井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

慶應義塾大学SFC「創造社会論」2018シラバス

創造社会論2018
慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
担当教員:井庭崇
開講:2018年度春学期(前半)
曜日時限:金曜4・5限※
※ 学期後半には、同じ曜日時限に「創造システム理論」(井庭・若新)が開講される予定です。併せてどうぞ。


【科目概要:主題と目標/授業の手法など】

これからの社会は、どのような社会になるのだろうか? 本講義では、これからの社会を、人々が自分たちで自分たちのモノや仕組みを創造する「創造社会」(Creative Society)になるという想定から出発する。創造社会では、誰もがさまざまな分野・領域で「つくる」ことをごく当たり前に行うようになる。そして何よりも、「つくる」ということが、生活・人生の豊かさや幸せを象徴するようになると思われる。

かつてインターネットの登場によって始まった「情報社会」では、生活が変わり、組織が変わり、社会が変わった。同様に、「創造社会」の到来でも、生活・組織・社会のあり方が大きく変わることになるだろう。そこで、その変化とはどのようなものなのか、そして、それらの変化は何をもたらすのかを考えることは、これからの未来に向かうための重要な準備となる。

本講義では、創造社会へとつながる創造・実践に取り組んでいる方々をゲストにお招きし、対話を重ねることで、創造社会の未来像を描き深めていく。それぞれの対談で見い出された考え方や取り組み方は、履修者がパターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちの実践につなげる準備を行うこととする。

なお、これまで4年間の授業は、すべてインターネット上で公開されており、 http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid500.html にその映像ページへのリンク集があるので、興味のある回があれば、見てみるとよいだろう。

CreSoc2018.jpg

【授業計画】
第1・2回(4/13):「日本中を楽しみ尽くす」(加藤史子 × 井庭崇)

「日本中を楽しみ尽くす、Amazing な人生に。」というキーフレーズで、インバウンドプラットフォーム事業を展開しているWAmazing代表取締役社長CEOの加藤史子さんをゲストにお招きし、これからの日本の楽しみ方について語り合います。加藤さんはリクルート時代に「じゃらんnet」を立ち上げ、「ホットペッパーグルメ」を立ち上げるなど、主にネットの新規事業開発を担当した後、「雪マジ!19」を立ち上げ、「Jマジ!」「ゴルマジ!」「お湯マジ!」「つりマジ!」…などの「マジ☆部」の展開を行なっています。新規事業の企画や立ち上げなどについても伺いたいと思います。(SFC卒業生)


第3・4回(4/20):「これからの教育の哲学」(苫野一徳 × 井庭崇)

教育の哲学について探究している苫野一徳さん(熊本大学教育学部准教授)をゲストにお招きし、デューイなどのプラグマティズムとこれからの教育の哲学について語り合います。なお、苫野さんは、この授業の後のゲストである本城慎之介さんや、昨年のゲストの岩瀬直樹さんらとともに、新しい学校をつくる実践もされています。理論と実践の両方に取り組むということの重要性についても語り合いたいと思います。


第5・6回(4/27):「言葉を編む、世界をつくる」(山本貴光 × 井庭崇)

心脳問題から文学まで幅広い分野について本を書かれている文筆家でありゲーム作家でもある山本貴光さんをゲストにお招きし、言葉を編むということや、それによって世界をつくるということについて語り合います。特に、西周の「百学連環」をいま読み解くという本を出されていることから、日本語での概念の命名についても一緒に考えていきたいと思います。(SFC卒業生)


第7・8回(5/2):「下宿 = 地方から考える教育の未来」(瀬下翔太 × 井庭崇)

瀬下翔太さん(津和野町地域おこし協力隊, NPO法人bootopia代表理事)をゲストにお招きし、これからの教育のかたちと、そのための「下宿」の可能性について語り合います。(SFC・井庭研 卒業生)
(この日は水曜日ですが、SFCでは、金曜日科目の代替日ということで、金曜日の科目が開講されます。)


第9・10回(5/11)「これからの生き方・働き方」(尾原和啓 × 井庭崇)

マッキンゼー、リクルート、Google、楽天などを経て、現在インドネシア・バリ島に住みながら「リゾートワーカー」として、これからの生き方や働き方について新しい視点を投げかけているIT評論家の尾原和啓さんをゲストにお招きし、これからの生き方・働き方について語り合います。この回は、なんと、尾原さんが直接教室に来られるのではなく、分身のロボが教室に来て、海外からの遠隔対談をします。そんなちょっと近未来な対談の経験もお楽しみに。


第11・12回(5/18):「新しい普通をつくる」(本城慎之介 × 井庭崇)

楽天株式会社の創業メンバーで元・楽天副社長を務めたあと、全国最年少(当時・32歳)の公立中学校校長を経て、現在、新しい学校づくりに取り組んでいる本城慎之介さん(軽井沢風越学園設立準備財団理事長)をゲストにお招きし、これからの教育・学校のあり方と、新しい普通をつくるということについて、語り合います。(SFC卒業生:秋祭実行委員会初代委員長!)


