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『日本政治史の新地平』刊行。

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 坂本一登・五百旗頭薫編『日本政治史の新地平』(吉田書店、2013年)

 『政治を生きる』、『政治主導の教訓』につづく、御厨貴先生の退職記念論文集第3弾として『日本政治史の新地平』が刊行されました。前2冊が政治学、公共政策学であるのに対して、本書はタイトルのとおり、日本政治史を専門とするメンバーが執筆しました。

 私自身は、「立憲政友会の分裂と政党支持構造の変化―一党優位制の崩壊と二大政党制の端緒―」を書かせていただきました。ここ数年、日本における「政党を支持すること」と政党再編の構造の解明すべく、中央における政治変動が地方の政党支持にどのように現れるのかということに関心を持って研究を進めてきました。
 これは全国の選挙区を地域紙や郷土資料から見て回る、地道な、しかしなんとも面白いテーマで、ずいぶんと時間がかかるものでした。今回、ようやくこのテーマではじめての論文を書くことができました。

 目次は以下のとおりです。

 政治史の復権をめざして――はじめに   坂本 一登                      
 【第Ⅰ部 立憲政の潮流】
  第1章  明治初年の立憲政をめぐって――木戸孝允を中心に(坂本 一登)
  第2章  福地源一郎研究序説――東京日日新聞の社説より(五百旗頭 薫)
  第3章  征韓・問罪・公論――江華島事件後の対朝鮮政策をめぐるジャーナリズム論争(塩出 浩之)
  第4章  明治期の内大臣(西川  誠)                                 
  第5章  清末の中央官制改革――戊戌から丙午まで(浅沼かおり)         
 【第Ⅱ部 政党政治の展開】
  第6章  大正政変と桂新党――「立憲統一党」構想の視点から(千葉  功)        
  第7章  立憲政友会の分裂と政党支持構造の変化――一党優位制の崩壊と二大政党制の端緒(清水唯一朗)
  第8章  一九二〇年代の政治改革、その逆コースと市川房枝――政党内閣制黄昏期の内閣と議会と社会(村井 良太)
 【第Ⅲ部 戦後体制の模索】
  第9章  戦後保守勢力の相互認識と政界再編構想の展開 一九四五―四九年――政党機関誌・機関紙の分析を中心に(武田 知己)
  第10章  戦後政治と保守合同の相克――吉田ワンマンから自民党政権へ(村井 哲也)
  第11章  自治省創設への政治過程(黒澤  良)                           
  第12章  日米安保条約改定交渉と沖縄――条約地域をめぐる政党と官僚(河野 康子)
 【第Ⅳ部 地方の諸相】
  第13章  戦間期の水道問題(松本 洋幸)                                
  第14章  国民健康保険直営診療施設の普及――行政施策の展開を中心に(中静 未知)
  第15章  「交通戦争」の政治社会史(土田 宏成)                         
  第16章  現在の中央・地方関係への一考察――沖縄における「自立論」を中心に(佐道 明広)  新地平に映るもの――おわりに   五百旗頭 薫   
 

コメント (1)

清水:

そういえば、宮地正人ほか編『明治時代史大事典』3(吉川弘文館、2013年)も刊行されました。「林毅陸」「林田亀太郎」「原敬」「前島密」「松本剛吉」「渡辺国武」などを書かせていただきました。原敬はもちろんですが、渡辺国武を書けたのはうれしいことでした。
      

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2013年03月04日 03:36に投稿されたエントリーのページです。

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