2010年11月アーカイブ

どこでもMY病院

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IT戦略本部は、平成22年5月11日「新たな情報通信技術戦略」を公表した。
※IT戦略本部=高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部

「新たな情報通信技術戦略」では、3つの柱と目標を掲げてている
1.国民本位の電子行政の実現
2.地域の絆の再生
3.新市場の創出と国際展開

地域の絆の再生の医療分野の取組は以下のとおり。
ⅰ)「どこでもMY病院」構想の実現
ⅱ)シームレスな地域連携医療の実現
ⅲ)レセプト情報等の活用による医療の効率化
ⅳ)医療情報データベースの活用による医薬品等安全対策の推進

以下、「どこでもMY病院」構想のタスクフォースにおける検討課題についてコメントする。

サービス提供に向けた検討課題は、
①医療・健康情報の電子化方策の策定
②サービス開始に向けた提供形態の選択肢作成
とされている。これらは個別にいくつかの課題があげられているが
一言で表現すれば「医療情報連携」であろう。

医療情報連携といえば、地域の病院と診療所、薬局、あるいは介護施設などを
ネットワークで結び、患者の医療情報を相互に利用することを思い浮かぶ。
最近では患者のカルテ情報などの医療情報は患者に帰属すると整理され、
従って患者の医療情報は患者自身がコントロールできるようにするべきとの
方向が示されている。

どこでもMY病院の課題もこれらをどのように実現するかということに焦点が
当てられているようだ。この絵の行き着く先は、米国で進められている
RHIO(Regional Health Information Organization:地域医療情報機関)や
NHIN(National Health Information Network:国家医療情報ネットワーク)と
いったものであろう。
もし「どこでもMY病院」構想が米国同様のシステムを想定するのであれば
日本においての課題も概ね想像ができる。

「①医療情報電子化」→「②ネットワーク連携」→「③統計情報利用」

高度化のステップで米国は③が実用レベルにあるが日本は①で苦労している
状況であり②は限られた地域で行われている。

ここからが本題になるが、日本の構想が米国同様のステップを進めるだけとは
考えたくない。斬新なアイデアを元に課題を検討してもよいのではと考える。

これからの医療は病院や医師だけのものではない。インターネットが普及するまでは
個人で情報を専門情報を入手することは困難であったため、医療機関あるいは
医師になるために専門の勉強するしか方法しかなかった。
しかし現代においては多くの情報が存在し、瞬時に検索することができる時代である。
一般の患者が自身の手で多くの情報を検索し、自身にあった治療方法を探すことも
珍しくないだろう。

金融の分野でも情報が与えた影響は大きいはずだ。従来、金融機関の役割は
情報を元にリスクを割り出し金利を定めて営業することだ。一般では知られていない
情報を入手できるからこそ大きな顔ができる。しかし、インターネットにより
企業の情報や海外の情報など簡単に入手できるようになると銀行の役割は
ATM機器ネットワークの運用会社へと変貌している。

医療は、医学という情報コンテンツ、ハードとしての機器、およびソフト
としてのオペや投薬といった要素から成り立っている。仮にこの3大要素の
内の一つである情報コンテンツを患者自身の役割としたらどうか。
医療におけるステークホルダーが大きく変わる可能性がある。
それに伴い医療産業や活性化、医療コストの再配分など劇的な改革が
できるかもしれない。

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