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2010年10月 アーカイブ

2010年10月16日

日本政治学会「近代日本の政権交代と官僚制」(10月10日)

 秋晴れのなか、日本政治学会@中京大学に行ってきました。

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 地下鉄駅から直結したキャンパスに入ると、大学院同期や研究仲間が事務局として大活躍。ごくろうさまです。ありがとうございます。

 報告者ではないので悠々と思っていましたが、討論者を頼まれていました。セッション名は「近代日本の政権交代と官僚制―内務省の事例から」。報告者は博士論文公刊直前、博士号取得直後、博士論文審査中という、まさに一番勢いのあるお三方。港湾行政、党派人事、社会運動取締と、多角的な報告が続き、面白く議論させて頂くことができました。報告者の黒澤さん、稲吉さん、宮地さん、司会の中静先生、討論の中澤さん、おつかれさまでした。

 1日目に行われたセッション「『内閣主導』のアナトミー」も刺激的でした。矢野さん、村井(哲)さんの精緻な歴史研究に、野中先生の現代研究、歴史に深い理解を持つ行政学者である岡田先生、牧原先生のコメント。統治のあり方について根本的に考え直すきっかけをいただきました。

 現実政治の変動がなせる技でしょうか。いつもの学会と異なり、今回は現実政治への貢献を視野に入れた、熱の入った報告が多かったように思います。多くの刺激を受けた3日間でした。
 

2010年10月18日

内務省研究会、50回(10月17日)

 昨10月17日、内務省研究会が50回の節目を迎えました。

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(明治期の内務省。国立国会図書館ウェブサイトから転載)

 研究会や大学の枠を越えて、いろいろな専門、ディシプリン、背景を持った仲間たちと研究交流をしていきたい。そうした思いから会を立ち上げたのは2001年の3月。第0回は横浜開港資料館脇の「喫茶ペリー」で修士論文報告会として行いました。市川智生さん(現、上海交通大)、大内雅人さん(しょうけい館)、清水の3名が参加者でした。

 この試みを面白いと思ってくれた仲間で同年6月に第1回を開催しました。多くの人が参加できる研究対象という意味合いもあり、会の名前は「内務省研究会」としました。松澤裕作さん(東京大学史料編纂所)、小川原正道さん(慶應義塾大学法学部)、官田光史さん(日本学術振興会)が参加。会を重ねる毎に多くの方が参加してくださいました。初期には谷口裕信さん(皇學館大学)、水野京子さん(国立公文書館)が会を支えてくださいました。中期以降は参加者も増えました。片山慶隆さん(関西外国語大学)、村井良太さん(駒澤大学)のご助力には、本当に助けられました。

 あれから10年。会は50回を重ね、昨日の研究会では松澤さん、市川さん、清水の幹事3名で報告しました。就職などでメンバーは全国に広がり、家庭や仕事も持って生活も変わりました。そうしたなかで、以前からのメンバーに新しい仲間が加わって議論できることを本当に嬉しく思います。

 昨日、参加者のみなさんから「この会のアーカイブスは?」と尋ねられました。会のブログにずっと溜めてあります。レジュメも私の研究室に、第1回からずっと保存してあります。

 懇親会で市川さんが打ち上げた「100回記念」まであと10年。楽しく集まれればと思います。

 これまでご参加くださったたくさんの方に感謝して。
 ありがとうございます。これからもどうぞよろしく。

 清水

2010年10月26日

「政党内閣期の政治と行政」(笠原英彦編『日本行政史』)

 17840.jpg 笠原英彦編『日本行政史』慶應義塾大学出版会、2010年

 本邦初となる日本行政史のテキスト執筆に参加させて頂きました。通史7章、テーマ史5章の全12章立てです。私は第3章「政党政治期における政治と行政」と執筆しました。
 内務省研究会で共に歩んできた小川原正道さんが通史4章「戦時体制と行政の中央集権化」と、テーマ史11章の宗教行政史を、柏原宏紀さんがテーマ史12章の国土交通行政史を執筆されています。このお二人のテーマ史、読みごたえがありました。


