新規メンバー募集!井庭研 Natural & Creative Living Lab(2018春)- 未来をつくる言葉をつくる
井庭研Aシラバス(2018年度春学期)
Natural & Creative Living Lab - 未来をつくる言葉をつくる
[ 教育 / コミュニティ / 自然 / これからの創造的な生き方 / 海外との連携 ]
2018年1月11日(木)4・5限:井庭研プロジェクト見学会@o408研究室
2018年1月11日(木)6限:井庭研説明会@o408研究室
2018年1月19日(金):エントリー〆切
2018年1月23日(火):面接
【研究テーマ】
井庭研では、情報社会の次に来るこれからの社会を「創造社会」(Creative Society)と考え、創造的で豊かな生き方を実践・支援するための研究を行なっています。
井庭研で 「創造的」(creative) というとき、それは「発見の連鎖」をつないでいくということを意味しています。日常的な創造性でも、専門的な創造性でも、小さな発見が次々と生じているような状態を「創造的」だと捉えます。そのような「発見の連鎖」が起きている状況では、つくり手も想定していなかったような展開が生まれ、その経験を通してつくり手は変化・成長します。つくることは探究することであり、学ぶこと、そして変化することなのです。
このような創造的な活動がいろいろな分野で起きやすくなるための支援の研究が、井庭研で取り組んでいることです。<具体的にどのようなテーマの研究を行うのかは毎年変わりますが、2018年度に取り組みたいと思っているのは、「教育」、「コミュニティ」、「自然」、「これからの生き方」、「海外との連携」といった大テーマのもと、以下のプロジェクトに取り組む予定です。
井庭研では、 一人ひとりがもっているナチュラルな創造性(Natural Creativity)の力を信じ、それがより発揮されることを目指しています。かつて、作家のミヒャエル・エンデは、「創造的であるというのは、要するに、人間的であるということにほかならない。」と語りました。井庭研ではさらに、創造的であることは人間的であり、そしてそれは自然(ナチュラル)なことである、と考えています。人為的・作為的な創造行為ではなく、より自然のあり方・かたちに近い創造性のあり方と生き方を探究しています。
【アプローチ】
そのような未来に向けての転換・変化のためには、思想と理論、方法論と道具を駆使していく必要があります。井庭研究室では、「プラグマティズム」などの思想とともに、「システム理論」や「創造性」、「学び」の理論等を踏まえながら、日常的な創造的活動を支援する「クリエイティブ・ランゲージ」とという「メディア」をつくり、その方法論を開発することで、創造的で豊かな生き方ができる社会へのシフトを目指します。
現在、井庭研がつくっている「クリエイティブ・ランゲージ」 には、1.「パターン・ランゲージ」、2「スタイル・ランゲージ」、3.「ファン・ランゲージ」、4.「フューチャー・ランゲージ」、5.「コンセプト・ランゲージ」などがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
1. パターン・ランゲージ(Pattern Language) は、物事の秘訣や経験則、コツを言語化して共有する方法です。もともとは、建築やソフトウェアのデザイン(設計)の知を言語化する方法として考案・発展してきたものですが、井庭研では人間行為の経験則を言語化する方法として応用してきました。学び、プレゼンテーション、コラボレーション、企画、料理、暮らしのデザインなど、井庭研ではこれまでに30種類以上の領域で1000パターン以上をつくってきました。パターン・ランゲージの使い方については、「対話」のメディアとして用いるということを提案し、実践してきました。いろいろな実践領域のパターン・ランゲージをつくるということは、新しい分野を始める支援をするということで、ソフトな社会インフラをつくっている、と言うことができます。
2. スタイル・ランゲージ(Style Language) では、その対象における「スタイル」(あり方)について言語化します。それは、ある方向に収斂させようとするためではなく、多様性を保持・増長させるためにつくります。様々なスタイルを表す言葉をつくることで、自らのスタイルを語りやすくなるとともに、自分では思いつかないようなスタイルを知ることができるようになります。また、多様なスタイルが言葉になっていることで、同じようなスタイルを求めている人同士のマッチングも可能になります。スタイル・ランゲージは今年度の研究のなかでつくっていく新しい形式のランゲージです。
