井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

SFC授業「パターンランゲージ」(2011 秋学期)シラバス

「パターンランゲージ」(2011年度秋学期)@慶應義塾大学SFC
開講:月曜日2時限
担当:井庭 崇

■ 主題と目標/授業の手法など

この授業では、創造・実践のための言語として「パターンランゲージ」を取り上げ、その考え方と方法を学びます。パターンランゲージは、創造・実践の経験則 を「パターン」という単位にまとめ、それを体系化したものです。かつて、建築家のクリストファー・アレグザンダーは、建物や街の形態に繰り返し現れる関係性をパターンとしてまとめました。その後この考え方は、ソフトウェア開発の分野に応用され、成功を収めました。SFCでは、「SFCらしい学び」のパターンランゲージとして、「学習パターン」(Learning Patterns)が制作・配布されています。この授業では、パターンランゲージの考え方を学びながら、創造的コラボレーションや社会デザイン、ものづくりなど、新しい分野において、自らパターンライティングできるようになることを目指します。

今年度のグループワークのテーマは、「ソーシャルイノベーション/社会変革」、「まちおこし/地域活性」、「外国語習得」、「異文化理解・交流」、「子どもの学び」、「書くこと」、「ヴィジュアライゼーション」、「情報デザイン/情報アーキテクチャ」等を考えています。これらのいずれかに強いこだわりを持っているか、得意分野であることが求められます。(自分の興味・関心のある分野が、上記リストにない場合には、授業初回に提案してください。)


■ 提出課題・試験・成績評価の方法など

5人程度でグループを組み、パターンランゲージをつくるグループワークを行います。グループワークのテーマは、「ソーシャルイノベーション/社会変革」、「まちおこし/地域活性」、「外国語習得」、「異文化理解・交流」、「子どもの学び」、「書くこと」、「ヴィジュアライゼーション」、「情報デザイン/情報アーキテクチャ」等のパターン作成です。作成したパターンは、ライターズワークショップを通じて、グループメンバー以外の人からのコメントをもらい、ブラッシュアップしていきます。最終回には、最終的な成果を発表してもらいます。成績は、授業中の演習、宿題、最終発表/レポートから総合的に評価し、決定します。


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■ 授業計画

第1回(9/28) イントロダクション
この授業の内容と進め方と、パターンランゲージの背景にある考え方を説明します。

第2回(10/3) パターンランゲージの形式
パターンランゲージの方法と形式について解説します。

第3回(10/17) パターンマイニング1
グループごとに、自分たちのテーマにもとづく実践知を掘り起こしていきます。

第4回(10/31) パターンマイニング2
前回に引き続き、グループごとに、自分たちのテーマにもとづく実践知を掘り起こし、まとめていきます。

第5回(11/7) パターンライティング1
グループごとに、掘り起こして把握できた実践知をパターンとして書いていきます。

第6回(11/12 土) 社会を変える仕組みをつくる1(井上 英之さん × 中室 牧子さん × 井庭 崇 鼎談)
ソーシャルイノベーション分野のキーパーソンである井上 英之さんと、実践派の教育経済学者である中室 牧子さんをお招きし、「社会を変える仕組みをつくる」ことについて語り合います。

第7回(11/12 土) 社会を変える仕組みをつくる2(井上 英之さん × 中室 牧子さん × 井庭 崇 鼎談)
ソーシャルイノベーション分野のキーパーソンである井上 英之さんと、実践派の教育経済学者である中室 牧子さんをお招きし、「社会を変える仕組みをつくる」ことについて語り合います。

第8回(11/14) パターンライティング2
グループごとに、自分たちで書いたパターンをブラッシュアップしていきます。

第9回(11/28) 内からのことばを生み出す(山田 ズーニーさん × 井庭 崇 対談)
文章表現・コミュニケーションインストラクターである山田 ズーニーさんをお招きし、内からのことばを生み出すにはどうすればよいのか、また「魅力があり、想像力をかきたて、人を動かすことば」を生み出すにはどうしたらよいのかについて語り合います。

第10回(12/5) ライターズワークショップ
グループワークで作成しているパターンランゲージを、履修者同士でレビューし合う「ライターズワークショップ」を行います。

第11回(12/12) ユーザーエクスペリエンスデザイン(長谷川 敦士さん × 井庭 崇 対談)
企業が抱えるコミュニケーション課題をデザインによって解決している長谷川 敦士さんをゲストとしてお招きし、ユーザーエクスペリエンスデザインとパターンランゲージとの本質的な関係性と、今後の展望を語り合います。

第12回(12/19) プレゼンテーションについての対話ワークショップ
プレゼンテーションパターンを用いて、自らのプレゼンテーションの経験を掘り起こし、それを語り合うというワークショップを行います。

第13回(12/26) グループワーク成果発表会
グループワークで作成してきたパターンランゲージの発表を行います。

第14回(1/7 土) 共感を生むことば
共感を生むことばはどのようにつくられているのかを、J-POPの歌詞を事例に考えます。

第15回(1/16) グループワーク成果にもとづく対話ワークショップ
各グループが作成したパターンランゲージを用いて、対話のワークショップを行います。また、授業の総括を行います。


■ 履修上の注意

・途中で履修を取りやめることは、グループメンバーの迷惑になります。そのような事態にならないように、内容/進め方をしっかり読み/聴き、よく考えて履修してください。

・パターンランゲージを書くためには、その分野での実践について、強いこだわりがあるか、得意である必要があります。自分の興味・関心のある分野が、上記リストにない場合には、授業初回に提案してください。

・あらかじめ休講・補講になる日がわかっています(10月24日休講、11月12日3・4限補講)。土曜日に行われる補講(11月12日3・4限)にも参加できることを確認した上で履修してください。


■ 教材・参考文献

【教科書】
『The Timeless Way of Building』 (Christopher Alexander, Oxford University Press, 1979)
※邦訳:『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)

【参考書】
『A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction』(Christopher Alexander, Sara Ishikawa, Murray Silverstein, Oxford University Press, 1977)
※邦訳:『パタン・ランゲージ"環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1984)
『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スディーブン・グラボー, 工作舎, 1989)
『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009)
『Fearless Change: Patterns for Introducing New Ideas』 (Mary Lynn Manns, Linda Rising, Addison-Wesley Professional, 2003)
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