以下、出版社のサイトより。

日本行政史

▼日本の「行政文化」「官僚文化」を明らかにし、真の政治主導による政策形成に必要な歴史的視点を提示する。さらに、政策決定の分岐点を具体的に特定してその成否を検証することにより、あるべき「日本型モデル」の構築を目指す。
▼「行政史」の基本書たらんとする一冊。


総説

第Ⅰ部 総論
第1章 明治政府の成立と太政官制の復活
 はじめに
 1 明治維新期の政府機構
 2 廃藩置県と太政官三院制
 3 留守政府と太政官
 4 大阪会議
 5 自由民権運動と天皇親政運動
 おわりに

第2章 内閣制度の創設と帝国議会の成立
 はじめに
 1 太政官制と内閣制度
 2 大日本帝国憲法と内閣
 3 「富国強兵」と「民力休養」
 4 立憲政友会の成立
 おわりに

第3章 政党内閣期の政治と行政
 はじめに
 1 政党内閣移行期における政治と行政――立法と行政の相克
 2 政党内閣定着期における政治と行政――立法と行政の協働
 3 政党内閣動揺期における政治と行政――立法と行政の相互不信
 おわりに

第4章 戦時体制と行政の中央集権化
 はじめに
 1 第一次大戦後の総力戦研究と国家総動員の法制化
 2 戦時体制と総動員政策
 3 革新官僚と軍の行政関与の拡大
 4 内閣行政権の拡大
 5 戦時体制下の中央集権化の推進と地方行政の変容
 6 戦時体制下の東京市政・府政・都政
 おわりに

第5章 戦後復興と第一次臨調の設置
 はじめに
 1 初期占領改革
 2 新憲法制定と日本行政の変化
 3 占領政策の転換
 4 高度経済成長と「第一次臨調」
 おわりに

第6章 第二次臨調の設置と新自由主義
 はじめに
 1 第二次臨調の設置
 2 第二次臨調の活動
 3 第二次臨調の成果と課題
 4 中曽根行革と国際的潮流
 おわりに

第7章 省庁再編と構造改革
 はじめに
 1 連立政権の誕生と行政改革
 2 自民党の政権復帰
 3 橋本内閣と省庁再編
 4 小泉内閣と構造改革
 おわりに――残された課題

第Ⅱ部 各論
第8章 財政改革史
 はじめに
 1 戦前の行財政整理
 2 戦後の行財政改革
 おわりに

第9章 警察行政史
 はじめに
 1 明治初期の警察行政
 2 立憲体制下の警察行政
 3 戦後占領改革による警察行政の変容
 おわりに

第10章 衛生行政史――健康と国家の諸相
 はじめに
 1 「養生」
 2 長与専斎と近代衛生行政
 3 伝染病との格闘
 4 慢性伝染病対策
 5 昭和戦前期の衛生行政
 6 GHQの民主化政策と衛生行政
 7 「五五年体制」と衛生行政
 8 少子高齢化と衛生行政
 おわりに

第11章 宗教行政史
 はじめに
 1 民衆教化政策の展開と信教自由・政教分離原則
 2 明治憲法下における神社・宗教行政の展開
 3 占領政策と宗教行政の転換
 4 日本国憲法下における宗教行政の展開
 5 戦後日本の政教分離原則と「国家と宗教」をめぐる諸問題
 おわりに

第12章 国土交通行政史
 はじめに
 1 工部省と初期技術官僚の登場
 2 内務省の河川・道路政策と技術官僚の役割
 3 戦前鉄道行政と技術官僚の地位
 4 建設省の設立と技官の躍進
 5 運輸省の展開と技官の立場
 6 国土交通省と技官の課題
 おわりに

日本行政史関連年表
索引

執筆者紹介


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