« 2009年11月 | メイン | 2010年01月 »

2009年12月 アーカイブ

2009年12月19日

木々色づくキャンパスにて

 SFCに来て3度目の年末。山を眺めて育った私にとって、いながらにして四季のうつりかわりが感じられることは、とてもうれしいこと。わけても今朝のすがすがしさは格別でした。


%E7%94%BB%E5%83%8F%20039.jpg


 そう、今日はキャンパスで朝を迎えました。今期から始まった宿泊型講義のためです。今回のゲストは、敬愛する猪木武徳先生。大教室での講義のあと、猪木先生、阿川先生、20人の精鋭たちと濃厚な時間を過ごしました。

 いつもはよく話す(話しすぎる)私ですが、猪木先生のお話を伺っていると、なぜか言葉を呑み込むようになります。呑み込みたくなるといった方がいいかもしれません。胸というよりは胃のあたりで言葉がまわっているような感覚です。
 そしてすべてが終わると、もやもやとしながらも、すがすがしさがやってきます。なぜなのかはよくわかりませんが、心地よいのです。年末を前に、よい場所に立たせてもらったような気がします。

 今年もあと10日。みなさまお元気で。

 清水

2009年12月21日

「予算膨張は政党政治の必然か?」(『WEDGE』1月号)

  WEDGE22-1.jpg 『WEDGE』1月号

 『WEDGE』の連載「政のかたち 官のすがた」も4回目。通常国会の開会を前に、政党内閣下における予算統制について書きました。同僚の神保謙先生も、北朝鮮政策についての論考を寄せられています。
 
 わがふるさとは、はや雪景色のようです。土曜の朝にはSFCでも小雪が舞っていました。
 あと10日、よい年末になりますよう。

 <追記>
  19日の『朝日新聞』、「事務次官いる?いらない」にコメントを出しました。
 

2009年12月25日

クリスマス・コンサーツ!(12月24、25日)

51concert.jpg
   24日は、慶應ウインドアンサンブル第62回定期演奏会@みなとみらい大ホールへ。  プログラムは以下のとおり。

 P.スパーク「ジュビリー序曲」
 R.W.スミス「海の男たちの歌」
 M.アーノルド「第六の幸福をもたらす宿」
 P.I.チャイコフスキー「スラブ行進曲」
 O.レスピーギ「シバの女王ベルキス」

 ジュビリー、海の男は社会人バンドで、スラブ、ベルキスはウインド現役時代に、第六はOBバンドで演奏したことがある曲。いずれも当時のことを思い出しながら聞きました。
 パンフレットのあいさつ文にも書きましたが、今年は新型インフルエンザのため、練習が思うように行えず、11月初旬には団全体が1週間の活動休止という危機に見舞われました。ただでさえ様々な思いがある130人のバンド。よくここまでまとめ上げたと思います。ごくろうさま。いい演奏をありがとう。
 アンコールは、バッハのカンタータ147番(合唱つき)に、なんと1812年の後半。バスドラムがいくつも準備されていたのは、そのためでした。そして最後は定番、ブロックM。なんだか安心します。


 25日は、SFCのオーケストラ、アインクライネスの演奏会に初めて伺いました。会場は鎌倉芸術館大ホール。会長の平高先生をはじめ、SFCの先生方もたくさんいらしていました。

 プログラムは以下のとおり。
 C.W.ウェーバー「魔弾の射手」序曲
 E.グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」
 J.ブラームス「交響曲第2番ニ長調」

 注目は、グリーグのピアノコンチェルト。入学以来知っているピアニスト、森山さんの演奏を初めて生で聴きました。ゼミ生(森山さんファンクラブ会長)が、「涙が出てくるピアノ」と評する彼女のピアノ。私はなんだかワクワクして聴いてしまったのだけど、聴いたあとの充実感がありました。うれしかったなぁ。よかったね。

