井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

イノベーションとコラボレーションの国際学会COINs15@Tokyoの見所!

今週、イノベーションとコラボレーションに関する国際カンファレンス Collaborative Innovation Networks (COINs15)を、慶應義塾大学三田キャンパスで開催します。取り上げられるテーマは、創造性、コラボレーション、パターン・ランゲージ、デザイン思考、文化、ネットワーク分析などです。

僕がMITの客員研究員をしていたときに、MITの同僚を中心に世界各国の共同研究者たちと立ち上げた学会です。これまでアメリカで2回、スイス、チリで開催され、今年は僕が Conference Chairをつとめて、日本で開催します。

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Collaborative Innovation Networks (COINs2015)
http://tokyo15.coinsconference.org
2015年3月12日(木)〜15日(日)
慶應義塾大学 三田キャンパスにて

参加申し込み
http://coins2015.peatix.com

カンファレンスのメインは、3月13日(金)と14日(土)。この2日は、慶應義塾大学三田キャンパス G-SEC Labという会場で行われます。

このメインの2日間に加えて、前日12日(木)の夕方にRegistrationとReception パーティーがあります。場所は、三田キャンパスのファカルティ・クラブです。また、15日(日)は、海外からのゲストと交流するためのSocial Eventとして東京を巡ります。

なので、カンファレンスのWebページでは、開催期間が3月12日(木)〜15日(日)となっていますが、メインは13日と14日ということになります。お忙しい方はここだけでも。


この学会の見所を、僕の観点で書いておきたいと思います。あくまでも個人的なおすすめです。

まずは、Mary Lynn Mannsさんの基調講演。

Me6-180.jpgFearlessChange-180.jpgFearlessChange180.jpgMary Lynn は、「パターン・ランゲージ3.0」と僕らが呼ぶ、人間行為のパターン・ランゲージの世界的な先駆者です。それまで建築とソフトウェアの分野でのみ書かれていたパターン・ランゲージを、教育やイノベーションの分野で書いた世界で最初の方です。つまり、彼女の先駆的な仕事がなければ、いま僕や井庭研が行っているパターン・ランゲージ研究はなかったと言っても過言ではないでしょう。

彼女はアメリカで経営学教授として、変化を引き起こすチェンジリーダーシップやマネジメントの教育をパターン・ランゲージを用いて行っています。そのとき使っているのが『Fearless Change:アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』です。

そして、ちょうど今月末、彼女の新しい本『More Fearless Change: Strategies for Making Your Ideas Happen』が出版されます。基調講演では、この『More Fearless Change』についてもお話いただきます。

Keynote "Leading Fearless Change"(13日 9:20〜)

Mary Lynnは今回が初来日なのですが、昨年僕が彼女のノースカロライナ大学アッシュビル校でワークショップを開催したことや、『Fearless Change』の監訳者の川口恭伸さんのご協力・ご尽力により、日本に招待することができました。ぜひまたとない機会ですので、ぜひお楽しみください。


次に紹介したいのは、Peter Gloorさんです。

Peter180.jpgSwarmCreativity180.jpgCoolhunting180.jpgcoolfarming180.jpgPeter は、MIT Center for Collective Intelligence(マサチューセッツ工科大学 集合知研究所)の研究員で、ネット上のデータをネットワーク分析して、トレンドを分析したり、コラボレーションの分析をしたりしている方です。複雑ネットワークの分野では主に物理学者が、そして、社会ネットワーク分析では社会学者が、それぞれの研究動機をもって分析を行いますが、彼の行っているネットワーク分析は、また別の種類のもので、なかなか珍しいと思います。

そんなことがあり、僕はサバティカル(研究休暇)のときに、彼のもとで一緒に研究をしたいと思い、MIT Cetner for Collective Intelligenceの客員研究員になりました。ちなみに、この研究所は、『The Future of Work』を書いたThomas W. Malone先生が所長の研究所です。僕は当時、Wikipediaのコラボレーションの分析を、Peterと一緒に取り組みました。

