箱根から戻った翌日、宮城に向かいました。吉野作造記念館「人材育成研修会」に参加するためです。この企画ももう4年目。私のなかではすっかり晩夏の恒例行事になりました。
私は箱根との兼ね合いで2日目からの参加になったのですが、初日のシンポジウム「吉野作造と現代」(『毎日新聞』記事へのリンク)がなんとも豪華。基調講演は御厨先生の「日本に政党政治は根づくのか-党名の政治学」。自由、民主といった人を惹きつけるワーディングから論を展開。これに猪木武徳先生、阿川尚之先生、苅部直先生に、奈良岡聰智さんがコメント、討論。ちょっと東京でもないメンバーです。聞けなかったのが悔やまれます(後日、DVDが送られてくるので、ゼミ生のみなさん、一緒に見ましょう)。
2日目、午前中に小川原正道さんによる報告のあと、午後すぐに「吉野作造と大正の公論空間」と題して発表させて頂きました。参加者は上記の先生方に加えて、東北大から12名、慶應から6名、京大から3名の学生のみなさん。先生方を中心にたくさんのコメントをいただき、活字にしてみようかと思えるところまでたどり着きました。政治史、日本史、思想史の合同セッションだったことによる益が大だったように思います。文献調査も進み、ありがたい機会でした。
気にかかったのは、学生のみなさんの質問が「答え」を求める一方的なものになっていて、対話が意識されていないことでした。一方的に「授業」を受けることが多いでしょうか。一方通行では、公論空間はできませんよね。後半は、このあたりがうまく回ったように思います。
しかし何よりこの企画には記念館のみなさんが多くの力を注いでくださっていることがありがたい。みなさまのご尽力に、心から感謝したいと思います。ありがとうございました。
仙北の沃野では稲穂の波が太陽に輝いていました。もう秋ですね。