 音につつまれた二日間でした。みなさん、メリークリスマス。
  

2009年12月28日

頂き物―『世論の曲解』『日露戦争と新聞』『近代日本の政党と社会』など

 sugawara.jpg 菅原琢『世論の曲解』光文社新書

 インゼミなどでお世話になっている東大先端研の菅原先生、初の著書ができました。ご本人からいただきました。ありがとうございます。菅原さんらしい闘魂あふれる一冊です。

 目次
 はじめに
 第1章 寝た子を起こした?―2005年総選挙・郵政解散の意味
  コラム1 新しい投票者と新しい選択肢―30代首長流行の背景にある現職苦戦の選挙構造
 第2章 逆小泉効果神話―曲解される2007年参院選の「民意」
 第3章 逆コースを辿る自民党―安倍政権はなぜ見限られたのか
 第4章 「麻生人気」の謎―2007年総裁選・迷走の構図
  コラム2 年代別選挙区制は若者を救うか?
 第5章 作られた人気―「次の首相」調査の意味
  コラム3 内閣改造は内閣支持率を浮揚させるのか?―質問文「改造」効果説
 第6章 世論とネット「世論」―曲解が生まれる過程
  コラム4 若者は左傾化しているのか?―憲法意識調査に見る回答の曖昧さと柔軟さ
 第7章 「振り子」は戻らない―2009年総選挙・自民党惨敗の表層と底流
 終章 自民党大敗の教訓―世論の曲解を繰り返さないために
 巻末資料
 あとがき


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 katayama.gif 片山慶隆『日露戦争と新聞』講談社メチエ

 こちらも畏友、片山さんの処女作。ご本人よりいただきました。ありがとうございます。外交・メディア研究を重ねてきた片山さんならではの一冊。
 
 第1章 日英同盟への期待と危惧
 第2章 開戦論への道
 第3章 日露戦争勃発
 第4章 韓国の保護国化
 第5章 戦争の終わり
 終章 日露戦後の新聞界

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 %E8%BF%91%E4%BB%A3%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%94%BF%E5%85%9A%E3%81%A8%E7%A4%BE%E4%BC%9A.jpg 安在邦夫ほか『近代日本の政党と社会』日本経済評論社

 著者のひとり、伊東久智さんからいただきました。ありがとうございます。

第1部 政党結成の論理と活動
 第1章 植木枝盛と自由党結成  福井淳
 第2章 旧幕臣の政党活動
     ――江原素六の明治一〇年を素材として  檜川瑞樹
 第3章 大同団結運動末期における愛国公党結成の論理
     ――板垣退助の政党論を通して  真辺美佐
 第4章 日露戦後恐慌期の第一次西園寺内閣と憲政本党  木下恵太
 第5章 憲政会と「元老待遇」大隈重信
     ――加藤高明首班擁立工作の展開と挫折  荒船俊太郎
第2部 政党認識の諸相
 第6章 政党認識における欧化と反欧化  真辺将之
 第7章 『新人』における吉野作造の政党論
     ――日露戦争期に着目して  高橋央
 第8章 田中惣五郎における政党史研究の位相
     ――『東洋社会党考』成立の背景  廣木尚
 第9章 石橋湛山の政党論
     ――「浮動有権者」として  上田美和
第3部 政党とその周縁
 第10章 自由民権運動における政党と壮士
     ――自由党の壮士への対応と壮士の動向  安在邦夫
 第11章 明治後期の移民会社と政党および政治家
     ――亡命民権家と移民会社の関わりを中心にして  松村孝男
 第12章 政友会の院外団と「院外青年」  伊東久智
 第13章 都市計画反対運動と住民・政党・政治家
     ――槇町線問題の再検討を中心に  佐藤美弥

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 下重直樹「資料紹介「昭和財政史資料」」(『北の丸』42号)

 著者の下重さんからいただきました。ありがとうございます。
 副題は「戦前期大蔵省における文書管理と財政史編纂」です。「稿本井上馨伝」について検討された下重さんならではの分析。いつ読んでも唸らされます。よい意味で、究極のマニアック論文です。
 

 

