井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

井庭研究会B1(2011年秋学期)シラバス

井庭崇研究会B1(月曜5限)

パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト
(創造的なコラボレーション + 魅せるプレゼンテーションの探究)


【Important Dates】

7月11日(月)5限 井庭研B1説明会@ε12。
7月22日(金) エントリー〆切
7月29・30日(金・土)面接

【目的・内容】

魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」を生み出すには、どうすればよいのでしょうか? ――― 本研究会では、そのような「ことばの力」を探究し、実践知を「パターン・ランゲージ」として言語化することを目指します。

パターン・ランゲージとは、「デザインの知」(問題発見+問題解決の知)を記述するための方法です。パターン・ランゲージの要素である「パターン」には、どのような状況(Context)のときに、どのような問題(Problem)が生じやすく、それをどのように解決すればよいのか(Solution)が記述されます。このようなパターンには、対象となるデザイン領域における「よりよいカタチ」についての想像力をかきたて、人を動かす機能があります。

パターン・ランゲージの方法は、もともとは建築デザインの分野で提唱されたのですが、その後ソフトウェア・デザインの分野に応用され、成功を収めました。さらに、組織デザインなど、新しいデザイン領域にも応用され始めています。SFCでも「学び」のパターン・ランゲージ(学習パターン:Learning Patterns)が制作され、学内外で注目を集めています。本研究会では、このパターン・ランゲージの方法にもとづいて、新しい領域の実践知の記述に取り組みます。

2011年度秋学期に、メンバー全員で取り組むのは「(広義の)プレゼンテーションのパターン・ランゲージ」と「創造的コラボレーションのパターン・ランゲージ」です (*)。プレゼンテーション・パターンでは、「人に何かを伝え・共有するとき、情報をどのように整理し、表現し、伝えればよいのか」という秘訣を記述します。コラボレーション・パターンでは、「複数人によるコミュニケーションの連鎖のなかで、どのように新しい価値を生みだせばよいのか」という秘訣を記述します。

パターン・ランゲージをつくるということは、「ことばの力」によるエンパワーメントを通じて、社会へコミットすること、未来へコミットすることを意味します。そのような新しい方法の開発・実践に挑戦する、「やる気」のあるメンバーにぜひ来てほしいと思います (**)。


* プレゼンテーション・パターンの制作は、すでに春学期から動き始めていますが、これまでの準備段階を経て、いよいよ秋学期からパターンランゲージとしての本格的な記述・洗練が始まるところです。秋学期から参加するメンバーがスムーズにプロジェクトに合流できるように配慮しますし、まだまだ十分に活躍の機会はあります。その点は心配せず、本プロジェクトに合流してください。こだわり抜いたクオリティの高いものを一緒に作り上げましょう!そしてこの経験が、学期中頃からスタートする「創造的コラボレーションのパターン・ランゲージ」のための共有体験にもなります。

** 井庭研では、このほか、「探究型の学びの場づくりとファシリテーション」のためのパターンランゲージや、「社会変革」のパターンランゲージ、「子どもの学び」のパターンランゲージ(子ども版 学習パターン)、「文章執筆」のパターン・ランゲージなどにも、機会をみて取り組んでいきたいと思っています。そのようなテーマに興味がある人も、研究会全体で取り組む上記の活動を通じて、方法論を学び、経験を積んでほしいと思います。また、パターンランゲージの制作だけでなく、それを実際に活かすためのワークショップや新しいメディアづくりにも取り組みます。

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【授業スケジュール】

ゼミは、月曜5限に行います。
毎週のゼミでは、メンバー全員でパターン・ランゲージの制作作業・レビュー等を行います。


【履修条件】

● プロジェクト活動によって付加価値のあるアウトプットを生み出す意志があること。
● プロジェクトに付随して必要となる、ゼミ時間外での個人作業・グループワーク(パターンの執筆/文献読解/レビュー等)にきちんと参加する意志があること。
● 知的コミュニティとしての研究会を、自分たちでつくっていく意志があること。


