井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

パターン・マイニングの3つのアプローチ

僕がこれまでに行なってきたパターン・ランゲージ制作の経験からいうと、パターン・マイニング(パターンの掘り起こし)のアプローチには大きく分けて3つある。その3つとは、「リフレクティブ・マイニング」「インタラクティブ・マイニング」「ホリスティック・マイニング」である。


リフレクティブ・マイニング(Reflective Mining)

ひとつめの「リフレクティブ・マイニング」では、自分の経験を振り返って、実践知を掘り起こしていくというもの。自分の実践におけるコツのなかで、他の人に伝えるべきことは何かを考え、「どういう状況でどういう問題が起きるから、どうするのがよいのか(解決)」ということを書き出していく。

このリフレクティブ・マイニングで、僕(たち)が制作したパターンには、対話ワークショップ・デザインのパターン(EuroPLoP2012)、パターン・イラストのパターン(PLoP2012)、ホリスティック・マイニングのパターン(PLoP2012)などがある。


インタラクティブ・マイニング(Interactive Mining)

ふたつめの「インタラクティブ・マイニング」では、その領域の実践者にインタビューをしながら、パターンを作成していく。実践者にこだわりのコツを語ってもらい、「それ(解決)をするのは、どんな問題を解決するためなのか?」そして「その問題はどういう状況で生じるのか?」を聞き出していく。

インタビュアーは単なる聞き手でなく、パターンに必要な情報を掘り起こすための質問や共感、考えの提示をする。「なるほど、それはこういうことですか?」「僕もそういう経験があります。…」というように、インタビューイーと語り合う役割をする。「インタラクティブ」という理由はそこにある。

僕らがインタラクティブ・マイニングで制作したパターン・ランゲージは、クリエイティブ・ラーニング教育のためのパターン(PLoP2011)や、チェンジメイキング・パターン(EuroPLoP2012、PLoP2012)など。

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ホリスティック・マイニング(Holistic Mining)

みっつめの「ホリスティック・マイニング」は、複数人で、自分たちがもっているその領域の実践的なコツを徹底的に挙げ、それをまとめて全体像をつかんだ上で、個々のパターンに切り分けていくという方法。全体と部分の調整・修正を行ったり来たりしてつくるので、ホリスティック(全体論的)という。

このホリスティック・マイニングで制作したものには、ラーニング・パターン(PLoP2009, AsianPLoP2010)、プレゼンテーション・パターン(EuroPLoP2012)、コラボレーション・パターン(EuroPLoP2013)、Generative Beauty Patterns(PLoP2012)がある。

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これら3つのいずれかのアプローチで「パターンの種」が得られたら、それをもとにパターンを執筆する「パターン・ライティング」のフェーズへと移ることになる。
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