そして、このCOINsカンファレンスを立ち上げにおいても、彼が中心人物です。彼のネットワークで人が集まったのが最初です。そして、実は、カンファレンスの名称になっている「Collaborative Innovation Netwroks」というのは、彼の本の中に出てくる概念です。

"Swarm Creativity introduces a powerful new concept - Collaborative Innovation Networks, or COINs. A COIN is a cyberteam of self-motivated people with a collective vision, enabled by technology to collaborate in achieving a common goal goal - an innovation - by sharing ideas, information, and work. It is no exaggeration to state that COINs are the most productive engines of innovation ever. "

Peterは、CONDORという独自のネットワーク分析システムを構築していて、今回のカンファレンスでは、それを用いたワークショップも行われます。すごいのでぜひ体験してみてください。

Workshop "Analyzing COINs with CONDOR"(14日 10:15〜)

この他にも、彼自身や彼の共同研究者の研究も多く発表されます。


パターン・ランゲージのコミュニティからは、Joseph Yoder が来ます。

joe-180.jpgJoe は、アメリカ、ヨーロッパ、南米、アジア、北欧など、世界中でパターン・ランゲージの国際学会を開催している非営利組織 Hillside Group のPresidentです。今回は、彼と僕で『The Nature of Order』(クリストファー・アレグザンダー)の考え方を用いたワークショップを開催します。

Workshop "Generative Processes for Assisting with Quality Collaborative Groups"(13日 16:00〜)


また、パターン・ランゲージのコミュニティからは、ヨーロッパから Christian Kohls が決ます。

Chris180.jpgChris は、心理学が専攻で、パターン・ランゲージがどのように機能するのかということを、スキーマ理論などを用いて考察した、この分野における気鋭の若手研究者です。自身も、e-LearningやCreative Thinkingのパターン・ランゲージを書いており、ヨーロッパのコミュニティでは中心的な推進力となっています。

Talk "Collaboration Tools and Patterns for Creative Thinking"(13日 10:30〜)


この他にも、国内外からいろいろ魅力的な発表があります。


そして井庭研からは、パターン・ランゲージやフューチャー・ランゲージに関する 7件の発表を行います。

Pattern Language
  • “A Pattern Language for Living Well with Dementia: Words for a Journey” (Takashi Iba, Aya Matsumoto, Arisa Kamada, Nao Tamaki, Tasuku Matsumura, Tomoki Kaneko, and Makoto Okada)

  • “Exploring Cultures through Pattern Mining: Practices from Generative Beauty Workshop” (Jei-Hee Hong, Yuma Akado, Sakurako Kogure, Alice Sasabe, Keishi Saruwatari, and Takashi Iba)


  • Future Language
  • “Future Language as a Collaborative Design Method” (Takashi Iba)

  • “Collaborative Design of Workplace with Future Language” (Takuya Honda, Keibun Nakagawa, and Takashi Iba)

  • “Collaborative Initiative for Community Development with Future Language: A Case of Lorega District, Philippines” (Sumire Nakamura and Takashi Iba)

  • “A New Way of Identifying Needs from Multiple Stakeholders” (Kousuke Suzuki, Takuya Honda, Yuta Kanezuka, and Takashi Iba)

  • “Chain of Dialogues Involving the Local Residents with Future Language” (Shoko Fujioka, Takuya Honda, Ryo Tsukahara, and Takashi Iba)


  • 以上の見所を知って、聞いてみたいと思った方は、ぜひ参加申し込みを。
    http://coins2015.peatix.com

    カンファレンスは、原則としてメインの2日間会場にいて、さまざまな交流があることを重視しています。そのため、実際には先約等で両日参加できない場合もあるとは思いますが、1 Day Ticketのようなものは用意してありません(それでよいというメッセージになってしまうので)。部分的な参加しかできない場合でも、Fullのチケットを購入していただきたいと思います。学生は割引があります。詳しくは、申し込みサイトをご覧ください。

    問い合わせ先: coins2015 [at] sfc.keio.ac.jp までメールにて。
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