井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

大学での学びと研究について

SFCで学生全員に配られる冊子『SFCガイド』のなかに、「新入生へのメッセージ」というページがある。その2007年度版に、以下のようなメッセージを書いた。ここに書いたことは本当に重要なことだと思うので、新入生だけでなく、上級生やほかの人たちにもぜひ読んでほしいと思っている。



 みなさんがこれから履修する科目は、2007年度から始まる新しいカリキュラムにもとづいて設置されたものです。新しいカリキュラムでは、SFCのこれまでの「先端」性に加え、「創造」の軸が明示的に加わりました。具体的には、ものを生み出したり実践したりする経験を、学部のはじめの段階から何度も経験することで、自らアウトプットする能力を高めていくということです。 つまり、これまでの「研究プロジェクト中心」というコンセプトをさらに進めるために、「創造」と「先端」の2本柱の科目が提供されるのです。とても重要なことなので、授業を選択・履修するときには、ぜひこのことを意識してみてください。
 大学での学び・研究を「料理」に例えると、みなさんに求められているのは、自分なりの創作料理をつくる、ということです。提供される科目はあくまでも料理のための食材にすぎません。どのような食材をつかって何をつくるのか?――それは学生のみなさん一人ひとりが、考えていくことです。もちろん、いくつかコツはあります。先輩たちがどのような食材を選び、何をつくったのかを知ることは有益でしょう。また、研究メンターの先生に相談してみるのもよいでしょう。しかし、SFCでは決められたレシピというものはありません。やはり最後は、自分で考えるということが重要になります。
 料理の例えで、もうひとつ重要なことがあります。先ほど、科目はあくまでも料理のための食材だ、といいました。そうなんです。食材を仕入れるだけでは、料理にはなりません。料理を「つくる」ことが必要なのです。SFCでは、みなさんは自分の“研究プロジェクト”に取り組むことが期待されています。そのために用意されている厨房が「研究会」という場です。ただ単に食材を集めてためておくのではなく、それを研究会の場で料理してみてください。そして最後には、大学生活をかけて磨いた腕をふるって、卒業プロジェクトに取り組みましょう。あなただけの創作料理、期待しています。


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