2005年4月アーカイブ

Down to the Wire

友人のトム・ブレハさんの論文が外交誌『Foreign Affairs』に載った。友人といっても年齢は彼が30歳位上だろう。私がワシントンDCに滞在しているときに別の友人を介して友達になり(私もトムさんも安倍フェローだった)、アパート探しを手伝ってもらったり、夫婦同士でよく食事に行ったりした。

彼が日本のインターネット政策の研究のために来日したときは、私が当時勤めていた国際大学GLOCOMで客員研究員になった。

彼の『Foreign Affairs』の論文はニューヨーク・タイムズのコラムニストであるトーマス・フリードマンの目にもとまり、彼のコラムで引用されている。

いやあ、うれしいなあ。

北京で大騒ぎが起きているころ、私は何事もなく上海の街をグルグル回っていた。上海でも日本人留学生が殴られたそうだが、険悪な雰囲気は何も感じなかった。そもそも会っている人たちとの間で話題にすらならなかった。上海の人は政治に興味がないらしい。

のんきなことに土曜日は二回もマッサージに連れていかれた(決して二回ともお願いしたわけではない。断りはしなかったが)。一回目は昼食の時、ネット・ベンチャーの社長が「シャンプー・マッサージに僕は行っているよ」というので「何ですか、それは」と聞くと、「じゃあ、連れて行ってあげる」とデパートの中にある美容室へ。鏡の前の椅子に座るとラップとタオルが首に巻かれる。シャンプー液のようなものを頭にかけられ、ごしごしと洗髪が始まる。時々マッサージの小技が織り込まれる。洗い終わると席を移して前かがみになって流してもらう。その後は頭の上から背中までグリグリもんでくれる。綿棒で耳の中の水をとってくれたりとなかなかのサービスだ。全部で30分くらいだろうか。料金は20元(280円)。ところが、社長は割引会員なので、6元(84円)になってしまうというのだ。いくら人件費が安いといっても……。

夜も別の会社の社長と会食し、社長の豪華なマンションを拝見した後、マッサージに行こうと誘われる。行った先はできたばかりの巨大なマッサージ・ハウス。そこには社長の友達が3人待っていた。6人部屋に入り(2人部屋から数人のものまで30室近くあるようだ)、まずはお茶を飲みながらテレビを眺め、90分コースでもんでもらう。こちらはさすがに高くて168元(2350円)。それでも日本の三分の一以下だろう。

あまり中国人はマッサージに行かないのではないかと思っていたが、社長たちの話を聞くと、お金のある人たちは頻繁に通っているそうだ。一日おきに通う人や、お酒の後には必ず行くという人もいる。ポイントは、夜の場合は一人では行かないということだ。どうやら社交場になっているらしい。「昔の阿片窟みたいなもんだよ」という。なるほど、その雰囲気は出ている。

まじめな話も聞いてきたので、それはきちんとレポートにするつもり。いろいろ紹介して下さったHさんに大感謝。

20050408shanghai.jpg

また上海に来ている。ソフトウェア産業のオフショア開発などを聞いている。街は相変わらず元気で、金曜の夜は特ににぎやかだ。市街中心部の人民広場にマンションが建つらしい。銀座の一等地にマンションが建つようなものだとか。

今度のホテルにはブロードバンドがちゃんとついている(有料)。ウェブは速いものの、メールがすっごく遅い。メール・サーバーにたどり着くのに5分ぐらいかかっている感じだ。何が起きているのだろう。気になる。

スカイプで東京と話してみたら、すごい雑音で聞き取りにくい。会話できないほどではないが、ちょっと難ありだ。

インターネットと安全保障」がホットワイアードに掲載。

関連して、RonfeldtとArquillaの新しい論説「ネットワーク、ネット闘争、未来への戦い」が、原田泉、山内康英編著『ネット社会の自由と安全保障』(NTT出版、2005年)に収録されているようだ。

ロージナ茶会のメンバー二人にガイドになっていただき、秋葉原の同人誌文化を見学してきた。いやはや、アナザー・ワールドに入った気分だった。

既存のクリエイティブ・コモンズのライセンスでは同人誌文化をサポートできないというのもよく理解できた。私にとって大きな発見だったのは、同人誌文化がやっているのはコピーではなく、エミュレーション(模倣+α)だということだ。薬師寺泰蔵『テクノヘゲモニー』で示されたエミュレーション・ダイナミクスは科学技術だけでなく、文化芸術にも適用可能な一般法則となる可能性がある。

重要な論点を教えてくださったロージナ茶会のお二人と、一緒に回ってくれたみんなに感謝。

情報社会学会のウェブが立ち上がった。4月22日に設立総会が開かれるそうだ。

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