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1.ジェネレーション・ラップ
身近なところでの話であるが、『growing up digital-The Rise of the Net Generation(邦訳;デジタル・チルドレン)』という本が話題になっている。これは、新しいネットワーク環境のなかで、いままでのテレビ世代とはあきらかにライフスタイルが異なった世代が登場してきた、というもので、「ネットジェネレーション(N-Gen)」というネー
ミングに示されるように、メディアの視点から世代論を論じた著作で ある。著者タプスコット(D.Tapscott)は、ネットワーク環境を自明なも のとして行動する新しい世代は、親たちのテレビ世代との世代間ギャ
ップを軽く飛び越え(これを、彼は"generation lap"と呼ぶ)、まったく新しいユースカルチャを形成している、と主張する。
ここで言及される多くの事例報告はそれなりに説得的ではある。たとえば、ネットジェネレーションを、Independence/Openness/Expression/
Investigation などの特徴をもつと指摘している。もちろん、このようなアドホックな特徴の列挙だけで、ネットジェネレーションのイメージが浮かび上がるはずはなく、ジャーナリストらしく、これでもかというほど、ネットジェネレーションの発言や行動を引用して、かれらのライフスタイルを鮮明にしている。ここでは、インターネットを駆使して遊んだり学習したりするネットジェネレーションの生態がしっかりと立証?されている。
本稿では、このような多様な事例報告をもとにしたネットジェネレーションワーク環境が規定する行動・関係・領域について考えてみたい。それは、ネットジェネレーションが期待するネットワーク社会はどのようなものであるか、を確認する作業である。
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