モバイル時代の英語力強化法:日本にいながらの環境構築(7)
3. 多面的なアプローチによるスパイラルアップ
日本で書店に行って、英語学習書のコーナーに行くと、実に多くの本が出版されている。それぞれ独自性を出すために、「これだけ覚えればOK」、「この基本文法さえわかれば問題ない」、「発音が悪くてもこれで通じる」など、一部の範囲/能力だけを強調するようなものが多い。しかし、それらは、学び始めるときの心理的な壁を低くしてくれるものの、信じ過ぎない方がいいように思う。
英語力を伸ばそうとするならば、すべてをやり、多面的に向上させていく必要があるからである。単語も、熟語も、文法も、構文も、スタイルも、発音/イントネーションも、英語特有のリズムも、ライティングも、リーディングも、リスニングも、スピーキングも、ボディ・ランゲージも、その背後にある文化も、すべて大切なのだ。それらは、相乗効果を伴いながら、スパイラルアップしていくものだと思う。私自身、このような多面的なアプローチによるスパイラルアップをイメージしながら、英語に絶えず触れることができる環境構築を日々心がけている。
「英語ができることがアドバンテージになる時代は終って、英語ができないことがディスアドバンテージになる時代が来た」———これは、私の知り合いの若手研究者の言葉である。彼は南米出身で、現在はMITで教えていてる。母語ではない英語で人々に語りまくり、グローバルなアカデミックの世界に切り込み、フロンティアを突っ走っている。その姿に、私も大きな刺激を受けている。
日本では、いまだに「まずは日本語をきちんとやるべき」という声を聞く。「英語か日本語か」ではなく、「英語も日本語も」という発想が必要だと私は思う。母語としての日本語はきちんとやるべきだし、それと同時に世界と渡り合うための英語。その両方が必要だ。
私たちは今、「英語を使う」=「海外で暮らす」ではない時代に生きている。日本にいながらも英語で学び、英語で仕事をする。それがグローバルな時代ということだろう。日本にいながらの環境構築。今回書いた私の経験と方法が、何らかの参考や刺激になれば幸いである。
(Fin.)
※「モバイル時代の英語力強化法 ―日本にいながらの環境構築―」(井庭 崇, 『人工知能学会誌』, Vol. 25, No. 5, 2010年9月)をベースに大幅に加筆・修正。
日本で書店に行って、英語学習書のコーナーに行くと、実に多くの本が出版されている。それぞれ独自性を出すために、「これだけ覚えればOK」、「この基本文法さえわかれば問題ない」、「発音が悪くてもこれで通じる」など、一部の範囲/能力だけを強調するようなものが多い。しかし、それらは、学び始めるときの心理的な壁を低くしてくれるものの、信じ過ぎない方がいいように思う。
英語力を伸ばそうとするならば、すべてをやり、多面的に向上させていく必要があるからである。単語も、熟語も、文法も、構文も、スタイルも、発音/イントネーションも、英語特有のリズムも、ライティングも、リーディングも、リスニングも、スピーキングも、ボディ・ランゲージも、その背後にある文化も、すべて大切なのだ。それらは、相乗効果を伴いながら、スパイラルアップしていくものだと思う。私自身、このような多面的なアプローチによるスパイラルアップをイメージしながら、英語に絶えず触れることができる環境構築を日々心がけている。
「英語ができることがアドバンテージになる時代は終って、英語ができないことがディスアドバンテージになる時代が来た」———これは、私の知り合いの若手研究者の言葉である。彼は南米出身で、現在はMITで教えていてる。母語ではない英語で人々に語りまくり、グローバルなアカデミックの世界に切り込み、フロンティアを突っ走っている。その姿に、私も大きな刺激を受けている。
日本では、いまだに「まずは日本語をきちんとやるべき」という声を聞く。「英語か日本語か」ではなく、「英語も日本語も」という発想が必要だと私は思う。母語としての日本語はきちんとやるべきだし、それと同時に世界と渡り合うための英語。その両方が必要だ。
私たちは今、「英語を使う」=「海外で暮らす」ではない時代に生きている。日本にいながらも英語で学び、英語で仕事をする。それがグローバルな時代ということだろう。日本にいながらの環境構築。今回書いた私の経験と方法が、何らかの参考や刺激になれば幸いである。
(Fin.)
※「モバイル時代の英語力強化法 ―日本にいながらの環境構築―」(井庭 崇, 『人工知能学会誌』, Vol. 25, No. 5, 2010年9月)をベースに大幅に加筆・修正。
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