ネットジェネレーションの期待と自覚
環境情報学部教授  熊坂賢次
 
1. ジェネレーション・ラップ
2. 露出と覗きの快感--拡散し融合する個人--
3. 探索と支援--新しいコミュニケーション作法--
4. 携帯家族とネットコミュニティ
5. ネットジェネレーションのミッション
5.ネットジェネレーションのミッション

このようなネットジェネレーションの思考・行動様式とコミュニケーションのスタイル、そしてそこから推論される生活領域のヴィジョンは、これからの21世紀の日本社会の現実的な要請に対応できる一つの有力な指針ではないか、と思われる。実際に進行中の組織のネットワーク化、女性の労働観の変容(子供ができてもフルタイムで働きたい)、高齢化の危機(家庭の内部ではもはや対応できない)、子供の教育危機(教室は密室で、閉塞している)など、多くの社会データが要請する問題を解決するには、ネットワーク環境とその申し子であるネットジェネレーションに期待するしかないと思う。その意味ではタプスコットのジェネレーション・ラップという主張は、確かにその通りで、ギャップがあるという事実認識以上に、いかに新しい世代に適合したネットワーク社会を創造するかが急務なのである。もはやマスメディア世代の時代ではなく、まさにネットワーク世代が、いかにこれからの社会の創造に期待されているかを、みずから自覚しなければならない、そんな時なのである。