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『沖縄時論』創刊号の「発見」

 okinawajiron.jpg 『沖縄時論』創刊号(1899年)

 沖縄の民主化を語る上で欠かせない人物に謝花昇がいます。彼は、1899年に憲政党に入党し、『沖縄時論』という雑誌を刊行して言論活動を展開しました。『沖縄時論』がいかに重要な雑誌かがおわかり頂けるでしょう。

 ところが、この雑誌はほとんど今日に伝わっていません。広く知られているのは沖縄県立図書館天野鉄夫文庫にある27号(1900年)だけのようで、他の巻号は『琉球新報』などの広告に記された目次で概要を知るのみだったようです。

 昨年の夏、偶然にも同誌の創刊号に出会うことができました。ドイツにいる友人の紹介で、奈良原繁(沖縄県令(現在の県知事))と謝花を軸に研究を進めるニナ・ホルシュナイダーさんが尋ねて来たおりのこと。奈良原も謝花もなかなか資料がないということで、あちこち検索をしてみました。
 すると、画面に「沖縄時論 神谷正次郎 謝花昇 1899」と出てきました。雑誌ではなく、図書扱いで所蔵されているようでしたが、1899年といえば『沖縄時論』創刊の年です。まさかと思い、所蔵する政令市の市立図書館に問い合わせをしました。
 後日、図書館から連絡があり、確認したところ第1号とのこと。さっそく現物を確認すると間違いありません。沖縄のことを知らない私では心許ないので、琉球大学の塩出浩之さんにチェックをお願いしました。

 同誌は、塩出さんの尽力で琉球大学図書館沖縄閉架資料室にて複製本が所蔵されることになり、先日、琉球放送でも報道されました。報道してくれたのはゼミ1期生の大城くんでした。これもうれしいことでした。

 今回の「発見」は、国立国会図書館の「国会サーチ」が各地の図書館OPACとの連動機能を備えたことでできたものでした。開発に携わってくださったみなさんに、心からお礼を申し上げたいと思います。

 国会サーチ「沖縄時論」
 http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I026925490-00
 
 覚書までに。

(2013.5.21 琉球大学図書館に所蔵されることとなったのはマイクロフィルムではなく、複製本とのことでした。誤記により、関係各位にはご迷惑をおかけいたしました)
 

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2013年03月15日 07:34に投稿されたエントリーのページです。

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