3. ファン・ランゲージ(Fun Language) は、物事の楽しみ方の言語化です。新しく物事に取り組むということは、なかなか腰が重いものです。それをうまくできるようになるまでは、その本来の面白みは味わうことができません。でも、ちょっとした楽しみ方を知ることで、楽しく実践することができるようになります。どのような楽しみ方をしている人がいるのか、ということを端的な言葉にまとめ、共有することを可能にするのが、ファン・ランゲージです。例えば、 Cooking Fun Languageをつくって、料理の楽しみ方を言語化しました。ファン・ランゲージは、パターン・ランゲージのように「うまくやること」の支援ではなく、「楽しむための発想」を支援します。理にかなって調和を生むデザインというよりは、気持ち、感情、心が動くことで、いきいきとした状態を生み出すのです。
4. フューチャー・ランゲージ(Future Language) は、未来のヴィジョンを言語化する方法です。コミュニティや組織の未来像、あるいは、これからつくる場やイベントなどのアイデアを出し、それらを語るための言葉をつくります。パターン・ランゲージは何かを生み出すために「どうするとよいのか」を考える支援する方法ですが、それによって何を生み出すかは、各自の具体化に任されています。フューチャー・ランゲージでは、どんな未来をつくるかを、複数人・多人数で協働的に話し合い、明示化して共有することができます。フューチャー・ランゲージによって、協働的な未来づくりが支援されます。
5. コンセプト・ランゲージ(Concept Language) は、理念や考えを言語化する方法です。組織やコミュニティ、社会に対して共有したい理念・考えがあり、そのままでは伝わりにくい場合に、相互にゆるやかにつながった小さな単位の言葉にすることで、共有しやすくします。コンセプト・ランゲージは、パターン・ランゲージと同じ形式で記述され、使い方も似ています。しかしパターン・ランゲージは、これまでに実践され、良いとわかっている成功事例に潜む共通パターンを言語化するのに対して、コンセプト・ランゲージはこれまでに実践されているとは限りません。新しい環境やテクノロジー、新しい組織体制など、これまでと前提条件が異なる状況で、大切なことを共有したいというときに、コンセプト・ランゲージが有効です。
このように井庭研には、 自発性と個性を重視しながらポジティブな変化を促す ための方法が揃っています。デザイン・行為のパターン・ランゲージ、多様なあり方のスタイル・ランゲージ、楽しみ方のファン・ランゲージ、未来ヴィジョンづくりのフューチャー・ランゲージ、理念・考えの浸透のコンセプト・ランゲージ、 - これらのクリエイティブ・ランゲージの作成に加えて、 ワークショップ を設計・実施したり、日常の環境に埋め込むための 新しいメディアのデザイン なども行うことで、よりナチュラルでクリエイティブな生き方を支援し、そのための社会の変化を促すことに取り組んでいきます。
【運営方針】
各自どれかひとつのプロジェクトに参加し、研究に取り組みます。それ以外に、20%ルールとして、20%くらいの時間は、自分の好きなようにテーマを設定した研究も取り組みます(Googleで行われているように)。この個人企画を論文にしたり、井庭研の主力プロジェクトに育つこともあり得ます。研究テーマの立ち上げというのは難しく大変なものなので、いきなり個人研究として始めるのではなく、研究とは何かをプロジェクトで仲間とともに取り組みながら学ぶことができるようになっているのと、各人の興味や問題意識も大切にしようということから、このような仕組みにしています。
井庭研の大きな特徴として、学部生でも自分たちの研究成果を論文にまとめ、国際学会で数多く発表しているということがあります。例えば、2017年は、計27本の論文を書き、それをドイツ、アメリカ、オーストリア、カナダで開催された国際学会で発表してきました。そのほとんどの論文は、学部 2年生~4年生によって書かれています( →2017年 発表論文リスト )。2018年度はドイツ、中国、アメリカで国際学会発表を行う予定です。このように学部生のうちから、学術的な海外のコミュニティを経験できるというのも、井庭研の特徴・魅力のひとつです。
また、研究成果を書籍として出版することもあります( →2017年 書籍出版リスト )。井庭研では、そのくらい本格的に研究・実践に取り組んでいます。まさに、井庭研がSFC生活の中心となるような活動量です。そういう本格的な研究・実践に一緒に取り組みたいという人を募集します。
【あらかじめ読んでおいてほしい必読文献】
井庭研の研究をさらに理解するために、 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)や 『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)は読んでおいてください。 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』 (井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)の第2章(熊坂さんとの対談)も、井庭研で大切にしていることを知ることができるので、ぜひ読んでみてください。
