井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

モバイル時代の英語力強化法:日本にいながらの環境構築(6)

2.4 英文構成の瞬発力をつける

会話において必要となるのは、その場その場でリアルタイムに英文を構成できるということ。それができなければ、自分が言いたいことを言うこともできないし、相手の言ったことに反応することもできない。実際、英語で会話をしているとき、簡単な内容なのに言葉にできなかったり、会話の後で「あぁ、あのときこう言えばよかった」と思うことはよくあることだ。

瞬発的に英文構成ができる力をつけるには、どうしたらよいだろうか? 僕がよいと思う方法が、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(森沢洋介)で展開されている訓練だ。取り上げられているのは難しい文章ではなく、ごく簡単なものばかり。最初の文は、なんと、"This is a good book." だ。

それでも、CDに収録されている音声で日本語を聞き、すぐにそれに対応する英文を思いつくかというと、これがなかなか難しい。読み上げの間隔が絶妙で、瞬発的に思いつかないと間に合わないようにできている。しかも、実際にやってみると、自分がいかに適当な文で話していたか、ということも痛感する。this と that、単数と複数などが、めちゃくちゃだったと気づく。つまり、正確に瞬間英作文ができていないということだ。このことに気づくだけでも、大きな一歩が踏み出せたといえるだろう。

このような訓練を積むことで、英文の基本パターンを自分のなかに刻み込んでいく。くり返し覚えて、「身体で覚える」。この基本パターンを実際の会話のなかで使うことができれば、英語での会話も、これまでとはかなり違ってくるはずだ。


2.5 即興的にバリエーションを生み出すための文法を身につける

もちろん、基本パターンだけですべてを言い表せるわけではない。それらを組み合わせで、様々なバリエーションを生み出すことが必要だ。その「バリエーションを生み出す」ために必要なのが、やはり、文法だと思う。

僕らは中学校から英語を学び始め、文法を学び続けてきた。だから、「いまさら文法?」と思うかもしれないし、英文法の本を開いてみても「知っている」と思うものばかりだろう。しかし、それらを使いこなせているかと問われると、自信をもって Yes とは言えない人がほとんどだ。

そこで、少し視点を変えて、文法を学び直すことをおすすめしたい。それは、「バリエーションを生み出すための文法」という視点だ。「知識としての文法」は僕らはもう十分知っている。そうではなく、今度は即興的な英文構成の力をつけるという観点から、文法を捉え直し、身につけるのだ。

結局、どんなに込み入った話も、定型のパターンとそれらの組合せで成り立っている。だから、どのパターンをどのように組合せることができるのかを知れば、自分でもそういう文章をつくることができる。その組合せ方のルールが、文法である。定型からのズラし方の可能性を教えてくれるものだと言ってもいい。そういう視点で、文法を実践的な力に変えていこう。


以上のように、定型のパターンと文法を身につけることができれば、瞬発的に、かつ即興的に英文を構成することができるようになる。日本にいてもできることは、実に多い。


[15] 森沢洋介, 『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』, ベレ出版, 2006

※本エントリの内容は、「モバイル時代の英語力強化法 ―日本にいながらの環境構築―」(井庭 崇, 『人工知能学会誌』, Vol. 25, No. 5, 2010年9月)には含まれていない、書き下ろし部分。
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