笠原英彦編『日本行政史』慶應義塾大学出版会、2010年
本邦初となる日本行政史のテキスト執筆に参加させて頂きました。通史7章、テーマ史5章の全12章立てです。私は第3章「政党政治期における政治と行政」と執筆しました。
内務省研究会で共に歩んできた小川原正道さんが通史4章「戦時体制と行政の中央集権化」と、テーマ史11章の宗教行政史を、柏原宏紀さんがテーマ史12章の国土交通行政史を執筆されています。このお二人のテーマ史、読みごたえがありました。
以下、出版社のサイトより。
日本行政史
▼日本の「行政文化」「官僚文化」を明らかにし、真の政治主導による政策形成に必要な歴史的視点を提示する。さらに、政策決定の分岐点を具体的に特定してその成否を検証することにより、あるべき「日本型モデル」の構築を目指す。
▼「行政史」の基本書たらんとする一冊。
総説
第Ⅰ部 総論
第1章 明治政府の成立と太政官制の復活
はじめに
1 明治維新期の政府機構
2 廃藩置県と太政官三院制
3 留守政府と太政官
4 大阪会議
5 自由民権運動と天皇親政運動
おわりに
第2章 内閣制度の創設と帝国議会の成立
はじめに
1 太政官制と内閣制度
2 大日本帝国憲法と内閣
3 「富国強兵」と「民力休養」
4 立憲政友会の成立
おわりに
第3章 政党内閣期の政治と行政
はじめに
1 政党内閣移行期における政治と行政――立法と行政の相克
2 政党内閣定着期における政治と行政――立法と行政の協働
3 政党内閣動揺期における政治と行政――立法と行政の相互不信
おわりに
第4章 戦時体制と行政の中央集権化
はじめに
1 第一次大戦後の総力戦研究と国家総動員の法制化
2 戦時体制と総動員政策
3 革新官僚と軍の行政関与の拡大
4 内閣行政権の拡大
5 戦時体制下の中央集権化の推進と地方行政の変容
6 戦時体制下の東京市政・府政・都政
おわりに
第5章 戦後復興と第一次臨調の設置
はじめに
1 初期占領改革
2 新憲法制定と日本行政の変化
3 占領政策の転換
4 高度経済成長と「第一次臨調」
おわりに
第6章 第二次臨調の設置と新自由主義
はじめに
1 第二次臨調の設置
2 第二次臨調の活動
3 第二次臨調の成果と課題
4 中曽根行革と国際的潮流
おわりに
第7章 省庁再編と構造改革
はじめに
1 連立政権の誕生と行政改革
2 自民党の政権復帰
3 橋本内閣と省庁再編
4 小泉内閣と構造改革
おわりに――残された課題
第Ⅱ部 各論
第8章 財政改革史
はじめに
1 戦前の行財政整理
2 戦後の行財政改革
おわりに
第9章 警察行政史
はじめに
1 明治初期の警察行政
2 立憲体制下の警察行政
3 戦後占領改革による警察行政の変容
おわりに
第10章 衛生行政史――健康と国家の諸相
はじめに
1 「養生」
2 長与専斎と近代衛生行政
3 伝染病との格闘
4 慢性伝染病対策
5 昭和戦前期の衛生行政
6 GHQの民主化政策と衛生行政
7 「五五年体制」と衛生行政
8 少子高齢化と衛生行政
おわりに
第11章 宗教行政史
はじめに
1 民衆教化政策の展開と信教自由・政教分離原則
2 明治憲法下における神社・宗教行政の展開
3 占領政策と宗教行政の転換
4 日本国憲法下における宗教行政の展開
5 戦後日本の政教分離原則と「国家と宗教」をめぐる諸問題
おわりに
第12章 国土交通行政史
はじめに
1 工部省と初期技術官僚の登場
2 内務省の河川・道路政策と技術官僚の役割
3 戦前鉄道行政と技術官僚の地位
4 建設省の設立と技官の躍進
5 運輸省の展開と技官の立場
6 国土交通省と技官の課題
おわりに
日本行政史関連年表
索引
執筆者紹介