【履修条件】
知的な好奇心と、創造への情熱を持っている多様な人を募集します。
井庭研での研究に積極的かつ徹底的に取り組もうという気持ちがあること。
研究だけでなく、「コミュニティとしての井庭研」を一緒につくっていく意志があること。
【その他・留意事項】
井庭研では、たくさん本を読みます。難しいものもたくさん読みます。それは、知識を身につけるというだけでなく、考え方の型を知り、考える力をつけるためでもあります。さらに、他のメンバーとの共通認識を持ち、共通言語で話すことができるようになるためでもあります。創造の基盤となるのです。
井庭研では、たくさん話して、たくさん手を動かします。文献を読んで考えるということはたくさんやりますが、それだけでは足りません。他のメンバーと議論し、ともに考え、一緒につくっていく、ということによって、一人ひとりの限界を超えることができます。こうして、ようやく《世界を変える力》をもつものをつくることができるのです。
2018年度秋学期と2019年度春学期は、井庭は、在外研究機関で海外に行ってしまうため、研究会は継続しますが、遠隔での指導となります。あらかじめ、承知しておいてください。(そのため、2018年度秋学期と2019年度春学期の新規募集は行わない予定です。興味がある人は、この機会にエントリーしてください。)
【授業スケジュール】
井庭研では、どっぷりと浸かって日々一緒に活動に取り組むことが大切だと考えています。大学生活の・時間割上の一部の時間を井庭研の活動に当てるというよりは、 井庭研が大学生活のベースになる ということです。井庭研に入るということは、SFCでの「ホーム」ができるということもあるのです。創造的な活動とその社会的な変革は、毎週数時間集まって作業するというだけでは成り立ちません。いつも、どこにいても考え、アンテナを張り、必要なときに必要なだけ手を動かすことが不可欠です。そのため、自分の生活の一部を埋めるような感覚ではなく、生活の全体に重なり、日々の土台となるようなイメージをもってもらえればと思います。
そのなかでも、全員で集まって活動する時間も、しっかりとります。各自が準備をしたり勉強したりする時間とは別に、みんなで集まって話し合ったり、作業を進める時間が必要だからです。井庭研では、 水曜の3限から夜までと、木曜の4限から夜までの時間は、メンバー全員で集まって活動する 《まとまった時間》 としています。これらの時間は、授業や他の予定を入れないようにしてください。
【評価方法】
研究・実践活動への貢献度、および研究室に関する諸活動から総合的に評価します。
【エントリー課題】
1月19日(金)までに、指定の内容を書いたメールを提出してください。1月23日(火)に面接を行う予定です。
エントリーメールの提出先: ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp ([at]を@に変えてください)
メールのサブジェクト(件名): 井庭研A(2018春) 履修希望
以下の内容を書いたファイル(PDF、Word、もしくはPages)を、メールに添付してください。
井庭研A(2018春) 履修希望
1. 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
2. 自己紹介(イメージしやすいように、適宜、写真や絵などを入れてください)
3. 井庭研の志望理由と意気込み(どのテーマのプロジェクトに参加してみたいか)
4. 日頃の問題意識と興味・関心(プロジェクトに限らず自由にできるとしたら、どういうことに取り組んでみたいか)
5. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
6. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
7. これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
8. これまでに所属した研究会と、来学期、並行して所属することを考えている研究会(あれば)
【教材・参考文献】
2016年度からの継続メンバーは、これまでに以下の本を読んでいます。これらの本も含め、いろいろと読んでいくことになります。
『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)
『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)
