アメリカ、中国、韓国、ドイツ、シンガポールにおける日本研究の現状について台湾の若手研究者が報告し、日本の若手研究者がコメントをするというものでした。私の役目は呉明上先生(義守大学)報告へのコメントでした。日台双方の若手研究者で交流できたことで、多くの示唆を得ることができました。

 2日目は、ベテランの先生方が登場。台湾における日本研究について、日本側から5名、台湾側から6名の先生方が講演されました。これは嬉しい経験でした。同センターのスタートに際して、とても有益な議論だったように思います。

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 12年ぶりに訪れた台湾は、大きく変化していました。台北101(高層ビル)や、MRT(市内鉄道)をはじめ、中心部はずいぶんと様変わりしたように感じました。

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 幸いにも宿は、市郊外に位置する政治大学近くに取っていただけたので、「台湾らしい」街並みを満喫することができました。相変わらずどこに行っても台湾人に間違われましたが(笑)、雰囲気、空気、人柄、とても好きな国のひとつです。

 何より嬉しかったのは、政治大に留学している古い友人が、とても真摯に研究を積み重ねている様子を聞けたことでした。彼のまわりにいる台湾人、日本人留学生もみな熱心で優秀。最終日によいひとときを過ごさせてもらいました。感謝です。

 蓬莱の島に、また伺える機会を楽しみに。
 

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