2009年12月30日

「大正・昭和の政治史に関するデータベース」(『日本歴史』740号)

 nichireki.jpg 『日本歴史』740号

 『日本歴史』1月号に「大正・昭和の政治史に関するデータベース」という記事を書きました。新年号の特集「日本史研究とデータベース」のうちの一本です。私の記事は1ユーザーとしての範疇にとどまるものですが、「分野別現況」の記事は提言としての意味をこめて書かれたものが多く、勉強になります。なにより、歴史系の雑誌にARGの岡本真さんが書かれているのはすばらしい。

 なお、この原稿作成にあたり、多くの方にDB情報をご教示いただきました。ありがとうございました。

 これが今年最後のエントリーになると思います。みなさま、どうぞよい新年をお迎え下さい。

 清水 拝

--------------------------------------------------------------------------------
新年特集<日本史研究とデータベース>
新年特集にあたって…『日本歴史』編集委員会
日本史研究データベースはどこへ行こうとしているのか…横山伊徳

【分野別現況】
日本古代史研究のためのオンライン・データベース…小口雅史
中世史研究資源としてのウェブデータベース…田良島 哲
日本近世史研究とデータベース…鵜飼政志
インターネットで歴史研究…櫻井良樹
中国・台湾史に関するデータベース…江川式部
朝鮮前近代史に関するデータベース…長森美信
朝鮮近現代史に関するデータベース…河 かおる
ぞんざいな検索、丁寧な検索―日本文学関連データベースの周辺―…荒木 浩
日本史研究におけるインターネットの学術利用―これまでの成果と、これからの課題―…岡本 真

【提供者の立場から】
国立歴史民俗博物館のデータベースと統合検索…安達文夫
国文学研究資料館(アーカイブズ関係)のデータベースの紹介…五島敏芳
国文学研究資料館(文学系)データベース…入口敦志
国立公文書館・アジア歴史資料センターのデータベース…平野宗明
国立国会図書館・憲政資料室…堀内寛雄
東京大学史料編纂所データベース…遠藤基?
東京都公文書館におけるデータベース利用…中元幸二
法政大学大原社会問題研究所のデータベース…若杉隆志
墨書土器データベース…吉村武彦
早稲田大学文学学術院学術情報データベース…海老澤衷
大阪市立図書館商用データベース紹介…岡本泰子
京都大学附属図書館「貴重資料画像」…西村暁子
奈良文化財研究所のデータベース―木簡を中心に―…渡辺晃宏
奈良県立図書情報館地域史料目録のデータベース…大宮守友
九州大学デジタル・アーカイブ…宮崎克則

【利用者の立場から】
日本史学におけるデジタル・アーカイブの現状と展望…後藤 真
日本思想史系データベースの利用とその現状…桐原健真
四国における歴史教育・研究とデータベース―デジタルアーカイブとeラーニングの取り組みを中心に―…鈴木正信
琉球史に関するデータベース紹介…渡辺美季
古代史研究とデータベース…加藤友康
日本古代史関係のデータベース…倉本一宏
古代史データベースと初歩的な使用法…服部一隆
韓国木簡のデータベース…橋本 繁
研究環境の最適化…野村朋弘
学会・研究会等データベースの現状…川戸貴史
大正新脩大蔵経テキストデータベース…生駒哲郎
日本禅宗史に関するデータベース…川本慎自
幕政史関係のデータベース…荒木裕行
藩政史研究におけるデータベースの活用…野口朋隆
藩政史・地方史に関するデータベース…脇野 博
学術空間としてのインターネット…梶田明宏
近代法制史に関するデータベース…天野嘉子
日本外交関係資料のデータベース…熊本史雄
大正・昭和の政治史に関するデータベース…清水唯一朗
地方公文書館等のデータベースの現状と課題…松沢裕作
国立国会図書館近代デジタルライブラリーおよび新聞・雑誌に関するデータベース…真辺将之
日本経済史に関するデータベース…宮地英敏

【口 絵】
重要文化財 壬申検査関係写真のうち東大寺中門・大仏殿…(解説)田良島 哲
書評と紹介/新刊寸描/新刊書案内/学界消息
 

About 2009年12月

2009年12月にブログ「研究室通信」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2009年11月です。

次のアーカイブは2010年01月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36