ネットワークイデオロギー
-Network ideology-
21世紀の最初の10年は、 ネットワーク環境の基盤整備にして、
現代社会が大きく展開する時代である。
本論ではネットワークがもたらす社会生活面での影響について考える。
1. 恋愛至上主義と核家族
2. 第3の絆
3. 脱境界の思考:覗きと露出
4. 豊かさの思考:情報共有
5. ボランティアの思考:情報探索と情報支援
6. 小さな公共性の思考:自己責任と相互了解
7. ネットワークイデオロギー
7.ネットワークイデオロギー

上記のようなネットワークの思考は20世紀システムの論理とはかなり異質である。同様に20世紀の生活システムの恋愛至上主義と核家族にたいしても、ネットワークの思考は強い違和感をもつ。親子関係にみる階層的な関係(血縁)も、男女(夫婦)関係にみる機能関係(恋愛)も、ネットワーク環境を支える関係としては適合性に乏しい。論理的な整合性だけで評価するかぎり、第3の絆のきょうだい関係が示す友愛/ボランティアの精神だけがネットワーク的である。21世紀のネットワーク社会では、この第3の絆を相対的に優先する形で、新しい家族が構成されよう。

ただこのような生活システムが実現するには、まだ時間がかかる。ここ10年間はネットワークの情報技術に触発されたイデオロギーが浸透するプロセスにあるだけで、実際の社会変革をもたらすには、21世紀いっぱいかかろう。この意味では、ネットワークの社会的影響の問題はまさに21世紀的である。IT革命は今やっとイデオロギーとして認知されただけである。