癒着構造を解決するために第三者機関が必要だという意見は、全員にすんなり 認められた。しかし第三者機関は何をもって公開する情報と非公開にする情報 を決定すればいいのだろうか。いいかえれば公開する情報と非公開にする情報 の境界線を何の線で仕切ればいいのだろうかという少し踏み込んだ議論になっ た。公開と非公開の境界線をしっかりと決めておかねば非公開事由が拡大解釈 されてしまう恐れがあるのは先の章の情報が公開されない理由で述べた通りで ある。それを防ぐためにもこの境界線は議論を尽くしてしっかりと決めておく 必要があったため、深夜に及ぶ激しい論戦となった。
今、改めて考えてみるとこの議論は原発の情報公開の正に本質そのもの、つま り原子力発電の抱えている諸問題ゆえに避けては通れない議論であり、原発意 外の情報公開ならここまで論争になることはまずない議論だった。ここでは、 対立する二つの主張を主張その1、そして次の主張その2で追ってみたい。
なお、以下の議論はそれぞれの主張をした代表者が執筆に当たっているため 「私」という一人称を用いる。