『時を超えた建設の道』 (クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スティーブン・グラボー, 工作舎, 1989)
『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
『ニクラス・ルーマン入門:社会システム理論とは何か』(クリスティアン・ボルフ, 新泉社, 2014)
『創造性とは何か』 (川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
『オープンダイアローグとは何か』 (斎藤環 著+訳, 医学書院, 2015)
『プラグマティズム入門』 (伊藤 邦武, ちくま新書, 筑摩書房, 2016)
『ヴィゴツキー入門』 (柴田 義松, 子どもの未来社, 2006)
『感動をつくれますか?』 (久石 譲, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2006)
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです:村上春樹インタビュー集 1997-2011』 (村上春樹, 文春文庫,文藝春秋, 2011)
『グラウンデッド・セオリー・アプローチ(改訂版):理論を生みだすまで』 (戈木クレイグヒル滋子, 新曜社, 2016)
『創造的論文の書き方』 (伊丹 敬之, 有斐閣, 2001)
『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』 (井庭崇, 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』 (井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ, 丸善出版, 2015)
ほか
Natural & Creative Living Lab - 未来をつくる言葉をつくる
[ 教育 / コミュニティ / 自然 / これからの創造的な生き方 / 海外との連携 ]
2018年1月11日(木)4・5限:井庭研プロジェクト見学会@o408研究室
2018年1月11日(木)6限:井庭研説明会@o408研究室
2018年1月19日(金):エントリー〆切
2018年1月23日(火):面接
【研究テーマ】
井庭研では、情報社会の次に来るこれからの社会を「創造社会」(Creative Society)と考え、創造的で豊かな生き方を実践・支援するための研究を行なっています。
井庭研で 「創造的」(creative) というとき、それは「発見の連鎖」をつないでいくということを意味しています。日常的な創造性でも、専門的な創造性でも、小さな発見が次々と生じているような状態を「創造的」だと捉えます。そのような「発見の連鎖」が起きている状況では、つくり手も想定していなかったような展開が生まれ、その経験を通してつくり手は変化・成長します。つくることは探究することであり、学ぶこと、そして変化することなのです。
このような創造的な活動がいろいろな分野で起きやすくなるための支援の研究が、井庭研で取り組んでいることです。<具体的にどのようなテーマの研究を行うのかは毎年変わりますが、2018年度に取り組みたいと思っているのは、「教育」、「コミュニティ」、「自然」、「これからの生き方」、「海外との連携」といった大テーマのもと、以下のプロジェクトに取り組む予定です。
- アカデミック・ライティング・パターンの作成
- 生物多様性保全の活動のパターン・ランゲージの作成
- (SFCの)授業のスタイル・ランゲージの作成
- 高齢社会における住まい・暮らしのパターン・ランゲージの作成(福祉業界のイノベーターである銀木犀・下河原忠道さん、あおいけあ加藤忠相さんたちから学ばせてもらい研究)
- 地域・街の楽しみ方のスタイル・ランゲージの作成
- 香港・台湾での「旅のことば」パターンの展開
- パターン・アプリ(システム)の開発
- 教育・学びへのパターン・ランゲージ活用の仕組みづくり
- パターン・コンサルタント/コンシェルジュの探究と実践
- ゆるいまちづくり(鯖江市JK課などから学びパターン・ランゲージ作成・展開)
- 創造性を誘発するジェネラティブ・グラフックの探究とそのパターン・ランゲージ作成(ファシリテーション・グラフィックスやグラフィックレコーディングから学び、展開)
井庭研では、 一人ひとりがもっているナチュラルな創造性(Natural Creativity)の力を信じ、それがより発揮されることを目指しています。かつて、作家のミヒャエル・エンデは、「創造的であるというのは、要するに、人間的であるということにほかならない。」と語りました。井庭研ではさらに、創造的であることは人間的であり、そしてそれは自然(ナチュラル)なことである、と考えています。人為的・作為的な創造行為ではなく、より自然のあり方・かたちに近い創造性のあり方と生き方を探究しています。