第13・14回(5/25):「音楽をめぐる創造性」(渡邊崇 × 井庭崇)

「舟を編む」「帝一の國」「湯を沸かすほどの熱い愛」などの映画音楽やCM音楽を手がけ、日本アカデミー優秀音楽賞、国際エミー賞などを受賞している作曲家の渡邊崇さん(大阪音楽大学特任准教授)をゲストにお招きし、音楽制作と創造性について語り合います。

【履修選抜課題】
受入学生数(予定):約 100 人
選抜方法:課題提出による選抜

(1)次のページに、これまで4年間のこの授業の対談映像のリンクがあります。どれでもよいので、好きなテーマのどれか1回分(前半・後半)を見て、対談(ダイアローグ)型の授業というのはどういうものかを理解してください。その上で、自分がどの回を見たのかを明記して、それを見て考えたことや感想を書いてください(この授業では、これと同じように、その回の対談に参加して考えたことや感じたことを提出する宿題が、毎週出ます)。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid500.html

(2)この授業を通じて学ぶことはどのようなことだと考えている(予想している)か、そして、それを自分の今の活動や今後にどのように活かしたいと考えているかを書いてください。


【提出課題・試験・成績評価の方法など】

成績評価は、授業中の議論への参加、宿題、期末レポートから総合的に評価します。

【履修上の注意】

  • この科目は、春学期の前半(4・5月)に週2コマ開講する科目です。
  • この授業では、教員とゲストスピーカーによる対談を聴きながら、重要だと思うことを自らつかみ取ることが求められます。
  • 授業と並行して、文献(教科書)を読んでまとめを提出する個人宿題が毎週出ます。


    【教材・参考文献】
    教科書


    参考文献

    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
    • 『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇+井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
    • 『創造性とは何か』 (川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010年)
    • 『凡才の集団は孤高の天才に勝る:「グループ・ジーニアス」が生み出すものすごいアイデア』(キース・ソーヤー, ダイヤモンド社, 2009年)
    • 『ハイ・コンセプト:「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006年)
    • 『エコロジーのコミュニケーション:現代社会はエコロジーの危機に対応できるか?』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007年)
    • 『社会システム理論〈上〉〈下〉』(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1993/1995年)
    • 『社会の社会〈1〉〈2〉』(ニクラス・ルーマン, 法政大学出版局, 2009年)
    • 『離脱・発言・忠誠:企業・組織・国家における衰退への反応』(A.O.ハーシュマン, ミネルヴァ書房, 2005年)
    • 『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛裕二, 勁草書房, 2007年)
    • 『人間性と行為』(J.デューイ, 人間の科学社, 1995年)
    • 『感動をつくれますか?』 (久石 譲, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2006年)
    • 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです:村上春樹インタビュー集 1997-2011』 (村上春樹, 文春文庫,文藝春秋, 2011年)
    • 『未来を創るこころ』(石川 忠雄, 慶應義塾大学出版会, 1998年)
    • 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭 崇, 福原 義久, NTT出版, 1998年)
    • 『はじめての哲学的思考』(苫野 一徳, ちくまプリマー新書, 筑摩書房, 2017)
    • 『子どもの頃から哲学者:世界一おもしろい、哲学を使った「絶望からの脱出」』(苫野一徳, 大和書房, 2016)
    • 『教育の力』(苫野 一徳, 講談社現代新書, 講談社, 2014)
    • 『「自由」はいかに可能か:社会構想のための哲学』(苫野 一徳, NHK出版, 2014)
    • 『勉強するのは何のため?:僕らの「答え」のつくり方』(苫野一徳, 日本評論社, 2013)
    • 『どのような教育が「よい」教育か』(苫野 一徳, 講談社選書メチエ, 講談社, 2011)
    • 『文学問題(F+f)+』(山本 貴光, 幻戯書房, 2017)
    • 『「百学連環」を読む』(山本 貴光, 三省堂, 2016)
    • 『世界が変わるプログラム入門』 (山本 貴光, ちくまプリマー新書, 筑摩書房, 2015)
    • 『サイエンス・ブック・トラベル: 世界を見晴らす100冊』(山本 貴光, 河出書房新社, 2015)
『文体の科学』(山本 貴光, 新潮社, 2014)
    • 『ゲームの教科書』(馬場 保仁, 山本 貴光, ちくまプリマー新書, 筑摩書房, 2008)
    • 『心脳問題―「脳の世紀」を生き抜く』(山本 貴光, 吉川 浩満, 朝日出版社, 2004)
    • 『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』(尾原 和啓, 幻冬舎, 2017)
    • 『ザ・プラットフォーム IT企業はなぜ世界を変えるのか?』(尾原 和啓, NHK出版新書, NHK出版, 2015)
    • 『ITビジネスの原理』(尾原 和啓, NHK出版, 2014)
  • 授業関連 | - | -
    CATEGORIES
    NEW ENTRIES
    RECOMMEND
    ARCHIVES
    PROFILE
    OTHER