【その他の留意点】

● 本研究会では、参加者全員によるプロジェクト(プレゼンテーション・パターンの制作)を行います。個人研究はありません(卒業プロジェクトについては応相談)。
● ゼミの正規の時間よりも延長して活動を行います。また、ゼミ後に議論・交流のための食事会を開催します。ゼミの時間の後には、ほかの予定を入れないようにしてください。
● 井庭研究会B2との同時履修や、他の研究会との同時履修も歓迎します。
● 7月11日(月)5限に、ε12教室にて、担当教員と現役メンバーによる「井庭研B1説明会」を開催します。井庭研に興味がある人や迷っている人は、ぜひ来てください。


【予定受け入れ人数】

15名程度


【エントリー課題】

本シラバスをしっかりと読んで内容を理解した上で、以下のエントリー情報を7月22日(金)までにメールで提出してください。

エントリーメールの提出先: ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp
メールのサブジェクト(件名): 井庭研究会B1 履修希望

以下の内容を書いたエントリーレポート(PDF形式)を、メールで提出してください。

井庭研究会B1 履修希望
(1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名
(2) 本プロジェクトに参加する動機・意気込み・期待
(3) 「よいプレゼンテーション」(広い意味での)とはどのようなものか、自分の考えを書いてください。
(4) 「創造的なコラボレーション」(グループワーク、プロジェクト、部活/サークル)の経験について教えてください。
(5) 持っているスキル/得意なこと(自然言語, 画像・映像編集, グラフィックス・デザイン, 音楽, プログラミング, その他)
(6) 来学期、並行して所属する予定の研究会
(7) これまでに所属した研究会
(8) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
(9) これまでに履修した担当教員(井庭)の授業
(10) その他の自己紹介(やっていること、興味があること、将来の方向性、自己アピールなど)

※ (3)〜(5)や(10)では、図や写真を用いて構いません。魅力的にアピールしてください。

以上のエントリー情報にもとづき、面接を行います。


【評価方法】

日頃のプロジェクト活動における積極性・貢献度、および研究会関連の諸活動から総合的に評価します。


【問い合わせ・連絡先】

ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp


【参考文献】

●『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー 他, 鹿島出版会, 1984)[ C. Alexander, S. Ishikawa, M. Silverstein, A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction, Oxford University Press, 1977 ]
●『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)[ C. Alexander, The Timeless Way of Building, Oxford University Press, 1979 ]

●『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡 浩一郎, 技術評論社, 2009)
● M. Lynn Manns, L. Rising, Fearless Change: Patterns for Introducing New Ideas, Addison-Wesley, 2004

●『暗黙知の次元』(マイケル・ポランニー, 筑摩書房, 2003)[ M. Polanyi, The Tacit Dimension, Reissue edition, University Of Chicago Press, 2009 (1966) ]
●『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛裕二, 勁草書房, 2007)
●『発想する会社!:世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』(トム・ケリー, ジョナサン・リットマン, 早川書房, 2002)[ Thomas Kelley, Jonathan Littman, The Art of Innovation: Success Through Innovation the IDEO Way, Profile Business, 2002 ]

●『Learning Patterns: A Pattern Language for Active Learners at SFC 2009』(学習パターンプロジェクト, 慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学学部, 2009)※ http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/
●「自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン──パターン・ランゲージは何をどのように支援するのか?」(井庭 崇, 『10+1 web site』, 2009年9月号)※ http://tenplusone.inax.co.jp/monthly/2009/09/post-2.php
●「『コラボレーションによる学び』の場づくり:実践知の言語化による活動と学びの支援」(井庭 崇, 人工知能学会誌 24(1), 70-77, 2009) http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/2009JSAI.pdf

●「コラボでつくる! ―――コミュニケーションの連鎖による創発」(井庭 崇,『創発する社会』,國領 二郎(編著),日経BP企画,2006,p.68-85)
●Takashi Iba, "An Autopoietic Systems Theory for Creativity," Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, Pages 6610-6625 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1877042810011298

●「SFCの現場:井庭研究室」 http://www.sfc.keio.ac.jp/introducing_labs/index.html
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