【アプローチ】
そのような未来に向けての転換・変化のためには、思想と理論、方法論と道具を駆使していく必要があります。井庭研究室では、「プラグマティズム」などの思想とともに、「システム理論」や「創造性」、「学び」の理論等を踏まえながら、日常的な創造的活動を支援する「クリエイティブ・ランゲージ」とという「メディア」をつくり、その方法論を開発することで、創造的で豊かな生き方ができる社会へのシフトを目指します。
現在、井庭研がつくっている「クリエイティブ・ランゲージ」 には、1.「パターン・ランゲージ」、2「スタイル・ランゲージ」、3.「ファン・ランゲージ」、4.「フューチャー・ランゲージ」、5.「コンセプト・ランゲージ」などがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
1. パターン・ランゲージ(Pattern Language) は、物事の秘訣や経験則、コツを言語化して共有する方法です。もともとは、建築やソフトウェアのデザイン(設計)の知を言語化する方法として考案・発展してきたものですが、井庭研では人間行為の経験則を言語化する方法として応用してきました。学び、プレゼンテーション、コラボレーション、企画、料理、暮らしのデザインなど、井庭研ではこれまでに30種類以上の領域で1000パターン以上をつくってきました。パターン・ランゲージの使い方については、「対話」のメディアとして用いるということを提案し、実践してきました。いろいろな実践領域のパターン・ランゲージをつくるということは、新しい分野を始める支援をするということで、ソフトな社会インフラをつくっている、と言うことができます。
2. スタイル・ランゲージ(Style Language) では、その対象における「スタイル」(あり方)について言語化します。それは、ある方向に収斂させようとするためではなく、多様性を保持・増長させるためにつくります。様々なスタイルを表す言葉をつくることで、自らのスタイルを語りやすくなるとともに、自分では思いつかないようなスタイルを知ることができるようになります。また、多様なスタイルが言葉になっていることで、同じようなスタイルを求めている人同士のマッチングも可能になります。スタイル・ランゲージは今年度の研究のなかでつくっていく新しい形式のランゲージです。
3. ファン・ランゲージ(Fun Language) は、物事の楽しみ方の言語化です。新しく物事に取り組むということは、なかなか腰が重いものです。それをうまくできるようになるまでは、その本来の面白みは味わうことができません。でも、ちょっとした楽しみ方を知ることで、楽しく実践することができるようになります。どのような楽しみ方をしている人がいるのか、ということを端的な言葉にまとめ、共有することを可能にするのが、ファン・ランゲージです。例えば、 Cooking Fun Languageをつくって、料理の楽しみ方を言語化しました。ファン・ランゲージは、パターン・ランゲージのように「うまくやること」の支援ではなく、「楽しむための発想」を支援します。理にかなって調和を生むデザインというよりは、気持ち、感情、心が動くことで、いきいきとした状態を生み出すのです。
4. フューチャー・ランゲージ(Future Language) は、未来のヴィジョンを言語化する方法です。コミュニティや組織の未来像、あるいは、これからつくる場やイベントなどのアイデアを出し、それらを語るための言葉をつくります。パターン・ランゲージは何かを生み出すために「どうするとよいのか」を考える支援する方法ですが、それによって何を生み出すかは、各自の具体化に任されています。フューチャー・ランゲージでは、どんな未来をつくるかを、複数人・多人数で協働的に話し合い、明示化して共有することができます。フューチャー・ランゲージによって、協働的な未来づくりが支援されます。
5. コンセプト・ランゲージ(Concept Language) は、理念や考えを言語化する方法です。組織やコミュニティ、社会に対して共有したい理念・考えがあり、そのままでは伝わりにくい場合に、相互にゆるやかにつながった小さな単位の言葉にすることで、共有しやすくします。コンセプト・ランゲージは、パターン・ランゲージと同じ形式で記述され、使い方も似ています。しかしパターン・ランゲージは、これまでに実践され、良いとわかっている成功事例に潜む共通パターンを言語化するのに対して、コンセプト・ランゲージはこれまでに実践されているとは限りません。新しい環境やテクノロジー、新しい組織体制など、これまでと前提条件が異なる状況で、大切なことを共有したいというときに、コンセプト・ランゲージが有効です。
