井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

パターン・ランゲージのランゲージ性 — どういう意味で「言語」なのか?

パターン・ランゲージは、なぜ「ランゲージ」(言語)と呼ばれるのかという質問をよく受ける。これにはいろんなレベルで答えることができる。

まず、パターンという単位が、言語における要素(単語)であり、それらが互いに文法的・意味的につながり得る体系があり、使用時にはそれにもとづく結合がなされること。個々のパターンは、それが指し示す対象を表す記号になっている。

パターン名は、そのパターンの内容を象徴するようなことばになっており、これを思考やコミュニケーションにおいて言葉として用いることができる。(僕らがよく開催しているパターン・ランゲージを用いた対話ワークショップを経験すると、この感覚はよくわかる。)

パターン・ランゲージを、ルーマンの「社会システム理論」的に捉えると、コミュニケーションの創発とその連鎖という「ありそうになさ」を生じやすくするメディアであり、社会システムと心的システムを構造的カップリングさせる「言語」であるといえる。(詳しくは、井庭 編著『社会システム理論: 不透明な社会を捉える知の技法』に書いたので、そちらをご覧ください。)

そして、パターン・ランゲージをつくる目的が、コミュニティの共通言語をつくることだというのもある。パターン・ランゲージは、共通言語として、コミュニティを支えたり、活性化させたりする。

これらを総合して、パターン・ランゲージはランゲージ(言語)なのだと考えることができる。
パターン・ランゲージ | - | -
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