IBALOG - Concept Walk 日本語版

新しい社会の捉え方を探して。井庭 崇のblogです。

『プチ哲学』(佐藤雅彦)

Book-Puchi.jpg佐藤雅彦さんの『プチ哲学』を読んだ。

『プチ哲学』(佐藤雅彦, 中公文庫, 中央公論新社, 2004)

学習パターンプロジェクトのときに「かわいい!」と話題になったので、さっそく生協で買ってきたのだ。単行本のときから気になってはいたが、ようやく読めた。

この本では、佐藤さんのかわいい絵による漫画と、それに関する「哲学」がセットになって提示されている。漫画では、佐藤さんらしいかわいい世界観と独特のリズムが表現されている。ちっちゃなキャラがちょこまかするような、ちっちゃな世界。『プチ哲学』は、まさにそんな世界で描く「プチ」哲学の本だ。

内容については、ネタばれしちゃうので細かくは書かないけれど、僕が好きだったのは、「ひよこの誕生」と「かわいい勘違い」と「お昼寝の時間」。そして、漫画が意味もなくかわいい「立方体の寝かた」、「なるほど!!!」と唸った「中身当てクイズ」。これ以外にも、素敵なものがたくさんあるので、ぜひ実際に実物を読んでみてほしい。文庫版は安いし持ち運びやすいので、おすすめ。

あと、ちょっとしたことなのだけど、僕がうまいと思ったのは、次のような構成になっているところ。各章は、「お話のタイトル」から始まり、「漫画」が入ったあと、「哲学の言葉」がくるという構成になっている。「漫画」→「哲学の言葉」はよくあるカタチだけれども、その前にちゃんと「お話のタイトル」を配置しているのがポイントだと思う。ふつうは、最初に「哲学の言葉」を持ってきがち。ふつうなら、そうしちゃう。でも、佐藤さんは、わくわくして漫画の世界に入れるように、ちゃんと「お話のタイトル」を最初にもってきている。これが「哲学の言葉」から入ってしまうと、「漫画」は「哲学」にぶらさがってしまう。そうではなく、この本では、「漫画」に「哲学」がぶらさがるかたちになっている。これだからこそ、教訓じみた感じがなく、漫画を読む感覚で読み進められるようになっている。さすが、佐藤さん。と思った。

最後に、佐藤さんの言葉を引用したいと思う。

「『考える』ということを、自分は何のためにやっているかというと、このパン! という瞬間に生まれる『!』の『喜び』のためにやっている、といっても過言ではない。自分の頭の中で、このパン! が一日一回でも来ると『生きている』感じがして嬉しい。」(p.154)

心から同感する。僕がなんで研究活動を続けられるのかというと、この閃きの瞬間が本当に心地よいからなんだと思う。一般的なイメージでいうと、研究者というのは、なにやら小難しく考えることが好きな人だと思われているようだが、実はこのたまにくる閃きの瞬間が忘れられない人たちなのかもしれない。この閃きの瞬間こそ、研究の本質的な瞬間なんだと思う。そしてこのことは、研究以外の創造的な活動にも言えることだと思う。

閃きの快感と達成感を燃料に、今日も僕らは走り続ける。ブーーン!  εεεεε micro-siro.gif
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