井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

授業シラバス「複雑系の数理」(2013年度秋学期@SFC)

今年の「複雑系の数理」の授業では、生命のシステム理論として生まれた「オートポイエーシス」の理論と、新しさをもたらす「カオス」現象について学び、生命と創造性について考えます。授業後半には、ドミニク・チェンさんをゲストスピーカーとしてお迎えし、創造のシステムについて熱く語り合う予定です。

「複雑系の数理」(創造技法科目-ナレッジスキル)
2013年度 秋学期 木曜日2時限(2単位)
担当教員 井庭 崇

【主題と目標/授業の手法など】

本講義では、「生きている」とはどういうことか、また「クリエイティブである」とはどういうことかについて、新しいシステム理論によって考えます。具体的には、「複雑系」(complex systems) や「オートポイエーシス」(autopoiesis)のシステム理論をベースとして、「生命」(life)と「創造性」(creativity)について考えます。授業ではシステム理論の変遷を理解した上で、最も新しい世代のオートポイエーシスの理論について学びます。また、新しさを生み出す仕組みとして「カオス」(chaos)現象に注目します。学期の前半は文献読解を中心に進め、後半では各自のノート型パソコンを用いたシミュレーション演習を行います。技術的な知識や専門的な知識は前提としていません。「生きている」とはどういうことか、あるいは「クリエイティブである」とはどういうことかに興味がある人はぜひ来てください。


【授業計画】

第1回 イントロダクション
この授業のテーマと進め方について説明します。

第2回 第一世代のシステム理論

第一世代のシステム理論と言われる「動的平衡系」について概観します。

第3回 第二世代のシステム理論
第二世代のシステム理論と言われる「自己組織化」について学概観します。

第4回 第三世代のシステム理論
第三世代のシステム理論と言われる「オートポイエーシス」について概観します。

第5回 オートポイエーシス (1)
オートポイエーシス(自己創出)の理論について、さらに深く学びます。

第6回 オートポイエーシス (2)
オートポイエーシス(自己創出)の理論について、さらに深く学びます。

第7回 生命のシステム、創造のシステム
これまで学んできたことを振り返り、生命のシステム、および創造のシステムについて考えます。

第8回 力学系
「力学系」の考え方について学びます。

第9回 「新しさ」はどうやって生まれるのか?(1)
決定論的な力学系において、新しさをもたらすカオス(chaos)現象について学びます。

第10回 「新しさ」はどうやって生まれるのか?(2)
決定論的な力学系において、新しさをもたらすカオス(chaos)現象について学びます。

第11回 規則と不規則のあいだ
カオスを用いた描画ソフト「ChaoticWalker」を用いて、規則と不規則のあいだの領域を探索します。

第12回 対談「創造のシステム(仮)」(1)
ゲストスピーカーに、ドミニク・チェンさんをお呼びし、システム理論の観点から生命と創造性について考えます。 ※補講:12月14日(土)3・4限にて行います

第13回 対談「創造のシステム(仮)」(2)
ゲストスピーカーに、ドミニク・チェンさんをお呼びし、システム理論の観点から生命と創造性について考えます。 ※補講:12月14日(土)3・4限にて行います

第14回 総括
これまでの授業を振り返り、総括を行います。

第15回 質疑応答
授業に関する質疑応答を行います。


【教材・参考文献】

■教科書
  • 『オートポイエーシス:第三世代システム』(河本 英夫, 青土社, 1995年)
  • 『オートポイエーシス:生命システムとはなにか』(H.R. マトゥラーナ, F.J. ヴァレラ, 国文社, 1991年)
  • 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭 崇, 福原 義久, NTT出版, 1998年)

    ■参考書
  • 『動きが生命をつくる:生命と意識への構成論的アプローチ』(池上 高志, 青土社, 2007年)
  • 『生命とは何か:複雑系生命科学へ』(金子 邦彦, 第2版, 東京大学出版会, 2009 年)
  • 『【リアリティ・プラス】社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011年)
  • 『インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践』(ドミニク・チェン, 青土社, 2013年)


    【履修上の注意】

  • 授業と並行して、文献を読んでくる宿題が出ます。
  • 学期後半では、各自のノート型パソコンでシミュレーションを実行する演習を行います(プログラミング等は行わないため、技術的知識は必要ありません)。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    授業の参加、宿題、最終レポート等によって総合的に評価します。


    【履修者制限】

    履修人数を制限する。受入学生数(予定):約 60 人
    選抜方法と時期:初回授業時に選抜を行います。
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