井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

「シミュレーションデザイン」2011年度春学期シラバス

「シミュレーションデザイン」
(創造技法科目-ナレッジスキル:14160)※週2コマ4単位科目
【開講】火曜日3・4時限@慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)
【担当】井庭 崇、古川園 智樹
※東日本大震災の影響で、今年度春学期のSFCの授業は5月からの開始となります。そのため、授業が開講される曜日が一部変則的になっています。

■ 主題と目標/授業の手法など
複雑で動的に変化するシステム―――例えば生命や社会など―――を理解するためには、それに見合う道具立てが必要になります。そのような「思考の道具」として、本科目では「コンピュータ・シミュレーション」に着目します。コンピュータ・シミュレーションとは、理解したい対象の仮説的なモデルをつくり、そのモデルをコンピュータ上で動かしてみることで、その理解を深めるという方法です。
 本科目では、どのようにモデル化を行い、どのようにプログラムを構築するのか、どのようにシミュレーション実験を計画し、どのように実行・分析するのか等を、講義と演習によって身につけていきます。最終的には、各自の学術的研究で活用できる力をつけることを目指します。
 学期を通じてテーマとして取り上げるのは、「ネットワーク科学」(Network Science)の研究です。近年、自然や社会における物事の関係性の構造に共通の特徴があることがわかり、「スケールフリー・ネットワーク」として注目を集めています。授業では、スケールフリー・ネットワークの生成原理をめぐるシミュレーション研究等を追体験します。
 本授業の内容・手法は、個別学問分野に特化したものではありません。自然科学、社会科学、人文科学、工学、芸術・デザイン、数学など、あらゆる分野の人を歓迎します。

■ 教材・参考文献
本授業では、以下の本を教科書として使用します。
『新ネットワーク思考:世界のしくみを読み解く』(アルバート・ラズロ・バラバシ, NHK出版, 2002)
このほか、ネットワーク科学の英語論文を適宜配布します。

■ 提出課題・試験・成績評価の方法など
●授業中の演習への取り組み、宿題、ファイナルプロジェクトの発表/レポートから、総合的に評価します。
●ファイナルプロジェクトでは、ペアもしくは個人で、簡単なシミュレーション研究に取り組みます。

■ 履修上の注意
●この授業は、プログラミングの基本的な知識・スキルがあることを前提とします。
●授業中の演習やファイナルプロジェクトにおいて、各自のノート型パソコンを用いたシミュレーションデザインを実践します。各自PCを用意してください。
●6月12日(日)の授業は休講になります。補講を6月18日(土)の3・4限に行ないます。

■ 履修制限
履修人数を制限する(最大約30人まで):初回授業時に、志望理由と、簡単なプログラミングの知識を問うクイズを出します。

授業計画
第1回 イントロダクション (5/10 火)
授業の内容と進め方について説明します。

第2回 シミュレーション研究の基礎(5/17 火)
【前半】シミュレーション講義
【後半】シミュレーション実行体験演習

第3回 ネットワーク科学の基礎(5/24 火)
【前半】ネットワーク科学講義
【後半】ネットワーク科学講義・演習

第4回 ネットワークシミュレーションの基礎(5/31 火)
【前半】完全グラフ,リング
【後半】ランダム成長ネットワーク

第5回 ランダムネットワーク(6/7 火)
【前半】設計・実装
【後半】実行・分析

※6/12 休講

第6回 スモールワールドネットワーク(1)(6/14 火)
【前半】設計
【後半】実装

第7回 ゲストスピーカー対談「テクノロジー・人間・社会の関係性とそのデザイン」(6/18 土)
ゲストスピーカーとして、環境情報学部の初代学部長である 相磯秀夫先生(慶應義塾大学名誉教授)をお招きし、情報技術と人間・社会との関係を理解し、デザインする学問について対談を行います。
※補講日 6月18日(土)3・4限

第8回 スモールワールドネットワーク(2)(6/21 火)
【前半】実行
【後半】分析

第9回 スケールフリーネットワーク(1)(6/28 火)
【前半】設計
【後半】実装

第10回 スケールフリーネットワーク(2)(7/5 火)
【前半】実行
【後半】分析

第11回 ファイナルプロジェクト(1)(7/12 火)
【前半】アカデミックライティング講義
【後半】進捗報告

第12回 ファイナルプロジェクト(2)(7/19 火)
【前半】ネットワーク科学の最先端
【後半】進捗報告

第13回 ファイナルプロジェクト発表会(7/26 火)
ファイナルプロジェクトの成果を発表してください。また、授業全体を振り返り、シミュレーション研究のプロセスとコツについて再考します。
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