IBALOG - Concept Walk 日本語版

新しい社会の捉え方を探して。井庭 崇のblogです。

井庭研 夏休みの課題2009

今年の井庭研の夏休みの課題は、以下のものです。Twitterも使います。


【テーマ】
この夏は、井庭研の創造性の要としての「抽象化」について深く理解してほしいと思います。

人間は、何かを把握したり、モデル化をしたりするときに、必ず「抽象化」をしています。日常生活でも学問をする上でも、抽象化はとても重要なのですが、さらにそれを押し進めると、SFCらしい、そして井庭研らしい意義に到達します。それは、各ディシプリン(学問分野)に埋め込まれてしまっている概念や理論、方法を、別の分野で活用したり、新しい発想を生み出すために使うことができるという点です。いわば、「越境の翼」としての「抽象化」です。

僕(井庭)の創造性について振り返ってみると、実は、この「越境の翼」としての「抽象化」がキーとなっていることに気づきます。みんなが井庭研にいて、僕から何かを学ぶとしたら、この能力の向上こそ本質だと思うようになりました。この能力は、すぐに身に付くようなものではないと思いますが、意識していくことで、できるようになっていくものだと思います。

物事をモデル化するということも、物事をシステムとして捉えるということも、暗黙知をパターン・ランゲージとして捉えることも、関係性をネットワークとして捉えるということも、物事を機能分析するということも、すべて「抽象化」の具体的な方法だといえます。これらのほとんどの場合、その抽象化によって、分野を超えた比較可能性を開いています。

この夏休みの課題では、「抽象化」して考えるということがどういうことなのか、ということ、そして、井庭研や自分の研究との関連でいうとどういうことなのかを考えてください。


【文献】
今回は5冊読んでもらいます。以下に、どこを読むべきかということを書くので、そこだけ読めばOKです。各本の最初から最後まで読む必要はありません。ただ、「抽象化」について考えるためには、以下の順番で読むことを強く勧めます。

●「社会・経済シミュレーションの基盤構築:複雑系と進化の理論に向けて」(井庭崇,博士論文, 2003 (夏休みの課題2009抜粋版))
※今回の目的に必要な部分だけを抜粋してあるので、このPDFの内容は、詳細な注も含めてすべて読む。特に、社会をシステムとして捉えるということ、そしてそれをどう具体的に操作可能なモデルにするのかという点についてしっかり把握する。今回の目的に重要となる情報が、注にたくさん記載されているので、そこも必ず読むこと。システム理論とオブジェクト指向とパターン・ランゲージが出てくるので、それらの関係性もみてほしい。

●『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭崇, 福原義久, NTT出版, 1998)
※第1部と第5部。生命・知能・社会というまったく異なる対象に、どのような共通性をみて、どのようにアプローチしようとしているのかに注目する。

●『複雑な世界、単純な法則:ネットワーク科学の最前線』(マーク・ブキャナン, 草思社, 2005)
※さまざまな対象を「ノード」と「リンク」の観点から理解するということの意義について理解する。

●『オートポイエーシス:第三世代システム』(河本英夫, 青土社, 1995)
※第I章から第III章。「第一世代」「第二世代」、「第三世代」のそれぞれのイメージと特徴をつかむ。

●『社会システム理論(上)』(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1993)
※「日本語版への序文」から第1章の最後まで。ルーマンがなぜこのような抽象的な論を展開したのか、また、オートポイエーシスの概念を導入するときに、どのような注意を払っているかに注目する。


【提出方法:Twitter+レポート方式】
今年は、夏休みの最後にレポートを提出するだけでなく、新しい方法を試してみたいと思います。課題をやっている最中に、Twitterで20回以上つぶやいてください。夏休み中のいつでも構わないので、文献を読んで思ったこと、考えたこと、文献間のつながりの発見、感想など、断片的な段階で「つぶやいて」ほしいと思います。井庭研の他の人のつぶやきに反応したりもしてほしいと思います。

文献を読んだり、自分で考えたりしたことを踏まえ、自分のこれまでの研究、もしくはこれからの研究を「抽象化」という観点で語ってください。自分(たち)は何をしたのか、自分(たち)は何をしようとしているのか。

Twitter20回以上と、レポートの両方をやってください。どちらかが欠けてもだめです。Twitterのアカウントは、普段使っているものでも構いませんし、別途アカウントをつくるのでも構いません。

ゼミメンバー同士、フォローして、他のメンバーがどんなことを考えたのかを知りながら、各自課題に取り組みます。夏休み中、ブラックボックスのままで、休み明けに箱を開けるというのではなく、途中からインタラクションがあって、みんなで高め合うことができればベストです。その意味で、「コラボレーティブな夏休みの課題」です。

夏休みの最後に、集中してつぶやくことのないようにね。(笑)
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