このように井庭研には、 自発性と個性を重視しながらポジティブな変化を促す ための方法が揃っています。デザイン・行為のパターン・ランゲージ、多様なあり方のスタイル・ランゲージ、楽しみ方のファン・ランゲージ、未来ヴィジョンづくりのフューチャー・ランゲージ、理念・考えの浸透のコンセプト・ランゲージ、 - これらのクリエイティブ・ランゲージの作成に加えて、 ワークショップ を設計・実施したり、日常の環境に埋め込むための 新しいメディアのデザイン なども行うことで、よりナチュラルでクリエイティブな生き方を支援し、そのための社会の変化を促すことに取り組んでいきます。
【運営方針】
各自どれかひとつのプロジェクトに参加し、研究に取り組みます。それ以外に、20%ルールとして、20%くらいの時間は、自分の好きなようにテーマを設定した研究も取り組みます(Googleで行われているように)。この個人企画を論文にしたり、井庭研の主力プロジェクトに育つこともあり得ます。研究テーマの立ち上げというのは難しく大変なものなので、いきなり個人研究として始めるのではなく、研究とは何かをプロジェクトで仲間とともに取り組みながら学ぶことができるようになっているのと、各人の興味や問題意識も大切にしようということから、このような仕組みにしています。
井庭研の大きな特徴として、学部生でも自分たちの研究成果を論文にまとめ、国際学会で数多く発表しているということがあります。例えば、2017年は、計27本の論文を書き、それをドイツ、アメリカ、オーストリア、カナダで開催された国際学会で発表してきました。そのほとんどの論文は、学部 2年生~4年生によって書かれています( →2017年 発表論文リスト )。2018年度はドイツ、中国、アメリカで国際学会発表を行う予定です。このように学部生のうちから、学術的な海外のコミュニティを経験できるというのも、井庭研の特徴・魅力のひとつです。
また、研究成果を書籍として出版することもあります( →2017年 書籍出版リスト )。井庭研では、そのくらい本格的に研究・実践に取り組んでいます。まさに、井庭研がSFC生活の中心となるような活動量です。そういう本格的な研究・実践に一緒に取り組みたいという人を募集します。
【あらかじめ読んでおいてほしい必読文献】
井庭研の研究をさらに理解するために、 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)や 『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)は読んでおいてください。 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』 (井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)の第2章(熊坂さんとの対談)も、井庭研で大切にしていることを知ることができるので、ぜひ読んでみてください。
【履修条件】
【その他・留意事項】
【授業スケジュール】
【評価方法】
研究・実践活動への貢献度、および研究室に関する諸活動から総合的に評価します。
【エントリー課題】
1月19日(金)までに、指定の内容を書いたメールを提出してください。1月23日(火)に面接を行う予定です。
エントリーメールの提出先: ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp ([at]を@に変えてください)
メールのサブジェクト(件名): 井庭研A(2018春) 履修希望
以下の内容を書いたファイル(PDF、Word、もしくはPages)を、メールに添付してください。
井庭研A(2018春) 履修希望
1. 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
2. 自己紹介(イメージしやすいように、適宜、写真や絵などを入れてください)
3. 井庭研の志望理由と意気込み(どのテーマのプロジェクトに参加してみたいか)
4. 日頃の問題意識と興味・関心(プロジェクトに限らず自由にできるとしたら、どういうことに取り組んでみたいか)
5. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
6. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
7. これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
8. これまでに所属した研究会と、来学期、並行して所属することを考えている研究会(あれば)
【教材・参考文献】
2016年度からの継続メンバーは、これまでに以下の本を読んでいます。これらの本も含め、いろいろと読んでいくことになります。
ほか
井庭研だより | - | -